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【感想】ハピメア Fragmentation Dream RE ver.

ブランド : Purple software
発売日 : 2014-02-28(オリジナル)
    2023-05-26(REGRET END)
原画 : 月杜尋 , 克 , こもわた遙華(SD原画)
シナリオ : 森崎亮人

⚠️ここからネタバレあり⚠️





◾️ネタバレ感想

ハピメアは『REGRET END』一択で。
Fragmentation Dream RE.ver.こそ真の最終章。


★はじめに

パンチラの誘惑再び‥‥。
甘くて幸せな悪い夢に再び誘われ、タイトルにある通り断片化された夢を巡ってまいりました。
前作ハピメアの続編でありファンディスクも兼ねた本作はボリュームも十分で、ゆっくりじっくりプレイしてクリアまでに約23時間ほど。
ハピメア10周年でFHDリファインされた『REGRET END』のRE ver.プレイとなります。
そのため新たに用意された追加エピソードも含めて堪能してまいりました。

夢が覚めたかと思えばまた夢と、前作同様に展開を追うという意味ではなかなか難易度が高い物語でしたが、クリア後はプレイして良かったなと満足感を得ることができました。

©Purple software

有子がね、ほんとにね、可愛かったんだよ‥‥。

シナリオや世界観の秀逸さを語るのは今更なので、この感想記事では個人的に最も惹かれた“拗らせ焦らしハーレム”について想いをぶつけました。
そのため本筋の話はちょっとしかしません。
かなり偏った感想になるだろうと自覚していますが、それでもよろしければどうかお付き合いください。

前作『ハピメア』の感想も貼っておきますので、良ければこちらもご覧いただければ嬉しいです。



★断片化された夢を巡る

©Purple software

“Fragmentation Dream”の訳は”断片化された夢”。
言葉通り断片化された夢をプレイヤーが任意の順でショートエピソードを選び見ていくという構成で、ファンディスク的な要素が垣間見えます。
ただ大前提としてこの物語は前作ハピメアでのTRUEエンド、つまり有栖を追いかけ有子を引っ張り上げた夢の続きが舞台。
物語の大筋は「有子と有栖という同じ存在でありながら異なる存在」と向き合う透という図式で、前作で気になっていた有子と有栖を巡るその先をしっかり描いてくれていました。
そして同時に新たなヒロインに加わった有子という超絶魅力的なヒロインに心奪われることになるわけです。(それでも景子を推しますが、心揺れたのは否定出来ない)

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おいおい有子、その可愛さは反則よ‥‥。

序盤ではこの断片化された夢を集めて、夢としてきちんと状況を終わらせることが目的であると言及され、こもわた遙華さんのSD図解まで使って状況を説明してくれたのはありがたい導入。

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物語の大筋はあるものの、断片化された夢に完全な連続性があるわけではないので、読み切りのような感覚で気軽に読み進めることが出来ました。

そしてある程度読み進めていくと、このFDの本来の役割が見えてきます。
つまりは断片化した夢を集めた結果、前作のやり残しや新解釈を含む真なる最終章とも言える作品になっており、ハピメアはこのFDにてようやく完結したと言える構成となっていました。

夢から夢を巡る展開は、前作同様にどこからが夢でどこからが現実なのか曖昧に描かれました。
でも、そのほとんどが夢であるということは、前作でプレイヤーである自分自身が体験して理解しています。
その為に、前作をプレイしていた時のような大きな思考の混乱はありませんでした。

それでも物語を追うにやや難易度が高めだとは思いますが、最後まで物語を見届けた結論は非常にシンプルな感想を持ちました。

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これってつまり、舞亜ゲーってことですよね?

ほとんどが舞亜の手の平で踊らされていたような感覚ですね。
まぁ実際の物語の解釈としては異なりますが、言葉の表現として舞亜ゲーと言えますし、美味しいところはだいたい舞亜が持っていったように感じます。

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また、咲や弥生、そして個人的推しの景子と結ばれた夢は、選ばれる可能性があった夢の一つとして断片化され散らばっているというのが上手い調整だったと言えるでしょう。
前作で描かれた各ヒロインの夢の深掘りとその続きが描かれたことで、しっかりとFD要素を満たしてくていたと思います。えちシーンもありますし。

ただそれだけではなく、そういう可能性もあったという夢の扱いがうまく機能し、本筋である有子と有栖を中心とした続編物語に上手く絡んでくるのが何より秀逸でした。
ただの夢オチで終わらせないでいてくれたことに改めて感謝ですね。
そして、この結ばれる可能性っていうのがヒロインたち全てを内包した極上の拗らせ焦らしハーレムに発展するわけです。
それは次の項目で。



★極上の拗らせ焦らしハーレム

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ハピメアの魅力は夢という舞台に、不思議の国のアリスのエッセンスを内包させた独創的な世界観。
当然そんなことは理解しているんですが、個人的に最も魅力に感じたのは稀に見る特殊なハーレム展開の見せ方でした。
これに関しては異論反論があるかも知れませんがどうか許してください。

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だって、こんな拗らせ焦らしハーレム他になくないですか??

主人公の透は決して聖人でもなく、エロい事に興味津々な多感な男子学生でありながら、必死に頑張って理性を保とうと奮起するプロ童貞。
前作でヒロインたちと身体の関係で愛し合っていても結局は夢の中の話。
それはヒロインたちも同様で、何度も身体を重ねた記憶があるにも関わらず、現実の純潔は守られているというアンバランスさ。
それをしっかり理解した上でヒロインたちは誘惑してきます。

さらに言えば、ヒロイン同士もお互い透に抱かれた記憶があることは既知。
それぞれの問題と向き合い愛し合った記憶があることまで知っているわけです。

何だよこの設定‥‥天才か?

精神的に肉体的に結ばれた記憶を保持していて、尚且つその概要までは共有されているのであれば、牽制の仕方も誘惑の方法もより高い次元になるわけですよ。

だって、健全な事後ハーレムなんですから!!

しかも抜○ゲーハーレムのような肉欲全開でなく、誘惑に抗いながらじわじわと追い詰められていくわけです。

例を挙げれば、景子は相変わらず泊まりに来て大きめシャツ一枚という神々しい姿で部屋の中をうろうろして、同じベッドに潜り込んできます。
もう色々見えちゃうわけです。
さらにはピタッと寄り添っていじらしく抱かれたい気持ちを伝えてくるという可愛いワガママ。
股間を大きくしながらも必死に我慢する透。
誘惑に負けなかった朝に有子がその光景を目撃してあたふたするお約束のラブコメ展開に。
実際には何もなかったけど、夢の中では肉体的に愛し合ってる感情や記憶は確かにあるわけで・・・。

あーあーあー!
こんなのもう、最高じゃないですか!!


なんて幸せで甘いながらも悪夢なんだろう。
こんなの究極の焦らし状態ですし、長い長いおあずけ状態じゃないですか。
有り体に言ってしまえば、透にしてもヒロインたちにしても長い長い焦らしプレイのようなもの。
これってある意味で究極のエロスですよ。
普通にヤっちゃうよりよほどエロい。

ヒロインの視点から語れば、自分ではないヒロインと透が二人きりでいる状態で何も起きないと理解していても、お互いに抱かれた記憶があるからこそ余計な嫉妬も生まれ切なくなってしまう。
自分だって抱かれてた生々しい記憶がありますから想像出来ちゃうんでしょうね。
それがどんなに甘美だったのかを。

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ただこれが見る角度を変えると一気に胸を締め付けられる状況があるんですよね。
透が有栖を選んだということは、咲も弥生も景子も選ばれなかったということ。
それなのに愛し合った記憶を保持しているんですから、あまりにも切ないしやるせない。
この時のヒロインたちの心の機微までもしっかり描かれていることが、この非常にレベルの高い上級ハーレムの罪深さでしょうね。

辛辣な言葉を使えば、身体まで重ねて真剣に愛し合ったのに、結果としては負けヒロインになってしまったということです。
状況を受け入れているとはいえ、心の底では折り合いをつけることが出来ないのは当然の話です。

色々言いましたが、とにかくこの特殊なハーレムの設定がツボだったってことです。
この拗れたハーレムは今までプレイしたどの作品のハーレムよりも極上であり魅力的。
まるでサイモン・ラトルが指揮したベルリンフィルのマーラーを鑑賞したかのように、本当に素晴らしい体験を経てスタンディングオベーションしたって話でした。



★ヒロインの夢の帰結と新規エピソード

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前作の各ヒロインルートは正直やや描写不足だったと思っていますが、本作ではしっかり深掘りされ、整合性と納得感が増していたと思います。
特に新規エピソードでの景子は素晴らしく、咲と景子のやや歪で分かりずらかった関係がしっかり解消されました。

咲と景子はお互い好きな人は同じ。
この夢の中での恋人は景子だとしても、やはり咲の存在感は絶大で。
前作では語られなかった二人が胸の中に秘めた想いをぶつけ合うという見たかった展開が実現。

©Purple software

咲さん、ドスが効いてて怖すぎ‥‥でもそれが良い。

やっぱり咲は偉大ですよね。
咲の心の美しさと精神的な強さを作中の景子と同様に、プレイヤーであらる自分自身も思い知らされてしまいます。
透の彼女でいたいと叫ぶ景子が彼女でいるために頑張ると決意する流れと言葉のやり取りは胸がスッと軽くなる想いでした。

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咲や弥生のルートも同様にしっかり補完されていたのは嬉しかったですし、満足度が高かったです。

本作では様々な夢が終わりを迎えましたが、一番心に刺さったのは有子のハピメアENDでした。
今度こそ本当に舞亜と決別し、振り返らず前を向いて歩む流れは最大の泣きどころでしたし、夢の終わりとして一番納得感があったとも感じました。

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物語を振り返って俯瞰してみたとき、本来結ばれて然るべきであるのは咲だと思っていましたが、有子が隣にいる未来も良いなと思わされるほど綺麗な帰結でやっぱセンターヒロイン強いなと思い知りました。

ハピメアは物語の起点から一貫して舞亜と向き合う舞亜ゲーでしたが、夢が終わりを迎える時の中心にいたのは有子と有栖でしたね。
こう考えると、推しの景子や咲と弥生のエピソードの立ち位置はどこまでも夢の中の可能性ですが、決しておまけのような捉え方ではありません。
本筋を生かしてくれた価値あるエピソードだったと言えるので、全てのエピソードの存在意義が非常に大きいものでした。


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最後にエモいと思った事を。
瞳の色が赤紫の有栖。
本来は緑色の瞳を持つ彼女に宿る有子の瞳の色と、緑色に光る右目のハイライト。
思い返せば前作ラストでは有子も同様な瞳の色が演出されていましたよね。
かなり印象的でした。



★イベントビジュアルが素晴らしすぎ問題

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まじでめちゃくちゃ良かったですね。
これは好みもあるかもしれませんが、個人的にはブッ刺さりました。
物語の重要ポイントにしっかり差し込まれるイベントビジュアルの力は絶大で、物語に感情を持っていかれます。

©Purple software

えちシーンなんて最高オブ最高。
シーンの内容も良かったんですが、やはりえちCGがあまりに素晴らしすぎて‥‥。
有栖と有子と弥生なんて言う事なし。
扇情的な肉感ある美しい身体と艶かしい表情、更には躍動感ある凝った構図に魅了されてしまいました。
画集があればぜひ3冊は買わせていただきたい。

中でも印象的なのはお胸ですかね。
私事ですが、これまで画面の中でなら3桁に及ぶ人数のヒロインの裸体を見てきてます。
なのでそれなりに客観的な批評目線を持ち合わせていると自負しています。(キモ‥‥)
そのつもりで言わせていただきます。

こんな芸術的ロケットおぱーい見たこと無いよ!!

ななな、なんですか!?
このけしからん天を貫かんとするお胸は。
有栖のバスルームのシーンのCGとか弥生のパイでズリするCGとかさ‥‥。

もうこれ、天才じゃない?

上田メタヲさんと水鏡まみずさんが描くお胸が至高と思っていましたが、新たに克さんと月杜尋さんも至高であると発見出来たことは個人的に大きな成果でした。

批評とか言っておきながら、結局は主観で語るだけの感想になってしまいました。
もうそんな事どうでも良くなるくらいにめちゃくちゃ良かった。
それだけ読んでくださる方に伝われば満足です。
共感してくださる方には全力握手したい気持ちでございます。


◾️最後にまとめ

©Purple software

冒頭でも触れた通り、ハピメアをプレイするならHDリマスター版の『REGRET END』一択であると結論付けます。
このFragmentation Dream RE.ver.は続編とし上手く纏まってますし、追加エピソードに蛇足はなく、確かな納得感を得ることができました。
やはり追加エピソードを読む価値は大きいので、ハピメア完全版と言って間違いないでしょう。

甘く幸せな悪い夢という独創的な世界観は他に比べる作品が思い当たらないので、唯一無二の大作であったと感じますし、シナリオとヒロインの可愛さの両立が抜群に上手かったのもハピメアの大きな魅力と言えるでしょうね。

自分は今回の『REGRET END』で初プレイだったので、良いタイミングでハピメアの世界を堪能できたと思っています。
ハピメアが初めて触れたパープル作品でしたので、アマツツミ・アオイトリも近いうちにプレイすると硬く誓いました。

素晴らしい夢を見せてくれたパープルソフトウェアの皆様、作品に関わられたすべての方に感謝を。
また、この感想にお付き合いくださったあなたにも最大限の感謝を。
ありがとうございました。

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