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「仲間を見送りつつ、掴みつつある感触」~2020 J1 リーグ第5節 vs 浦和レッズ(H)~【レビュー】

太古の森(以下太古)「皆さんどうもこんにちは!」
漆黒の獣(以下獣)「今回は橋本拳人ラストゲームとなった浦和レッズ戦のレビューになります。」
太古「浦和相手に16年振りに味スタで勝利しつつ、笑顔で橋本を送り出すことが出来ました。」
獣「16年前、当時はまだ東京のファンでもありませんでしたが、最後の勝利を実は目撃してたんですよ、まさかあれ以来の勝利とは・・・。」
太古「もっと嬉しいかと思ったんですけどね、案外すんなりっていう感じで・・・。」
獣「橋本の壮行的な部分が印象強かったのと、試合も東京の思惑通りに運んだ事も大きかったかもしれませんね、正直2点差になった時点でかなり安心して見ていられましたから。」
太古「そんな浦和戦の振り返りをしていきます!」


■試合雑感

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太古「先ずこの試合を振り返ってみてのざっくりとした感想は如何でしょうか?」
獣「試合を観ての結果論になってしまいますが、東京としては浦和とこのタイミングで対戦できたのは良かったなと思いますね。」
太古「タイミングですか?」
獣「ええ、橋本拳人の東京での国内ラストマッチ、是が非でも勝って送り出したいところに長年勝てていない天敵の浦和が相手と来れば、否が応にもモチベーションは高いでしょうし、実際明らかに高かったですから。」
太古「他にこのタイミングで良かったと思う部分はありますか?」
獣「チームの熟成度の違いですかね、どちらも今シーズンは試行錯誤しながら戦っていますが、より土台というか下地があるが故に、東京の方が最終的に「力」の差で押し切れた印象はあります。とくにマリノス戦で勝利して自信は取り戻したタイミングだったので、チームで自分たちの良い部分を信じて闘えたのは大きかったと思います。」
太古「浦和はその点で足りなかったと?」
獣「東京が2018年から長谷川体制でコツコツ積み上げて来たわけですが、浦和もまた実質今年が大槻体制の初年度ですから、開幕から結果は出ている中でも手札はやはり限られてしまう試合では苦戦するということでしょうね、勝ったから言えるのですけども。(笑)」
太古「東京のテンションに比べてチーム全体の熱量が低い様な気がしたのですが。」
獣「チームの狙いが嵌らない、目指す戦い方の幅も限られる状況では中々テンションを上げていくのは難しいでしょうね、そこに関しては東京が上手く試合をクローズ出来たのはあると思います。特に後半はもっとオープンな展開にしたかったでしょうけど、早めに2点目が取れたことで東京の戦い方がハッキリしましたから。」
太古「そういう意味でも大槻監督が言うように自分達が流れを悪くして戦いにくくしてしまったと・・・。」

[ 大槻 毅監督 ]
敗戦を喫しましたけど、失点の時間帯であったり、形がもったいなかったなという思いがあります。また、選手のところでいろいろなアイディアを持って、もう一度点を取ってというところにチャレンジしましたけどかないませんでした。 ~中略~ 先に(点を)取られたことがすべてだと思います。先に取られたことで相手が構えてカウンターを狙うという形になったので、ああいう形にならないようにしてスキームが進められれば良かったなと思います。

獣「コメントから察するに浦和東京と同様に、相手が出てきた所を逆に指す形にしたかったのだと思いますが、先手を取られてしまった事で難しくなってしまったのでしょうね。」
太古「四苦八苦している感はピッチからも感じ取れました、試行錯誤しながら何だかんだ結果を出して射た中での初めての敗戦、ある意味多摩川クラシコ東京が敗戦したときに状況は似ていますね。」
獣「そうですね、東京とは負け方はちょっと違いますけど、浦和も次節の柏戦が大事になりますよね、負けた次の試合でしっかり方向性を確認出来るかという意味ですが。」
太古「一方の東京はそんな状況の浦和相手でしたが、クリーンシートでしっかりと勝利することが出来ました。」
獣「長谷川監督もコメントしていますが、雑に言うとシステム的な不利を無理矢理選手のパワーで埋めた感じがします。(笑)」
太古「この試合も前節のマリノス戦と同様に「この試合の結果のみ」を追い求めて見事に果たした訳ですね、メンタル的にも選手がこの試合に臨み易い環境ではあった訳ですね。」

[ 長谷川 健太監督 ]
前半は少し相手に合わせてスローなテンポで、序盤は様子を見るというかアップテンポにできなかったです。飲水タイムに自分たちでテンポを上げるようにと話して、徐々に上がっていきました。前半最後に良い形で先制して、後半は落ち着いてゲームを進め、交代で入ったアダイウトンが追加点。理想的な展開で浦和に勝てたと思います。 ~中略~ 橋本 拳人がラストマッチでチームの士気が高かった。最後まで躍動してくれました。本来であればアディショナルタイムで(橋本を)交代させられればスタジアムの皆さんに花道をという感じでできたんですが、試合展開がそこまで余裕がなかったので。ただしっかり結果とプレーを最後まで、サポーターとチームメートに残してくれたと思います。

獣「リスクを犯してまで花道を創らないのが非常に健太さんらしいというか・・・。(笑)」
太古「確かに余裕は無かったです!(笑)」
獣「ともあれ結果、内容共に最高の形で送り出せた訳ですから素晴らしいと言うほかはありませんね、後述しますがこの試合だけではなく、今後も活かせそうな場面もありましたので天敵を相手に満足いく試合になったのではないでしょうか。」
太古「あれだけの天敵でしたが、勝つときは意外とアッサリなんですね、若干拍子抜けした部分もあります。(笑)」
獣「言うほどにやっている方は楽じゃないと思いますよ、浦和の選手達のポテンシャルを考えたらね。(苦笑)」

■東京 ~不慣れに慣れていく選手達~

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太古「ここからは両チームについての感想になりますが、東京についてどう映りましたか?」
獣「先ず、それぞれがマリノス戦に続いて非常に献身的に戦った、これはもう間違いないと思います。特にディエゴ安部の働きは特筆すべきものでしたね。」
太古「確かに前節に続いてよく選手全員が動けていたと思いますが、前節よりも安定感があったと思います。」
獣「この試合、僕はマリノス戦を踏襲する形の4-4-2で来るかなと思ったのですが、蓋を開けてみれば4-1-2-3でした。構造的な弱点は変わらない訳なのですが、長谷川監督「個人」で解決してきたという印象です。」
太古「個人の動きの質で埋めてきたと?」
獣「はい、先ずシステムについてなのですが、4-4-2にしても4-1-2-3にしても左サイドは小川レアンドロの縦関係になりますよね、レアンドロは前にいてこそナンボの選手です、高い位置で攻撃に絡ませたいとなった時に、守備時に小川のサポートに低い位置まで帰ってきていると当然相手ゴールから遠い位置になってしまうので、前線に近い位置を取れる4-1-2-3にしたのではないでしょうか?あとは起点になって前でボールを収めて欲しい意図も合ったのかもしれません。」

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太古「となると例の如く守備の際に小川レアンドロの間が空いてしまうと思うのですが?」
獣「そこを埋めたのが安部です、この試合の前半は特にですがこの懸念のスペースを安部に埋めさせて、浦和の右サイドの攻撃を防いでいました。小川が手前に釣り出されて背後を狙われた際も飛び出す選手には安部がカバーに入るなどしていましたね。」
太古「安部は攻撃の際には前線にも顔を出さなければいけない役割ですよね、これはかなりの重労働だ・・・。」
獣「まぁ現状ではこの動きが出来るのは安部だけなので替わりはいないですね。(笑)」


太古「安部の動きは分かりました、ディエゴに関しては?」
獣「浦和の攻撃で現状一番のストロングポイントは左サイドの汰木山中が絡んだサイドアタックです、東京安部が左サイドに出て行く分、右サイドのは中央にスライドしなければならず、そうなると室屋のサポートが手薄になる可能性がありますが、ここでスペシャルな働きをしてくれたのはディエゴです。時にはより低い位置に下りて広範囲に左サイドのサポートを行っていました、これによって汰木山中2人の活きるスペースが少なく出来ました。更に攻撃の際にはそのまま低い位置取りでボールを受けて起点になることで、ある程度ブロックを引いて敷く浦和の守備陣が掴まえにくそうにしていましたね、まぁそこからボールを前に運ぶ手段は現状ディエゴの単騎突破しかないんですけど。(笑)」
太古「後半はレアンドロディエゴがSHに位置する形で4-1-4-1みたいな形になっていましたね。」
獣「浦和は優秀なサイドアタッカーが揃っていますから、恐らく先制した後に逃げ切るプランとしては全体を下げてスペースを埋めて対処するやり方を考えていたのだと思います、それにしてもディエゴは度を超えた献身性でしたけどね。(笑)恐らくあそこまでは要求してはいないと思いますが、この試合にかける想いでしょうね、本当に素晴らしい選手です。」
太古「2人以外の選手達もこの戦術への慣れを感じましたが。」
獣「戦っていくうちにアジャストしてきている感は確かにありますよね、空いてしまう場所があるならもっと動いて埋めればいいじゃん!という解決方法は実に東京らしくて好きです(笑)攻撃も得点に繋がったシーンはここ数試合狙いとしているところから生まれていますので、試行錯誤しつつも何となくではありますが、形が出来つつあるのは良い事ですね。」



太古「良い試合でしたが、今後の不安な部分はなんでしょう?」
獣「マリノス戦でも言いましたが、あくまでこの2試合に合わせての布陣ですから、今後はどうなるかは大きな懸念ではありますね、橋本がいなくなって中央のエリアを誰が見るのか?同じやり方を出来るのか?ここは次の札幌戦から試練ですね、自信は取り戻しましたし、結果も出ましたので方針は変わらないと思いますが・・・。」
太古「こればっかりは次の試合を迎えてみないと分からないところではありますね。」

■浦和レッズ ~焦らず積み重ねられるか~

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太古「浦和に関しては見ていて思うところはありましたか?」
獣「この試合に関しては正直打ち手がまだまだ足りないのだろうと思いましたが、長期政権あとのチームは古今東西どのチームも苦労している訳ですし、本当にまだまだこれからなんだろうなと思います。」
太古「シーズン前の評価からすると上々に思えてしまうのですが?」
獣「素の力が高いチームですし、個の力だけでも勝てちゃうチームなんですよね、ただやっぱりまだまだこういうサッカーがしたい!って外野から見えてきませんし、編成的にもどう選手を使っていくかもまだまだ手探りなんだろうなと感じます。」
太古「ボール保持から主体的にというイメージがあったんですが、選手のコメントなんかを見る限り、それこそファストブレイクみたいなイメージなのですかね?」
獣「そこも探しながらじゃないでしょうか?個人的にはファストブレイクをするには縦へのスピード、トランジションのキッカケになる選手が誰になるのかが気になりますね、後ろと前を繋ぐ選手がいないような気がするのでスムーズに前に運べるのかな?という気がしています。」
太古「確かに少なくとも東京戦の先発メンバーに関しては、特に前線の選手の動きの少なさが気になりました。」
獣「興梠レオナルドの2トップは強力ですが、独力で長い距離を進めるタイプではないでしょうから、もしブロックを作ってそこからカウンターなら色々と工夫は必要な気がしています。」
太古「あとはそれをじっくり見守る環境を周りが作れるかですかね?」
獣「浦和が新しいスタイルを構築できるかはそこが大きいような気がしています、ファンからの要求も高いクラブですから・・・我慢が必要になった時にそれを支えていけるかは重要になる気がします。」
太古「3年計画ですからね、結果と内容と・・・色々とシビアな舵取りが求められます。」


~あとがき~

太古「以上、試合を振り返ってみましたがいかがでしたか?」
獣「久しく勝つことが出来ていなかった訳ですが、終わってみればしっかり要所で上回って勝ちきりましたから、少しは苦手意識も減るんじゃないでしょうかね。」
太古「たがが一勝、されど一勝ですよね。」
獣「シンプルにそれで良いと思います。」
太古「最後に橋本拳人に一言!」
獣「最終戦も成長した姿、実力を遺憾なく発揮してくれて・・・本当に複雑ですよ!(笑)でもアカデミー育ちの選手が世界に出て行く姿を見られて素直に嬉しいですし、頑張って来いとも思います!代表もありますし、どこまで上り詰められるか期待してこれからも応援しています!」
太古「頑張って来い拳人!ですね」
獣「はい、そして拳人がいなくなったからと言われない様にチームには頑張って欲しいです!」
太古「というわけで、今回も最後まで読んで頂いてありがとうございました~!」

※画像作成とデータ引用元は下記サイトを利用

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