地域産業をアップデートする為に僕がこれから仕掛けること

前回の記事では高校生が地域の大人たちの影響を受けながら成長するプログラムを書いたが、今回は地元の高校生たちと連携することで地域産業がアップデートできる可能性があることを書きたい。

この記事を読んでくれている方々もご存知だと思うが、日本の高度成長期は地方から優秀な若者を東京に吸い上げ、安い賃金で地方の若者を使い倒し安価で高品質な製品を大量に作ってきたことで成り立たせてきた。その為、地方には頭脳労働、いわゆるホワイトカラー的な仕事が極端に少ない。実際に地方に出張に出向き、自治体職員と打ち合わせしている時に首都圏の求人で圧倒的に多いITエンジニアやWebプランナー、マーケティング担当などのITを活用した求人が地方にあるかと尋ねると、ほとんどありませんという答えが返ってくる。ITを活用した職種のニーズは地方にこそ多く存在すると思うが、現状は求人にすらなっていない。

ここで僕が知っている話をいくつかミックスして、実際にありそうなストーリーにしてみたので読んでほしい。

Aくんは地方出身で、小学校・中学校・高校と勉強やスポーツを頑張り都市部の大学に進学した。専攻は経済学だが理数系の科目も得意で独自でプログラミングやWeb制作などを学び、SDGsに関心がある仲間と社会課題を解決する為に自分たちができることを議論したり、企業でのインターンシップにも積極的に参加していた。そんなAくんは地元が大好きで就職する時は地元に帰ると決めていた。しかし、地元の求人を見てみるとAくんの能力を最大限発揮して活躍できそうな仕事がほとんどない。求人は多くあるが、ほとんどが建設や介護、流通といった現場での仕事。社会課題の解決ができるような人材になる為に身につけていた知識や経験、スキルも発揮できそうにない。Aくんは最後の最後まで悩んで地元に帰る選択を探していたが、結局は都市部にある企業に就職した。

これは実際によくある話だ。地元が大好きだけど自分の力を発揮できそうな仕事がないからUターンできないという話は大学生からよく相談される。この話を地方の経営者たちすると、「若者は考えが甘い。地元が好きなら帰ってきてどんな仕事でもやるべきだ。」という反応になることが多い。実際に僕も数年前までは地方の経営者よりの考えだった。しかし、地球温暖化による異常気象で毎年のように台風による災害があったり、超高齢・少子化による労働力の不足、地域の自治システムの維持など多くの課題が存在する地方で頭脳労働ができる若者が力を発揮できる職種を創る努力をしなければリアルに地方は消滅してしまうと感じる。では、僕ら外部の大人が地方で活躍する経営者に「今すぐ業務をIT化して、頭脳労働ができる若者を採用しましょう!」という話をすれば「おぉ!やろう!」となるだろうか?

僕は確信を持って言える。絶対にならない。

そこで、僕は考えた。地元に住む現役高校生たちが地域の大人たちに魂の籠ったプレゼンテーションをすることで、大人たちが激変する事業を。

その事業はこんな感じ。
まずは、進学校の高校1〜2年生を対象とした地元の事業者を取材するフィールドワークを開催する。地元にはどんな仕事があって、どんな想いを持って大人たちが活動しているかを取材を通して体感する。また、ワークショップではAIやデータに詳しいエンジニア講師によるITワークショップを開催し行政の公開データの分析や地元事業者からヒアリングしたデータの整理など、データドリブンで地域課題を解決する方法を考えて発表する。ここまでは普通の高校生による地域フィールドワークなのだが、最後にメガトン級のプレゼンをかます。

「僕たちは都市部の大学に進学します。そして、6〜7年後に社会人になります。その時までに地元に僕らの学んだ知識や経験して身につけたスキルが生かせる仕事を作ってほしい!地元の経営者のみなさんにITを活用して活躍できるような職種を用意してほしい!だから、その時の為に今から最先端の技術などを学んでほしいです!」

こんな感じのプレゼン。
外部の大人がどれだけ熱く語っても動かない地元愛に溢れている事業者の方は地元の子供が帰ってきたくても帰れない原因を作っているのは自分たち経営者だと分かった瞬間、IT投資でも勉強でも何でもすると思う。なぜなら地元を愛しているから。そして、地元の子供達に本気で帰ってきてほしいから。

僕はこの事業を今年から仕掛けます。地元の高校生による産業のアップデート企画。子供たちの未来を創れるのは僕ら大人しかいないのは事実だけど、大人が変わる為に子供たちに頑張ってもらう企画。今から楽しみ。

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