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作家 村田紗耶香さんの講演会

 まだ見ぬ、知らない世界へ・・・。
今まで感じたことのない感情になり、心動かされたい。そんな、書籍、小説というエンターテイメントに対する、アタシの欲望は尽きることがない。

 アタシ、熱量を、パワーを感じる小説を書く作家さんが大好きです。

という訳で・・・ってどういう訳で(笑)

先日行ってきた、村田紗耶香さんの講演会のお話です

 お出かけが苦手なアタシではありますが、作家さんの講演会に、行こうと思ったのは、もちろん村田紗耶香さんのお話が聞ける。そんな、機会を逃したら、絶対に後悔するって思ったからなんですけど。

 アタシが思う、良い文学作品とは、
形のない感情を、言語化し文章を紡ぎ、その物語に力、魅力があり、人々に影響を与えうる、そういう作品である。その作品を読むことで、様々な感情が、動き、導かれ、突き動かされ。そして・・・時に立ち止まり、深く思索することができる。
 そんな物語が良いなって思うのです。

 村田紗耶香さんの小説は人の心の奥底(他人には決して見せない部分)まで見透かされてるような、そんな空恐ろしさをも感じる。

 そんな小説を生みだすことって、どれほど大変な作業なんだろう。

 心が動かされる物語を生みだす作家さんはなんて偉大なんだって思うのです。「自分とは、世界が違う人なんとちゃうん」ってね。

そんなこんなでアタシ、当初、出かけることにおびえ、躊躇しつつ・・・いや、でも、こんな貴重な機会を逃したら後悔する。ということで講演会に行くことにしたのです。結果・・・

 行って、ほんとに良かったです。

 お話を実際に聞いて、感じることのできる良さ・・・現実味というのかな。生の言葉が言霊となって、直にそれを聞くことで、受け取る側が感じるということがあると、そんな風に思ったのです。

 村田紗耶香さん。
小説や、インタビューの活字から受ける強い女性の印象(アタシの勝手な印象)とは、違う、繊細さを感じるとても素敵な作家さんでした。

 これまでで、アタシは、彼女の作品を2冊を読んだだけなんだけど。

「コンビニ人間」
「しろいろの街の、その骨の体温の」。

 この二冊とも言えることなんだけど・・・。
読んで、こんなに心をえぐられるとは、と衝撃を受けました。共感する部分。そうじゃない反発する思い。現実になじめない気持ち。こういうの嫌だなって嫌悪する気持ち。世の中に対する、もやもやとした思い。そういったことが、こんなにも、繊細に的確に、小説で表現できることが可能なのかと。ああ、アタシが思っていたことは、こういうことだったのだなと、読んだことで、はっきりする思いがしたのです。

 特に「しろいろの街の、その骨の体温の」(これ、大好きな小説です)。

 少女の頃の感情・・・、世の中に上手くなじめない自分にイラつき苦しんでいたあの頃、クラスメイトに対して残酷な気持ちになり、世間を嫌悪していた、そんな感情がよみがえり、読んでいて辛さも感じた。青臭く、歪な未完成な、でも心はとがりまくってた、あの頃・・・。
(でも、あの頃の自分を愛おしく思いもした。「大丈夫。」ってあの頃の自分に言いたいな。ま、あの頃の自分があるから、今があるんだけど・・・また話がそれましたが。)
女子特有のグループでの同調圧力や、男子の幼稚な部分に対して感じていた冷めた思いや、いじわるな気持ちとか、自分のいろんな感情を思い出させてくれ、心をわしづかみにされる作品でした。

 そして、この作家さんの他の作品も読んでみたいと思ったのです。

 この人の新刊が出たら、読んでみたいリストに、必ず追加する、そんな作家さんの一人になりました。今や、そのリストの数は、増え続けていて追いつきそうにないんですけど。

 今回、講演会に行く道中のおともに、積読本の中にあった村田紗耶香さん「マウス」という作品を携えてまいりました。

 道中、待ち時間、そして帰宅後で一気に読み終えました。これは、もう正解でした!!
 その日は、村田紗耶香さん一色で過ごして。その没入感がアタシにとって、いつになく心地良い時間になったのです。

 自分には、そこまで小説に熱中できる熱量は、もうないのかもしれないと、最近は思っていたので・・・。年齢もあるかなってね。少し残念ってあきらめモードで思ってたのです。ちなみにアタシは現在52歳です。

 という訳で、まだまだ、いける!はりきって読みます!

 最近の読書は、仕事や、家事の合間の、とぎれとぎれの読書だったのですけど、仕事をやめてからも、落ち着きなく家事の合間に本を読んでいました。
 今回、電車に乗って読み、講演会が始まるまで、待ち時間は、会場に併設のカフェで読み。終わった後も、ふかふかの椅子で、休憩がてら読み。また、帰りの電車の中も。帰宅後は、小説終盤の止まらない状態で、ソファーに座って、熱い飲み物をたっぷりと用意して読み終えました。
 もう、この日は彼女と彼女の本だけの一日

 出先で、そういう環境で読むって、時間がたっぷりあって、家で家事の合間に読むのとは違うなって。 あえて、本を読みに出かけるのって、有りやなって思ったのです。

 高校生の頃なんかは、ずっとそういう毎日だったのだけどね。通学はもちろん、ひどいときは授業中も、読書の時間になってたな。(笑)ダメダメなアタシです。
 いつのころからか、合間で読むようになった。やはり、親になってからかもね。アタシは本を読みだすと、没入感が凄いんだもの。人としてアカン、生活がおろそかになるほど、ほっといたらずっと読む。だから、自分が思う、大人として、親として、こうあるべき親になる!と決めてから以降、スタンスを崩さないようにしてきました。合間の読書だけってね。
 ひさしぶりに、こんなに一気に読んだ。アタシもまだまだ、集中して読むことを楽しめるねんな。


 「マウス」は、前情報なしに、作家さんの名前だけで、手に取った本だったのですけど、これも、アタシにとっては、大好きな本になりました。二人の女の子の心理描写や、不器用なやり取り。危うさ、世界になじめない、二人それぞれが、自分の中にある部分とリンクして。共感し。反対に、そうは思わないと感じたり。もう感情が、気持ちが、ざわざわしっぱなし。最後までとぎれなく、楽しんで読めました。

 (ここまで書いてきて、ふと、アタシごときの感想で、読もうという気持ちになる人。居ないんちゃうか?って思ったので、ここにそんな感想を載せることに躊躇する自分もいるのですけど。あえてこのまま突き進みます。    

 そう、アタシは、アタシの思いしか、文章にすることはできません。
 ま、かっこつけなくてもいいと思ってnote書いてるんやし。
読んだ人それぞれが、いろんな受け止め方してもいいやんって思うので)


 そうそう、講演会のお話です。



 村田紗耶香さんは、


読者に求められるものとして、
小説を書くのではない。

これを書いたら、
どう思われるとか
誰かが喜ぶとか考えない。


「小説という信仰」
小説の神様が、書かせてくれるもの

「小説のために書いている」

そして映像がはっきりと頭の中にあって
再生している感覚で書くんです。


と、まあ、このような、お話をしてくださったのが、印象に残りました。

(文章のプロじゃないアタシが文字に起こすと、なんかニュアンスが違うかも。ここに内容を載せるのは、控えめにしておきます。)

 リアルな会話や、心の動きを描いた文章は、そんな風に作り出されてるのだな。小説という信仰かあ・・・。それくらいの思い、熱量で書かれた文章だからこそ、心が動かされるのだなあ。

 もう、あたしは、ミーハーな気持ちが止まらなくて。小説の中の、登場人物が、大人になって現実に出てきて、話してくれているような錯覚を覚え。妄想の中で、お話を聞いてしまっていました。恥ずかしながら・・・

 そう、講演会で「そこで、何かを学んで」とか、「自分は、こうなりたい」というのは、一切ない無責任なアタシなのでね。(ん?軽くてごめん)

 若い学生の皆さんや、編集者さん、一般の人が会場に来ていたのだと思うんだけど・・・。文学も芸術作品なんだな。って実感した。というのも・・・

 作家さんもある意味、芸術を生み出すアーチストなんだろうなと思ったんです。今回、芸術の世界と同じくする部分が、多々ある講演会の内容だと感じたので、若者には得るものがある、刺激をもらえる内容の講演会ではなかったかな。そうだといいなと思います。そして心突き動かされ、自分の中から湧き出るものを、何にとらわれることなく、大衆に迎合することなく、様々な才能を自由に表現し開花できるといいなと密かに思っておりましたよ。

 そして、その多様性を認め、育むことのできる社会が理想的なのだけどなって思います。
 
 うむ。一人納得です。(笑)

 今回、少なくとも、アタシは心がざわつき、波立ちました。なので、ますます、今後も「村田紗耶香さんの作品は、追いかけて行きたい!」って強く思いました。

 0から1をつくり、世界を構築できるアーチスト。

 芸術、文学に携わる人は、ある意味、自分の命を削って、作品に臨んでいるのだ、そんなことを思いました。もっともっとお話を聞きたいけど、ああいった場は、(繊細な作家さんに思えたので、)たぶん心が消耗するだろうなって思う。

 くれぐれも、お身体を大切にしてもらって、いつまでも、素晴らしい作品を生みだしてほしいなって思う。彼女にかかわる周りの人に、彼女のこと、大切に、消耗させるようなことに、ならないようにしてほしいなって・・・祈る思いです。う~んアタシって心配性ね。

 アタシなんかが心配しなくても、たぶん、そういう、人と人との摩擦や、様々な出来事から、零れ落ちた感情、いろんなことを全部、素敵な作品として昇華できるのが作家さんなのかもしれませんけど。

 そして、村田紗耶香さんのファンである一読者としては、今後生みだされる作品を心待ちにしてるし、それを読むことが出来ることに感謝なのです。楽しみが多ければ多いほど良い♪

 今回こうして、お話を聞く機会を与えてくださったこと。感謝でいっぱいです。講演会に行けて良かったな。引きこもっていないで行動できたことが、アタシとしては、よくやった!て思ってる。


 臆病なアタシは、家の中にこもり、コミュニケーションを恐れ、思考停止し、無になることに逃げ。そうしなければ生きていけない自分を嫌悪し。理想を見すぎ、がんじがらめになって身動きが取れなくなり。でも・・・
 そんな弱い自分を、認め。そういう部分を愛し、自分の自分たる部分だと、自らをなだめつつ、今後も生きていくのだろうと思う。


 そういうアタシの駄目な部分を見つめて。思考の海の底に沈み込むような・・・ある意味、それに心地良ささえ感じつつ、非日常にどっぷりと浸るような、そんな時間になったのでした。

 アタシにとって、素晴らしい時間の過ごし方ができること。自由にさせてもらえること。ホントにありがたいことだなって思ってます。


では・・・さてと


また、本の世界へいってきますね!

ほな!


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