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赤ちゃんの行動と性格/育児心理・発達心理

赤ちゃん、幼児はとても多くの可能性を持っています。
親ならば誰でもその可能性を大きく広げてあげたいと思うでしょう。最新の研究によって、赤ちゃんや幼児には、秘められた能力があることがわかってきました。それを知り、様々な角度から子供をのばすことができたら…

「誰かの経験だけで作られた育児書ではなく、科学的な背景があるもの。でも、心理学や脳科学の専門書のように難しいのではなく手軽に読みたい」
本コラムはそういった人に向けてまとめたものです。認知心理学、発達心理学をベースに脳科学から赤ちゃんの行動や育児に参考になるようにアプローチもしています。学術的な視点だけではなく、色々な学問を横断的に使用しているのが特徴です。また、多くの育児書が月齢ごとにまとめられているのに対して、本書はあえて月齢ごとにまとめていません。月齢ごとに書くと自分の子供の現状部分しか読まない人が多いからです。

本コラムは「育児」をしようとしている人だけでなく、赤ちゃんに興味がある人誰もが読んでもらえるものになっています。単純に不思議でおもしろい子どもの発達とその背景を「へぇ〜」と楽しんでほしいと思います。また本文では「赤ちゃん」「子供」「幼児」といった記述があります。生後一歳までの子を「赤ちゃん」、一歳から三歳までの子を「幼児」、そして両方の子を総称して「子ども」としています。

もくじ/赤ちゃんの行動と性格
・おなかの中でハイハイする赤ちゃん
・人の赤ちゃんは生まれてすぐになぜ立てないのか
・赤ちゃんはなぜかわいく見えるのか?
・赤ちゃんの性格は「育て方」で決まる?
・支配的な親に育てられると、自発性がなくなる
・なぜ長男・長女はしっかりものか?
・はじめから持っている性格「気質」
・「座る」「ハイハイ」発達時期は個人差がある
・生後三、四ヶ月で消える不思議な反応
・なぜ赤ちゃんは同じことをずっと続ける?
・赤ちゃんの「微笑み」に隠されたヒミツ

おなかの中でハイハイする赤ちゃん
〜赤ちゃんの不思議な行動〜

赤ちゃんはお母さんのおなかの中で、様々な不思議な行動をしていることが、心理学や脳科学などの様々な研究によってわかってきています。 

妊娠二十週頃になると、お母さんは胎動を感じるようになりますが、実際に赤ちゃんが動き出しているのはもっと前、八週頃には手足を動かしているのです。そして、十五週目頃には多くの赤ちゃんが指しゃぶりをします。そして、赤ちゃんは、呼吸をしていないのに、呼吸をしているような動作やおなかの中でハイハイのような動きをしています。

こうした指しゃぶりもハイハイも生まれるまで続き、出産後になくなります。そして指しゃぶりは生後二ヶ月ぐらいから、ハイハイは八ヶ月ぐらいから再びするようになります。「おなかのなかでハイハイ」→「生まれてもすぐしない」→「数ヶ月後に再び現れる」。このようにおなかの中でしていた行為が出産と同時に一度消え、再びあらわれることは「U字現象」と呼ばれています。

また赤ちゃんは羊水を飲んで、おしっこをして、それを再び飲んでいるのです。これは消化の練習だと考えられている。羊水に砂糖を混ぜると、赤ちゃんの羊水を飲む量が増えたという実験結果もあります。

そして、陣痛の開始は母親の意思や状態ではなく、赤ちゃんの意思によっておこなわれているという説があるのです。赤ちゃんの脳から子宮を収縮させるホルモンが出て、母親の陣痛を起こすという。また、別の説でも赤ちゃんの分泌するホルモンが陣痛の指令を母親に送っているといいます。どちらにしても、陣痛開始のボタンがあるとすれば、それを押しているのは赤ちゃんなのかもしれないのです。赤ちゃんは私たちの想像を超えた行動をしています。

人の赤ちゃんは生まれてすぐになぜ立てないのか
〜生理的早産〜

人間の赤ちゃんは未熟なまま生まれます。馬や牛の赤ちゃんは生まれてすぐに立ち上がり、母親のミルクを探して飲む。しかし、私たち人間の子供は動き出すまでに半年以上の時間を必要し、完全に歩き出すまでに1年近くかかります。これはどうしてでしょう?

一般的には外敵のいる動物は、身を守るために生まれてすぐに運動能力が備わっていると言われています。私たちは外敵がいないから、未熟のままで生まれるのでしょうか?

その答えはもう少し別のところにもあります。

私たちの祖先は木から下りて二足歩行を始め、道具を手に入れ狩りをして肉食の生活になったのです。すると次第に脳が発達していくようになりました。ところが二足歩行のために骨盤が変形し、脳が大きくなることで出産が困難になってしまったのです。そのため赤ちゃんの脳が巨大になる前に出産しなくてはならなくなり、人類は未熟な状態で子供を産むようになったと考えられています。

生まれて間もない赤ちゃんは、頭を支えられずにひとりで歩くこともできないのです。赤ちゃんがひとりで歩くためには、もう1年お母さんのお腹の中にいる必要があるという考え方があります。

スイスの動物学者のポルトマンはこれを『生理的早産』と呼んでいます。最低限の運動機能を獲得するまでには1年間はかかり、文明社会の経済活動において子どもが自立するためにはさらに多くの時間(一般的に18〜20年)が必要となる。そのため赤ちゃんの心と体の成長、適切な発達には、親子関係や家庭環境が極めて重要になってくるのです。

本コラムを最後まで読んでいただけると
・赤ちゃんの性格は生まれつき?どうしたら変化する?
・どんな親がどんな子どもの性格を作る
・長男、長女と次男・次女の性格傾向、それはどうして?
・「座る」「ハイハイ」が周りの赤ちゃんより遅れていたらどうする?
・赤ちゃんがママの指に吸い付くのは?
・赤ちゃんが繰り返し動作をしたらママは何をしたらいい?
・赤ちゃんがママを見て笑う理由(ママがわかるのか?)
・ネグレクト(育児放棄・無視)されやすい赤ちゃんの特徴
・赤ちゃんが笑ったらママ・パパがすること
などがわかります

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