記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【感想】美少女万華鏡 -神が造りたもうた少女たち-

ブランド : ωstar       発売日:2015-03-27
シナリオ : 吉祥寺ドロレス    原画 : 八宝備仁

◾️ストーリー

いつとも知れぬ時代。

地球を支配していた人類の繁栄が失われてから。
更にはるかな時が流れ……。

世界の果てのような場所に、その塔はぼつんと建っていた。
塔には科学者が住んでいた。

たった一人で。

人間に見捨てられた場所で、彼は仲間を求めた。
彼にはかって滅んだ文明の、科学力があった。

魔法のような技術を駆使して、
彼は遂に理想のメイドロボットを造り出す……。

美少女万華鏡 -神が造りたもうた少女たち- 公式HPより

⚠️ここからネタバレあり⚠️







◾️ネタバレ感想

これ本当にロープラ作品ですか?
クリエイターの意識の高さに感服します。

★はじめに

八宝備仁さんが魅せる美少女万華鏡シリーズの第3弾。ここまできたらシリーズのクオリティに関して語るのは今更かもしれませんね。
ただ確実に言えることは、クオリティは毎回更新されて驚かされるということ。
当然ながらロープラ作品のクオリティを軽く超え、もはやビジュアル面に関してはビジュアルノベルの最高峰とも言える気がします。

本作でまず驚くのは、ゲームを起動していきなりアニメーション、その流れでタイトル画面という演出でしょう。初見は完全に呆気に取られ、開始早々グイッと作品に引き込まれ掴みは完璧です。

ロープラでそこまでやる?

クリエイターの方々の高い熱量を感じます。
美少女万華鏡シリーズはやはり凄かった。



★世界観や設定について

物語の舞台は人類とロボットの戦争で荒廃した終末後の世界。
前作とは異なり陰鬱な空気感は無く、退廃感漂うSFの世界観で作品全体の雰囲気もどことなく明るめ。

本作が今までと決定的に違うのは主人公の人物像。シリーズ第1弾は狂信者という常人では理解に苦しむ主人公、シリーズ第2弾は病気による不登校という影のある主人公。
しかし本作の主人公は、心の底では卑屈ながらも、人間世界に関わろうと頑張っている姿勢の人物。
誰かの為に尽くす奉仕の精神を持つ優しい主人公でした。

優しさは分かりにくいですが、綺麗な心の持ち主でかなり好感を持てます。
そのお陰もあって感情移入しやすく、彼の視点に共感をしながら物語を堪能することが出来ました。

クローズドな舞台で描かれたのは、人間と2体のアンドロイドが紡ぐ愛の物語。
主人公の龍之介は人との関わりに飢え、寂しさから心の拠り所を求め、2人のアンドロイドに戸惑いながら愛情を抱いていく。
アンドロイドである2人を、まるで人間のように接していく心の機微は繊細に表現されています。

しかも今回はダブルヒロイン。
アリスとドロシーはほぼ人間と言っても差し支えなく、プログラムされているとは言えど、龍之介に対し恋心を抱いていく。
この美しい2体の少女型アンドロイドとの愛欲が描かれ方は甘美であり淫靡。
かなり高次なハーレムモノに昇華されています。

これ嫌いな人いる?

シナリオとしてはコンパクトながらも過不足なく情報を伝えてくれます。深掘りすれば幾らでも掘れる設定ですが、おそらく敢えてスルーしたのでしょう。

本作で最も重要なのは、人間とアンドロイドが育む愛そのもの。1人と2人の関係性が物語の全てでした。

余談ですが、コミカルの象徴として機能していたコイツ好きです。


★魅惑のダブルヒロイン

本作最大の魅力はこれ。
作品タイトル通り、神が造りたもうた少女たちと言うべき神聖な姿。

その美しい存在は心を持ち、愛嬌に溢れています。麗しの少女たちと言葉を置き換えてもいいかもしれません。

金髪ツンデレ巨乳のアリスと、黒髪ダウナー貧乳のドロシー。属性の分け方も申し分ない。
主人公を取り合って喧嘩したり、嫉妬したりと賑やかなのが心地よく上質なキャラゲーのノリ。

とにかくもう、可愛い、あぁ可愛い‥‥以下略。

また、このシリーズ共通の魅力はキャスティングの素晴らしいさ。
アリス役の上田朱音さんもドロシー役の手塚りょうこさんも完璧にハマり役。最高です。


★物語の結末について

退廃的な終末世界なのにどこか心地よい雰囲気も、街の人々にアリスとドロシーがロボットと露見してからガラリと展開が変わりました。

かつての人類対ロボットの大戦の真実が語られ、アポカリウスウィルスがロボットだけでなく人類にすら牙を向き、結果旧世界の文明は終わりを告げる。

今まで穏やかな物語の進行だっただけに、起承転結の転で一気にSF設定が濃厚になり不穏な空気となります。
ロボットを造っていたファンタージエン社の科学者だった母が、龍之介に託したものは新世界の神になること。

驚きの事実が連続で開示されていく後半の展開は、さすがシナリオ評価の高い美少女万華鏡シリーズ。前作ほどの衝撃はありませんが、設定の破綻も無く理論展開もスムーズです。
でも素晴らしかったのはこの先。
物語の締め方でした。

アポカリウスウィルスで絶滅したコミューンに現れたブギーマンとの会話が、絶望の中でも希望に溢れるものでした。

人類は過ちを繰り返す。でもその度に何度でもやり直せばいい。
その先に人類の進化がある。

その言葉を龍之介が育てたひまわり畑に喩えて語る。枯れるたびに何度でも繰り返し諦めなかった先に咲き誇る一面のひまわり畑は全てを包み込んでくれました。

少しクサイ語りでもありますが、シンプルだからこそ心に響きます。
2人のロボットを君の家族かと自然に尋ねることが出来るのも、ブギーマンが今まで置かれた境遇に諦めなかったからこそ。

本作のタイトルビジュアルで印象的だったひまわりが見事に回収されたこと、アリスとドロシーがそばにいればまた頑張れるという希望を残したこと。
全てが綺麗に繋がりとても爽やかで余韻が心地よいエンディングでした。素晴らしい。



★溜息が出るほど美しいえちシーン

今回も相変わらず八宝備仁さんの原画は美しくも生々しい。そしてテキストも慣例かの如く淫語濃厚マシマシです。
甘美なだけでなくえっちです。

毎回感服しますが構図がとにかく素晴らしい。
これは原画を額に入れて飾りたいほど。
しかもその原画が動くわけですから昇天します。
内容も完全にイチャラブ仕様なので安心感がありますし、属性別で2人いるわけですから内容も豪華です。

このえっちシーンを「美しい行為」に昇華させているのが添えられているシーン音楽です。
不思議な妖艶さを伴いながら、甘く柔らかい旋律が心を溶かしていくような感覚でしょうか。

前2作もそうでしたが、男と女の肉欲の情事を芸術的行為かのように脳を蕩けさせる錯覚させる魅惑の音楽。

ヒロインの神々しさ、スチルの美麗さ、旋律の美しさ。そして超えっちシチュエーション。
美少女万華鏡シリーズでしか拝めない素晴らしいものでした。


◾️最後にまとめ

今までとは少し異なった明るめの雰囲気とSF的な世界観はとにかく魅力的で、また新しい美少女万華鏡を堪能出来きて満足です。
シナリオ良し、ヒロイン良し、えっち良し。
あらためてロープラ作品のトップを走る、ベンチマークとなるべき作品だと強く感じました。

素晴らしい作品を送り出してくれたオメガスターの皆様、作品に関わられた全ての方に感謝を。
また、この感想にお付き合い下さったあなたにも最大限の感謝を。
ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?