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私の「難読症」~世界自閉症啓発デーを迎えるにあたり

 前回の記事では、「高機能自閉スペクトラムアスペルガータイプ」について色々書きました。今回はそれと重なっている「難読症」について書きたいと思います。

私の「難読症」

私の「発達障害」は、高機能自閉スペクトラム以外に「難読症」というものも診断されています。難読症は、読み書きに障害があるという学習障害のうち、とくに「読み」に難をきたすタイプの障害です。書きは問題がないというものです。

【参考:厚生労働省】

§1 全体的な症状

 私の場合は、文字1文字だけを読むことはできますが、長文などになると誤読が起こったり速読ができない程度に読めなくなるほどの難があります。文字が震えた錯覚を起こす、知らずに飛ばしていた、特定の種類の文字だと分かち書きしないと読めないなどがあります。Twitterは難なく利用できています。たまには、文章を読む時に頭痛など神経痛を催すこともあります。自覚症状があったのは小学生頃で、読書感想文の課題があったときに、頓服で鎮痛剤が出たこともありました。
 前の記事で、アスペルガー症候群と重複している事を書いていましたが、こうなると場面を思い浮かべることについての難もあるという多重苦であり小説絡みの課題や授業はついていくことが難しい状況にありました。
 文章が読めなくなると言った現象は、スマートフォンが普及したあとは不自由を感じなくなりました。印字された文字に起きることがよくあるため、スクリーンに投射して読む、コンピュータソフト(TTSなど)の助けを借りる、文字認識ソフトでフォントを変更してもらうなどで緩和することができています。

 §2 私の特徴的な症状

 私は、とにかく欧文・アルファベットが読めません。アルファベット1文字ではその文字と認識することはできますが、綴られるだけで読めない、という現象が起こります。文章になると全然読めません。数学記号として代数や関数をあらわす際に『abc』や『αβγ』を使うことは問題ありませんでした。こんな奇妙な難読症にもフォントごとに読みやすさが激しく変わります。読みづらさの中でもComic Sans Selifが一番読みやすく感じます。そのため、中学英語は問題がなかったはずなのに、高校英語で「偏差値が40よりも低い」という非常に成績が悪い日が続き、色んな解決策を探しながら克服しようとしましたがかえってストレスが悪化してしまい劣等感にかられてしまい憂鬱だった高校時代でした。
 欧文が読めないなら他の言語なら大丈夫なのかもしれない、と考えて独学したのは中国語であり、義務教育にも高校時代にもなかった中国語をやってみたらセンター試験に選択肢があり、それに利用できるぐらいのレベルまで成績を伸ばすことができました。その後に受講したハングルも読むことだけはできました。
 カウンセリング先の専門医によるとこういう特徴的な難読症は脳の働きによるものということがわかりました。それを次の項目で説明しようと思います。

 §3 文字と絵の区別に問題?

 文字を読んで音に変えるというスピードの検査は母国語でも少し遅い傾向があることがわかりました。更に脳の検査を受けてみると、文字を読むときの脳の働きがマジョリティな字の認知とは異なり、文字を認知するプロセスにに特異的な脳の働きをしている、という所見があり、自分の脳が文字を絵として認識しているようなメカニズムがあるそうです。パソコンのファイルの読み込み方に例えると、文章を保存した「テキストファイル」をマジョリティの脳の認知が「txt」つまり文章ファイルと認知しているものだとすると、私の脳はこれを「tiff」や「gif」などの画像系のファイルと認識しているという具合です。このような自分の脳による文字認知のメカニズムが文字の難読症というものにつながっているという可能性があると説明されました。試しに第3外国語として韓国語を大学生の頃に受講しましたがハングルを発音として変換することは非常にやさしくできたためハングルを音に変換して音読する能力はつけることができました。ハングル検定としてはかんたんな単語を覚えることはできたので、日常会話だけはできるレベルになりました。そういえば、第2外国語の中国語は意味や文法を先に理解してそれから頻繁に使う漢字の発音を覚えたな…という事を振り返るとハングルを音の記号・絵として、漢字は意味の記号・絵として読んでいるんだなという事を自覚して、どうして英語だけ読みづらかったのかというのがしっくりくるような気がしました。英語は文字が綴られると音が変わったり意味が変わったりする要素が多い言語のように感じます。それが読み書きと文の認知の学習に難をきたして更に外国語学習に足を引っ張る要素になったものだと感じて、やっと自分の苦手に納得しました。

 §4 難読症を起こさないような私の工夫

 とにかく、私は電子辞書がバリアを乗り越えるものに対する助けになっています。意味との照合を助けてもらうツールだけでなく音との照合を助けてもらうツールにもなっています。愛用している電子辞書はEx-Wordで、この辞書は音声変換やマーキング機能も入っているので選んだものです。欧文が関わると単独のモバイル機種でも難読症の症状が出ちゃうこともあるので、電子機器を複数利用するということもあります。それについて「機械頼り」にしているように見えてしまうことがありますが、難を乗り越えることに使うには変わりないので本当に助かっています。
 印字された文字については、ものを文章に添えて当ててみるなどで文章が読みにくくなるのを防いでいます。センター試験では定規が使えなかったため別の鉛筆をその代わりに使っていました。

 私は結局「ダブル発達障害」ということで併せ持っているからこそ起きてしまう特徴があるため、いろいろ生活でやらかしちゃいますが、様々な工夫をこらして生活できるように頑張っています。

併せ持っている「アスペルガー症候群/高機能自閉スペクトラム」についてはこちらをどうぞ。



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