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【投資ノウハウ】コロナ収束後の株式投資は? ウィズコロナ2.0

 米国で新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による感染拡大の勢いが急速に衰えているようです。ニューヨークタイムズ紙がまとめたデータによれば、19日までの7日間の1日当たり新規感染者数は10万8240人となり、1週間前の7日平均の17万6397人から7万人弱の減少、1月14日に付けた今年の7日平均のピーク80万6795人と比べると、8分の1弱となっています。また、コロナ感染症と診断された人の死亡者数も2月4日の3976人をピークに2月19日には692人まで減少しています。これらを反映し、米国では、ウォルマート、Amazon、ゴールドマンサックスなど様々な企業で、自治体の要請がなければ、ワクチン接種を完了した従業員の会社施設内でのマスク着用義務を撤廃しました。

 欧州の状況をみても、米国より先にオミクロン株がピークアウトを迎えた英国では、1月27日にオミクロン株の感染拡大で導入された行動規制が全廃されています。また、北欧3カ国も行動規制をほぼ撤廃、フランスも2月2日から規制を一部撤廃し、同月16日から、ナイトクラブの営業や映画館などでの飲食も解禁されました。欧米諸国は、「ウィズコロナ」に舵を切っています。

 昨年も春から夏にかけて欧米で、そして秋以降には日本でも「ウィズコロナ」の動きが広まりました。ただ、今回の「ウィズコロナ」は、昨年とは状況が違います。それは「インフレ」と「ウクライナ危機」です。どちらの問題も短期での解決は見込めず、今後少なくとも数年間に渡り対峙し続ける課題になるでしょう。
 そのことを加味しながら、「ウィズコロナ」時代における株式投資について考えてみます。

旅行業界

 「ウィズコロナ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、旅行業界ではないでしょうか。日本では、そう遠くない時期に「GoToトラベル」が再開(内容は見直される)されるでしょう。
 米国では、すでにホテル業界に回復の兆しがみられます。商業用不動産の情報分析・マーケティングを手掛けるコスター・グループ(CSGP)の一部門でホテル動向を調査しているSTRによると、2月6-12日の週の米国ホテル稼働率が54.6%となっており、コロナ禍以前、比較可能な2019年の同時期と比べると14%の低下ですが、オミクロン株が猛威を振るった昨年12月以降では、最も高い稼働率となっています。ホテル業界が回復基調となれば、ブッキング・ホールディングス(BKNG)エアビーアンドビー(ABNB)などにもよい兆候です。ブッキング・ホールディングスの株価は、オミクロン株がまん延する前の水準にほぼ戻しています。

 ただ、昨年と違い、旅行業界が回復基調となっても、航空業界には強い追い風とはならない可能性があります。2021年10-12月期の決算をみても、デルタ航空(DAL)アメリカン航空(AAL)、ユナイテッド航空の大手3社は、2021年10-12月期決算が揃って赤字になっています。
 この背景には、オミクロン株の影響だけでなく、原油価格の上昇による燃料費の高騰が挙げられます。また、米国内を中心に家族旅行の需要が回復しても、ビジネスや国際線の需要の回復が遅れていることも一因です。コロナ禍の中、企業の在宅ワークが進んだことで、ビジネス利用の機会が減少しているようです。

小売業

 「ウィズコロナ」となり、在宅ワークの増加や出張の減少からビジネスでの外出はコロナ禍前ほどにならないとしても、「家族旅行」や「買い物」など、プライベートでの外出は増加しているようです。ウォルマート(WMT)の直近の決算をみても、既存店売上高(燃料除く)が前年同期比5.6%増となるなど、来店客の増加がうかがえます。その一方で、ネット通販は、同1%増と前期の8%増から伸び率が低下しています。
 小売業は、サプライチェーンの混乱から仕入れコストは上昇していますが、ターゲット(TGT)など、いまのところ価格転嫁に成功している企業も多く、小売業にも「ウィズコロナ」は支援材料となります。

 ただ、消費者物価指数が賃金上昇率を上回っているうえ、生産者物価指数が消費者物価指数をも上回っていることから、今後、個人消費が減少する可能性もあるので、注意はしておきましょう。

石油関連

 米国は自動車社会であり、ガソリン価格が上昇しようとも、車に乗らないわけにはいきません。その意味では、ガソリン需要は安定しているうえ、原料価格の上昇を販売価格に容易に転嫁できる石油企業には、「ウィズコロナ」「インフレ」そして「ウクライナ危機」すらも株価上昇に寄与する可能性があります。また、金利上昇の影響も受けにくいです。
 エクソン・モービル(XOM)シェブロン(CVX)などのエネルギー企業は、脱炭素社会という観点では、逆風が吹いているようにみえますが、いまの社会情勢にはあっている企業と言うことが出来るかもしれません。

アミューズメント

 また、アミューズメント業界も「ウィズコロナ」が追い風になるでしょう。2月9日に発表された2021年10-12月期のウォルト・ディズニー(DIS)の決算をみると、テーマパークとグッズの販売などで構成される部門の売上高が前年同期比で2倍の72億3,400万ドルとなっています。これは、来園者の増加もありますが、昨年10月にカリフォルニア州のディズニーランド・リゾートのチケットを最大8.1%値上げしたことも増収の要因になっています。
 ディズニーのように顧客のブランドロイヤリティの高い企業は、多少の値上げを実施しても、顧客が大挙して逃げ出すことはないようです。米ディズニーの決算は、東京ディズニーランド等を運営するオリエンタルランド(4661)にとっても心強い内容になったことでしょう。

インフレは長期化か

 「ウィズコロナ」の社会が、「高インフレ」と「ウクライナ危機」、そして「米中関係の緊張」の中で訪れることは、インフレの長期化をもたらす可能性があります。インフレ自体は、株式市場にとって悪いことではありません。ただ、今後、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融引き締めに動くことから、全体としてはグロース株よりもバリュー株、しかもより日常生活に近い生活必需品などを取り扱う企業が物色の対象になりやすそうです。

記事作成:2022年2月21日

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