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「取り戻した勢い、活きた教訓」~2019 J1 リーグ第29節 vs ヴィッセル神戸~【レビュー】

皆さん太古の森と漆黒の獣です。
神戸戦のレビューになります、レビュー書き出してから初の勝ち試合です!やった!
でも時間が無さすぎてデータまで作れませんでした…。(涙)
よって今回は単純な雑感になります…。



プレビュー記事はこちら↓



細かい戦術レビューはコチラの方にお任せ!↓




(※この試合はDAZNで観戦しました)

それではいってみましょう。

試合結果

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【東京】
・前節鳥栖戦からスタメンの変更は代表帰りの永井に変えてA・シルバがスタメンに、システムは4-2-3-1に近い形。
・ベンチメンバーからは大森、ナサンホ、ジャエルが外れた(理由は不明)
【神戸】
・前節広島戦からメンバーを4人変更
・システムは変えずに人を入れ替える形になった
・イニエスタ、フェルマーレン、西がメンバー外
・負傷明けの藤本がベンチメンバーへ入った


戦前に予想していた形とはお互いにだいぶ違っていたのでかなり驚いた、特にゲームを作れるイニエスタ、フェルマーレン、西を外した神戸が、ここ最近好調だったスタイルをどうするのか全く読めないメンバー選考である。(ダンクレー・渡部・オマリは読めないって…)
東京永井を外して、代名詞だった4-4-2を今季リーグ戦では初めて変えてきた。この高萩トップ下をどのタイミングで準備してきたのか非常に気になるところである、神戸のメンバー変更を想定しての形なのか、それともメンバーに関わらず神戸対策という形で事前に仕込んで来たのか…。
兎にも角にも待ち受ける形を得意とする東京としては神戸の出方が非常に気になる立ち上がりとなった。



■前半(1) ~ サンペール封じ ~

結論から言うと、神戸はメンバーは変えてもやり方はほとんど変えてこなかった。後ろ3枚+飯倉を使ってビルドアップ、サンペールを経由してというスタイルである。
東京ディエゴが渡部、ダンクレーオマリには両SH、サンペールには高萩が見る形、それほど激しいプレッシングという訳では無かったが、これが狙い通りに嵌る。
序盤、大崎、フェルマーレンがいない神戸の3CBからは長いボールが選択肢としてあまり無かったのかもしれないが何処と無くぎこちないビルドアップは尽く東京の中盤に引っかかっていた。
特にサンペール高萩にぴったり付かれているにも関わらずボールが出てくるので非常に厳しい状態であった、4分には高萩が奪って入れ替わり、サンペールが堪らず引っかけてファウルにしてしまったシーンは序盤を象徴するシーンだったかも知れない。
先制点もこの状況に業を煮やしたのか、自陣のスローインを受けにきたビジャがロストして、そこからショートカウンター気味に生まれたゴールである。
東京は攻撃においてもサンペール周辺のスペースを意欲的に使った、元々守備自体に強みがある選手では無いサンペールにはこれもキツかった筈、フラストレーションも溜まっていたのか高萩に対して同じ様な繰り返しのファウルからイエローカードをもらってしまう。
高萩は攻守においてサンペールを完璧に近い形で封じ込めて、機能不全と判断したフィンク監督は前半途中でサンペールを下げて小川を投入する。
「サンペール封じ」完遂である。
イニエスタや西がいればサンペール以外にも受け手がいたし、大崎やフェルマーレンがいれば飛ばしてロングフィードという手もあったろう、そういう意味ではサンペールにとっては酷な状況で気の毒な交代ではあった。



■前半(2) ~ 蘇ったパフォーマンス ~

策が上手くハマった東京であったが、全てにおいて完璧では無かった。神戸としても逃げ場が無かった訳では無くサンペールを飛ばして東京両サイドの裏側にビジャ、田中、古橋、山口を走らせるパスを出せば数的には同数の質的勝負を仕掛けられる状況であった、東京としてはビルドアップを封じ込める為にはそこに関しての不利は許容していたように思う。
ただその部分を許容するのも納得の室屋、渡辺、森重、ジェソクのパフォーマンスであった。
神戸が中央のビルドアップに拘ってせいもあり(ここは何故なのか純粋に疑問である、前半良い形が出来た時はサイドからだったのだが、神戸はあまり使おうとはしてこなかった)数は少なかったものの、前半に関しては決定機を作らせなかったのは守備陣の貢献度大である。
更にパフォーマンスが良かったのは守備陣だけでは無かった、この日の東京はスペースがあった事も影響していると思うが、ここ2試合の様に相手の密集エリアに突っ込んでいくのでは無く、空いたスペースを上手く使いないがら敵陣深くに中央サイドと拘り無く進んでいった。
特にディエゴはここ数試合サイドに流れて孤立するきらいがあったのだがこの日は中央で受け玉離れも早く、周囲と上手く関われていた、特に3点目の1人で神戸CB2人を無力化して橋本にアシストしたプレイは地上戦ならやはりリーグ屈指の選手なのだと思い出させてくれた。
またシルバは主にサイドの神戸守備陣が掴まえにくい位置で受けては前に好パスを配給、まさかのゴラッソを決めて周囲驚かせる活躍振りだった。(あんなの聞いてないし、何なら本人が一番ビックリしていたのでアレを常に期待してはいけないと思う(笑))
そして高萩は言わずもがなである、相手キーマンを完封して交代に追い込み、更にはゴールまで決めてみせた。
この様に前半に関しては全体的にパフォーマンスが素晴らしく、完全に良かった時の勢いあるプレイをチーム全体が行えていたところに3-0という結果が付いてきたという印象である。
勿論この2週間で落ち込んだチームのモチベーションと策を準備して実行させた長谷川監督とベンチスタッフもお見事である。

この様にほぼ完璧に近い形で前半を折り返す事が出来た、ここまで相手の先手を完璧に取れたのは4月のホーム鹿島戦ぐらいか、東京の必勝パターンとしてはこれ以上無い出来すぎな形で思わず筆者も「勝ったな」と思いました。



■後半(1) ~ 試練の時間 ~

サンペールがいなくなって代わりに山口蛍がアンカーに入った神戸は攻撃はともかく守備に関しては落ち着いてきた。
となると攻撃である、3点ビハインドの状態なので遮二無二に点を狙いにいかなければならない神戸がかさにかかった攻撃をしてくるのはこの時点で明白である。
それこそ前節の鳥栖の比では無い勢いでくるだろう予想していたので、東京が前節の反省をどう活かすのか注目の後半である。
フィンク監督が前半何故修正をしなかったのか分からないくらいに神戸は後半頭からサイドを使って露骨に東京を押し込みにかかる、神戸のWBには東京はSBが対応するのでIHの古橋、小川にはシルバと三田が対応する訳だが、守備も頑張っているとはいえ明らかに分が悪かった、サイドの深い位置まで運ばれてクロスが上がって来るようになる、そして東京のSBがヘルプに行こうものならWBからクロスが入ってくる、という事で東京は徐々に後ろのサイドのスペースを気にして後ろに重たくなってくる。
更に疲れてきた前線は神戸の3CBに制限をなかなかかけられなくなってきて、深い位置まで運ばれるてしまう。
長いパスは不得意でも敵陣まで運ばれば短いパスで味方に繋げる、更に敵陣で即時奪還出来るという事でしばらくずっと「神戸のターン」になりつつあった。(ディエゴが裏に抜けたシーンで決めきっていれば神戸の気勢もだいぶ削げたのだと思うのだが……)
55分渡辺に完封されていたビジャ→ポドルスキ神戸、シュートもいけてパスもクロスもあるポドルスキを入れて更に東京守備陣を圧迫にかかる。
まさに鳥栖戦の終盤アゲインである、案の定クロス対応の連続からかCKを取られる事が多くなり、キッカーとしても素晴らしいボールが蹴れる田中からオマリにピンポイントに合わされて一点を返されてしまう。(マーカーはで、マークを離してしまったが、良いキッカーがいるチームにCKを与え続ければいつかはそうなるからこれはチームの責任だろう)
東京はここで永井を疲れの見えていたディエゴに変えて投入、これは元々の予定通りの交代だと思うが、永井の特攻プレスに関しては神戸の後ろ全体に制限をかけていたディエゴに比べてさしたる効果あげられず、多少勢いは押し戻したとはいえ厳しい展開は変わらなかった。
正直負けしないとは思ったがこのまま押し続けられれば同点まであるかも知れないと思っていた矢先に東京が更に動く。

■後半(2) ~ 成功したクローズ ~

81分東京は三田→岡崎、現状の布陣では神戸のアタックに対して対処が難しいと考えたのか後ろに人を増やして物理的にスペースを埋める形、5-4-1気味になる。
それでも直後に大ピンチが連続する、古橋にCKを奪われるとこの日、好キックを連発していた田中から渡部へ、再びピンポイント合わされやられた!と思った瞬間「残念、そこは高萩だ」スーパークリアで事なきを得た。
更に1分後、投入されて打ちたくてうずうずしていたであろうポドルスキにコースを空けてしまい強烈なミドルシュート打たれる、これもやられた!と思った瞬間「残念、そこは林だ」スーパーセーブである。
この2点のどちらかが決まっていれば試合の趨勢も変わっていただろうし、結果論ではあるが神戸の勢いも少し削がれた感はあった。
この試合最大の危機を乗り越えた東京神戸にもさすがに攻めに疲れが見えてきた事もあって落ち着いて対処出来るようになってくる。
神戸渡部→藤本、スクランブルでもなんでもゴールを狙う更なる攻め手ではあったが、これによって少し前線に停滞感が出てしまった様に感じた。
そして東京は最後のカード、この日も灰になっていたに替えて内田を投入する。
前節は同じ様な展開で出場機会が無かった内田、両SMFが脚が攣る中で選択肢に入らなかったのは相当悔しかっただろう。
投入直後から素晴らしい動きを見せる、ボールを受けると左サイドを駆け上がり前がかりになっていた神戸の後ろのスペースへ運ぶ、攻撃を仕掛けようと思えば仕掛ける事も出来たがオジェソク、岡崎らと連携してボールをキープする。
前節は投入したナサンホやジャエルの動きからはどういう意図があったのかイマイチ不明瞭であったが、この試合ではしっかり試合をクローズするという意志を感じるプレイであったし、そのタスクに応える投入された選手達の働きだった。
このキープによって完全に神戸の勢いは死んだ、前から奪いにもいけなくなった神戸を尻目に東京はボールを回してそのまま試合終了、久し振りに勝利のホイッスルを聞いた。



■あとがき

事前にどこまで用意していたか不明だが、今シーズン初めて東京が相手に合わせて形を変えて、尚且つそれがハマった。
更に前節は手痛い失敗をした試合のクローズもこれまた初めての形にも関わらず交代選手がしっかりタスクをこなして成功、厄介な神戸を相手にこの結果はここ最近の停滞していた空気を払拭するに余りある結果と言っていいだろう。
勿論後半押し込まれ続けた時間はあったし、スーパークリア、スーパーセーブもあったのは事実であるが、大事なのは勝ちきって3ポイントを取りきったという結果である。
これで首位の鹿島と勝ち点で並んだ、次も曲者「大分」である。
アウェイ8連戦も残り2試合、今節で取り戻した勢いと新たなる自信を糧に臨んで欲しいと思う。

首位で味スタに帰ろう。

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