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ビール大国ロシア

 「メトローポリ(Метрополь)」と言えば、まずペテルブルクの人々ですらお菓子屋さんを思い浮かべるかもしれない。ペテルブルク市内にチェーン展開する昔ながらの古き良きロシアのお菓子屋さんだ。

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 Север-Метропольの名前で親しまれるケーキやクッキーのを扱うペテルブルクの昔ながらの店で、ネフスキー大通りにも数店舗あるほど。フィルハーモニーの近くにもあり、リハーサルと本番の間の時間など他の奏者と軽く軽食をつまんだり打ち合わせたりすることもある。最後に訪れたのもアレクセイ・リュビーモフ(ピアニスト)氏とアレクセイ・ズーエフ(ピアニスト)とだ。みんな何故かやたらにナポレオン(と言う名のロシア独特のケーキ)を食べたくなって、コーヒーだけだったはずがいつの間にかロシアの甘々ケーキに毒されていた。

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 さて、話は逸れたが、このメトローポリがビヤホールを持っている。知る人ぞ知る自家製ビールを提供しているのだが、昨今流行のクラフトビールの先駆け的存在でもあり、丹精こめて作られたビールはペテルブルクにいたら一飲の価値がある。ドラフトビールだけで常に下の4点。この他に季節のビールがあり、タイミングが良いとかぼちゃビールなどが楽しめる(個人的にオススメ)。

(1)Бланш де Метрополь (ブランシュ・デ・メトローポリ)

(2)Метрополь Блонд (メトローポリ・ブロンド)

(3)Метрополь Брюн (メトローポリ・ブリュン)

(4)Крик (クリーク)

 上から順に(1)白ビール(アンフィルター)、(2)ラガービール、(3)黒ビール、(4)ベルギー風ビール(甘い)。

 もちろんドラフト・ビールも良いのだが、ここのとっておきは瓶ビールなのだ。

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 いくつか種類があるのだが、一押しはこの「Траписта(トラピスタ)」。

 今は法律が改正されて栓がしまった状態の未開封のアルコール飲料はこうしたバーでは持ち帰り購入ができなくなってしまっているが、数年前まではこれがもっぱらの日本への良きお土産になっていたものだ。

 また、ビールだけではない。

 ここの食事もかなりのものだ。

 数年おきに、あるいはもっと短いスパンでシェフが変わるのか店の趣向が変わるのかガラッとメニューが変わってしまうことが多いのだが、変わっても変わったなりに満足感のある洗練されたものが出てくる。つい最近もメニューが変わり、以下のようなメニューが新たに追加されていた。

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 ロシアもののメニューが充実した。試しにメニュー二つ目のを頼んでみた。

 ビールの味をとことん楽しみたいならこれくらいの洒落たつまみが丁度良いというものだ。程よい塩味のきいたキュウリや酢漬けのキャベツなどはもちろんのこと、酢漬けの魚、エシャロットとその気の利いた西洋ワサビソースなどとの組み合わせは意外にもビールの邪魔をしない。むしろビールの味を引き立たせる役割を担ってくれる。幾つもの種類のビールを楽しみたいなら、こうしたつまみを箸休めに頼んでみるのも一考だろう。

 ビールは0.3Lから4Lまでの大きさで注文できるのも魅力だ。

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 まずは騙されたと思って、このトラピスタかドラフトのブランシュを頼むことをお勧めする。

 ロシアはビール大国だと書いたのはこの店があるからだけではない。ペテルブルクの地ビールには多数の面白いものがあるし、地方都市にも然りなのだ。ドイツビールより洗練されていて個人的に超オススメだ。この他のビール探訪もシリーズにして取り上げてみたい。乞うご期待。by清水雄太


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