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小説 「つくね小隊、応答せよ、」

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第二次世界大戦末期。 東南アジアの、とある島。 米軍の猛攻により、日本軍は転戦(撤退)し続け、日本兵たちは、ちりじりに離散した。 そんな中出会った別々の部隊の若い日本兵の3人、…
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#日本昔話

「つくね小隊、応答せよ、」(伍)

「…で?娘は、食われたのか?」 夜の闇の中で、仲村が訊く。 「ああ、そうだな。食われた。…

「つくね小隊、応答せよ、」(六)

光前寺は、信州駒ヶ根の山の麓の寺です。苔むす石垣と林の中の石畳。その長い道の先に、本堂が…

「つくね小隊、応答せよ、」(七)

夏の真夜中。 密林。 這って進む渡邉の耳には、誰かが小声で言い争って、そしてそれを誰かが…

「つくね小隊、応答せよ、」(八)

「久や、久、これ、久蔵、こっちよ」 「え、ここ人んちじゃないの?」 「うん、人様のお店じ…

「つくね小隊、応答せよ、」(十参)

3人は秋月の敬礼した右手を見て、息をのんだ。 その右手は、血まみれだった。 よく見ると、…

「つくね小隊、応答せよ、」(十四)

社の戸の前、3匹の狒狒が立っています。 体中を覆う白い毛。 血のような赤い目。 黄土色の…

「つくね小隊、応答せよ、」(十伍)

どうやら狒狒たちには、なにか策があるようです。 それぞれが石畳を振りかぶり、本殿の早太郎に飛びかかりました。 一匹目が早太郎の頭めがけて石畳を投げ、次の狒狒が右に、そして次の狒狒が左に石畳を投げました。 早太郎は上、右、そして最後に左の石を素早くかわします。すると目の前に、歯をむき出しにして嗤う3匹の顔が迫ってきました。 一匹目が大きな拳を振り下ろします。 その一撃を早太郎は身体を捻って避け、次の一匹が右から左へ大きな爪を横薙ぎに大きく振ります。早太郎は体を捻ったまま

「つくね小隊、応答せよ、」(十七)

「渡邉、頼みがある」 秋月が、渡邉を睨み付けるようにして言う。 「なんだ」 「…殺して……

「つくね小隊、応答せよ、」(廿三) 

「…大将、ちょっと…大将」 「ん?なに?」 「いや、ん、なに?じゃなくて。どうするんすか…

「つくね小隊、応答せよ、」(34)

二匹の作右衛門が大声で笑いながら、怒り狂った猫のように刀を乱暴に振り、小鷹、熊鷹へ斬撃を…

「つくね小隊、応答せよ、」(35)

刀は、作右衛門と同時に、作右衛門の動きを封じていた熊鷹も貫いています。小鷹は恐る恐る、刀…

「つくね小隊、応答せよ、」(36)

「はっけよぉい!のこったぁあああ!!」 六右衛門と金長のからだが衝突し、轟音と地響きと地…