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世界中の高校生へ。世界中のかつての高校生へ。

秋の午後5時。

江ノ電に乗って、鎌倉の街を通り抜ける。

鎌倉の路地裏にはたくさんの野良猫や、たくさんの井戸端会議や、犬の散歩のじいさんや、買い物帰りの母やばあさんや、観光客がいた。

七里ガ浜で降りる。

少し歩くだけで、海のにおいがする。

高校生たちがたくさんいる。

海が見える。

ここの高校生たちにとっては、見飽きた景色だろうことは、高校生たちの顔をみればわかる。

でもね、この景色、結構素敵なんだよ。

卒業して、都会に行くのか、どこで働くのか分からないけど、

けっこう素敵な景色なんだよ、君たちの高校の最寄り駅。


僕は、福岡のとほうもない田舎町の高校へ通った。

森の中にあって、列車もいくつもの森を潜り抜けたあとに高校の最寄り駅に到着する。今になって思えば、あれもなかなかに平和で、よかった。悩みはあったけれど、悩みも含めて、とにかくよかった。

でも、もう、あの電車には、乗れない。あの気持ちには、もう、なることはできないんだと思う。

七里ガ浜の高校生も、そうだよ。

そして、世界中の高校生も、そうだよ。

仁川の高校生や、デリーの高校生や、アブダビの高校生や、リールの高校生や、ローマの高校生や、マニラの高校生や、モナコの高校生や、青森の高校生。

けっこう、綺麗なんだよ、あなたが見ているその景色。

ずっと続くように思うけど、人生のうちでたった数年しか見れない景色だよ。

高校生だったみなさん。

そう思いませんか。

もしサポートして頂けた暁には、 幸せな酒を買ってあなたの幸せを願って幸せに酒を飲みます。