「新卒一期生」は何者になれるのか?

とあるスタートアップの新卒一期生として入社して1年経った自分が入社数ヶ月のときに何を思ったのか、備忘録を残しておきたい。

さて、「新卒一期生」や「新卒スタートアップ」というポジションをよくみるようになった。統計的には知らないが、一昔前よりは、ベンチャー・スタートアップに新卒入社する全体数も増えてきたように感じる。

そんな中、スタートアップに入社して1年。研修がある企業は会社の全体像が見えてきて、いざこれから実務というタイミング。研修がない人は実務に入って慣れてきた頃だろうか?

入社して1ヶ月のタイミングは、どうしても目の前のことで精一杯になる。しかし、キャッチアップがしんどい中でも、ここで一つ振り返りたいことがある。

あなたは、会社に、何を期待されているのか?だ。

前置きが長くなったが、今回は、会社からの期待について、周りのスタートアップ新卒入社組をみて、そして自分が感じたことをまとめておきたい。

前振りの最後によくある断りを書いておこう。

・ 新卒一期生としてスタートアップに入社した一個人からの視点であること
・ スタートアップ採用を、少しばかり支援してきた一個人の視点であること

何が言いたいかと言えば、単純明快だ。「ケースバイケースで考えてね。」それだけだ。

早速、書いていこう。

スタートアップは、まったくキラキラしていない

まず、薄々感じている人も多いだろうが、スタートアップ新卒はまったくキラキラしていない。就活生が想像する以上にカオスな場合も多いだろう。実際、入社前と後のギャップをどう感じただろうか?

例えば、入社してもSOはもらえなかったり、各Q前には予算達成のためにピリついていたり、そんなに給与が高くなかったりと、感じることは少なからずあるだろう。

50名程度のスタートアップでは、実際、賞与なんて、まぁ10万出ればいいほうだろう。福利厚生に一応書いてある程度に認識しておくくらいがちょうどいいかもしれない。世の中に、急成長できているスタートアップがどれほどあるか?答えは、めちゃくちゃ少ないだ。

いやいや、外から見ると、順調そうに見えるよ?と思う人もいるだろう。よく社長のTwitterが有名なスタートアップもちらほら見かける。そのツイートだけみれば、順調そうにも見える場合がある。

しかし、入ったスタートアップは、伸び悩んでいる企業かもしれない。セクショナリズムが強いかもしれない(予算にまつわるあれこれが往々にしてある)。「自分の部署以外の情報を全然知らない。」なんてことはザラにあると言っていいだろう。全社的な連携をうまく取れないケースも往々にして見かける。

なぜ、こんなことが起こるのか?

スタートアップに行くと、一定社会人経験を積んだ、転職者ばかりだからだ。彼ら・彼女らは、過去の会社で成果を残してきて、語弊を恐れず言えば、他の会社に一度、染まった人たちだ。つまり、いい意味で言えば、プロフェッショナルな集団ではあるが、部分最適なところが多いのだ。

新卒一期生への期待値は、カルチャーを醸成することだ

では、そんな状況の中で、新卒に求められることは何か?それは、カルチャーを醸成することだ。確かに、一定、即戦力たりうる素質(地頭の良さ・ビジネス理解など)は見られるだろう。しかし、より本質的には転職してきた人たちを、色が付いた存在とするならば、色のついていない新卒による文化の醸成だ。

そもそも、新卒採用とは組織戦略の一部に過ぎない。会社にとって、何かしらの上流の組織戦略に紐づいた目的があり、その手段として、新卒採用を始めるのだ。言ってしまえば、目的があって、それに適した施策があるという当たり前な話ではあるが、これを意識している人は少ない。

もっと噛み砕いて言えば、組織課題がある(これから起こりうる)から新卒採用をおこなっているのだ。具体的によく言われるのが、セクショナリズムをはじめとしたスタートアップの50人の壁・100人の壁と呼ばれる課題だ。ここで説明し出すと長文になりすぎるので割愛するが、要するに「人が増え過ぎてやばい」という話になる。正直、転職者ばかりを集めた結果、会社としてのカルチャーがまったくない企業も散見される。その結果、各々がスタンドプレーに走り出すことになる。

まさに、『攻殻機動隊』で荒巻課長が言い放った「我々の間にチームプレイなどという都合のよい言い訳は存在せん。あるとすればスタンドプレーから生じるチームワークだけだ。」という言葉に集約されるのかもしれない(おそらく伝わらない笑)。

余談はさて置き、では、どうすればよいのか?ここからは絶対的な解はない。一つ言えることは、新卒カードをうまく使って、全社員を巻き込んでいくことだ。新卒の1−2ヶ月目は、みんな優しい。何を聞いても許されるまである。だからこそ、入社した会社の事業課題だけでなく、組織課題についても注目してみるとよいだろう。

最後に

さぁ、小さくまとまらず、大胆にいこう。スタートアップにおいて、足りないものは仕方がない。嘆いている暇があるなら、手を動かしてみる。その中でも、時折、会社の事業のこと、組織のことを考えてみてほしい。きっと新卒にしかできないことが見つかるはずだ。


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