カカオが大変なことになっている

ショコラトリーやパティスリーではもうご存知のこととは思いますが。。。

ここ数ヶ月という短いスパンで、チョコレートの価格が今まで見たこともないような上がり方をしていて…この業界が大変なことになってるのはひしひしと感じている今日この頃。
これから先どんな世の中になっていくのか…そんな所までなんとな〜く想像もしてしまうわけですが…

全ての物の値段が上がっていることから、他の食材と同じ感覚で捉えてしまいますが、カカオは生産国の経済的な問題も絡んでいたりして、またちょっと複雑だなぁって思います。
元々、カカオ農家さんの貧困や児童労働など、深い社会問題を抱えている業界でもありますし…
コーヒーも似たような問題は聞きますが、それよりも遅れているというか、私達消費者には見えてない闇の部分も大きいように感じています。
コーヒー豆と違うのは、農家さん達の手で加工するのが難しいってところなんでしょうねぇ？
以前、アマゾンカカオで知られる太田シェフが現地の農家さん達の手で加工まで出来るよう取り組まれていたのをテレビで見ましたが、やはり設備や技術の問題で、いいクオリティーのものが作れないって仰ってました。

最近では、日本でも現地の農家さんとフェアトレードされているBean to Barが増えてきたり、チョコレートの大手メーカーも改善策に乗り出してきたのをチラホラ感じるようになってきて、私も少しでもフェアトレードのものを使うように心がけてきたところですが…
追い討ちのようにやってくる自然災害や気候変動の問題。
今は収穫量が圧倒的に減少しているようです。

私のような小さなショップとしては、今後は必然的に使う量（チョコレートを使うメニュー）を減らす選択になってくるかと思います。
そうせざるを得ないというか…食材としての入手自体もおそらく難しくなってくるでしょう。

大手のショップさんなどは、もう少し入手のルートはあると思いますが、いずれにしてもチョコレート商品の値上げはこれからもっと加速していくことと思います。

気候変動も環境汚染も、世界中の人達がいろんな取り組みを始めていて、少しでもいい方向に改善できれば…なんて思ったりもしますが、そんな活動と同じくらいの規模（もしかしたらもっと大きい規模なのかなぁ？）で、裏では合法的にも違法的にも環境破壊の動きがあるわけで…

私たちの知らないところで、そんな勢いで森林伐採が進んでいるのか？って実態を知ると、自分達が意識して取り組む活動なんて、焼石に水… 一滴って気がしてしまいます。


自然からいただいてきた物が、人間の手で壊されていって、その結果として実らなくなっているわけで、全て人間の都合ベースの話なのですが、改めて自分達が出来ること、水一滴分の力かもしれないけど、考えていくのを諦めたらいけないなぁとも思いますね。

足るを知ること。
今あるものを大事に。
自分達が必要な分だけ。
自然からもらう食べ物は、余すことなくいただき、生きるための力をもらう。
食べ物に限らず、自然の恵み全てに言えることだと思いますが…
今あるもの、今ある環境は当たり前ではないということです。

それを毎日感じるだけでも、自分のあり方というのは自ずと変わってくると思っていて…
ありがたいという言葉は、本当に有ることが難しいということなんですよね。
今食べることができる食べ物も、感謝と共にじっくり、大切に味わっていきたいです。

そして、私がショップを運営する上で目指してきたSDGs…
フードロスを減らすこと、過剰包装をなくすこと。
この飲食業界では、たくさん作れば作るほど、相反してついて来る課題です。

店頭に商品がたくさん並んでいるお店に入るのはすごくワクワクして、見るのが楽しい。
以前は私も＂素敵なお店は商品がたくさん並んでいる＂って思ってました。
でも最近それは錯覚だったんだなぁと感じるようになってきて…

家の近くにある、私のお気に入りのパン屋さんでは、ちょっと出遅れるとほとんど品薄。
でもそれを見た時に、がっかりしない自分がいることに気がついたんですよね。
むしろ「やっぱり人気なんだよなぁ〜！」って嬉しくなるんです。
今日は買えなかったけど、また次に来るのが楽しみになる。
いつでもたくさん商品が並んでるのが当たり前になっていて、それを素敵だと思っていたのは本当に錯覚だったんです。

大量生産ももちろん商売方法の一つだとは思いますが、自分のショップはそうじゃなくてもいいなぁって思ってます。
フードロスにつながるような大量生産はしない分、＂価値あるもの＂にはこだわって…
私が作ることの意味を考えながら、私らしいモノづくりに向き合っていきたいです。