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【南房総インタビューvol.3】館山への移住促進と台風災害でのボランティア~おせっ会 八代健正さん~

プロジェクトデザイン研究室

今回は、NPO法人の「おせっ会」を運営し、南房総館山市への移住促進に取り組まれている八代健正さんに、2019年の台風被害の影響やボランティア活動に加え、八代さんが行われている移住促進活動についてお聞きしました。

ーーーー今日のテーマについてなんですけど、八代さんが、おせっ会で行われていることをメインにお聞きしたいと思っています。それについて、移住促進や空き家の現状をお聞きして、その後に、昨年の台風災害のボランティアに参加されていたと思うので、そのときの状況をお聞きしたいと思っています。よろしくお願いします。ーーーー

八代さん:はい、よろしくお願いします。

ーーーーまず、はじめにおせっ会を立ち上げたきっかけを教えていただきたいです。ーーーー

八代さん:立ち上げたのは、商工会議所の青年部っていって、商工会議所っていうのが全国組織があるんですけど、そこの館山市の商工会議所の下部組織で、後継者を育成する団体があるんですね。そこで、2030年とか2040年に、館山市の人口が3万人くらいになってしまうというデータが当時あって。地元の商工業のメンバーの後継者が集まっていたので、そのデータに従うと、自分たちの代になったら、地元のお客様が5分の3になってしまって食っていけないという話になったんです。たまたまそのとき、団塊世代の大量退職期に当たっていて、同時に田舎暮らしブームが来ていました。そこで、それに乗っかろうと思いました。当時のデータだと、首都圏の労働者層の人が年間に旅行に使う日数が年間平均1.5日/人だったんですよ。一方で、実家に帰る日数は年間平均7日/人だったんですね、お盆とか正月とか。首都圏の人たちって、地方から出てくる人がすごく多くて、その人たちが休みにお孫さんを連れて実家に行くというのが多くなるということもあって。そうすると、結構な関係人口ができて、大きな経済効果が生まれるだろうなという、完全に経済狙いの戦略で、おせっ会を立ち上げました。仮に、人口が減ってきても、帰ってくる人は当然いるだろうし、瞬間的な風速を上げることに繋がるのも1つであり、人口が3万人に減ると思われているところをなんとか4万人に収めようという戦略でもあったんです。とにかく人を減らさないで、お客様を作ってこうという。当時は、60歳に定年だったので、あと20年とかは商売していけるという計算も、僕らの中ではしていました。場合によっては高齢者ビジネスを起こせるかもとか、経済効果のために始めましたね。

ーーーーつまり、おせっ会のゴールは南房総地域に、定住する人を増やしていくということですかね?ーーーー

八代さん:そうですね。当時も今も主力はそこなんですけど、今は少しターゲットが変わってきてます。
ちょっと余談なんですけど、「北の国から」というドラマが、団塊世代の人たちの田舎暮らしを触発したドラマだと思ってて。知ってますか?

ーーーー分かります。ちょうど自分の父親とかがすごい好きですね。ーーーー

八代さん:そうなんですね。お父さんはおいくつなんですか?

ーーーー今60歳手前くらいですね。ーーーー

八代さん:なるほど。だいたいその世代くらいまでが、影響された世代だと思ってて、「北の国から」っていうドラマは、東京で働いてたお父さんが、家族を連れて田舎で自給自足していくっていう、非常にベタな田舎暮らしなんだけど、そういう人が未だに60歳くらいの人に多くて、自給自足、農的な暮らし、気ままな暮らしみたいなことを言う人たちが多いんです。一方で、蓋を開けてみれば、その人たちがアプローチするべき層だったんですね。お二人は、館山ってなんとなくお分かりになられますか?

ーーーー実際まだ僕たち行ったことがなくて、なんとなくしかイメージがないですね…ーーーー

八代さん:ああ、そうなんですね。館山ってたしかに田舎なんですけど、自給自足の人が思う田舎の雰囲気はあまりないんですよ。自給自足ってなると、もっと田舎の方がぴったり来る。

ーーーー「北の国から」でよく見るあの風景とはちょっと違うんですね。ーーーー

八代さん:そうそう。駅前の方は街があって、ショッピングモールとかもあるし、ホームセンターとかもバンバン並んでるんで。自給自足とかと外れちゃう。もっと、長野の山奥とか、秩父の方がやっぱりウケがいいと思ったんですね。一方で、10年前なんですけど、SNSとかも普及してなくて、HPを自分たちで作る時代でもなかったんですよ。だからこの10年間でこんなことができるって想像できないほど進歩してて。実は、13年前くらいからおせっ会は始めてるんですけど、その頃はmixiっていうSNSが流行ってて、僕らお金もなかったので、館山のアピールにいいんじゃないかという声が上がったんですね。なので、mixiの中に、「そうだ、館山に住もう」みたいなコミュニティを作ったんですよ。どっかのフレーズのパクリみたいですけど(笑)
そしたらものすごい人気になって。30代くらいの若い人たちからすごい問い合わせが増えて。僕らが当時40歳くらいだったので、僕らよりちょっと若い人たちから、この地域で子育てしたいとか、商売したいとか、暮らしたいとか、田舎暮らしとは少し違う、ライフスタイルのシフトをしたいみたいな問い合わせを頂いたんですね。そこで、もしかしたら僕たちターゲットを間違ってたのかもと思って、館山を自分たちで分析したときに、それほど不便じゃないし、アクセスもいいし、通勤もできる可能性あるよね、みたいな。そうすると、仕事を変えないで移住する人が出てくるかもってなって、そこをターゲットにし直したんです。そしたら、現状、移住相談者の70%くらいが現役世代なんです。だから、こっちで仕事・子育てをしたいという人ばかり。なので、スタートして3年後くらいにはそっちにシフトしました。イベントとかも、「館山で田舎暮らしツアー」とかじゃなくて、「館山で子育て」とかいうテーマにしたり、あと、「館山で起業しよう」みたいなのも10年くらい前にやってます。当時、SOHOが流行ったんですよ。だいぶインターネットを仕事にする人が増えてきて、そういう人たちをターゲットにしたツアーを組んだりとか、家庭菜園のツアーとかにシフトして、若い人たちからの移住相談がすごく多いです。ちなみに、お2人はおいくつなんですか?

ーーーー僕たちは今年で22歳ですね。ーーーー

八代さん:ちょっと若いか。今だいぶ増えてきたのは、20代半ばの人たちなんですよ。明日も1人職場見学にご案内するんですけど、その方も、26歳で証券会社に勤めてて、1年海外に留学して、館山に住みたいっていう人なんですよ。それも田舎暮らしじゃなくて、その人は地域活性化に興味があって、現場に住みたいと。自分で学んで、自分の活動につなげたいんだと言っていました。だから、ちょっと前の田舎暮らしの希望とはだいぶ変わってきています。

ーーーー僕らも、HP上だけなんですけど、おせっ会がどんなことやっているのかを見せていただいて、移住体験ツアーだったりとか、民家を修復する会とか、安房コンとか、色々なことに取り組んでこられたと思うんですけど、これが1番手応えがあったみたいなものってありますか?ーーーー

八代さん:それぞれに手応えは感じるんですけど。安房コンも20組くらい結婚してるし、トゥルーカラーズっていう子供のミュージカルスクールも、劇団四季でキャッツとかライオンキングに出てた俳優さんの夫婦が移住してて、その人たちを焚きつけて、今その人たちはそれで生計を立ててるんですよ。最初はおせっ会でサポートしてたんですけど、今はもうおせっ会から独立して、自分たちで運営してもらってます。これはすごく、手応えというか、やってよかったなと思ってて。おせっ会の活動って、若い人にシフトしたときに、完成形はどこなんだっていうと、サスティナブルとはちょっと違うんですけど、持続可能な地域を作るっていうことが目標だと思っているんです。今おせっ会がツアー組んだり、人呼んだり、力技でバンバンやってるんだけど、そんなことしないで、ここで子供が生まれて、育って東京に行っても戻ってきて、人口が継続していく、高齢者率が極端に高くならないっていうバランスをちゃんと保てるようになるっていうのが完成形なんですね。なので、子供の教育とかもやりたかったし、出会いの場を作らないといけないよねってなったし。それと並行して大事なのが、移住してきた人が本当に地域の人になってくれないと継続はされないというか、地域の中心にならなきゃ意味がないので。だからそこを考えたときに、移住してきた人のノウハウとか経験値をこの地域の力に変えていくというようなことをやろうというので、トゥルーカラーズも始めたんです。これも独立して7年くらいなんですけど、非常に手応えを感じたものだと思っています。

あと、空き家バンクもそういう観点で、空き家って、物理的には空き家なんですけど、その世代の人が歴史を歩んできたストーリーがあって、そこに新たな人を住まわせて、その空き家に灯りを灯すことによって、その地域が家の歴史を引き継いで、地域の歴史を引き継ぐことに繋がるだろうと思って、新築よりも空き家を活用させることの方が、地域にメリットがあるなと思ってるんです。そういう観点から、空き家バンクをやっているというのが、ホントのところです。だから、空き家バンクも、館山に2300軒くらい空き家がある中で、まだ60軒くらいしか活用進められてないんですけど。空き家を減らすっていうよりも、空き家を引き継いでもらうことで、地域の歴史を途絶えさせない、新住民の力によって、地域を継続させていくということに繋がると思ってます。

ーーーーありがとうございます。その空き家に話をつなげていきたいんですけど、現状空き家が増えている中で、どんな理由で空き家が増えているかを教えていただけますか。ーーーー

八代さん:なるほど。お2人はご出身どちらなんですか?

ーーーー東京と神奈川ですね。ーーーー

八代さん:お2人は首都圏の方なんであれですけど、だいたい館山の高校卒業して大学に行くってなると、ほとんど県外に行かなければいけないんですよ。そうすると、一回出たら地元に帰らないで、仲間と一緒に東京に就職することになることが多いんですね。やっぱり、若いうちって、都会の方が楽しいと思う人が多いので、特に田舎で育つとなおさらに。若い人たちは体力があるから、それが継続して4年後には東京の人になっちゃってるみたいな感じがあって。そうすると、都内に住み着くことの方が多いというサイクルになるじゃないですか。それで、日本人の場合は、今はだいぶ崩れましたけど、終身雇用みたいな感じになって、退職まで暮らすと、生まれたところよりも年数が長くなっちゃうから、帰ってこないわけですよ。遡ると、今空き家になっているのは、そこが原因ではなくて、僕らの世代が原因なんですよ。僕らの頃はバブル経済で、大学卒業すると就職が売り手市場で、会社なんて選び放題。証券会社に行った友達は初任の年のボーナスが200万行ったりとかしてて。館山も観光経済はよかったんですけど、館山だとそうはならなかったので、親に東京に行けって言われて、東京に出ていく人が多かったんですね。それで、その時の親の世代の人が今80歳くらいになって、だんだんと亡くなる人も出てきてるんですよ。でも、僕らの世代が、今この歳まで東京で働いてたら、帰れないですよね。経営陣の方に入ってたりとかしてる場合もありますし。だから、僕の同級生で今館山にいる人は10人もいないですね。

ーーーーそんなに少ないんですね。みなさんそのまま東京とかに定住しちゃって。ーーーー

八代さん:そうですね。そうすると、親が亡くなっちゃうと空き家になっちゃうんですね。僕実は館山の中に3軒家があって、そのうち2軒は貸してるんですけど、今撮影してるところも、僕が好きで買った130年の古民家なんですよね(笑)
ここで暮らしてるんですけど、僕の場合は、母親が1人で暮らしたいということで、近い場所で別々に暮らしてるんですけど。でも、今回災害のあった富崎地区で言うと、高齢者率の割合が72%くらいで、その中の65%が独居なんですよ。つまり、150世帯くらいが独居だと言われてるんです。だから、平均寿命で考えると、その人たちが今80~85歳くらいなので、あと10年もしないうちにその150軒が空き家になるんです。
というのが、空き家が増えているサイクルです。これはおそらく、現時点でいうと全国どこでも同じ事情だと思う。僕らの世代が親の家を買って住んでるっていうと、僕らはちょっと結婚が早かったので、子供たちも大人になってるので例外なんですけど、たいてい僕の同級生だと、まだ子供が大学入ったばっかりくらいだと思うんです。

ーーーーそうですよね。そのくらいだと思います。ーーーー

八代さん:だから僕らの世代とかお2人の世代が東京に出て行ったところでまだ空き家にはならないんです。だから、空き家っていうのは今の今じゃなくて、30年前くらいのバブル経済で都心に出てしまったのが原因ですね。多分それは間違い無いと思います。

ーーーーある特定の人口が一部に集まると、別の地域が過疎になると言うことですよねーーーー

八代さん:もう1つの側面として、なんで活用が進まないのか、なぜ空き家が減らないのかという話になると、それはいろんな理由があると思います。まず1番大きいのは、世の中が言うほどまで活用需要がない今、館山に空き家が2,000数百件あるんだけど、まず移住者には家を建てる人もいるし、みんながみんな古い家を直して住みたいというわけでは無いのですよ。ある程度予算のある人はきれいなおうちに住みたい人が多いので。そうすると仮に空き家を活用しようかなと思う人はちょっと稀なタイプで、1つはリノベーションが好きな人、もう1つは安く住みたい人。このいずれかしかなくて、特にリノベーションをやりたい人は希有な存在なんですね。もう1つはお金のない人が住みたいんです。そうなると、2,000数百件を活用するのに、おそらく仮に人口の20%がそういう人たちに当てはまったとしても、10,000組くらいの移住者がいなきゃダメなんです。ありえないじゃないですかそんなの。そういう現場なら館山の人口が増えちゃってますので。(笑)だからそこまで需要がないというのが、空き家の活用が進まない理由の1つであり、1番大きな理由です。

あとは、空き家を貸すのがめんどくさいと言うこと。 貸す側の決断がいるんですよ。僕らの世代がまだそこを実家としているケースが多くあるので、年に何回かは実家に帰るという方もいます。僕らの世代だと、姉妹が大体2、3人いるので、実家に代わる代わる行ったり、みんなで集まったりするけど、1組が年間に8日間位で行っているとすると、24日位はその家が年間に使われているという計算になるじゃないですか。なので、「空き家といえば空き家なんだけど、時々使ってますからね」みたいな状況の人もいます。あと、実家を貸すというのは覚悟がいるんですね。やっぱり思い出が詰まっているから。「俺の育った家を人に貸すのは嫌だなぁ」とか、「知らない人が使っているのは寂しいなぁ」とか、「帰るとこがなくなっちゃうなぁ」とか。そうすると、空き家の活用が進まないというのは貸す側の問題でもある。貸したくないとか、めんどくさいとか、故郷を思う気持ちで寂しくなっちゃうという、センチメンタルな気持ちが働いて。管理が大変だから貸したいという人たちは、そのカテゴリーの人たちは、家が傷みすぎていてちょっと活用できていない家があったり、荷物がたくさんあってそれを片付けるのにもお金がかかっちゃうとか、下取れないよねみたいな話とかっていう、諸々の問題はあります。原因は僕らの世代で、現状は、今の貸す側の問題っていうところだと思います。

ーーーー空き家の活用需要に、今現在は限界があるとして、割り切って空き家は解体したり、そこを更地にしてどうにかする手法もあるという事なんでしょうか?ーーーー

八代さん:今回の台風でそれはあからさまになりましたよね。

ーーーー台風の話でいうと、台風の被害で空き家の状態もかなり変わったと思うのですが、どのくらい変わったと見ていますか?ーーーー

八代さん:確かに台風は大災害だったんですけれど実は空き家がものすごい影響を受けたっていうほどではないんです。富崎だけっていう狭い範囲での感覚的データになるんですけど、大体空き家の半分位が重度の被災をしてしまったので、おそらく借りた側の自力復旧はできないと思います。だから、その範囲はかなりの割合で解体が進むんじゃないかと思います。

特に富崎に関しては、余計に活用が難しい理由があるんですね。そのままにしておくと、管理が大変だから解体するじゃないですか。そうすると、固定資産税が上がってしまうという話が出てきます。固定資産税は、更地にした途端に単純な計算で行くと6倍になるんですよ。だから、みんな更地にしたからないんですね。そもそも富崎の固定資産税って、いいとこ5,000~6,000円なんですよ。それが三万円になっても、家が壊れて近所に迷惑をかけるというストレスを考えたら、まぁ安いんじゃないかってなるじゃないですか。それで壊すんですけど、その後その更地が売れるかっていうと、売れないんですよ。なんでかっていうと、富崎は漁村だから取り付け道がないので、法律的に新築を建てることができない土地がたくさんあるんですよ。建築って土地の一辺が4m以上道路に接していないと建てちゃいけないっていう法律になっているじゃないですか。漁村なので、50cm位の迷路のような道の中に家が立ってるみたいなところもたくさんあるので、それらは法律が施行される前に建っている建築なんですね。そうすると、そこを更地にした途端にもう家が立たないから、そんな土地を買う人はいないじゃないですか。近所の人が庭に使おうかなぁっていうケースは無くは無いけど、60 70歳になって新たに土地を広げようかっていう人はまあいないよね。今回災害があったところは漁村なので、得てしてそんな土地がいっぱい更地になっているという状況です。

ーーーーなるほど、ありがとうございます。ここから台風災害のボランティアについてお伺いしたいと思うんですけれど、八代さんは昨年の台風災害の時にどのようなボランティアをされていたのでしょうか?ーーーー

八代さん:作業的には、おせっ会の団体として、ボランティアセンターの設置と運営をしました。そこに館山市と社会福祉協議会が後からバックアップしてくれたという形です。僕たちのボランティアセンターでやったのは、ボランティアの募集地域の作業ニーズの収集割り振り、参加してくれたボランティアさんの配置食事の手配とかいろいろやりました。その集めたボランティアの人たちがやってくれた事は、最初の1ヵ月ぐらいは瓦礫の搬出と屋根のブルーシートがメインです。

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ーーーーボランティア活動として、十分に足りていたと思いますか?ーーーー

八代さん:人手自体は足りていました。ピークで100数十名来ていましたから。作業内容でいうと、素人にはできないようなことが多くあったので、あの時僕たちができる事は、屋根にブルーシートをかけて雨漏りを防ぐこと。あとは、村中でブロック塀が崩れていたり、屋根が吹っ飛んでいたり、家具が飛び出していたりとかで、そういうのを撤去していかないと生活ができない状況だったんですね。それの撤去のために、トラックとか担保を用意したらいいとなりました。それが素人ができる限界で、やっぱりプロじゃないとできないことが多かったです。工事は僕たちにはできないじゃないですか。中にはプロもいたけど、機材も揃わないし、ほんとに仮補修しかしてあげられなかったんだけど。なので作業内容として、地域の人を救うという意味では足りていなかったです。

被災して2週間位の時に、山代先生とかにも、「もう今、仮補修しかできなくて、2発目の台風とかもきたし、ホントは家に住めないのに無理矢理住んでいる状態で、仮設住宅が必要だと思います。」っていう相談をしたんです。ただ、それをしないと地域の人たちの健康状態が悪くなっちゃうし、地域を離れていく人たちもものすごく増えちゃうので、地域を本当に救うためには、今やっている作業だけではダメだって、その時は思っていました。とりあえず、仮設住宅を作って安心できるようにして、ゆっくり家の補修が待てる状態にしてあげなきゃいけない。だから、そういう意味でボランティア活動が足りていたかというと、足りていなかったと思います。ボランティアでは無理なことがたくさんありました。そもそも屋根にブルーシートをかけるっていう作業も、ボランティアがやるような作業ではないですけれどもね。危険の伴う作業だと思うし、富崎では1人も事故を起こしていないけれど、南房総中のあちこちで屋根から落ちて死者が出ていたり、入院したりっていう人はいっぱいいました。

ーーーー台風災害から約9ヶ月ほど経って、その時の被害からどの程度復旧していると捉えていますか?ーーーー

八代さん:物理的な話でいうと、7割くらいは回復しているんじゃないかと思います。だいぶ屋根も直ってきてるし。残っているところは、業者がお金がなくて直せないとかだと思います。

ーーーー台風復興活動で地域の人を呼んで、いろいろなボランティア活動をしたと思うのですけど、地域の中の人との関わりが新たに生まれたとかそういう事はあったと思いますか?ーーーー

八代さん:大分ありますね。手伝いに来てくれた人たちが、とても良いとこだねって言って、地域の人たちと仲良くなったりとか。

ーーーーそこに館山の魅力を伝えるきっかけとしてチャンスを見出していたりしますか?ーーーー

八代さん:復興に関しては、そこを中心にやろうと思っています。今までは復旧作業がメインだったので、復旧が進んだから、ここからは復興しなくちゃいけないなと思っていて、地域をもう一回元気にするという作業をしなきゃいけないと思っています。それをやるにあたり、復興がまずはとっかかりになると思っています。


ーーーー災害に関していうと、特に台風被害はこれからも起きる可能性が十分にあると思うのですが、これからの災害に対して備えるためにはどういうことが必要だと思いますか?ーーーー

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八代さん:それは今回の災害でボランティア活動してくれた人たちの中の30人位の人達が気にしてくれていて、コロナの影響で全然来れてはいないんですけれど、何かあったときに、中心となって助けてくれる人たちを大切にして、一緒に備えていこうかなと思っています。あと、多くの募金をいただいたので、その募金を持って必要な資材とかを買いためて持っておこうかなぁと思っています。いざというときには買えないので。だから僕らが災害対応チームになっていようと思います。

ーーーーありがとうございます。最後にまとめとして、2つほど質問があるんですけど、八代さんは長らく館山にお住まいだと思うのですが、館山は自分が暮らしてきた中で変化していく事はあると思いますか?ーーーー

八代さん:そんなに大きな変化はないと思います。でも、外との交流人口がすごくある街になったと思います。その刺激はすごく受けていると思います。そこに移住促進の活動が影響していると思いますけどね。

ーーーーなるほど。最後なのですが、移住促進などを進めていく中で、館山の地域がどういう風になっていって欲しいかをお聞かせ下さい。ーーーー

八代さん:それは明らかで、僕らの目標は持続可能なまちづくりをするということなので、移住促進とかいわなくても、住みたい人がいっぱいいて、ここで普通に子育てができて、命のサイクルを営めるような機能を持った街になるということです。就職もできて、趣味もちゃんとできて、教育機関もちゃんとあり、そのベースには自然環境もちゃんとあるっていう豊かな生活を継続できるということが大事だなと思っています。そういう街を作りたいです。

ーーーーありがとうございます。移住促進を希望する年齢層の変化の背景や空き家の現状、関係人口の方を巻き込んで移住促進に取り組む必要性についての理解を深めることができました。台風についても、実際にはボランティアでの復旧については限界があるかもしれませんが、ボランティアからの復興に関しては大きな可能性があるということが知れました。貴重なお話をありがとうございました。ーーーー

八代さんが運営する「おせっ会」のHPです。いろいろな活動をしていらっしゃるので、ぜひみなさんも館山に遊びに来てください!


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プロジェクトデザイン研究室
〈芝浦工業大学/建築/山代研・岡野研〉地域・社会に対して建築的観点からプロジェクトという形で問題解決策を提案していく研究室です。