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「プラン通りの勝利を演出した献身」~2019 J1 リーグ第30節 vs 大分トリニータ~【レビュー】

皆さんこんにちは、太古の森と漆黒の獣です。

30節大分戦のレビューになります、8月以来の久々の連勝です!!

この試合はDAZNで視聴しました、実況キャスをやったので気になる方は是非!

そしてプレビューはこちら↓

それではレビューいってみましょう!

【東京】
・前節の神戸戦からシステムは4-4-2に戻し、永井がスタメンに
・ベンチメンバーに大森が復帰
【大分】
・前節浦和戦からのスタメン変更は2名、長谷川→島川、小林(成)→三平、オナイウはベンチスタート

■前半① ~立ち上がり~

前回味スタでの対戦ではオールコートプレスとも言えるような激しいプレスで大分を窒息させて、主導権を奪うことに成功した東京。
神戸戦からシステムとスタメンを「いつもの」形に戻したのはおそらく同じイメージで臨む意図を感じた。
試合の立ち上がり、東京は繋ぎは意識せずシンプルに前線へ長いボールを蹴りこんでいく、意図としては大分の3CBに対して東京の2FWが質的な優位性があると考えて、良い状態で受けれるなら早めにボールを付けていこうという判断だったと思われる。
大分がボールを保持した際は、味スタでの対戦程には徹底して相手陣までプレスをかけるというよりは、4-4-2でセットした形を優先して、いける時には連動して奪い切るイメージ。行くか行かないかの判断は2トップに委ねていた印象だった。
大分としてはこれは予想していた形ではあっただろう、3分にはプレスを掻い潜って小塚→後藤を経由して左サイドの田中に良い形で渡って室屋と1対1の状況を作り出した、高萩のプレスバックで事なきを得たが、大分の狙いが分かるようなこのシーンだった。
東京は前からプレスにいった背後のスペースを突かれた形だったが、ここに関しては室屋、渡辺、森重、ジェソクの能力に頼って割り切っていた様に思う。
リスクは許容しながらも前で奪って大分の3CBが晒された状態で2TOPを起点にして早めに勝負したい意図を感じる立ち上がりだった。

■前半② ~理想的過ぎた2得点~

そんな中で東京がいきなり先制する。
大分が自陣保持から中央を経由して右サイドに展開、小塚と後藤で突破を試みるが橋本がプレスバックからボールをカット、拾ったボールを森重→東→高萩と最終ラインから細かく繋いで中央へ、高萩は攻めに合わせて高くなっていた大分のディフェンスラインの裏へのスペースへ浮かしたロビングパスを出す、これが永井と大分CB岩田と鈴木の中間の位置のスペースに落ち、スピードに勝る永井が頭でつついてカバーに飛び出して来たGK高木を交わして無人のゴールに流し込んだ。
大分側のミスによる比重が高いゴールではあったが、奪ってからのスムーズに切り替え、裏をシンプルに使って永井の能力を活かした東京らしいゴールでした。

更に直後追加点が入る、大分が自陣でビルドアップで繋いでいる場面で東京は永井が一気にチェイシング、更に左サイドの東が岩田をコーナー付近まで追い込み、岩田が苦し紛れにGK高木に戻したがゴールラインを割りCKを獲得する。
このCKを三田が蹴りゾーンで守る大分DFの間に入り込んだ渡辺がニアサイドで合わせて2点目を奪う。
大分として空中戦に強い選手がいないのでゾーンを採用しているのだろうが、三田のようにピンポイントで合わせられる選手がいるとどうしようも無いところではある。
渡辺は空中戦の強さが攻守に発揮出来るようになってきた、特に三田がいれば東京にとっては大きな武器になると感じさせるゴールだった。
更にこのCKを獲得する要因になったのは永井のスイッチを起点にしたプレッシングである、これも狙いにしていた部分で意図して獲れたゴールといって差し支えないであろう。

前節に続き早い段階でゴールを奪った東京、あまりに理想的過ぎる展開である。

■前半③ ~献身性でカバー?~

2得点を奪った東京、前半は残り40分近くあったが戦い方はそこまで変わった印象は無かった様に感じた、プレスに関しても緩めた印象は無く、2TOPをスイッチ役にして大分へのビルドアップを前で阻害する意識は高かった。
その後も大分陣内でプレスからボールをカットして決定機をつくるなど前半30分くらいまで大分のボール保持からの擬似カウンター戦術を封殺する事に成功していた東京だったが、30分以降は大分にもチャンスを作られるシーンがあった。

32分プレス回避の縦パスが鈴木から中央の小塚に入り一気に後藤まで渡ってカウンターに、ジェソクが上がっていた背後のスペースを右サイドの松本が突くが懸命に戻った東が何とかカットして事なきを得る。
39分右サイドの岩田から低い位置からのアーリークロス、渡辺と室屋の間に入った後藤が落とし、小塚に決定的なシュートを放たれてしまうが、ここは渡辺が懸命にコースを消してシュート自体は枠外へ逸れた。
更に右サイドの三田がCBまでプレスに出たところで右WB田中にボールが出ると室屋との1対1が仕掛けられる状況を何回か作られてしまっていたが、ここは室屋が粘り強く対応して何とか防いでいる形であった。
その他にも自らのロストからカウンターを喰らいそうな場合もあったが各々の能力と献身性でカバー!!といった前半の守備だった。
それでも大分のやりたいサッカーに関してはかなり封じ込む事は出来ていたので狙いは成功したと言ってよい前半だったと思う。
大分的には志向しているサッカーから考えるにガッチリ引いた相手、特に東京の様な先行逃げ切りを得意とするチーム相手に2点ビハインドで後半に入るのはかなり厳しい状況といえる。
東京が前から来るのは予想はしていたであろうから、片野坂監督としては早い段階での2失点は痛恨の極みだっただろう。

■後半 ~受けて勝つ!は正解?~

そして後半である、簡潔に書くと大分がとにかくボールを保持して東京は自陣で守備を固めて、そのまま凌ぎきった。
要は神戸戦の後半アゲインである、東京は非保持では守備基準を後ろに下げて永井一列降ろしたを4-4-1-1という様な形で、大分の保持攻撃を受けるという選択をした。
この東京の守備に関しては試合後にこう言った声を見かけた。

「下がり過ぎて怖い」
「前からプレスをかけて欲しい」

確かに見方によっては一方的に押し込まれている形であるから非常にハラハラする形であるし、無理もない声である。
では何故、後半の東京はここまで極端に引いたのか?

【体力、交代選手の問題】
前半に見せたプレスは確かに有効であった、特に永井とディエゴのチェイシングは回数、質ともに素晴らしい出来で大分のビルドアップを阻害していた……が、問題は体力である、いくら涼しくなってきたとはいえ90分を通して同じ強度のプレスを続けるのは不可能に近い、更に交代で控えている選手に同じタスクを求めるのは難しいのである、田川、サンホとタイプが違うのだから。

【耐えきれる自信】
単純に下がって受けても耐えきれるという自信である、特に大分の選手は裏にスペースがある際に威力を発揮できるタイプが多い、サイドは東、三田が下がる事によって田中、松本、岩田に深く抉られるシーンは少なくなった。上がるクロスもアーリークロスが多く、これなら渡辺や森重といったDF陣は視野の中にボールと相手の選手が同時に収められるので対処としては幾分楽になる。更に大分の前線には高さが無いのもプラスに働いたかと思う。(オナイウは多少高さがあるがそれでも空中戦が得意とは言い難い)
鳥栖では豊田に、神戸にはポドルスキや古橋がいたが大分には個でゴリ押す攻撃は難しいのである。(林の判断ミスで一度決定機は作られたが橋本のナイスカバーで事なきを得た)

唯一怖かったのは後藤が後ろに走り込んでディフェンスラインを後ろに引っ張って空いたスペースに大分の選手がドリブル突破などを仕掛けてくる形だったが、ここは橋本や高萩が頑張ってカバーをする事で防いでいた。
後藤がオナイウに変わってからはこの裏に引っ張っる動きも無くなったので更に守り易くなった様に感じる。

個人的には以上の理由からチームが選択した守り方に問題は無かったと考えている、守りきる能力があるなら尚更である。
課題としてはやはりトドメのゴールではないだろうか、後半に決定機が少なくとも2回はあったのでそこで刺しきれて入ればもっと余裕をもって受けれたであろうから、そこが不満と言える部分かも知れない。

交代で入った大森、田川は良かった。
特に大森はボールを受けて時間を作れる、守備の際には危険なスペースをしっかり埋める、クローザーとしてお手本のような働きであった。鳥栖戦も彼がいれば試合の様相は変わったものになったであろう。
神戸戦に続きしっかり交代選手がタスクをこなしていたと思う。

■スタッツ比較 ~走力で優位に~

比較として言及したいのは走行距離とスプリント、特に大分は走行距離がリーグでも上位のチームなのだが、それを上回る形になったのは守備で走り回った結果だろう。
そしてスプリント202回の内、49回は永井である、シーズン2位のスプリント回数を記録した永井の献身あってこその勝利であった。

■まとめ

他の上位陣も勝った中で難敵大分にしっかり勝てたのは非常に価値がある。
これでアウェイ8連戦もあと一試合、更にトータルでも3勝2分2敗と勝ち越し、次の試合も勝って味スタに帰って来たい。
一戦必勝、まだまだ優勝をかけた闘いは続く。

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