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「千万人と雖も吾往かん(センマンニントイエドモワレユカン)」~2019 J1 リーグ第28節 vs サガン鳥栖~【レビュー】

皆さん太古の森と漆黒の獣です。
鳥栖のレビューになります、これでレビュー書き出してから3試合勝ち無し。(1分2敗)
でもめげずに書き続けていきたいと思います(笑)

プレビュー記事はこちら↓



細かい戦術レビューはコチラのお二方をにお任せ!↓

戦術的な事はあんまり書けないので試合を振り返っての感想になります。
(※この試合はDAZNで観戦しました)

それではいってみましょう。

試合結果とフォーメーションになります。

【東京】
・前節松本戦からスタメンは変更無し、ベンチメンバーは大森、カシーフ→内田、シルバに変更になっている(理由は不明)
【鳥栖】
・前節スタメンから4人変更
・豊田は7/20鹿島戦以来のスタメン
・CBのパクをCMF、CHの福田をSMF、それぞれ今季初ポジションでの起用

豊田のスタメン起用は意外、イメージ的にすごく嫌な感じ。(東京サポ感)
パクジョンス福田に関しては狙いが不明。(福田が今年はCHで起用されてる事も知りませんでした)
東京的には大森のベンチ外がかなり不安に感じた。

■前半(1) ~ 鳥栖の狙い ~

豊田金崎の2トップの狙いを考えるとおそらく質的な部分(ディエル、エアバトル)で優位に立ちたいのだろうと予想した。
福田パクジョンスに関しても同様だったのかなと思ったのは立ち上がりの鳥栖の動きをみて、スペースより人を強く意識してどのエリアであっても東京がボールを保持しようとすると寄せに来る。
おそらく人選としては人に強いタイプで自由を奪って主導権を握ろうというもの。自分たちがボール奪われてもその場で即時奪還に移る場面も多々見受けられた。
9分には金崎のプレッシャーに慌てた渡辺がコントロールをミスしてあわやというシーンも作られた。
東京も黙ってやられるわけにはいかないの鳥栖のアプローチに対して同じく質的な部分で対抗していく、という訳で開始15分くらいまではボールがなかなか落ち着かない展開が続いた。

■前半(2) ~ お互いの攻め手 ~

そんな中でもそれぞれ攻めの形はハッキリとしていた、東京は松本に比べて高い鳥栖の最終ライン裏のスペースを使いたい、ロングボールを入れていくが鳥栖は最終ラインで跳ね返す、また上手く裏のスペースにボールが抜けてもGK高丘がケア(カバー)している為、すんなり裏は取れそうにないと判断したのかどうかは定かではない。
松本戦同様に保持からのショートパスが増えていく、20分以降は鳥栖がプレスを弱めてリトリート(自陣に引く)する姿勢をとった事もあり保持する時間が増えるが、なかなか上手く鳥栖の守備陣を崩すには至らない。この日も前回同様に中央へ選手が集まってくる傾向は変わらず、室屋オ・ジェソクがニアゾーン(ゴールエリア脇のスペース)突ける、良いタイミングはあったのだが使われるシーンは少なかった。それでも東京2トップの鳥栖守備陣に対する質的な優位性は感じたのでチャンスは作れるだろうなとも感じた。

対する鳥栖はストロングポイントのサイドから仕掛けていく、中に豊田というリーグ屈指のエアバトラーがいるのでサイドを抉ってクロスという狙いは素人目にも分かるほどのハッキリしていた。
他にはキープ力のある金崎&豊田にボール当てて地上戦も仕掛けてきていた、東京の守備陣(特に中央)としてはそこまで慌てる事なく対処できていたが、12分には左サイドを破られてフリーの三丸から中央にクロスが上がり、ここは惜しくも金崎に合わなかったが数的優位(3対2)だったのにも関わらず十分に可能性がある攻撃だったので怖さを感じさせた。

前半はスコアレスで終了、シュート数、支配率、パス数、全てで東京が上回っていたが、どちらかといわれれば鳥栖のほうがプラン通りに試合を運べている印象であった。
東京としてはサイドの守備に不安を残すものの「悪くはない」印象だった。

■後半(1) ~ 待望の先制点 ~

後半早々に試合は動く、47分鳥栖からボールを奪った東京は敵陣深くでポイントを作るとサイドから揺さぶる攻撃でCKを得る。この一連の攻撃は東京の良いときのリズムから生まれるパターン(深い位置で起点を作ってのサイド攻撃)であり、良い入りをしたと思う。
そしてこのCKを三田が蹴るとニアへ渡辺森重が走りこむ、鳥栖の守備陣もニアへ集まって防ごうとするも、最終的に上をゆくボールに誰も触れられずにファーポストに当たりゴールイン
東京にとっては喉から手が出るほど欲しかった、鳥栖にとっては絶対に与えたく無い先制点だった。
後半戦、攻め手に苦労している東京としてはセットプレイに活路を見出したく、色々工夫してみていたが結果には結びついていなかった。
個人的にそもそもセットプレイはキッカーの蹴るボールの質が全てと思っているので、三田以外は正直厳しい(時点でサンホか、東も上手いが鋭さが足りないと思ってる)その三田からのセットプレイで先制点が取れたのは大きかったし、更に絶対的な安定感を誇る先制後の勝率を考えれば、東京的には願ったり叶ったりの展開になった。

■後半(2) ~ 崩壊した必勝の型 ~

鳥栖戦までのリーグ戦、先制した試合は14試合で12勝2分無敗である。
先行逃げ切り、ビハインドの相手をいなしながら勝ち点を積み重ねてきた東京、後半早々に先制出来たこの展開は言わば「必勝の型」である。
鳥栖は確かに攻撃力があるチームではあったが、この展開に持ち込めた事でかなり有利になったなというのが率直な感想だった。
久し振りに点を奪った事で活性化する東京、鳥栖の意識が前にいきがちな展開にあっては、裏のスペース、サイドのスペースに使える部分が出てきていた。しかし追加点までには至らない……というか決定機は一度くらいしか作れなかった。
そうこうしてる内に両チームが交代カードを切ってくる、鳥栖はアンヨンウ、小野、金森と分かりやすく攻撃的な選手を使ってくる言わば「守備?後ろに任せとけ!とにかく前に人数かけるんだ!」で東京を押し潰そうとしてきた。
対して東京、いつものように永井とディエゴに変えてサンホとジャエル、これは疲労を考慮しての交代なので特に不思議は無い……が、ここら辺から違和感を覚える。
どうにもピッチ内の意識の統一感を感じないのだ、「向こうは人数かけてるし、こっちも重心下げて埋めるぞ!」でも無いし「あれだけガンガン来てるから逆手に取って攻めるぞ」でもない、投入されたジャエルとサンホからこのあとどう試合を運びたいのかというメッセージが感じられなかった。
鳥栖は東京のPA内に多い時は6人~7人入って来ていた、なりふり構わずである、東京的にはこれを守ろうと思えば同数以上は人数をかけなければいけなかったと思うのだが…。
そして86分に追いつかれる、アンヨンウが上げたクロスに金崎が合わせて、渡辺がブロック(ここも少し問題だと思う、渡辺がいなければ林がキャッチしていただろう)こぼれ球にフリーの豊田が反応してゴール。
豊田のマーカーの森重は直前の競り合いで脚を攣って動けなくなっていた。とは言え問題はアンヨングにクロスを上げさせたシーン、ジェソクとサンホで挟み込めばあれだけ良いボールが上がる事も無かっただろう、東京のSMFとしては絶対にこなさなければいけないタスクをこの時のサンホは怠っていた。
三田や東も脚を攣らせていた中で途中から入ってきた彼に守備面でかかる責任は大きかった筈なのに…解せない。
森重に代わって岡崎が投入される、これはアクシデントでの交代、本来はシルバを入れる予定だった。
そして95分FKの流れから金井に逆転ゴールを許す、ここの判定に関しては語り尽くされているので今更語る事は無い。
必勝の型を力技で押し切られたという事実が個人的には判定云々より衝撃だった、しかも自分達がやりきれていたかというエクスキューズ付きである。
試合後には追加点を取れなかった部分を敗因に上げる声もあったが、個人的にはそれでも勝ち切る力があったからこその首位だったと思うし、「取れないならやらせない」が完遂出来なかったショックが大きかった。

■スタッツ比較

本来この数字が試合内容にあまり結び付かないのが東京だと思っているのだが、今回の試合に関しては数字が表しているのかも知れない、特に後半に関しては。

気になるのは松本戦同様に落ちているスプリント、上がっているパス数だろうか、脚を止められて回させられている印象が拭えない。

■あとがき

遂に首位陥落である、半年近く守り続けてきたものがこういう試合内容で崩れるのは正直ショックである。
今までも敗れた試合はあったが、それまでとは少し質が異なるものだったし、自分達が拠り所にしていた部分を蔑ろにした感があるこの敗戦は相当堪えた。
だがしかし、あと6試合である。ここで崩れ去ってしまったらそれこそ今まで頑張って積み上げてきた物も無駄になってしまう、それこそ周りからは「失速」だの「ようやく」だの声が聞こえてきたとしても気にしてはいられない。
この中断期間をしっかり使って、今一度「挑戦者」としてのメンタルを取り戻し、自分達が拠り所にしている部分を再確認して残りの試合に臨んで欲しい。

誰がなんと言おうと周りは気にせずに。

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