ヒトの寿命と学校の諸問題

※「小・中・高・大学の期間を1.5倍にする」という方面から、教育の未来について書いたもののまとめです。

洪水なり、戦争なり、目の前に時々刻々と変化し、悪化していく状況が迫っているような状況では、声の大きさと、説得力、文句があるなら殴り合おうぜ、という気勢のようなものがリーダーシップだったはずだ。そして、それは今も基本的、根本的には変わっていない気がする。それこそ、石器時代から。

速さという面で言えば、天災と病気の発作と救急医療以外に、1分1秒を争うような状況は、多くないように思える。確かに、技術の進歩はあらゆるものを速くした。したけれど、だから何なのか。寿命も延びたのだから、むしろ人間の側は、ゆったりと、倍の時間を使うべきなのではないか。

パワードスーツの研究も進んでいる。しかも老人が力仕事ができるように、という方向で進んでいる。軍事以外でこれができるのは日本の良さだ。となれば、『肉体の全盛期』という速さに合わせる必要も無いように思える。いや、多分無いのだ。小学校が6年である必然性は、どこにあるのだろう。

元服が12~16歳程度で行われていた時代の寿命は30歳程度と言われている。時代によって変動はあるだろうが、ここで注目したいのは、元服が寿命の半分程度のタイミングだったということ。2分の1成人式ならぬ、2分の1寿命。それなら、現代日本の適正な成人式は、40歳程度ということにならないだろうか。

適正な成人を40歳、現状の2倍と過程する。ならば、どうであろう。今の小・中・高・大を1.5~2倍で再設計したら、どうなるだろう。そこに、変更にともなう経済・社会システムの混乱以上の『困る』は存在するだろうか。つまり、為政者がなんか嫌だ、と駄々をこねる以上の、否定は存在するだろうか。

小学校課程を現行の6年の1.5倍、9年と考えてみよう。そこには多様性が溢れるようになる。ここに挙げた、職員室あるある様の構想が、9年の長期課程であれば、親だけでなく、本人の希望を含めて、検討できるようになりはしないか。なにせ、小学校9年生は、現行制度の中3に相当するのだ。

学習内容自体は増やさない。むしろ減らす方向で考えたい。受験等を一切考えず、必要なことをゆったりとした時間軸で学ぶのだ。かける時間のみを1.5倍にすることで、1日の授業は、3分の2に削減できる。分かりやすく言えば、6時間授業は4時間授業で良くなる。先生も生徒も、1日をゆったりと過ごせる。

1日の授業時数が4時間となれば、早起きがデメリットになるという話(詳しくは、こちら)に沿うこともできるだろう。始業時間は遅らせることができ、授業と授業の間もゆったりと確保できる。放課後もゆったりと使うことができる。補習だって、居残りだって、前向きにできる。

小学校が9年、中学校が5年、高校が5年、大学の学部が6年。もちろん、そのどの課程においても、学習内容は増やす必要は無い。既に『社会で必要な知識』は学習指導要領で定義してある。使える時間が1.5倍になったから、社会で必要な知識も1.5倍になるだろうか。なったら、不思議な話である。

もちろん、「命短し、学べよ人間」と子どもがいてもいい。能力が伴えば、ぜひ飛び級をしてもらおう。ここまで大きく変えた状況であれば、また、『学ぶ』人間の年齢の範囲が広がれば、1歳年上、2歳年下と机を並べることも、そこまで違和感のある状況ではなくなっていくだろう。

早く世に出て働いて金を稼ぐんだ!という人もいるだろう。ごもっともだ。小学校を卒業した時点で15歳。現行制度の『中卒』に相当する。労働法規上は問題無く働けるはずだ。もちろん、1日4時間授業なのだから、中学生も高校生も大学生も、空いた時間は働けばいい。副業をしてもいいはずだ。

想像してみて欲しい。人口の3分の1程度、40歳未満の人間が朝はゆったり起きて、4時間程度勉学に励み、空いた時間を好きに使う。さすがに3分の1のライフスタイルが変わるのであれば、社会全体のライフスタイルにも何らかの影響を与えるはずだ。

人口の3分の1の空いた時間。大金が動く。金が動けばビジネスになる。商売が動いて、政治が動くのは一番最後だ。社会全体が音を立てて変わる。もはや、ちょっとしたライフハックでは変わらない。少しの工夫で乗り切れるレベルは通り過ぎているように思う。

素地はある。なぜ小中一貫校や中高一貫校が人気か。カリキュラムを再編成して、長い時間の中で育てる方が良いからだ。現行の小中一貫校を、「小学校」と言い切ってしまえば、そこからすべてを始めることができるはずだ。

ここまでの大工事となれば、校舎の運用法、生徒のデータの管理方法など、ハード、ソフトの両面でも、大工事となる。お金が無いで済ませてはいけない。公共事業としてガンガンぶち込んでいただきたい。ちょこちょこではいけない。47都道府県、全自治体で一斉にだ。

(最後まで読んでいただきありがとうございます。何か一言、感想でも何でもコメントいただけると、死ぬほど喜びます。)

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