2022年11月FOMC 利上げ継続で米国株の行方は?
この記事でわかること
11月1-2日、米国の金融政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれました。
市場予想通り、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標の0.75%引き上げることを決定しました。
米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は、今年3月のFOMCから利上げを開始し、今回の利上げで6会合連続となりました。また、直近の4会合では、1回の利上げとしては通常の3倍の上げ幅となる0.75%の利上げが実施されました。
利上げは、市中に出回るお金の量の減少につながるので、株価にとっては、マイナス材料と捉えられます。
今回は、11月1-2日に開催されたFOMCを振り返り、今後の米国株の行方を探ります。
利上げは継続
FRBがこれほど急ピッチで利上げを実施する背景には、高止まりするインフレがあります。
10月13日に発表された9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.2%、伸びは1981年11月以来の大きさとなった6月の9.1%上昇から鈍化しているものの、FRBが物価目標としている2.0%を大きく上回っています。このため、利上げはまだしばらく継続される可能性が高そうです。今回のFOMCの声明文にも、「利上げ継続が適切だと予測している」と記されています。
FOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長は「経済データは最終的な金利水準が従来の想定よりも高くなることを示唆している」と述べており、9月の段階では4.75%付近とみられていた利上げの最終到達点が、5%を上回る可能性があることを明らかにしています。
ポイントは、利上げのペースの減速
一方で、パウエルFRB議長は記者会見で「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」としながらも、「利上げ減速の時期は早ければ次回、ないしその次の会合となる可能性がある」と発言しています。
利上げペースの減速に着手するタイミングは、近づいているようです。
先ほど述べたように、物価水準は、依然として高い水準にあるものの、物価上昇は鈍化しています。また、利上げを実施してから、実体経済に影響を及ぼすまでのタイムラグがありますので、今後、これまでの利上げの効果が表れてくる可能性は高いでしょう。
ここからのポイントは、利上げペースをいつ減速させるかになりそうです。
10月の米失業率は上昇
利上げペースの減速を考える上で、注目したいのが雇用の状況です。FRBの急速な利上げを可能にしているのは、インフレの高進が進む一方で、失業率が歴史的な低水準にあるためです。
しかし、11月4日に発表された10月の米雇用統計では、失業率が前月の3.5%から3.7%に上昇しました。失業率としては、依然として非常に低い水準ですが、アマゾンやメタ・プラットフォームズが新規雇用を見合わせるなど、これまで好調だった米国の雇用状況に変化が出始めている可能性があります。
FRBの使命とされているのは、「最大雇用の実現」と「物価の安定」です。雇用状況の悪化が始まっているようであれば、これまでのように大幅な利上げには踏み切れなくなるでしょう。
米国株の行方
米国の物価上昇は、依然として高い水準にあります。ただ、利上げの効果も出ているとみられ、物価上昇はピークアウトしたように見えます。その一方で、利上げが雇用状況の悪化に繋がっている可能性が出てきています。このため早ければ、次回12月13-14日のFOMCで利上げペースが現行の0.75%から0.50%に引き下げられることもありそうです。
今は株式市場にとって厳しい状況ですが、FRBが、物価上昇の鎮静化、雇用状況の悪化から、利上げペースの減速に着手すれば、株価の底入れ感は強まってくるでしょう。
記事作成日:2022年11月7日
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ライター:佐藤 隆司
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