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日本の大企業のエンゲージメントは何故上がりにくいのか?(後編:解決に向けて)

多くの企業がエンゲージメント改善に向けて取り組んでいます。しかし、多くの会社では大きな改善効果が得られず、「エンゲージメント対策疲れ」が起きているケースも散見されます。そこに陥らないためにはどうすれば良いかを今日は紹介したいと思います。

1.エンゲージメント改善には戦略が必要

多くの会社の対策を聞かせていただくと、非常に真面目に網羅的な対策を打とうとするケースが多いように思います。しかし、このように網羅的な施策はリソースが分散することや、関係者が多岐に渡ることからプロジェクトマネジメントが困難になるなどの問題点が生じ得ます。そのため、エンゲージメントを改善するための戦略を策定することをおすすめしたいと思います。

この戦略ですが、一般的にはEX(Employee Experience : 従業員体験)と呼ばれています。次に戦略策定のコツをご紹介しましょう。

2.具体的にどのように戦略(EX)を策定するか?

ここでいう戦略とは「①誰に」「②どのような」対策を打つことが必要かを煎じ詰めて極限までシンプルにする作業を指します。一般的に取られがちな網羅的に対策を打つ方法とは逆の考え方です。

「①誰に」:対策を打つべき層を絞り込むためには、単純にエンゲージメントスコアが低い層する方法と会社にとってキーとなる層にする方法があると思います。

「②どのような」:「②誰に」が決まったら、その層のエンゲージメントと特に相関が高い質問を確認することで、優先的に取り組むべき課題が見えてきます。

3.戦略の策定から実行までのポイント

①役員層と戦略を握ることが必要

「誰に」「どのような」施策を打っていくのか、について役員層と握ることが重要です。多くの施策ではリソースの確保が必要になるため、決裁権を持つ人物までは話を通しておくことが重要です。

また、この段階であくまでこの戦略は仮説であり、効果を確認しながら変更していくことがあると役員層に理解してもらうことが重要です。エンゲージメントには変数が多いため、実際にどんなことが効くかはやってみるまでわかりません。後から変更が効くようにしておくことも必要でしょう。

②現場のボトムアップを主体にした戦略は失敗の元

「解決策は現場で考えてもらいましょう」、という対策(?)もよく聞かれますが失敗するケースがほとんどです。現場は忙しいため、余計な仕事を増やされたと感じ、やらされ感でさらにエンゲージメントが低下する要因にもなります。現場の意見を聞くことは大切ですが、あくまで会社主導の方が効果は高いと言えます。

③手を広げすぎない

リソースに限りがある以上、手を広げすぎないことへの意識が大切です。仮説を絞り込んで、集中して対策を打ち、効果を確認するプロセスをきちんと回すことでエンゲージメントは改善します。手を広げすぎてどれも中途半端になることは避けるべきでしょう。



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