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ケーキ屋さんをより良くするための100のアイデア【分析編】

ケーキ屋さんをより良くするための100のアイデア。今回は経営をする上で大切な分析について書いてみます。お店の経営状況を分析することで新たな方針を考えることができます。

以前書いた【戦略編】にも通じる内容になりますが、

戦略を立てるためには、お店の状況を分析することが大切です。

経営計画を立てるときは売上や利益などの数字の具体的な目標は5年ごと。それに向かう具体的な戦略は2年ごとに計画することが現実的だと言われています。お店の戦略を考える上での、ベースとなる分析の方法や分析のために必要な数字について書いていきます。

48:ABC分析をする

ABC分析とは商品を重要度別にA、B、Cにグループ分けをする分析方法です。商品に対して重要度を決めることで効果的に管理できます。例えば、売上ベースで分類した場合、

【Aグループに分類された商品】
売上の大部分を占める最重要商品。絶対に欠品を起こさないような管理が必要です。
【Bグループに分類された商品】
基本的には現状維持で問題ないと考えられる商品です。
【Cグループに分類された商品】
売上はあるけれど全体に占める割合が少なく、重要度はあまり高くありません。場合によっては商品の入れ替えを検討するか、販売をやめる選択も考えられます。

このように重要度順にランクを付け、商品ラインナップの最適化をするのがABC分析の考え方です。これにより、どの商品がお店の売り上げを支えているかがわかります。ここからは具体的なABC分析の方法を説明します。

1.分析に必要なデータを準備する
まずはABC分析を行うために必要なデータを集めます。
最近ではエアレジやスマレジなど今までに比べればとても安価にPOSレジを導入することができます。このレジから直近1~3年分の商品別売上データを抽出します。分析する商品の売上データは売上金額が大きい順番に並べておきます。また、その期間の全体の売上金額も集めます。

2.商品ごとの売上構成比を算出する
ABC分析では全体に占める各商品の売上割合が大きい順に分類するため、商品ごとの売上割合を算出します。各商品の期間内の売上を、全体の売上で割ることで、各商品の売上割合を求められます。

3.累積構成比を元に分類する
各商品の売上割合を算出したら構成比が大きい順に並べ替え、累積構成比を求めます。この累積構成比の数値を基準にABCの3グループに分類していきましょう。

Aグループ:累積構成比が7割までの商品
Bグループ:累積構成比が7割から9割の商品
Cグループ:累積構成比が9割から10割の商品

ABC分析を行う場合は累積構成比を算出するだけではなく、数字の大きい順番に並べ替える必要があります。エクセルを活用するとグループ分けしやすいかと思います。
例えばエクセルで表にまとめると、この様なイメージになります。

ABC分類のイメージ

少し話がそれますが、売上高の8割は上位2割の商品が生み出す。というパレートの法則があります。ABC分析は「パレートの法則」と関連性が深いと言われています。パレートの法則とは「8:2の法則」とも呼ばれており、「全体の数値の大部分は一部の要素によって生み出されている」というものです。

例えば売上でABC分析をした場合、「売上上位であるAグループに分類される2割の商品が8割の売上」という事です。逆に「BグループとCグループを合わせた売上下位8割の商品の売上高の合計が全体の2割の売上」ということです。
商品を重要度で的確にグループ分けできれば、無駄を省き最も効率的な商品管理ができます。

49:月別の売れ筋商品を調べる

レジデータを使い、月ごとの売り上げを調べ、各月の売れ筋商品を明確にしましょう。自分の感覚で売れていると思っている商品は意外に当てにならないものです。感覚的に売れていると思っている商品は本当に売り上げを立てているかを、実際の数字で調べてみましょう。調べてみると感覚的に売れている商品と、実際の数字では差があるものです。

月別に売れ筋商品を調べると、
・季節性
・イベント性
による商品の動きが見えてきます。月ごとの動きが見えると新商品を考えいるときに売れる商品の傾向がみえやすくなります。
例えば、

・5月は抹茶の商品が売れやすい。
・6月はアイスやゼリーが売れやすい。
・11月は定番のギフト向き商品が売れやすい。

など、感覚からは少し離れた数字が見える事があります。
最近のPOSレジは月別のデータを抽出しやすくなっているので、今までに比べ負担が少なくデータ分析が出来ることも魅力です。

50:ジャンル(部門)別の売れ筋商品を調べる

生ケーキ、焼菓子、チョコなど、ジャンル(部門)別の売れ筋商品を調べてみましょう。ただ、前提として商品の分類整っていない場合があります。まずはレジの商品の分類をしっかりとしましょう。

例えば、「焼き菓子」という部門を作るだけでなく

・焼き菓子(単品)
・焼き菓子(セット)
・焼き菓子(パウンド)
・焼き菓子(季節商品)

など細かく分けて管理すると良いでしょう。
ここで気を付けたいのは、店頭での販売目線でジャンル分けをするのではなく、分析しやすいように分類をします。

分類ができたらジャンル毎の売れ筋商品を確認します。各ジャンルで売り上げトップの商品がある場合、その商品の種類を展開していくような新商品の開発を進めていくといいでしょう。逆に手間がかかっていたり、多品目を出している割に売れていないジャンルがある場合、まるごと販売を止めてしまうのも一つの手です。

例えば、マカロン全体の売れ行きが落ちている場合。
この場合、種類を減らしたり、新商品でテコ入れをするのではなく思い切って辞めてしまうという選択肢が生まれます。ただ、どうしても辞めたくない場合は、期間限定で復活させるなどイベント性のある商品にピボットするといいでしょう。

51:お客様の層を調べる

お店にはどのようなお客様が来店しているかを調べてみましょう。
調べる項目の例としては

・性別
・年齢
・職業

などです。例えば、女性が多いのか、年配の方が多いのか、学生が多いのか。お客様の傾向がわかれば、どのような商品が求められているのかが見えてきます。調べ方はシンプルです。販売スタッフが来店したお客様の性別や大まかな年齢のデータを取ります。(この場合、職業を把握することは難しいですね。)
もしくはお店のスタンプカードや会員証を作成して、その際に顧客情報を記入してもらいます。このデータを使い、それぞれのお客様の層に合わせた商品展開と、商品の提案をしていきましょう。
例えば

・男性の方に向けては、商品の売り上げのトップ3をポップで出して人気商品をわかりやすく訴求する。
・主婦の方に向けては、自分へのご褒美お菓子の提案や、ママ友への手土産の提案をする。
・ビジネス使いの方に向けては、様々な価格帯のギフトや手提げ袋のデザインについての提案をする。

など、メインのお客様の層を調べると、商品展開の打つ手が変わってきます。闇雲な新商品の展開をして売り上げを伸ばすのは至難の業です。まずはターゲットを見定めてから商品展開を考えましょう。

52:客単価を調べる

客単価はパティスリーをオープンする前段階から意識すべき、重要な要素です。お店のコンセプトや売上目標を立てる時から客単価も明確な目標を設定する必要があります。
と言うのもパティスリーの売上はシンプルに「客単価×客数」で計算できます。売上を増やすためには客単価を上げるか、客数を増やす。あるいは既存お客様の購入回数を増やすかのどれかしかありません。客単価をおろそかにして集客数ばかり増やしても、客単価が下がればお店は成長しませんし、大変になるばかりでお店の継続が難しくなります。売上拡大のためには、客単価と顧客獲得とのバランスが重要です。

客単価は、客単価=売上/客数で計算できます。
基本的に、パティスリーの客単価が大きく変動する事は少ないので、
まずはPOSレジの1年分のデータを抽出して平均客単価を調べましょう。(この時注意したいのは、12月の客単価はクリスマスケーキにより他の月に比べ高くなりがちなので、年間の平均客単価のデータとして考えるにはバランスをとる必要があります。)

客単価は売上拡大に不可欠なだけでなく、お店のコンセプトの企画段階から運営段階の成果測定に活用できる重要な要素です。

53:時間帯別の売れ行きを調べる

時間ごとに何が売れているかが分かれば、その時間に合わせてケーキや焼き菓子の追加製造のタイミングが見えてきます。
感覚だけで商品の追加生産をするのは難易度が高いと感じます。感覚で管理できるのはシェフと一握りのスタッフだけです。ここをデータをもとに管理できると、いろいろなスタッフが商品管理の業務をする事ができます。

売り上げを把握するためには、とにかく数字が大切です。数字に沿った生産を実現させるためにも時間帯毎の売れ行きをまとめましょう。

具体的にはオープンから毎時間ごとの各ジャンルの売り上げ金額と売り上げ点数をまとめます。これを1日分だけだとイレギュラーの振り幅が大きいので直近2~3年分をまとめます。さらに月毎、曜日毎、天気毎の時間帯売り上げをまとめます。すると、ある程度信頼のできる数字が出てくるでしょう。

また、これは営業時間の見直しの材料にもなります。
夜にお客様が来ていないのなら閉店時間を早めてしまうのも一つの手です。

54:曜日別の売れ行きを調べる

同じくPOSレジのデータを使い、曜日毎のデータをまとめましょう。
曜日毎の売り上げデータはかなり顕著に差が出ます。

・平日
・土日
・祝日
・定休日前後

まずは、この4項目に売上データを分類します。もし土日だけよく売れる商品があったとしたら、思い切って平日は販売を辞め、土日限定商品として売る、という事が考えられます。また、あえて限定商品にすることで売り上げを伸ばすこともできますし、製造の負担も減らすことができます。定休日前後の売り上げを把握することで、定休日前の作りすぎによる商品ロスを防ぐ事もできます。
曜日毎のデータを把握しておくと、クリスマスやバレンタインなどの大きなイベントの当日が何曜日に当たるかの、予想データを出す際に大きな意味を持ちます。

55:原価率を計算する

商品毎の原価率を出していないパティスリーも多いかと思います。
年間の材料費で大まかに原価率30%程度で計算している場合もあるようです。
が、多少計算の手間をかけてでも原価率を把握しているのと、していないのでは売り上げに差がでます。数が売れていても原価率が高ければ、材料や構成を見直すべきです。原価率を把握する事で、利益が具体的に計算できるので、経営のハンドリングを細かく丁寧に行う事ができます。

また、計算した原価率はスタッフにも共有すると良いでしょう。なぜなら、製造でミスをしてしまった時に、リアルなミスで損失した金額を把握する事ができるからです。原価率の高い商品を仕込む時はいつもよりも緊張感を持ってもらう事にも役立ちます。

56:人時生産性を調べる

人時生産性(にんじせいさんせい)とは、パティシエ1人が1時間働く際の生産性のことです。労働量に対して、どのくらいの粗利高があったのかを判断する指標です。人時生産性の数値が高いほどパティシエ1人あたりの1時間の粗利高が高いことになり、そのパティスリーは生産性が高い優秀なパティスリーだと判断できます。

人時生産性は、[粗利益高÷総労働時間]の計算式で表すことができます。
算出された人時生産性の数値は、どのくらいの労働時間を投入した結果、どのくらい稼ぐことができたのかを表す指標となります。この数値が高いほど1人当たりの1時間の粗利率が高いと言えます。

人時生産性の数値を正しく算出するためには、労働時間や粗利益の数値を正確に把握する必要があります。特に労働時間の計算はお店ごとでばらつきがあり、勤怠管理が徹底されてないお店だと正確な労働時間を把握することができません。人時生産性の数値を正確に算出するためにも、普段から勤怠管理をおろそかにしないことが大切です。

以上で…

ケーキ屋さんをより良くするための100のアイデア【分析編】として、9コのアイデアを書いてみました。近年はレジが圧倒的に進化し、お店の様々な数字を管理しやすくなりました。その情報を活かしてお店の経営戦略を立てていきましょう。

100コ全てを読むのは大変なので、必要な時に読みたい項目だけを読んで活用していただけるような構成で書いています。
まだまだ長いシリーズですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

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