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HOTDOG PRESSと子育て

ファッション雑誌を見て育った親は、白いページを沢山持った子供に何を教えていくのか?何を見せていくのか?

ファッションはライフスタイルを反映するから、服の選び方や組み合わせ方は、生活の仕方を選ぶのと同じだと思う。

僕は小学校低学年の頃から服に興味があった。
母親がミシンを踏めたから、お手製の服を着ていたこともある。
そこには注文を加えていた。もっと襟を大きく尖らせて、色はこれでとか。
小学6年頃にファッション雑誌を買い出した。
初めて買ったのはホットドッグプレスだったと思う。
大学生のお兄さん達のライフスタイルや着ている服、北方謙三のコーナーなんかが強く記憶に残っている。
そのころから、月に3冊くらいファッション雑誌を買い続けては、色んなファッションや当時の流行を勉強していた。
僕は兄姉がいないし、インターネットも無かったから、得られる情報は全て雑誌からだった。
10代はファッション雑誌浸けだった。

20代前半にシドニーで生活をした時に気づいたことがあった。
本屋にはファッション雑誌がほとんどなかった。
世界的に売られているVogueなどはあるんだけど、ココで言うのはカタログ的なやつ。商品写真を切り取って並べて、値段はいくら的なカタログの様なファッション雑誌のこと。
わずか2年の滞在だったが、現地で出会った人々は僕の知る限り誰もそんな雑誌を読んでいなかったし、興味も無かったと思う。
各々が着たいと思った物を選んで、自由に着ている雰囲気が好きで、羨ましく思った。

コレはこのジャンル、こう言う人に向けた、こう言う使い方
こんな情報を多感な時期ずっと見ていると、なかなか呪縛から抜け出せない。違う世界を見て、もっと自由になりたいと意識して、一つ二つ抜け出した感を経てもなお、根底には縛りつけるものが根を張っている。

観るのは今でも嫌いじゃない。
へぇー、こんなのあるんだと発見のよろこびもある。
だけど、窮屈だ。息苦しい。
後からの副作用が思いのほかキツい。
知らずに見つけて素直に良いと思った物を素直に買いたい。使いたい。
でも。
アレっ? これってあの人気雑誌に載ってなかったっけ?! 
あの有名人が持ってたヤツじゃないか?!
知らなきゃ、良いもん見つけた!って満足して使うはずが、手を出せない。

例えば、長男。
彼は服に対してあまり興味が無かったようだ。
それでも年頃になって、周りを気にし始めたのだろう。
一昔前の物質主義とは違う現代っ子でも、周りを気にせずマイペースを貫ける子供は少ないのかもしれない。

色の好き嫌いはハッキリしている。
でも、どんな服を買ったら良いのか分からないと言う。
カミさんも選んであげてと言う。
電車通勤しているから、同じ年代の子らが、どんな服装をしているかは大体わかる。
でも、僕はすでに40を過ぎている。
同じフィーリングで考えられる訳がない。
じゃあ、僕がさせたい格好を選んで与えるのか?

話しが進まないから、しょうがない。
ヒアリングしました。

着るシチュエーションは?
シルエットは?
色は?
つまらない質問の結果、近くのスポーツ用品チェーン店へ。

さっきの質問から導いた結果にそぐった物を彼なりに選び出す。
途中の、どれが良いかな?の質問には応えない。
自分が良いと思う物を自由に。
周りの事を気にするなとだけ伝えた。

時間をかけて悩みながら、2着を持って来た。
どっちかにしようと思うんだけど、と最終的に選んだのは、そのスポーツ店のPBブランド。 

あれだけ、自分で選んで決めなと言っていた自分は即答出来ず。

僕:んー、こっちなの?!そうなの?!だって、そっちの方がシルエット綺麗だけど? ちょっと着てみ。ほら、このあたりとかダブつかなくて適度なフィット感あるし、かと言って身体を動かしても窮屈感ないっしょっ!
なんで、こっちなの?

息子:こっちの方が色が好きだし。好きなの選べっていったじゃん。

結局のところ、僕は今でもそうなんだ。
初めて食べたバーガーとチップスの味からは逃れられないように。


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