「つくね小隊、応答せよ」(十一)
三人は、密林を早足で進む。
長い歩兵銃に銃剣を装着し、繁る枝葉を薙ぎ払う。
「敵さんは、空から偵察、日本人がいたら船に位置知らせて、艦砲射撃で森ごと壊す。しばらくしたら戦果確認でまた偵察機が来るだろう。見つかればまた同じ目だ。とにかくここから離れるぞ」
艦砲射撃を受けた岩場で、渡邉が言い放つ。
渡邉のその一言には説得力があった。
清水も仲村も、なにも言わずに頷く。
ふたりとも、渡邉にぶん投げてもらわなければ、自分の何百倍の大きさの漬け物石に潰されていた運命だったか