グリム童話

『グリム童話』

誰もが知っている、子どものころに読み聞かせしてもらったり、自分で読んだりした童話集ですね。

ドイツ文学科でももちろん大人気の題材です。

グリム兄弟が口伝えで伝えられている民間伝承を収集し、まとめて出版したのがグリム童話集。

初版は1812年です。正式名称は「子どもたちと家庭の童話集」

(日本でも柳田國男さんの遠野物語などは岩手の民間伝承を集めたものだから、世界中どこも同じですね。)

↑こんなほのぼのしたメルヘンチックなイメージが強いですが…

(「童話」ってドイツ語でまさに「メルヘン」と言うんですよ(笑))


最近は「本当は怖いグリム童話」のような類の本が何種類も出ているので、グリム童話がもともとは怖い話だった、というのは知られてきていますが…

実際そうなんです。

出版当初、ドイツ国内(このころはまだドイツではなく、プロイセン王国)でも、

「こんなものを子どもに読ませるなんていかがなものか?」

という批判があり、グリム兄弟はすぐさま書き換え、3年後の1815年には第2版を出版し、結局生前中だけでも、第7版まで出版しています。

(こんなに本人たちが書き換えてるのも珍しいのでは?その後も他の人が書き換えています。)


まあ、私も初版本を読んだわけではないのですが(日本語訳見つからないしね)、歴史的なことを考えても、かなりエログロありだったのは想像にかたくない。グリム兄弟自身も、すぐさま書き換えてますしね。

グリム童話は話も豊富で研究材料としてもネタは尽きないですもんね。

ただ、性的描写はかなり排除したが、刑罰などの残虐な表現には寛容だったという話もあります。

それに、悪魔崇拝や人身売買に繋がる話もありますね。
(ハーメルンの笛吹き男なんて、まんまだよね…。
ヘンゼルとグレーテルも繋がるよね。)


グリム兄弟なりの意図があったのか、好みの問題なのかは、わかりません。
(キリスト教が関係あるかもですね。性を恥ずかしいもの、悪いものとした、という説がありますからね。)

ただ、そんなエログロで残虐な内容のものでも、
「子どもたちと家庭の童話集」
なんて、
こんなタイトルついてたら、釣りバカシリーズのような平和な内容だと思うじゃないですか。

メルヘンチックといえば、小難しいと思われている、ドイツの文豪、ゲーテやシラーのほうが、
よほどメルヘンチックです(笑)

(ゲーテ、シラーはグリム兄弟のほんの少し前で、少しかぶってます。)


また、ドイツ国内の民間伝承を収集したと思われていたのに、ほとんどの物語のネタ元がフランス出身の裕福な家庭のマダムだったという話も…。

陸続きの国々だし、時代によっては、国境すらも変わっていたのだから、そこらへん入り乱れてしまうのは、仕方ないのかもしれません。

とにもかくにも、いまだにたくさんの人に読み継がれ、多くの研究者も惹きつける魅力に溢れてるって、素晴らしいことだと思います。





長文読んでくださり、ありがとうございます。

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