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デュピルマブで結膜炎を発症した患者を、トラロキヌマブに切り替えると、結膜炎は改善するか?|2024年12月2日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

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アトピー性皮膚炎治療に使用される生物学的製剤、デュピルマブ、レブリキズマブ、トラロキヌマブと結膜炎の副作用。

■ 小児のアトピー性皮膚炎の治療にも、生物学的製剤が使用できるようになり、生後6ヶ月から使用できるデュピルマブ(デュピクセント)の他に、12歳以上であればそれ以外の生物学的製剤を使用できます。
■ そのうちのひとつがレブリキズマブ(イブグリース)であり、高校生以上ではトラロキヌマブ(アドトラーザ)も使用されます。

■ デュピルマブ、レブリキズマブ、トラロキヌマブは、いずれも中等症から重症のアトピー性皮膚炎の治療に使用される生物学的製剤ですが、作用機序が若干異なります。

■ デュピルマブは、 インターロイキン(IL)-4とIL-13の両方のシグナル伝達を阻害するヒト型モノクローナル抗体です。
■ IL-4とIL-13はアトピー性皮膚炎の炎症反応において中心的な役割を果たすサイトカインであるため、デュピルマブはこれらのサイトカインを阻害することで炎症を抑え、皮膚症状を改善することになります。

■ トラロキヌマブは IL-13のみに特異的に結合し、その作用を阻害するヒト型モノクローナル抗体です。
■ IL-13のシグナル伝達経路のみを標的とするため、IL-4の働きには影響を与えません。

■ レブリキズマブも、トラロキヌマブと同様に、IL-13のみに作用するヒト型モノクローナル抗体です。

■ 結局、IL-4を抑えるかどうかが違いと言えますが、結膜炎の発症リスクが異なると考えられています。

Torres T, Sohrt Petersen A, Rosso A, Moreira Taveira C, Carrascosa JM. Matching-Adjusted Indirect Comparison of the Efficacy of Tralokinumab and Dupilumab in the Treatment of Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis Beyond Week 16. SKIN The Journal of Cutaneous Medicine 2024.

■ では、デュピルマブで結膜炎が起こった患者において、トラロキヌマブに変更すると、結膜炎は改善するでしょうか?
■ 最近の報告を共有します。


※トラロキヌマブは、日本での小児適応は今のところありません。海外では米国、カナダ、EU、アラブ首長国連邦、英国、韓国などで12歳以上の小児への適応を取得しているようです。レブリキズマブは12歳以上かつ体重40kg以上の小児に適応があります。


この論文でわかったことをざっくりまとめると?

2020年3月から2022年12月までに、ユトレヒト大学医療センターでデュピルマブ関連眼表面疾患(DAOSD)により治療を中止した中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者4名(年齢中央値40.0歳、男性2名)を対象に、トラロキヌマブへの切り替えを行った。

✅️デュピルマブからトラロキヌマブに変更して28週後、4名中3名においてUTOPIAスコア(目の炎症の程度を示す指標)が低下し、眼の炎症が改善した。
【簡単な解説】 デュピルマブからトラロキヌマブに変えたところ、4人中3人の患者さんで目の炎症が良くなった。

✅️デュピルマブからトラロキヌマブに変更した全患者において、トラロキヌマブ治療中は目薬として使用していたステロイドの使用量が減少し、副作用のリスクが低下した。
【簡単な解説】 デュピルマブからトラロキヌマブに変えたことで、目薬の使用量を減らすことができた。



以下は、論文の解説と管理人の感想です。

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