人生最悪の日

人生最悪の日と聞くと人それぞれ思い浮かべるものは異なると思う。

私にとって人生最悪の日は言い換えれば最高の日にも変わる。


神様は意地悪であり不公平である。
でもその分見返りを大きくくれる存在なのではないかと勝手に思っている。


ある暑い夏の日私は人生三度目の転職をした。
前職はストレスで身体に支障をきたし半年でやめた。

なんの希望も目標もない、ただ毎日与えられた仕事をすればよいと思っていた私は三度目の新しい職場で


出会ってしまったのだ。あなたに

それが私にとって後に人生最高の日であり
最悪の日に変わる。いや厳密に言うと変わるかどうかはまだ何にもわからないといったところである。

なぜならこのお話しはまだ結末が決まっていないから。結末は誰にもわからないから。



初めて会った時の印象は若いのにこの仕事をしていて珍しいタイプだなと思った。
歳は同じかもしかしたら少し上か下かと言ったところだった。

彼は私の教育担当で社歴は半年ほどしか変わらなかった。

少し業務においての雑談を交わしたあと
なんとなくだが
“この人は自分と似てるような気がする”と感じた


仕事の話を交えつつプライベートな話にも初日から華が咲いた。
不思議なことに好きなものや考え方、笑いのツボ信じられないほど彼とは気が合った。

知り合って2日目には勤務もほぼ被っていたため一緒に帰ったりもした。あまり覚えていないがそのあたりで連絡先を交換したような気がする。


そして今思い出しても不思議なのだが
新しい職場に変わってから初めての休みの日

私は以前から気になっていた映画を観に行く予定を立てていた。もちろん誘える人などいないため一人だ。

その時たまたまCMでその映画の予告が流れた。
ふと近くにいた彼に
“明日この映画観に行こうと思ってるんですよね”と話した。

すると彼は”え、そしたら一緒に観にいきません?”と答えた。

知り合って5日目。働き出して5日目
私たちは映画を観に行くことになった。


ここまでが私と彼の出会い
そして私たちの始まりである。


詳しくはまだ書けないがこの時の私は微塵もこの先の展開を考えていなかった。
というか考えられる人などいるのだろうかと思う。


彼と出会った時若いのに珍しいと思ったことがもう一つあった。






彼の左手薬指に指輪が光っていたからだ。

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