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PMCONF2021まとめ#2

プロダクトマネージャーカンファレンスの報告レポート第2弾は、11:15~からTrackDで配信されたセッションについてお届けします。

「プロダクトマネージャー自身の非連続な成長とそれを実現するキャリア構築とは?」と題して、LinkedInでSenior Product Managerを務める曽根原さんに弊社松永がお話を伺いました。

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【プロフィール】曽根原 春樹 Senior Product Manager @ LinkedIn
2001年Cisco Systems合同会社に入社。のちに転職したスタートアップ企業が米Juniper Networks社に買収され、2006年にUS本社転籍を機に渡米。エンジニア、セールス、コンサルティング、カスタマーサポート、マーケティングと様々な役職をこなし、2012年より同社のPMに転身。その後シリコンバレーのスタートアップPMをB2B・B2Cの双方で経験。現在はLinkedIn社のシニアプロダクトマネージャーを務める。6000人の受講者を超えるUdemyでのプロダクトマネジメント講座の配信、「プロダクトマネジメントのすべて」の著者の一人としてPM啓蒙活動も展開。顧問として日本の大企業やスタートアップ企業もサポートしている。

これまで日本と米国で様々なステージの会社、BtoB・BtoC双方、そしてプラットフォーム企業でのPM経験をお持ちの曽根原さんが、どのようにしてキャリアを築いてこられたのか?興味を持った方は多かったのではないでしょうか。

曽根原さんのキャリアのターニングポイントを紐解く中で、PMなら必見とも言える学びが沢山見えてきたのでシェアしていきます。

学び

違う領域に踏み込むことで、これまで気付けもしなかったポイントに気付けたり、考えられるようになる
・PMこそコンフォートゾーンから出ない限り学びは無い。5%や10%でもいいからコンフォートゾーンの外側に出ると絶対そこで何かしらの学びがある
・この学びが次の学びを生み、次の出会いを生み、次のオポチュニティを呼び込む
・テクニカルマーケティングとしてPMに伴走して動いた経験が転機となった。未経験からPMになるには、PMの横で学ぶことが大事。
・本、セミナーで理論を学び、PMとのランチオンで生の実践情報を学ぶ
・PMは失敗から何を学ぶかが大事。次に上手くするためにはどうしたらいいかを考えるべきである。

さぁ、では実際のセッションを振り返っていきましょう。

違う領域に踏み込むことで気づくことがある

松永:曽根原さんのキャリアヒストリーを1枚にまとめていただきました。
色々なご経験をされていることが図からもわかりますが、赤マルがキャリアが非連続だったところですよね。ご経験を振り返った時に、ここはPMとしてのキャリア形成で非連続だったというところは?

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曽根原さん:テーマである非連続ということで話すと、各ポイントで共通になっているのが自分の視野が格段にひろがった瞬間と言える点です。例えば、一番最初にCiscoに入って、その次にPeribitというシリコンバレーのスタートアップの日本法人(後にJuniperに買収)で働いていました。

Ciscoは外資の大手企業、Peribitというのはシリコンバレーのスタートアップ企業で、当時は全世界でも社員が120名程しかいない。
大企業からスタートアップへ移って感じたことは、ビジネスのやり方も戦い方もプロダクトの作り方も全然違うということ。これはずっとCiscoのようなところにいたら多分分からなかったですね。
少ない人数の中で、どういう風に何にプライオリティーをつけて作り、売っていくのか戦い方が全く違うんですね。これはやってみないとわかりません。これが大きなステップでした。

日本からUSに移ったというのも間違いなく大きなステップでした。
日本で働いているときはお客さんも、上司・同僚も全員日本人。
アメリカにいったらその環境が大きく変わりました。この大きな環境の違いから、当然のことながら沢山のことを学ばせてもらいました。

他の赤い点もそうですが、これまで自分がしてきた仕事から全然違う領域に踏み込むことで、これまで気付けもしなかったポイントに気付けたりとか、
考えもしなかったことを考えられるようになったり等という部分は、自分にとって間違いなく非連続だったと言えます
ね。

リスクを取って得たいものを得る

松永:やってみないとわからないとサラリと仰いましたが、今までと違うことをやる怖さは無かったのでしょうか。

曽根原さん:もちろん新しいことですから怖さはあります。
よくUSで“take a calculated risk”、計算されたリスクを取りなさいというような言い方があります。
リスクを取るにしても、失敗したら命が無くなるようなリスクは気を付けた方が良いですが、そこまで身を削るようなリスクでなければやった方が良い。本当に自分で出来ることややりたいことをもっと知れるというのが僕の考え方です

USに渡った時に当時のメンターから言われたのが“take a risk to discover what you want“という言葉。
自分が知りたいものや求めたいものを得たいんだったら、リスクをとらないと発見できないよという意味ですごく的を射ていると思っています。
どうしても人間にはコンフォートゾーンがある。特にプロダクトマネージャーのように新しいことに挑戦しなくてはならない、新しい領域に踏み入れていかなければならない、新しい考え方を取り入れて競合他社にはない、もしくはユーザーさんが喜んでくれるような新しい体験を考えないといけないとなると、コンフォートゾーンにいるだけだと難しいです。
コンフォートゾーンから少しでも出て行かないと、新しい考え方や意識を獲得するのは難しいと常々思います。

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急がば回れ。テクニカルマーケティングへのピボット

松永:キャリア理論の中にも、Planned Happenstance(計画された偶発性理論)というのがあり、そこと通づるものがあるなと感じました。
お話の中でこれまで考えもしなかったことを考えるようになった、視座がぐっと上がったというお話がありました。
その視座を取りにいこうと思って意図的に取りにいかれたのでしょうか。

曽根原さん:USに移ってからプロダクトマネージャーにいきなりはなれませんでした。渡米した際はカスタマーサポートエンジニアで、何度かPMになろうとしましたが、なることが出来ませんでした。

松永:PMになることは早くから意識をされていたのですか?

曽根原さん:もちろん意識はしていましたし、それがしたくてUSに渡ったというのもあります。ただ、Juniperではなかなかプロダクトマネージャーに辿り着けませんでした。
カスタマーサポートエンジニアとして働き、社内公募でPMポジションを見つけて応募をしましたがなかなかなれませんでした。

PMに求められる視野やスキルとかが当時はまだまだわかっていなくて、その中で無謀にチャレンジをしたところで当然壁に跳ね返されますよね。
よくよく自己分析をすると、カスタマーサポートエンジニア前の経歴はプリセールスSE、コンサルティングエンジニアやカスタマーサポートと、要はプロダクトマネジメントの世界から見たらほんの一部分でしかない、そのことに僕は気づいていなかったのです。

カスタマーサポートではない何か全然違う所にいかないとダメと思い、PMにいけないのであれば、一度マーケティングの世界に行こうとテクニカルマーケティングへと思いピボットしました。

松永:カスタマーサポートエンジニアからテクニカルマーケティングへのピボットはPMにいくほどの階段の高さではなかったのですか?

曽根原さん:USではテクニカルマーケティングがプロダクトマーケティングチームのいちファンクションとしてあります。マーケティングの靴を履くが、やることはエンジニアです。
競合他社の製品と並べて性能比較したり、Juniperのパートナー企業との合弁ソリューションのテストをしたり、新機能のデモ等も行いかなりエンジニアとしてのハンズオンな動きをします。
他のエンジニアと徹底的に違うのは、プロダクトマネージャーとセットで動くということ
プロダクトマネージャーと話して、今度こういうリリースが出るのでこういうデモをしたいねって時に、それを実現するのがテクニカルマーケティングエンジニアになります。
テクニカルマーケティングはプロダクトマネージャーではありません。
ですがPMを真横でみれるポジションです。これは僕にとってすごく貴重な体験でした。

松永:PMと一緒に仕事をしてみて、自分がこれまでやってきたこととの差を強烈に感じるわけですよね。

曽根原さん:とくに、カスタマーサポートをやっていた自分からしたら、いかにポストセールスのこと考えていなかったかを思い知らされました。
PMは何もないところから何かをつくらないといけない仕事なのですが、この時に考えるファクターが沢山あることを知りました。
社内的な予算、エンジニアリソース、競合他社、BU(Business Unit)で作っているプロダクト等。いろんな観点からプロダクトを考えていく実際の作業が当時は全くイメージ出来ていませんでした。
テクニカルマーケティングに入り、真横でそれらを見れることになったのは自分の中ですごく良かったなと思っています。

松永:PMに辿り着くまでにも試行錯誤があったかと思います。そのエピソードをもう少しお伺いできますか。

曽根原さん:仰る通り、テクニマルマーケティングに入ったからといって、PMが約束されているわけでもなんでもないです。
シリコンバレーではPMのオープニング(求人募集)があると、ものすごい数のレジュメがきます。その中で選ばれなないといけない難しさがあります。
どうやって自分が持っているものや、スキル、能力をアピールするかと考えないといけません。

いくつか重要だな思うことのひとつに、まずプロダクトマネージャーとして持っていないといけない土台の部分がないと、箸にも棒にも掛からないということです。
当時は、僕がつくっているUdemyとかが無かったので違うところに学びのソースを求めるしかありません。スタンフォード大学やUCバークレーの社会人向けコース等があって、幸いにも会社がいくらかファンドしてくれたので受けることが出来ました。
そういったコースを沢山受講したり、メンターから紹介してもらった本を読んだり、PMをしている人とランチオンで話したり等して、理論的なところから実際に手を動かすところまで出来るだけ生の情報を学ぶようにしていました。

PMの人が会話で使う言葉や表現があります。そういった言葉は自分としても理解していないといけないし、自然と出てくるレベルじゃないと難しいです。
レジュメが山のように来て、多くの人が面接に上がってくる中で、PMが誰でも使っているような言葉や表現で躓いていてはダメなんですよね。

なのでまずはこれらを踏まえた上で、自分はどんな差別化が出来るかという話になります。
僕の場合はずっとプリセールスとかポストセールスとか、よりユーザーに近いところで仕事をしていたので、ユーザーの痛みが誰よりもよくわかるというのが差別化になります。
これにプラスして、ビジネス的な部分は経験としては少ないかもしれないけれど、これだけ勉強をしてきましたと全部バックアップをして固めていきました。

松永:実際にPMになってから、これまでの学習が活きた実感はありましたか。

曽根原さん:学ばずにPMに入ったら相当苦しかったのではないかと思います。

また、PMになるために色んな本に手を出したり講座を受けたりして興味の広さがあることは今にもいきています。
僕のキャリアヒストリーを見てみるとBtoBもBtoCもやっていて、今はプラットフォーム系のPMをやっています。
このトランジションが出来るためには、常に色んな情報、考え方、テクノロジーにある程度興味をもって触れていないと会話が出来ません。

興味を広く保って、随時そこを深堀りできる体制を整えておくことはPMになる準備をしておく時に良かったです。

シリコンバレーは場所がら一騎当千のPMが会社にやってきます。
常に比べられるので、自分の牙を磨いていないといけません。
もちろん、それでうまくいくときもあれば、失敗する時もありますがそれはしょうがないですよね。
ずっと成功している人がずっと成功しているかと言うと、そうではなく、人間なので成功もすれば失敗もします。

シリコンバレーではレジリエンスと言いますが、大事なのはショックに対する耐性。
失敗から何を学ぶか、それをどう次にいかすか、ということです。

自分の興味を広く保ちつつチャレンジをして、仮に失敗したとしても、次に上手くするためにはどうしたらいいかを考えていく。
そういうスタンスで常にものごとにあたるということですかね。

コンフォートゾーンから外へ

松永:最後に曽根原さんからPMのキャリアに悩む方々に一言お願いします。

曽根原さん:今回はこういった機会を頂きありがとうございます。
僕から一つ、皆さんご自身のコンフォートゾーンにどっぷりと漬からないでください。
そこから一歩でも二歩でも外へ出て行きましょう。

5%や10%であっても、コンフォートゾーンの外側にでていくと絶対そこで何かしらの学びがあるんですね。
この学びが次の学びを生んだり、次の出会いを生んだり、次のオポチュニティを呼び込んだりします。
これらがPMの経験の幅、考え方の幅をつくっていきます。
なので是非プロダクトマネジメントを目指す方、もしくは現在働かれている方は今の位置に留まらずに、フロンティアに踏み出していっていただければと思います。

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クライス&カンパニーの「プロダクトマネージャー転職支援チーム」のアカウントです。顧問に及川卓也を迎え、日々PMの転職を支援する中で感じたことや、お役に立ちそうなネタを投稿していきます。https://www.kandc.com/eng/