#22年のポップカルチャー22選 22位~11位

一年ぶりのnote。一年前に「2021年マイブーム21」をアップしましたが、今年は「#22年のポップカルチャー22選」と題して、インスタでカウントダウンをしています。長くなったので、半分にわけて。ベスト10は大晦日か元旦にアップします。

第22位 Aマッソ+KID FRESINO「QO」

たまたまamazon primeにあがってたのを見つけて、AマッソもKID FRESINOも好きなので、軽い気持ちで視聴したツーマンライブ。どちらかの後に、どちらかがやるという普通のツーマンではなく、AマッソのコントとKID FRESINOのライブを交互にしながらも、どちらもフィクションとして存在するような不思議な感覚。「カックラキン大放送!!」や、三宅裕司と伊東四朗が「いい加減にします!」でやっていたような、オールドスクールな音楽コントを彷彿させつつも、Aマッソのよい塩梅のトンガリ具合もミックスされていて新鮮でした。今年の頭に福岡公演もあったらしく、全然知らなかった情弱な自分を呪いました。また恥ずかしながらKID FRESINOが生バンドでライブをやっているというのも知らず、この形態なら是非見てみたいと思いました。

第21位 青島太平洋マラソン 12月11日(日)

今年の頭、足首痛からの足の裏の皮がバリバリに割れる奇病、そして秋には1年早い50肩で通院。で、全然走れず完走する自信なかったので、一度は棄権しようかと思った青島太平洋マラソン(以下アオタイ)。でも去年が非常に楽しかったので、宮崎観光兼ねて、記念ランだけすることにしました。

どうせリタイアするので、レース前の禁酒もせず、旧友にアテンドしてもらい前打ち上げ。地鶏の炭火焼き、鶏のタタキ、辛麺を堪能。走るペースは普段からキロ1〜1分半遅くし、エイドにある補給食は全て食べて行く本格的ファンラン仕様。

チョコレート、きゅうり、日向夏、ドーナツ、日向夏ゼリー食べ、途中トイレ(大)のほうも催すゆるゆるラン。体感温度30°越える猛暑なので、こりゃそろそろリタイアだなと思った時に神風が。急に海風がビュンビュン吹いて寒いくらいに。奇しくもそれが去年足が止まった28km付近。そこから、妙に身体が軽くなり、走っても走っても全然キツくならず、写真撮ったり撮られたりしながら、あっという間に完走しました。おそらく過去最遅スピードでのランナーズハイ、ギネスに登録申請したところです。マラソンってホントに不思議なスポーツですね。

しかしアオタイよい大会ですね。また来年も参加したいです。宮崎のみなさん、特にボランティアをしてくれた高校生のみなさん、本当にありがとうございました。

第20位 OST / MINIONS : THE RISE OF GRU

映画「ミニオンズ フィーバー」のサウンドトラック。

まず先行公開されたDIANA ROSSとTAME IMPALAによる"TURN UP SUNSHINE"の取り合わせの妙とキャッチーさにやられましたが、アルバムも全編通して高すぎるクオリティーの楽曲の連発にびっくり。映画本編の舞台が70年代ということで、当時のディスコやソウルを旬なアーティストがカバーした楽曲も多く、懐かしくもフレッシュな内容で繰り返し何度も聴きました。ノリにノッているプロデューサーのジャック・アントノフはじめ、センスある人たちがきちんと金をかけてきちんと大きな金を回収するという、狂気的な一面さへ感じさせる傑作でした。ちなみに僕は前述の"TURN UP SUNSHINE"の7インチと2枚組のピクチャーLPを入手しました。

とか、偉そうなこと書きましたが、映画のほうは未見です。すみません。


第19位 BELLE & SEBASTIAN / A BIT OF PREVIOUS

ベルセバの久しぶりとなるオリジナルアルバム。正直あまり新鮮さは感じられず、今まで死ぬほど聴いたほかのアルバムと同じように最初からしっくりと馴染んで、でもそれが良かった。好きなバンドの解散で散々悲しい思いをしてきたので、25年以上続けて、しかもちゃんと売れているだけで奇跡だと思う。これからもコンスタントにアルバムをつくって、素晴らしいライブを見せてくれればそれ以上望むことはありません。

第18位 SONIC YOUTH展 at STREO COFFEE 11月3日(木)~13日(日)

ちょうどEGO-WRAPPIN'の福岡でのライブと時期がかぶって運よく行けたSTEREO COFFEEでのSONIC YOUTH展。僕も学生の頃からSONIC YOUTH大好きで、レコードはもちろんTシャツやSONIC DEATH (ZINE)など買いまくっていて、友人からは「オマエがココちゃん(当時生まれたばかりのサーストンとキムの娘ココ・ゴードン・ムーア)のミルク代稼がせてやってるようなもんだよ」と言って笑われてましたが、そんなの比にならない圧巻のコレクションに感動しました。これだけ一人で集める @rara19811981さんの狂気的な情熱凄すぎる。

日本のミュージシャンは売れたら投機目的でアート作品を買いがちですが(偏見すみません)、全く売れないうちからアートが根付いた活動をしていたのはさすがニューヨークだし、さすがSONIC YOUTH。記念に発売されたA WORK OF ART VINYLのSONIC YOUTHバージョンも、見たことないグラフィックも多数あり見ごたえ十分の素晴らしい1冊でした。

その後、下北沢でも開催され、先輩にこんなのありますよとメールしたら凄く会話が盛り上がったり、会場に行った後輩がTシャツ2枚買ったとわざわざ連絡くれたり、そんなやり取りも嬉しかったです。

第17位 CARLY RAE JEPSEN / THE LONELIEST TIME

アルバム出る度に、年間ベスト10に選んで、LPも購入していますが、今回も間違いなし。軽やかにシェイクするリズムが心地よいライトメロウ・ナンバーSIDEWAYS、個人的イチオシのインディー・グラウンドビートWESTERN WIND、RUFUS WAINWRIGHTとデュエットした感動的なディスコナンバーTHE LONELIEST TIMEなど名曲揃い。バラエティーに富んだ楽曲が並びながら、磨きのかかったハッピーサッドなメロディーが統一感を持たせています。

あんまり周りに好きな人いないし、うるさ型の音楽ファンほどダンスポップとかナメてかかってる気がするけど、食わず嫌いは損をしますよ。

第16位 カネコアツシ 「EVOL」

ジャンプ、スピリッツ黄金期世代だけど、マンガにはすっかり疎くなっていて、定期購入しているコミックは「ザ・ファブル」と「少年イン・ザ・フッド」とこのEVOLくらい。自殺を図ったことにより、特殊な能力を手に入れた少年少女が世界を破滅させようとするダークヒーローもの。

NETFLIXだと「ノット・オーケー」や「このサイテーな世界の終わり」など若者の青臭さ全開なのが好きなので、こちらにもめちゃくちゃハマっています。何より絵がかっこいいし、タイトルのEVOL(もちろんSONIC YOUTHですね)など随所にパンクや音楽ネタがあるのもツボ。今年は4巻と5巻が発売され、出たばかりの5巻ちょっと中だるみかな、と思いきや最後の最後で衝撃の展開で、もうどうなっちゃうの?6巻の発売が待ち遠しい限りです。

第15位 YOUNG GUV / GUV Ⅳ

元々FUCKED UPやNO WARNINGなどに参加しカナダのハードコアシーンにいたBEN COCKが、ソロユニットYOUNG GUVとして活動をはじめてポップセンスが大きく開花。今年はGUV ⅢとGUV Ⅳという2枚のアルバムを出し精力的に活動をしていますが、特にGUV Ⅳのほうがいままでの作品から1歩上に行く名盤に仕上がっています。

シンプルなメロディーにコーラスを重ねるチャーミングなポップソングCRY 2 SLEEP、淡いサイケデリック感が心地よいフォークソングCOLD ME SUMMER、キラキラとしたギターサウンドがたまらないNOWHERE AT ALLなど名曲揃い。AZTEC CAMERAやPALE FOUNTAINSなどの本格派ではなくPRIMAL SCREAMのファーストやSPRINGFIELDSなどに通じるジャングリーなほうのネオアコとして愛聴しました。爆発的に売れることはなさそうですが、インディーポップ好きからはずっと先も語られる1枚になりそうです。LPのほうは400枚限定でBANDCAMPのみでリリースされたようで、入手でませんでしたが、GUV ⅢとGUV Ⅳをカップリングした2枚組のLPを購入しました。

余談ですが、このアルバムやYOUNG GUVのほかのジャケットのグラフィックを手掛けるBráulio Amadoは、ほかにも数々のレコードジャケットやインディペンデントなブランドに作品を提供していて、勝手に2020年代のMIKE MILLSと呼んで注目しています。この人が手掛けたレコードジャケットに収録されている楽曲だけを集めた「BAD STUDIO RECORD COVERS」というプレイリストをApple MusicとSpotifyに公開していますので、気になる方はチェックしてみてください。

第14位 木村耕太郎 個展「PLEASANT DREAMS」 at iTohen 6月11日(土)〜6月27日(月)

7年前の神戸出張の時に遊びに行った、イベント「昼クラブ」に似顔絵屋さんで出店していたイラストレーターの木村耕太郎さん。一目見てその絵を気に入り、僕も似顔絵を描いてもらいました。その後、春と秋の年に二回うちの店も出張PEANUTS RECORDSとして「昼クラブ」に参加するようになり、一緒にDJしたり、打ち上げ行ったり、似顔絵描いてもらったり、グッズ買ったり、あとPPKのTシャツのことではちょっとお仕事みたいなやり取りもさせてもらったり、仲良くさせてもらってます。

大阪城音楽堂での「スチャダラパーク2022」と個展の時期がちょうど重なっていたので、会場にお邪魔しました。今回の個展は3人の美術家、写真家の方々が提供した写真を支持体にした作品で、別の世界に迷い込んでしまったようなストレンジさがあり、とてもよかったです。木村さんに「このシリーズめちゃくちゃいいですね。これからも続けられそうですね」と言うと「そうなんですよね。描いていてとても楽しかったんですよ」と言われ、いつも楽しそうに仕事をされているイメージで思っても見ませんでしたが、きっと作家としての産みの苦しみもあってのこれらの作品なんだな、とその時の会話が印象に残っています。

木村さんのイラスト、ポップでユーモラスだけど少し悲しみも感じられ、まるでポップソングのようで大好きです。この時に購入した作品を店内に飾ってますので、ご来店の時にご覧になってみてください。それとPOPEYE最新号に提供されているイラスト(描き文字)も要チェックで。

第13位 ボビー・ギレスピー自伝 TENEMENT KID

海外のSFやミステリの文庫をジャケ買いしてちょこちょこ読んだくらいで、積読ばかりが増えた1年でした。来年はもっと読書時間を増やしたいです。と、反省から入りましたが、そんなあまり読書に乗れなかったなかでも、圧倒的に面白くてぶ厚いのをあっという間に読んでしまったのがPRIMAL SCREAMのフロントマン、ボビー・ギレスピーの自伝でした。

いくつになってもCLASHやJOY DIVISIONのファンであるロック少年のままのボビーと、自分や自分のバンドやシーンのことを俯瞰的に捉えるクレバーなボビーが同居していて、どちらの目線もあるところがまず面白い。幼少期からずっと面白いですが、アシッドハウスにのめりこみSCREAMADELICAで一発逆転するところは特にグッとくるところがあり、その音楽を遠くの国で受け取って熱狂した自分たちの物語でもあるような気さえしました。あと、ボビーはどのバンドの誰が何を着ていた、自分が何を着ていた(その理由も)ことに対する記憶力がすさまじく、並々ならぬファッションへのこだわりも感じました。自分たちがボビーのファッションを真似てたように、ボビーも憧れのミュージシャンを真似たりして、微笑ましかった。ミーハー万歳。

第12位 ベター・コール・ソウル

数年前と比べると海外ドラマを一気見するようなことが減り、マイリスト登録ばかりが増えた1年でした。でもさすがに、とうとうシーズン6で完結してしまった「ベター・コール・ソウル」くらいは見ますよね。言わずもがなの、最高の最高の最高でした。まだ見てない人は冬休みに「ブレイキング・バッド」から続けてどうぞ。以上。

第11位 シン・りょう 24それぞれの逆襲

(13位、12位からの続き)積読が増えるのも、海外ドラマを見る時間がないのも、それはあれだ、ニューヨークのせい。2020年からはじまった推し活 #最年長ニューヨーカー も3年目を迎えました。本家文春も「まさかの」と言っちゃう「好きな芸人ランキング」ぶっちぎり1位で二連覇、露出も増えすぎて追っかけるのでいっぱいいっぱい。地上波テレビはニューヨーク出演番組は全録、日曜夜の「ニューヨークのニューラジオ」と隔週木曜夜の「オンラインサロン生配信」はほぼリアルタイム視聴、そのほかabema、youtube、ツイッター番組など見ない日はないほどの活躍で嬉しい悲鳴。

コロナ禍で舞台出番がなくなった芸人を呼んでの「ニューラジオ特別生配信」と芸人との「30分トーク」をyoutubeで見て、ニューヨークの聞く力、いろんなものを面白がれる力、を好きになったので、今年の「シン・りょう 24それぞれの逆襲」は最高のコンテンツでした。まだ売れていない4年目(NSC24期)、(ニューヨーク信者の)小虎のりょうが同期全員から嫌われている、という話しを聞きつけたニューヨークが、本人、ほかの同期ひとりひとりから話しを聞き、掘り下げていくドキュメンタリー。youtubeにエピソードが10まであり、少しずついろいろな新事実が暴かれていきます。そして、最後は24期のホーム神保町よしもと漫才劇場での客を入れたライブとライブ生配信。

いっちゃうと同期のしょうもないケンカなんだけど、ニューヨークの聞く力、その場を捌く力と、24期の熱い芸人魂で、爆笑できて、ちょっぴり感動する見たことのないエンタメになっていました。SNSで話題を呼び配信期間が延長に次ぐ延長でチケット1万枚を売り上げ、無名の24期たちも小金持ちになったそう。この成功にはニューヨークyoutubeでは欠かせない放送作家・奥田泰の構成力も大きく貢献しています。再生220万回を越えるyoutube映画「ザ・エレクトリカルパレーズ」、去年の「さようなら花鳥風月ライブ」も奥田仕事。今年の「シン・りょう」と合わせて「ドキュメンタリー三部作」と呼ばれニューヨーカーから愛されています。

お笑いの、大ドキュメンタリー時代(©︎ニューヨーク)のはじまりはニューヨークから、というのが記録され、記憶された2022年でした。


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