自己暗示の女 団体戦


病院で仲良くなった彼女はこちらに気があるような素振りを見せるが、彼氏ありの娘だ。
同部屋の剛とあけみも同じように気がある素振りをあけみは見せるが?彼氏あり。
とても不思議なのは、彼氏がいる。とても好きだ。ということを執拗にこちら側にアピールしてくる点。でもそれとは裏腹に手を繋いでくるし、病院から抜け出して隣の森へよく連れ出される。

その日は雨がしとしと降っていた。
4人の相部屋では少し憂鬱な空気が流れていて、とても静かだった。

彼女は私に、もうすぐ雨が止むからそしたらいつもの森に行こうね。と言って来た。止みそうに無い気がしたのでケータイで調べたら確かに五分後に一時的に止むらしい。

あゝ

いつものように流されやすい返事で返しておいた。

じゃあ行こうか。

まだ雨は降っていたが、間も無く止むのでそれを見越してなのだろう。特に反対はせずにいつものように手を引かれながら病院の裏口に進んだ。



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やめてー

彼女は叫んでいた。

よく見えないが、男の悲鳴と赤い血が見えた

すると次の瞬間、血のついた刃物を持ったあけみが、こちら側に向かって近づいて来ている。警察官である事を思い出した。体が逮捕術を覚えていたからだ。明美のナイフをとり除き、体を拘束していた。


何かあったのか‥‥

あけみのなかで、倫理が破綻したみたいだ
彼氏が好きで好きでたまらない自分と、そんな彼氏は病院に全く顔を出さない。そんなあけみの横には優しく楽しい時間を提供してくれる剛がいて、どんどん惹かれてしまう。体はそっちに向かうが、心がそれを許さない。その心体不一致な状態が心を崩壊させ、あのような行動に繋がったのだと、彼女は言っていた。

彼女も同じような状態なのでは?と
気にしたが、不思議と、至って冷静なようだ。
何故か心もこちらを向き始めてくれている気さえその時はした。

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つづく
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