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百人一首で好きな歌 出会いと別れ、無常感

百人一首の中に、とても好きな歌がある。

これやこの 行くも帰るも 別れては
知るも知らぬも 逢坂(あふさか)の関

現代語訳
これがあの、京から出て行く人も帰る人も、知り合いも知らない他人も、皆ここで別れ、そしてここで出会うと言う有名な逢坂の関なのだなあ。

※現代語訳は下記サイトから引用させていただきました。

詠み手は蝉丸。
和歌で使われることの多い有名な関所「逢坂の関」を舞台に人々の往来を詠むことで、
会えば必ず別れがあり、別れてはまた出会いがある、という仏教的な人生観を表現した歌だ。

使われている言葉はとてもシンプルで、つい口ずさんでみたくなるほどリズミカル。
ポップな印象を受けるけれど、内容は深遠で普遍的。
そのギャップが好き。

この歌が詠まれたときも、その前も、その後も、人間は生まれては死ぬことをずっと繰り返している。
人間の一生なんて、宇宙の歴史からすると、泡が生まれてはじけるくらいの一瞬だろう。
そんな一瞬のなかで、私たちは人と出会い、別れることを繰り返す。

偶然であれ必然であれ、出会いによって、人は何かを学び、変わっていく。
短い人生の中で、それは奇跡といっていいことなのかもしれない。

そして、出会うということは、いつかは別れるということでもある。大事な人とは離れたくないと思うのが人情だけれど、そのときは必ず訪れてしまう…。
でも、人生は、別れの後に、また新しい出会いを用意してくれていると信じたい。
なぜなら現世は逢坂の関で、すべては流れ移ろいゆくものだから。

この歌は、心を軽く、広くしてくれる。



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