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「Continuation is power (継続は力なり)」~2019 J1 リーグ第27節 vs 松本山雅FC~【レビュー】

皆さんどうも、太古の森と漆黒の獣です。
今回で2回目となるレビュー記事になります…勝ちレビュー早く書きたいっス…(笑)

プレビュー記事はこちら↓


例によって戦術的な事はあんまり書けないので試合を振り返っての感想になります。
(※この試合は現地で観戦しました)

細かい戦術レビューはコチラのお二方をにお任せ!↓

東京が苦労した原因が分かるよ!読んでね!



それではいってみましょうか。

先ずは試合結果とフォーメーションになります。

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【東京】
・前節からの変更は右SMFを大森→三田
・バーグナーガンデ佳史扶がリーグ戦では初のベンチ入り
【松本】
・反町サッカー十八番の3-4-2-1では無く3-3-2-2(3-5-2)にシステム変更
・永井(龍)、町田、杉本、藤田、岩上と前節から5人メンバーを入れ替え


■前半(1) ~ 想定外?からの想定内?~

東京は三田を大森に替えて先発で起用、狙いとしては主にバランスを見れて守備での貢献度が高い大森より、守備面にはやや不安はあるけどもディエルが大森より強く、セットプレイのキッカーになれる三田をと考える。
松本相手ならボール保持主体になると予想して、個人でも剥がしにいける三田を起用したのはまぁ割と納得出来る話である。

対する松本はソリボールの代名詞とも言える3-4-2-1からシステムを3-3-2-2に、更にフィジカルとハードワークよりテクニカルでスピードのあるメンバーを起用してきた。

正直ビックリのスタメンである、前夜にこんなツイートをしてた事もあり「裏をかいて保持してやるぜ!」なのかと…「だとすればこっちとしてはむしろやり易くなるのでは?」等と思いながらキックオフを待った。

キックオフしてから松本がどう出るのか、それは東京イレブンも予想がつかなかったと思われる。
序盤は橋本がCB間まで下りる等して、松本がどの程度まで追って来るか様子見をしていた。
しかし松本は特に前まで追ってはこない、自陣まで東京がボールを運んで来ると、たまにキツくプレッシャーはかけてくるが、基本は撤退して背後のスペースを人で埋める形をとる。
ボールを持っても特に保持に拘るでも無く、前線の永井(龍)の動き出しに合わせてシンプルに裏を突いてくるという形。

想定外のスタメンから想定内の動き、最初は様子を見ていた東京、松本が保持に拘らず前からもこないとなるとゆっくり保持しつつ攻撃を仕掛けていく。
スタメンとシステムこそ驚きだったが、結局予想していたような展開になり、些か拍子抜けした様な立ち上がりだった。

■前半(2) ~ 課題に向き合うが故の自縄自縛 ~

これは後半もそうなのだが、東京はこの試合やたらと崩す事に拘っていたように感じる。おそらく松本が非保持で自分たちが保持する時間が長くなると踏んで想定はしてきただろう、引かれて保持する試合は昨年からずっと抱えてる課題である。
これを克服したい意思はピッチ上から感じるものの、シンプルにクロスや裏抜けを使える場面でも固執に近いような遅攻をみせていたのが気になった。

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Football LABのマッチリポートによると前半の東京のプレイ分布は右サイドに寄っていた。
右サイドを中心に崩しにかかっていたのだが特に再現性がある攻撃は無かった、特に三田と室屋に連動して崩す意識をあまり感じず、それぞれ単発での仕掛けでも何回かはチャンスになりかけたのだが最後の精度の問題(クロスの質など)もあり前半は決定機には至らなかった。
対して松本、こちらも保持してからの動きに何か狙いを感じるものは無かった、ただ基本的に永井(龍)を目掛けて裏へ出したボールを蹴り、こぼれたボールをセルジーニョ、町田、杉本が拾う、中盤で東京のボールを引っ掛けてのショートカウンターとやる事がハッキリしている分やりきれていた印象がある。
森重と渡辺は上手く対応していたが、前半10分には簡単に入れ替わられて町田に決定的なシュートを撃たれるシーンもあった。
前半はこのまま0-0で折り返し、松本の狙い通りと言えばそうなのだが、じゃあ東京にやられそうな雰囲気があったかと言えばそうでも無かった。お互いに保持させられた時の仕掛けに関しては乏しい感じで、オープンになった場合が勝負の分かれ目になるかなと思いながら後半へ。


■後半(1) ~ 左のノッキング ~


後半も立ち上がり、保持する東京に待ち構える松本という構図は変わらずであったが、東京は右に偏重していた前半から左を中心に攻めにかかる。

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しかしここで問題、左SBは小川負傷離脱後は途中加入のオジェソクがつとめている、守備では安定感抜群で非常に心強い選手であるのだが本来は右利きで右SBが適職な選手、小川に比べて基点となってビルドアップなどは出来ない、ジェソクのこの攻撃と守備のトレードオフが気にはなっていたのだが、一番顕著になった試合かもしれない。プレーエリアをみてもミドルサードのエリアで受けるものの、そこの先へ進む事がなかなか出来なかった。ジェソクの受ける位置という問題もあったが、ディエゴや永井が左に流れてきて受ける場合も多く、唯一ジェソクが活きる縦への突破のコースが塞がれてしまっていた。
一度深くへ侵入した時はグラウンダーのクロスから永井が合わせてサイドネットというあわやのシーンを作り出せたので、まったくもって機能していないとは思わなかったが、このジェソクの活かし方もこの先の課題であると感じた。

■後半(2) ~ 仕留めきる力 ~

ずーっと東京が攻めあぐねていたかと言えばそうでも無かった。55分~70分頃には多少疲労が見えてきた松本側の裏やサイドのスペースが空くような時間帯もあったのだが、東京はここで仕留めきれなかった。問題は色々とあると思うのだがひとつにディエゴの動きである。この日も頻繁にサイド動いてボール受けていた、異次元キープ力を持つ選手故にどうしても東京の選手は彼にボールを預ける、しかし松本としてはサイドのゴールから遠い位置で持たれても戻る時間を確保出来るし、何より一番怖い選手がゴール前にいないのである。多少オープンな展開にはなったがそのスペースと時間を活かして決定機を作れたかと言うとそこまでは作れなかったのは東京からすると、前半から拘り続けた保持での「自縄自縛」が影響したとは個人的に感じるところである。

■後半(3) ~ パワーダウン ~

オープンな展開が落ち着いてきてここで終盤にかけて交代カードを切ってくる、東京は永井→ナサンホ、三田→田川、ディエゴ→ジャエル。
試合終了後にはこの交代選手達の出来について色々と苦言も見かけたが個人的には選手というよりチームの戦い方の問題だと感じるので何とも言えない。
東京は「初手100%」のチームである、言わば一の太刀で相手に深手をおわせて勝ってきた訳で、酷な言い方になるが交代カードは「脇差し」である。
スタメンが不動でそのスタメンに合わせたチューニングをしている以上、彼らはそのスタメンと同じ動きを要求されるのだが、サンホや田川は永井では無いし、ジャエルはディエゴでは無い、交代選手に合わせて柔軟に戦い方を変えるのでは無くスタメン組の替わりとしてピッチに送られる訳であるから変われば変わるほど本来の100%からは落ちていってしまうのは道理というものだろう。極めて属人的なサッカーを志向する故のジレンマである。ルヴァンや天皇杯でメンバーが変わると途端に力が落ちてしまうのはそういう事である。
脱線してしまった感があるが、兎にも角にも東京は交代カードを切る度に迫力は少なくなり、松本は決定機こそそこまで作らせなかったとは言え、自分達も消耗から再度攻勢をかけるまでに至らず、試合はそのままスコアレスで終了した。

■スタッツ 

~ やり切れたのは松本? ~

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試合終了後のスタッツである。
東京はボール保持に関わる平均より数値が高めのスタッツになっているが、これは不得意な戦い方を強いられたという事でもある。
スプリント平均より30回以上少なくなっているのが脚を止められたという何よりの証明だと感じる。
松本は想定内の数字だろう、守備ではキッチリ守りつつも少ない手数で攻撃をやり切れているのが数値からも見てとれる。

~ 個々の戦いに打ち勝て! ~

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気になったスタッツを書き出してみた、デュエルに関して東京は分けと負け合わせて11試合、内デュエルで勝利した試合は4試合しかない。質的優位をもって試合を進めるチームが故に個々の戦いで相手を上回れない場合は非常に厳しくなってくる。

~ セットプレイに活路を ~

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空中戦の勝率である。一見すると互角近くに見えるが東京が主に勝っていたのは守備時の空中戦である。この試合CKは7回、クロスは23本も上がっていたがいずれも大きなチャンスに結びついたシーンは無かった。松本のような固めてくるチームにはセットプレイは重要な部分になってくるのだが、平均身長で上回り、尚且つ三田というキッカーがいながら勝率でも下回るというのは中々に厳しい現実。


■監督コメント~ 

[ 反町 康治監督 ]
われわれの立場からいうと、やはり勝点3を取らないといけないというのは、どの相手でも同じです。そういうところから逆算して、準備をしてきたつもりではいます。現時点で日本のトップ・オブ・トップですから難しいゲームになるのは承知の上で準備してきましたが、最後の笛が鳴るまでよくやったと思います。

[ 長谷川 健太監督 ]
--勝点1はしっかり守り切るというスタンスだったのでしょうか?
あまり勝点1を失うとかは考えず、得点を取る思いで、選手たちも取られたら取り返す思いでプレーしていた。今日は山雅の選手がよく戦って、だいぶメンバーも替えてきた中で気持ちを出して戦ってきた。うまい形で崩し切ることにはいかなかった。点を取らないと勝てないので、取るような刺激をチームに与えようと思っています。

--相手の土俵で戦った印象もある。スペースのないところを崩すことが難しそうでしたが?
本来なら山雅も両ウイングバックが縦ズレして積極的に前にディフェンスに来る。ただ今日はあまり来なくていいと、反町(康治)監督の指示でスペースを消してきたのだと思う。今日は三田(啓貴)を起用したが、スペースがない中でも相手の背後を突く作業をもっともっとやらないといけない。後半はボランチも攻撃参加して、惜しい場面も作ることができた。さらに押し込む作業は必要になる。ただアルウィンでの試合は難しい。そんなに簡単に勝点を取れるスタジアムではない。選手たちもパワーを持って戦っている。今日はしょうがない。切り替えていくしかない。


両監督のいう様に今回は松本がしっかり自分たちに与えられたタスクを良くやりきったと見るべきなんでしょうね。
松本は実は失点数がリーグで7番目に少ないチーム、そのチームに守りを固められると自らアクションをどんどん起こしてチャンスを作るチームでは無いですから、後は理不尽ゴールかアクシデントでも起こらない限りは厳しい訳です。反町監督としてはゴール以外はしてやったりの試合でしょう・・・。
さすが嫌らしさではリーグでもトップオブトップだぜ!(褒めてます)


■あとがき

ドローに終わったが1ポイント稼ぎ依然首位はキープをしている。試合後は「まだまだ引き離すチャンスに勝てないチーム」「こういう下位に勝てない様では優勝は無理」「まだ首位だからなんて言っていられる場合ではない」等々の悲観的な声が聞こえてきて些か驚いた。
確かに下位の松本相手に3ポイント取れなかったのは痛い、だがそれは2位鹿島、3位横浜とて同じ事である。(札幌は下位じゃないけどね)
サッカーとは相対的なものであるから鳥栖は松本では無いし、今日の内容がずっと続くと決まっているわけで無い。
驕ってはならないが数字上1ポイント差でリーグの首位にいるのは紛れも無く事実であるし、いままで積み上げてきた勝ち点が証明してる。
「我々は挑戦者」「目の前の試合に全力」意気としてそれは良しとしつつも、数字上は我々が一番優勝に近い位置にいるという現実は忘れずに残り7試合を楽しんでいきたいと個人的には思う。
楽観は出来ないが悲観もしない、いままで進んできた道のりを、戦い方を信じてやり抜く気持ちをもって次の鳥栖へ向かいましょう。


■おまけ

~ 変わらず松本はいいところだったよ ~

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データ参照・引用サイト

Football LAB
https://www.football-lab.jp/

Soccer D.B.
https://soccer-db.net/

ファンタジーサッカー研究室
http://www.fansaka.info/

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