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”知識”と”常識”が喰いにくるまで

その問題の答えは「キンモクセイ」。


「せんせーーーー漢字で書いたらバツされたぁ〜〜〜!!!!!」

って言われた。

「国語の問題やったら、文章からそのまま抜き取らんなあかんかったんちゃう?」
「理科やったら、漢字があってたらマルや〜」

って言いながら、その子の解答用紙を見せてもらった。



「金木星」



おぉ、これはバツや笑

ただただ、
  これやったら星になってもうてるやん!笑

みたいなしょうもないツッコミで、なんだかとても素敵なその子の感性を否定するべきじゃない気がする、と思って、

「キンモクセイって知ってる?」

って聞いた。


知識や常識って名前の武器と鎧を手にしない
無垢なその子は言う。



「金星と木星の間に咲いてる花やろ?」



頭の中に太陽系銀河が浮かぶ。

銀河の中に放り込まれたオレンジ色の金木犀が、宇宙空間で生命を維持できずに
塵になってなくなるイメージが頭の中に浮かぶ。

なるほど。知識によって、金木犀が咲いている場所が地球上であることを当然と捉えている自分が浮き彫りになる。


なるほど。常識によって、金木犀が咲いている場所が大気圏を抜けるはずがなく、宇宙空間で存在するイメージが持てなくなってしまっている。


さらにその子は追い打ちをかける。


「え、もしかして、花じゃなくて星なん!?!?」


ゆめゆめそんな訳がない。



正解か間違いかなんてどうでもよくて

ただ、金星と木星の間にある星が、キンモクセイっていう名前でもいいんじゃないかと思った。


知識と常識に何度もラッピングされて、その感性は残念ながら
もう一生持つことはできない。


だからこそ、正解とか間違いとかで分別するんじゃなくて
その子の感性を豊かにする”教育”が、
教育分野に携わらない「まわりのおとなのひと」である私に
できたんじゃないかなぁ。


きっとこれからたくさんの知識とたくさんの常識に触れて
その感性は、いずれ、必ずなくなってしまう。


だからこそ、今あるその感性に触れられる私自身は
いずれなくなるその日まで、その感性を大事に大事に
撫でてあげられるおとなでいたい。



放浪癖もち飽き性単位諦めがち注意散漫の限界大学生です