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雨の日とあんバターフランスパン

毎日歩きに行くと
決めていたのに、
このところ雨続きだ。


やる気が削がれそうになるのを、
いや、今日やめてしまったら、
毎日歩きに行っていたのに、
頑張っていたのに終わってしまう!

と、なんとか地下の駐車場とか、
雨がひどくない日は
隣の公園を傘をさしてでも
散歩しに行く。


前回の記事を読んでいただければ
察しの通り、これまで、
ダイエットと名のつくものや、
走りに行くぞ!
ウォーキングするぞ!と
決めたものだって何一つ、
3日と続いたことがない。


その私が、
毎日、歩くことを目的に
外に出ることだけは、
雨が降っても寒くても暑くても
4/29から毎日続いているのだ。

だから、
ここで諦めるわけには
いかなかった。

晴れ女とかいうものが、
科学的にどんなものかなんて
わからないけど、私は、
これでも結構な、
晴れ女、の方だ。

雨が降っていても、
外に出たら雨は大概止むし、
学生時代だって、
私が楽しみにしていた行事の日は、
ほぼ晴れていたし…。

逆に体調が悪い日は雨が降るし、
どうしても雨が降る日は、
本当に何もかもうまくいかない。
なにもかも、だ。
朝、起きようとした時間には
起きられないし、
できて欲しくない時に
ニキビとか傷ができていたり、
化粧のりがよくなかったり、
顔がむくんでいたり、
真っ直ぐ前を見て歩いているのに
ぶつかるはずのないものに
ぶつかったり
小石に転けたり、
こんなところでミスする?
というようなミスを連発して
叱られたり、
鍵とかキャッシュカードとか、
携帯とかそういうものを見失ったり…

本当についてない。

 びっくりするほど、ついてない。

天気と私は
連動しているのでは?というほど。

だから私は、雨が嫌いだった。

 それでも、この春、
毎日、歩きに行く、
と決めたから小雨程度なら
室内ではなく公園に行こうと
マスクをして外に出た。

 足元には、
ウォーキングを毎日続けるために
わざわざ揃えた、運動に適した、
快適な、真新しい専用靴を履いて。


 これを履くだけで、どこまでも
歩ける気がするそんな靴。

 〜雨の調べ 漂う涙の奏

霞む空が覗いていた〜


 小雨の中歩いていると、
耳には、嵐の大野智さんのソロ曲、
静かな夜に、が流れてきた。

そして、ドリンクを飲もうとして、
マスクを外した瞬間、

土の匂い、雨の匂いが入ってきて、
どこかのお家の換気口から
コインランドリーの近くを
通った時の香りが漂ってきた。

ああ、雨の匂いだ、外の匂いだ…

毎日歩きに外に出ているが、このご時世
ドリンク補給以外マスクを
外すことはほとんどない。
 たまに外した時、やはり同じように、

ああ外の匂いだ、

と思うのだが、

雨の日は格別思う。

今まで
(マスク着用が日常になる前まで)、

私は雨が降ってくるのを、
だいたい匂いで感じ取っていた。

歩いていて匂いがかわって、
あ、雨が降ってくるにおいがする、

 そう思って歩いているとやはり、

とつ、とつ、とつ、

と雨がふりはじめる。

 それも、最近は、
マスクをしていてわからない。


 ここ半年ほどで認識したのだけれど、
私はどうやら匂いに、
人より少しだけ敏感らしい。


 街の匂いを思い浮かべる。

コインランドリーの香りは、
結構好きだ。

あの、洗濯が終わって、
取り込んだ時の洋服の香りや、
ちょっと機械の温まったような
焼けるような香り。

それから、
雨が降りそうな時の、
直前に香る独特の、土っぽい匂い。

苦手な匂いもある。
金属臭。
鉄臭い香りが特に苦手だ。

例えば、アルミで、
オーブンのようなもので何かを
焼いているときにカフェのそこら中に
強く香る金属の焼けたような香り。

満員電車などに乗っている時に、
中高年の方々や、男性から香る
少し金属っぽい香り、

気持ち悪くなって
目眩を起こすこともあるほど苦手だ。

お店や電車を出てから友人にいうと、
「え?そんな臭いした?」
と聞かれるし、

それが嫌な匂いでも、苦手な香りでも、好みのものでも、

「え?そんなにおいする?」

と聞かれるので、私が敏感なのだ、
とここ最近わかった。


たしかに、特段、
何の香りと言い当てられる
調香師さんのような技術は
持っていないけれど、

 この女性、
CHANELのCHANCEの香り
つけてるな、
とか、

自分のもっている香水や
好きな香りなら、
通りがかりの人の香水を
感じる時もある。


 そう考えていくと、

私は結構、
香りものが好きだ。

危険なので家で焚かないのだが、
アロマキャンドルが好きだし、
家にアロマディフューザーを
つけているし、1日中家にいても、
フレグランス類をつけることはあるし、
アーモンドオイルもよく身体につける。


最近は、
ずっとマスクをつけているし、
仕事は休業中なので
散歩以外ずっと家にいて、
すっかり香水をつけたり、
外の匂いを感じながら歩く、
ということもなくなったし、
人と接触しないから、あ、この人、
こんな香りがするな、
なんて思うこともない。

電車だってバスだって、
もう1ヶ月半くらい乗っていない。

でも、散歩に出掛けた時、
時に、人が少ないタイミングで、

少しマスクを外すと、

植物の香り、土の香り、
排気ガスっぽい臭いがする。

雨の日は、
公園の木々が、濡れていつもより
一層香り、土の匂いが漂ってくる、

雨は好きじゃないけど、
この匂いは嫌いじゃない。


 歩いている休憩に、
雨除けができる椅子に座って
あんバターフランス、
というパンを口いっぱいに頬張った。

 あんの甘さ、バターの風味、塩気が口いっぱいに広がった。

 食べ終わったあと、
雨に濡れた草の香り、木々の香り
少し湿っぽい嫌な臭い、
も入ってきた。

 雨の日でも、コロナで外に
出られなくても、味覚は、
そこに意識を傾けてみると
敏感に働いていた。

 こんな風に、周りの
香りひとつひとつに、意識を傾け
丁寧にそれを受け取ることが
できる日があるなら、
雨の日も悪いものじゃないな、
なんて少し思いながら。

 食べ終わった後も、
バターの風味が口の中に芳醇に
残っていて、唇を少し舐めると、
あまじょっぱかった。

 そして、気づけば、Spotifyは
ミスチルの終わりなき旅を流していて、よく周りを見ると誰も傘をさしておらず、雨はほとんど上がっていて
濡れた地面は少しつるつるとしていた。

こんなふうに、

世界を匂いで触れるなんて…

うん、雨、たまにはいいかも。

 雨の日のあんバターフランスパンの
芳醇な香りが、少しだけ新しい世界を
くれた気がした。


後記:

ここでやめておけばよかったのに
このあと2時間ほど歩いた私は、
あと1周くらいしようかな、
と思って歩いているうち、
見事に急に強くなった雨の
ザァザァにやられ、
大切に汚れないよう
傷まないようにしてきた
ランシューが水が絞れるほど
浸水して、
歩いている間に激しくなった
雨が地面から跳ね返って膝まで濡れ
傘を閉じたときに
鞄とイヤホンが引っかかって
上着も濡れてしまった…

これから、梅雨になる。

 家に籠る生活が続く中で、
少し外に出て散歩をする。

 習慣をつくれないわたしにも、
そんな習慣ができて、
 毎日歩きに行っている!続いてる!
習慣化できてきた!!
と喜んでいた矢先なのに、
どうして雨はそんなやる気を
削いでいくのだろう…

うーむ。。。

雨はやはり、嫌いだ。


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