2023年5月17日 【最新論文紹介】注文前に、店側から食物アレルギーがあるかどうかを積極的に尋ねると、客の満足度は改善するか?
■ ブログで公開した内容の深掘りです。
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外食によるアレルゲンの誤食は少なくなく、一方で食品関係者の食物アレルギーに対する理解はかならずしも高くはない。
■ 外食も楽しみたいと思う方は、もちろん多いでしょう。
■ しかし、少なくないひとが食物アレルギーを持っており、外食は、誤食・アレルゲンの混入のリスクをはらみます。
■ 食品関係、たとえばレストランのスタッフだからといっても、食物アレルギーの認識にはばらつきが大きく、混入は起こり得るのが現状です。
■ 例えば、『牛乳を除去して下さい』とお願いしてOKがあったとしても、『バターがけの魚が提供された』という逸話も聞きます。
■ 英国のテーブルサービスを行うレストラン90施設のスタッフに、食物アレルギーの知識に関するアンケート調査をした研究があります。
■ そして、38%のスタッフはアレルギー反応があった場合にはアレルゲンを薄めるために水を飲むべきだと考えており(有効ではありません)、21%は、出来上がった食事からアレルゲンとなる食品を除去すれば安全であると答え(重篤な患者は症状がでることがあります)、16%は、アレルゲンとなる食品を調理すれば食べられると回答した(加熱でアレルゲン性がさがる食材は一部)と報告しています。
■ レストランのスタッフは、『料理のプロ』ではあるかもしれませんが、アレルギーのプロではありません。そしてどうしても人間の行うことですので、混入は起こり得ます。
■ しかし、できるだけ意思疎通をしながら、より安全に外食を楽しむためにはどうするか…考えていかなければならないでしょう。
■ 最近、レストランなどの食品業者から、お客に『食物過敏症(食物アレルギーを含む)があるかどうかを積極的に尋ねる』ことが、客満足度にどのような影響を与えるかをみたランダム化比較試験が公開されました。
この論文でわかったことをざっくりまとめると?
食品事業者のスタッフが、客に積極的に顧客にアレルギーについて尋ねることで、食材を特定できるという客の自信が高まるか、食材について尋ねる気持ちが高まるかを、英国の食品事業者計18店舗を9店舗ずつにランダム化して比較したところ、
✅ 介入群のほうが、介入を受けなかった対照群よりも、必要に応じてアレルゲンを特定する能力に自信を持っていた。
✅ 客の満足度、客の信頼、友人や家族に事業を薦めるかどうかについて、すべて改善がみられた。
✅ 介入群では、アレルギーや不耐性を申告したことがあると回答した客が多かった(OR = 8.58, p < .001)。
✅ 介入は、食品事業者で販売されている食品の安全性に関する客の関心度に影響を与えなかった。
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