ケーキ屋さんをより良くするための100のアイデア【戦略編】
まずは簡単に自己紹介を。
私はケーキ屋さんで10年以上働いてきました。パティシエや生産管理を経て、独立し全国のケーキ屋さんのサポートする事業をしています。
その経験の中でケーキ屋さんをより良くするためのアイデアを100コまとめてみました。
ただ、 あくまでお店を今よりも「より良く」するため。そして、実例ではなく「アイデア」として書きました。お店の運営の参考になれば幸いです。
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実はこのシリーズ、本当は100コまとめて有料で販売しようと思ったのですが、この竹村さんのnoteを読んで考えが変わりました。
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と、いう事で前置きが長くなりましたが、ケーキ屋さんをより良くするためのアイデアを100コ書いていきます。
まずは、お店の売り上げに直結しやすい「戦略」についてのアイデア16コ書いていきます。
1:コンセプトを明確にする
まず、お店のコンセプトを明確にしましょう。
意外とコンセプトを決めていないお店が多いのですが、決めておくと便利です。
突然ですが、人は1日に約35,000回の決断をしていると言われています。
人が決断をするためには、かなりのストレスと労力がかかっています。
…なにが言いたいかというと、お店のコンセプトを決めておくと決断する回数を減らすことができるということです。
コンセプトという1本の軸があると、
色々な事が決めやすくなります。
特に便利なのが、スタッフが自分で判断しやすくなる点です。
有名なコンセプトを挙げるとスターバックスコーヒーの【Third place(第3の場所)】があります。家でも学校や会社でもない第3の場所として居心地のいい空間を設計していますね。スタッフはお店のコンセプトに従い、自分たちで考えて動いているのは有名ですよね。
コンセプトは大それた物ではなく、シェフの求めるキラキラとした理想を掲げてもかまいません。
とにかくお店の方針をコンセプトとして言葉にする事が大切です。
2:スペシャリテを決める
最近はお店のスペシャリテは不要だという意見も出ていますが、私は必要だと感じています。
ただ、ストーリー性のない、お飾りのスペシャリテは必要ないと感じます。
スペシャリテと名乗るなら、なぜその商品がスペシャリテなのかをしっかり語れるほどの熱量が必要です。
そして、その熱を持ったストーリーはどんどん発信していくべきです。
スタッフに口頭で伝えてもいいですし、SNSでの発信、店内のPOPを書いて直接お客様に伝えてもいいでしょう。
スペシャリテを決める際は、初めてお店に来るお客様にも常連のお客様にも愛される飽きの来ない商品にするといいと思います。
そのスペシャリテを食べることでお店のことが記憶に残させることができれば最高ですね。
3:稼ぎ頭の商品を決める
スペシャリテとは別に、お店の稼ぎ頭になる商品を決めましょう。
稼ぎ頭の商品の具体的な指標を4つ挙げるとすれば
この4点が目安として考えられます。
指標に合った商品を丁寧に宣伝していきます。手土産需要や配送需要に答えられるパッケージも作ると良いでしょう。
この稼ぎ頭の商品が、お店の全商品の年間売り上げ金額の10~15%くらいがこの商品を占めるくらいになるまで育てると良いでしょう。
するとおのずと、お店の経営も安定するはずです。
4:商品ラインナップ一覧を作る
お店の全商品を一覧で見れないお店は多いものです。
商品ラインナップの一覧表があると結構便利なので、作っておいて損はありません。
商品のラインナップ一覧を作り方は、
同じ商品でも単品売り、複数個売り、セット売りなどでも分かれているかと思います。焼き菓子に多いですね。
例えばフィナンシェだと
・フィナンシェ単品売り
・フィナンシェ5コセット
・焼き菓子セットに入ったフィナンシェ
と言った具合です。
ここで気をつけたいのは、きちんとそれぞれを別の商品としてカウントする事。上の3つのフィナンシェはそれぞれ別の商品です。
商品を一覧で見れるとこんなメリットがあります。
販売戦略の基礎としてまず、商品ラインナップの一覧表を作りましょう。
5:商品の年間スケジュールを立てる
年間の商品スケジュールを立て、スタッフ全員で共有しましょう。
いつ、どんな商品が販売されるかが決まっていないとこんなデメリットがあります。
ただ、気をつけたいのは100%スケジュール通りに商品を出すと遊びのない、形式ばった少し退屈なお店になってしまいます。
シェフやスタッフがその時々に美味しいと思ったお菓子や、作りたいと思ったお菓子を出せるような余白を作っておくと魅力的な商品構成のお店になるでしょう。
6:試作のスケジュールを立てる
商品の年間スケジュールを立てると同時に試作のスケジュールも立てましょう。
新商品の発売前にしっかりと告知したり、スタッフに味やストーリを伝えるための期間も考慮して、どんなに遅くとも発売日の2週間前には商品を完成させるスケジュールを組むと良いでしょう。
販売スタッフも、プライスカードやレジの登録作業を計画的に進めることができます。もちろんスケジュールは完璧に決まってなくてもかまいません。
試作のスケジュールを立てると、より良い材料の調達も計画的にできます。味のブラッシュアップもギリギリまで突き詰められます。
スケジュールは3〜4ヶ月毎に見直しながら進めていくと無理もなくスムーズに進みます。
7:商品価格を整える
商品の価格に統一感を持たせましょう。1度に視界に入る商品の価格に統一感を出すと、お客様が商品を選びやすくなります。
例えば、フィナンシェが4種類あるとします。
これは材料原価によって価格を変えているパターンです。原価率から売値を決める、よくある価格の決め方ですね。ですが私がオススメするのは、この場合、全てを¥230に統一してしまうといいでしょう。
お客様は味で選ぶ事が楽しいと感じます。
なのに、価格に微妙な差を感じさせてしまうと、価格の差が選択するときの思考に入ってきてしまいます。つまりお菓子を選ぶ楽しさが減ってしまいます。
また、価格を見直すときに、製造に手間がかかっている商品は値段を高めに設定しましょう。パティシエの技術や手間を安売りしてはいけません。
8:ギフトの価格帯を見直す
ギフトはお店の売り上げを確保する大切なジャンルです。
お客様が選びやすいように価格をこの様に
1000円単位で揃えましょう。
また、各価格帯で¥1480や¥1250と言った様に下3桁の数字が¥500以内なら端数は出てもいいですが、¥1780や¥2890など¥500を超える半端な数字にならないように気をつけましょう。
例えば、焼き菓子ギフトが3つあったとして、
ーー気持ち悪いですよね?
この場合は
といった感じにキリのいい数字に調整してしまいましょう。
ここで、同じ商品を単品で買った時とギフトで買った時の価格のバランスが崩れない様に気をつけましょう。どうしてもバランスが取れない場合は、箱やリボンなどの包材を使って価格調整をすると収まりが良いのでオススメです。
9:ギフトのラインナップを充実させる
ギフトは価格帯ごとにバリエーションを増やしましょう。
特にギフトは
・¥1000
・¥3000
・¥5000
の価格帯が重要です。
この3つの価格帯のバリエーションを多く作りましょう。
特に¥1000台のギフトはこまめにたくさんのパターンのギフトを作りましょう。まとめ買いが多く、同じお客様に頻繁に買っていただける価格帯です。バリエーションを多くしておいて損はありません。
お客様はギフトを買うときは予算を決めて来ます。その予算内のなかでの選択肢を増やすと、お客様も選ぶ楽しみも増えます。そして、次にギフトが必要な時に買いに来るリピート率がグッとあがります。
10:販売予測を立てる
ひと昔前に比べ、POSレジが格安で使えるようになりましたね。タブレットで簡単に管理ができ、UIも使いやすく見やすく誰でも売り上げ分析ができるようになりました。
この売り上げデータを使い
・いつ
・何が
・いくつ
売れているのかを見て販売予測を立てましょう。
まずは月ごと、週ごと、イベントごとの販売予測を立てましょう。
販売予測の精度は最初はおおよそで構いません。実績が貯まってきたら毎年徐々に精度を上げていけばいいのです。
曜日や天気、給料日後、年金支給日後など売り上げに影響が出そうな事を取り込んでみましょう。販売予測を立てるのは最終的に製造計画立てやすくするためです。過剰在庫、欠品をしない事で販売機会ロスを防ぐ事ができます。販売予測に沿った製造計画を立てる事でパティシエの過剰労働も防げます。
11:売れていない商品を辞める
定番でずっとお店にならんでいるけど、手間ばかりかかって売れていない商品は販売を辞めてしまいましょう。
・職人のこだわりとして作っているお菓子
・シェフの思い出の詰まったお菓子
・手間ひまをかけて作るお菓子
これらは愛着が湧きますし、もちろんその商品にファンのお客様がいるとは思います。
ですが、そのお菓子を作っている時間をなくせば新しい商品を作る事ができます。お店の新商品のサイクルを早く回す事はお客様に飽きられないためにも重要なことです。思い切って辞める勇気も大切です。
ただ、シンプルに売れないので辞めるだけではもったいない。なので開店記念日など、年に数回イベントでお祭り的に復活させてお客様に「特別なお菓子」と言う事を伝えて売るなどの作戦を立てて売るのも面白いでしょう。
12:客層にマッチした商品展開をする
お店に来るお客様のメインはどのような方ですか?具体的な年齢や性別、家庭環境を想像してみましょう。
例えば…
さて、ここからどんな事が想像できるでしょうか?
このように具体的に深く想像してみましょう。
様々なお客様がいるとは思いますが、まずは具体的なお客様を1人決めて、その方にあった商品を考えてみましょう。
この女性が求めている商品を想像して商品開発をしてみましょう。
この様に、より具体的な商品をイメージして作れますね。
お店の立地も、ビジネス街にあるお店と、住宅街にあるお店では求められるものが違います。自分の作りたいものだけでなく、お客様にあった商品を具体的に考えて作りましょう。
13:ライバルを決める
ジャンプの王道のバトル漫画にはライバルは必要不可欠ですよね。
面白いお店にもライバルが必要なんです。ライバルはシェフが修行していたお店でもいいですし、日本一のパティスリーと言われているお店でもかまいません。もしくは、ケーキ屋さんだけでなく3つ星のレストランや有名な家具屋さんでも面白いですね。
自分が羨ましいと思うお店を「勝手に」ライバルと位置付けて、「勝手に」切磋琢磨してしまいましょう。(と言いつつ、こちらが一方的に磨かれますが)
お店の味だけでなく、接客や、内装デザイン、宣伝の仕方など色々な面でライバル視して自分のお店をレベルアップさせましょう。ただパクるのではなく、あくまでライバル視です。負けずにより良くしようとする着火剤のようなイメージです。
お店や自分が、成長する上でライバルは意外と大切なんです。
14:ショーケースの並びを考える
お店のショーケースの並び方、いつも同じパターンではありませんか?
よく行くコンビニやスーパーでも棚の陳列が変わると新鮮に感じられます。
もちろん意味のなく並びを変えるのではなく、売り上げに繋がるような並びを常に考えましょう。
例えばコンビニは、お客様のお店の滞在時間を長くする事が客単価をあげる秘訣だと考えています。
お店の中を歩く距離を長くするために、お客様がよく買う商品を店内の端に陳列しています。例えば、お弁当のコーナーは基本的にお店の一番奥にあります。これも、お客様に出来るだけ店内を歩いてもらうためです。
これをパティスリーのショーケースで考えると端から端までしっかり商品を見てもらう工夫をします。よく売れる商品はショーケースの端の方に並べ、本当に売りたい商品を中央の目立つ所に並べると視線が端から端まで行き、購入のきっかけになります。
また、お客様の見やすい陳列も大切です。日本人の平均の目の高さが約140cm。最も見やすい角度は下10度前後だと考えられています。つまり最も目につきやすいのは、床から約135cm前後の高さということになります。
この高さに彩りの良い魅力的な商品を並べることでお店の印象がグッと良くなるはずです。
15:客単価をあげる
売り上げを伸ばすためには、客数を増やすだけでなく客単価も大切です。
販売業の売り上げの基本原則は『客数×客単価』
つまり客単価を上げればお店の売り上げは当然上がります。
例えば…
客単価の平均値を上げるためのシンプルな方法は、もう1つ買ってもらう仕掛けを考えることです。
そのためにすることを挙げると…
全て当たり前の事ですよね。
ひとつひとつは小さな事ですが、お店全体で客単価を意識した営業を心がけましょう。
16:2度目の来店のきっかけを作る
常連化曲線と言うのをご存知でしょうか。
トレタという飲食店の予約/顧客台帳サービスの会社が発表しているデータです。
飲食店で2回目の来店がある可能性はおよそ10%です。
しかし、2回目来店した人が3回目の来店をする可能性はおよそ30%に上がります。
ーーそう、2度目の来店が大事なのです。
いかに新規のお客様が2回目に来てもらえるか。そこに力を入れましょう。
よくあるキャンペーンとしてあるのが、全ての人をターゲットにしたクーポン。 一時的の集客としては効果があるのですが、長い目でみたら実は効率悪いんですね。 なぜなら、キャンペーン目当てで来たお客様がほとんどで、常連化が見込めない一過性の集客になってしまうからです。
それなら、初回来店のお客様を2回目も来店させるためにキャンペーンを企画するべきです。
もしクーポンを発行するのなら、初回〜2回目の来店のお客様をターゲットにします。そのお客様にクーポンを2〜3回繰り返して発行して来店してもらい、常連客になってもらうのです。
その来店の間にお客様にお店の魅力を伝え、キャンペーンが終わっても来店してもらえる状況を作った方が闇雲にクーポンを配るよりも効率が良いはずです。
以上で…
まずは、ケーキ屋さんをより良くするための100のアイデア【戦略編】として16コを書いてみました。
100コ全てを読むのは大変なので、必要な時に読みたい項目だけを読んで活用していただけるような構成で書いています。
まだまだ長いシリーズですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ーー🦄宣伝🦄ーー
すみません。最後にちょっと宣伝をさせてください。
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