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猫と添い寝をする気持ち

我が家の猫様は、僕が眠くなると音もなく忍び寄ってきて、脇の辺りでクルクルと回転、その後にちょこんとしゃがみこみ、体を寄せてきます。

それは「撫でて欲しい」のサインであり、ただのお布団好きでもあるのですが、撫でていると次第に、コチラの方が添い寝をしてもらっているような、そんな不思議な抱擁感に包まれてきます。

その感覚は、優しさと同時にどこか遠い記憶をくすぐるような懐かしさもあって… 。


「コレって何だろうか」と考えてみて、思い当たったのが、まだ子供だった頃におばあちゃんに添い寝してもらった記憶でした。


当時から乾燥肌で、体温が上がると体がかゆくなる僕は、おばあちゃんに背中を掻いてもらいながら寝る時間がとても好きでした。

背中を掻いてもらうのは本当に気持ちがよく、ずうっと掻いていて欲しいのですが、両親には「もう手がしんどい… 」などと言われ早々に打ち切られてしまうことが多く、その点おばあちゃんは僕が眠りに着くまでいつまででも掻いてくれました。

また夜中にふと目が覚めてしまった時にも、「大丈夫かー寝れるかー」と、寝ぼけながらも背中を掻いてくれて、その事が幼少期の一番愛情を受けた記憶として残っています。


まだもちろんスマホなんか無かった時代、眠れない夜にぼんやりと暗い天井を眺めて、あの模様はあの動物に似てるな、もし動き出したら怖いな… 、なんて妄想しながら、背中を掻いて添い寝してもらう。その時間が本当に幸せでした。それに比べて今は、そんなのんびりと暇と退屈を持て余す幸せ、完全に無くしちゃってるなーと、少し悲しい気持ちになりました。


添い寝するネコを撫でると、とても気持ち良さそうにしてくれて、撫でているコチラが逆に「ありがとう」と満たされた感覚になります。それはネコが損得無しに無条件の愛情を傾けてくれているように感じるからです。きっとおばあちゃんも同じ気持ちだったのかな、と今になって理解できた気がします。


今の季節、夜中に耳をすませば、我が家には虫の音が響いてきます。スマホはちょっと横に置いておいて、ネコと家族と添い寝して、何にもない夜の幸せを思い出せたらいいな、なんて思ったのでした。


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