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小説 「つくね小隊、応答せよ、」

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第二次世界大戦末期。 東南アジアの、とある島。 米軍の猛攻により、日本軍は転戦(撤退)し続け、日本兵たちは、ちりじりに離散した。 そんな中出会った別々の部隊の若い日本兵の3人、…
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#昭和

「つくね小隊、応答せよ、」(十)

「道雄、おい、道雄、大丈夫か?」 渡邉道雄はゆっくりと目を開ける。 目の前には、心配そう…

おめぇの胸ん中にも、灯りになるような思い出があんだろうが

大正2年。 正月の、大雪の夜。 酒に酔った父が息子の義照を蹴りながら言う。 正月から葬式…

「つくね小隊、応答せよ」(十一)

三人は、密林を早足で進む。 長い歩兵銃に銃剣を装着し、繁る枝葉を薙ぎ払う。 「敵さんは、…

「つくね小隊、応答せよ」(十二)

「聴いてくれ!俺は、大日本帝国陸軍 上等兵 渡邉道雄だ!その銃は、三八だろ?貴様が敵兵な…

「つくね小隊、応答せよ、」(十参)

3人は秋月の敬礼した右手を見て、息をのんだ。 その右手は、血まみれだった。 よく見ると、…