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wakonyusai
千々和泰明『日米同盟の地政学:「5つの死角」を問い直す』
平和学徒の僕は“Si vis pacem, para pacem”(汝平和を欲さば、《戦争でなく》平和に備えよ)という言葉の信奉者だが、本書をたまたま見かけて久しぶりに国際政治の視点からじっくり考えてみることにした。
「一国平和主義」に「第三者的視点」で切り込む論点は、リアリズムの世界での我々の生き方に目を開かせた。「非核三原則」などという建前も含めて、事態の説明が言い訳や隠蔽に終始し、密約で物事が進められているとしたら、どうだろう。一般人もたまにはこういう本で思考訓練をする必要があると思った。
「おわりに」で示されている3つのケーススタディを読んで思わず唸ってしまった。このままだとその通りになるだろう。感情に流されるだけの意思決定、民意の醸成を防ぐために、学び続けなければならない。
「国際政治の世界では、軍事力の配備形態が時として言語以上のコミュニケーション手段となる」
なるほどと頷いている場合ではない。そんな恐ろしい状態を放置しないで、日本という特殊な立場にいるからこそできる平和のための哲学を発信していかなくては。
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