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良いソフトウェア・エンジニアが日本にいない3つの理由

TL:DR; 

日本のAIは世界に遅れている」、「デジタル敗戦」などと言われる理由を考えてみた。「日本には優秀な技術者がいない」、「若い人たちにやる気が足りない」などという理由があり得るかもしれない。しかし、原因は

優秀な人がいないのではなく、優秀な人が働く場所がないだけ

だと僕は思う。

1. 「良いソフトウェア・エンジニアが日本にいない」と言っている人たちの周りに、良いソフトウェア・エンジニアはいない

例えば「うちの会社にはろくな営業がいない」と普段から文句を言っている管理職の部署に優秀な営業職が集まるだろうか?

リスペクトのない人たちは、優れた人々を遠ざける。

僕らはソフトウェア・エンジニアの仕事がどんなものか想像もつかない年配の人たちに、「日本にはろくな技術者がいない」などと言われたくないものだ。ずっと何年も技術を磨いてきた人たちが、そんな言い分の人たちと一緒に仕事をするわけがない。

ちなみに「システムエンジニア」として仕様書という名前のついたドキュメントのみを書いてきた人たちの中にも、実際のコードを書く仕事を、単なる下働きとしか見ていない人もいる(もちろんそうじゃない人もいる)。

では、遠ざけられた優秀な人たちは、どこに行ってしまったのだろうか?

2. プロフェッショナルな人には、GAFAへの入社や独立という選択肢がある

優秀な人は入社年次で給料が決まる会社や物理的な出社を望んでいない。働く環境がとにかく遅れているために、ソフトウェア・エンジニアを定着させることができないケースはたくさんあると思う。

また、エンジニアの採用となったときには、GAFAへの入社や独立という選択肢とそのポジションは比較されている。一般的なエンジニア採用が苦戦するのもそういった原因が一つあると思う。

僕のソフトウェア・エンジニアの優秀な友人の一人はAmazonへ入社し、もう一人は独立して、研究機関の仕事を主にフリーランスとして頼まれている。ちなみに、動機は単にお金が良かったから、ということではない。

どんな仕事なら彼らは引き受けるのだろうか?

3. 本当に優秀な人は面白い仕事がしたい、と思っている

本当に優秀な人は仕事を通じて成長したいと思っていて、またそれを実践しているものだ。面白いプロジェクトは自然と優秀な人を惹きつける。

例えば、紙をデジタルに置き換えるだけ、面倒なだけのプロジェクトには、優秀な人を惹きつける魅力はないかもしれない。あなたの部署の仕事は面白いだろうか?心の底から本当に面白いと思えるプロジェクトをやっているだろうか?

良い人がいないのではなく、良い人がやって来ないだけかもしれない。そして、その原因は自分たちの職場や組織にある、と考えない経営者は多いのではないだろうか。

語ることの難しさ

ソフトウェア・エンジニアの優秀さという内容を語るときに、「日本は」とひとくくりにできるだろうか?

定性的な資質を一般化するのは難しい。データの扱いや分析に明るい人なら知っていると思う。日本にはすごく優秀な人もいれば、そこまででもない人もいる、としか僕には言えない。

一方、僕はいろいろな国の人に触れた後で、日本人の技術者はたいてい、勤勉できっちり仕事をしようとする人が多いと感じる。高度な数学や統計を扱える人の比率も決して低くはないと思う。まぁ、あくまで感想だけど。

最後に

「日本のソフトウェア技術はもうだめだ」と、国内の技術者を活かす方法を考えるのを完全にやめてしまうのか、それとも日本に残っている少数でも優秀な人に期待してに活躍の場を与えるのか。基本的にはこの二つしかない。

もし前者なら、技術者を呼ぶ魅力のない企業は、まだ日本よりは経済的に発展していない国の人々を使うのかもしれない。その時には僕らがいくら日本の社会に貢献したいと思っていても、GigstarやUpworkに登録して、海外から仕事をもらう他ないかもしれない。

僕らはここにいて日々学びながら、それなりに世界にも通用するレベルで仕事をしている(嘘だと思うなら、一度海外から技術者を雇ってみるといい)。もう少しそれが知られていくといいのだけれど。