夏の山へ！渓へ！

2020年6月5日 10:35

＜Peak2Peakのガイド山行＞
新型コロナによる社会活動の自粛は、山岳の世界にも大きな影響を与えています。登山という行為を、今の社会が許容しないのではないかという不安を、山を仕事とする私達ガイドは、強く感じています。非常事態宣言解除を受けて、山小屋や交通機関が徐々に今後の方針を示し始め、私達もそろりそろりと活動を再開しましたが、昨年までと同じことを日本の山に求めるのはもはや困難な状況です。

翻って考えてみれば、ハイシーズンの登山道の混雑、ぎゅうぎゅう詰めの山小屋など、当たり前になっていたじつは異常な事柄を図らずも見直す機会かもしれません。大人数のツアー登山ばかりを責めるわけではありませんが、登山とは本来どのような行為だったのか、我々山を仕事にする人間が考えるきっかけにもなるのではないかと思っています。

登山口への交通機関が運行しなかったり、自粛で山小屋関係者の入山が遅れたり、営業縮小に伴い経済的な問題からスタッフが不足し、登山道整備に力を入れられなかったり、、と、山小屋を取り巻く経営環境は厳しいものの、今季、登山口から遠く離れた山小屋へは山歩きのエキスパートでなければ到達できなくなり、夏山ハイシーズンでもツアー客がこない、人が少なくいつもの喧騒とは無縁の、静かな時間があるかもしれない、そんな会話をある山小屋関係者としました。登山道がない山奥に、ポツリと明かりが灯る山小屋、そんなイメージです。

沢登りをすればよくわかることですが、管理されていないルートを歩くことは、思いの他、難儀なことです。当たり前のようにそこにある登山道が、じつは毎年大変な労力をかけて関係者によって整備さされているものだということを、今年は例年以上に意識せざるを得ません。新型コロナだけではなく、北アルプス南部の地震による被害も心配されています。ツアー登山、ガイド登山、一般の登山者の方、その形態を問わず、整備された登山道のフリーライドは許されない、そんな状況も近づいてくるかもしれません。

山を歩くという行為は、本来、自由な人間の意思によるものです。道無き道を歩く。誰に頼まれるわけでもなく、苦労して頂に登る。登った山頂には何もありません。時に厳しく立ちはだかる自然と対峙しながら、それをやり過ごし見逃してもらい、山懐に深く深く入り、懐かれ、弾かれ拒絶され、、、。（登山道は、なんと快適安心なものなのでしょう。）

さあ、今年も、山に行きましょう。「自由な意思」をうちに秘めて、ぞれぞれのやり方で。

6月5日現在で得ている情報では、
①北アルプスのほとんどの山小屋の営業は、7月16日ごろから
②朝日小屋、内蔵助山荘、大日小屋が今期は営業をしません
③南アルプスは、南部の山小屋と北部の公営の山小屋は、今期は営業をしません。
④八ヶ岳赤岳鉱泉、行者小屋が今期は営業をしません。
⑤黒百合ヒュッテは6月1日、本沢温泉としらびそ小屋は6月19日から営業を再開。
などとなっています。

Peak2Peakでは、以上のような状況を考慮して、7月までのガイド山行プランを練り直しました。6月は首都圏から行くことができる山域で、自粛中に衰えた登山力を回復するためのトレーニング山行と日帰りの沢歩きを組みました。7月中旬以降は、北アルプス、東北の山をガイドする予定です。

いずれも詳細はお問い合わせください。peaknipeak@gmail.com

新型コロナも他の感染症と同じく、自然界に存在する様々なリスクのひとつです。ガイド登山いおいては、リスク管理をする事で、安全を担保してきました。我々にできることは、これまでと同様、リスクをゼロにすることではなく、マネージメントすることで安全にお客様を山にご案内することです。山岳界からもいろいろな行動指針が発表されていますが、自分のガイドスタイルを守りつつ、お客様の安全を最大限に考慮した方法で、ガイドを再開していきたいと思っています。

①日帰り沢講習　丹沢　6月の平日と週末
　モロクボ沢、マスキ嵐、鬼石沢などの丹沢の沢にて
　この期間中で日程を選択、マンツーマンで実施します。
　夏の北アルプス黒部源流の沢遡行の事前講習を兼ねています。
　スケジュールはご要望に応じます。
　沢装備が必要です。一部レンタルもあります。