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【連載】アフリカの野生アニマル物語 (18)どすこいシロサイ

ジンバブエ南部のマトポス国立公園でシロサイに怒られた。

マトポスでウオーキングサファリをしているときだった。
ライフル銃を持ったレンジャーについていくと、
前方の木陰にシロサイのカップルが寝そべっていた。

午前の食事を終えて満腹の彼らは、
午後の陽射しを避けて昼寝に夢中なのだ。

風下から忍び寄る。
サイとの距離は10m。
野生動物の許容限界距離に踏み入った。

僕は何枚もシャッターを切った。カシャンカシャン。

聞き覚えのない機械的な音が気に障ったらしい。
手前の巨大なシロサイがガバリと起き上がり、前足で砂煙を上げた。

「あんまり近寄ると、体当たりをかますぞ」

サイは視覚が鈍いため、何かを見つけると、
それを確かめようと一直線に突進する習性がある。

戦車のようなサイに突撃を食らうと非常に困るので、あたふたと退散した。

アフリカにはシロサイとクロサイの2種がいる。
ヨーロッパ人の移入が本格化した19世紀に生息数が激減。
角を粉状にしたものが、滋養強壮に絶大な効力を有するとされ、
密猟者の標的になったのだ。

ケニアでのサファリ中に、ガイドの男に
「日本人はサイの角がセックスに役立つと本当に思っているのか?」
と聞かれたことがあった。

「今ではそんなことないと思うよ」と答えると、
「そうだろうな。効くわけがない。でもそのおかげでサイは減ったんだ」
と渋い顔で言われてしまった。

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