「STAND IBARAKI '22」最終プレゼンピッチ現地観覧レポート(同時期の関係人口創出プロジェクトに参加しての感想付き)

企画とプロジェクトの概要

'23年2月11日(土)、「茨城移住計画」さんによる表題の企画にて、全18人のプロジェクトオーナーから、お1人3分ずつのご発表を伺う機会がありました。
https://www.facebook.com/events/827480665111206
STAND IBARAKI」とは、茨城県公式の関係人口創出プログラムです。
実施期間は半年間であり、本年が3回目の開催です。
昨年'21年度は、コロナ禍によるオンライン限定開催となったため、現地会場での一般観覧は、往年の参加者にとっても待ちに待った機会だったようです・・・!

各プロジェクトの今後の展望にも触れつつ、既に半年間のプログラムを経た成果報告という側面もありました。
発表後の講評は、プロジェクトを共に見届けてきたメンター陣から寄せられ、やや厳しくも愛を感じる内容は、聴きどころが満載でした。

オンライン・現地の観客共に投票に参加し、見事に3名の方が受賞されました。

∥参考:茨城放送さんからの記事
  https://lucky-ibaraki.com/news_list/260153/
※主催団体からの公式レポートは、本投稿時点で公式HP内に見当たらなかったのですが、後述の〈公開作戦会議〉と併せて後日更新されると思われます。

〈公開作戦会議〉〈応援隊〉や自主企画の❝延長戦❞も

MVPの方をお招きして、❝公開作戦会議❞を都内で2月23日(木・祝)に行います。
https://fb.me/e/rYsR8BmRj
https://peatix.com/event/3492920/view
その会議開催日当日、改めて先日のプレゼンテーションを振り返っておきたいと考え、筆をとりました。

もし、以下に続く私なりの感想に触れて、ご関心を寄せたプロジェクトオーナーさんがいらっしゃいましたら、〈応援隊〉を通じた関わりもお勧めします。
https://forms.gle/d69nGcGj7R54o7oK9 

その他、歴代のプロジェクトオーナーさんも交えて、既に延長戦が行われているそうです。

ここではその情報の開示は控えますが、つてがある方は問い合わせてみてください!

各プロジェクトオーナー(全18名)の感想

当日、実際に直接お渡しした内容を基にしながら、改めて書き起こしてみました。

⓵板谷隼さん 「本と○○。-本がある場づくり-」

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聴講しての所感💬
 関西ご出身のアイデンティティを活かした場の温め方に好感が持てました。残り17組の発表に続いていく❝前座❞の役目も引き受けていて、まさか五十音順で発表順が決まったとは思えないトップバッターでした。
 本(ほん)という媒体には、❝プラットフォームを活性化する本(もと)❞としての資質をも秘めているのかもしれない、とふと想起する
ご発表でした。
 書籍が集まる場も魅力的ですが、特定の書籍の物語に沿った場づくりも模索できそうです。

②宇田川 大介さん「下館京師会 市街地魅力向上・発信プロジェクト」

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聴講しての所感💬
 地域の名所の「修景計画」の一環で、水たまりのひどい路面の補修を行ったところ、住民の方に喜ばれたという実績が最も印象に残りました。
 同時代の人々に寄り添いながら、歴史の継承を兼ねることができるのだと希望を抱く内容でした。
 「下館」は複数の鉄道路線が集まる駅の名前として当たり前のように認知していた私ですが、メンターさんが自治体の名前としては消失している(現:筑西市)ことに着目し、「下館」の名前を残す意気込みを感じたとnいう講評が新鮮でした。

➂蛯名 雄太郎さん/「NEW 310 ~学生×地域の八方良しプロジェクト~」

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聴講しての所感💬
 水戸市の「経済的な魅力」を高めるために空きビル再生というアプローチを行ったプロジェクトですが、水戸市特有の魅力を取り入れる、もしくは発信する拠点という方向性も併せて追求すると、どんなテナントが入るのだろうか、と興味を持ちました。
その魅力発信も、周辺・県内住民向けか、県外客向けか、どちらの指向をとるかで評価も変わりそうです。


④大越 瑞生さん「まちをつくるアパート〜こみと〜」🎖オーディエンス賞

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聴講しての所感💬
 「遊休不動産でまちを作る」中で、まちが育つ様子を温かく見届ける印象を受けましたが、大越さんの❝町長❞としてのお人柄もまた呼び込みの要素になると感じました。
 物件を手入れする姿は一般的にあまり表に見せるものではないのかもしれませんが、遊休地が再生する過程は、ルームガイドの一環として見てみたくなる面白さがあります。
 「遊休」に関して、不動産のみならず、住人の野心と重ね合わせると、さらなる共感を呼び起こす可能性を感じました。


⑤大森 湧太さん「アウトドアベース大子」

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聴講しての所感💬
 デジタルマーケティングの知見を活かし、一見、都市開発にも通用する着眼点が、自然体験にも調和している点が画期的だと感じました。活動実績や報告書の出来栄えとして非常に高いと思います。
 「アユ釣り人口を増やす」ことで、その人々動線が、自然を壊さない範囲で、大子町内のにぎわいと課題解決につながるのか、追跡していきたいと思いました。

⑥岡﨑 佑汰さん「ヒカリノイロドリ」

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聴講しての所感💬
 当日の講評に尽きるところで、発表者の「自己開示」で魅せる、プロセス型の発表だったと思っています。
 実績が十分に残せていなかったとしても、課題の発掘に常に向き合っている姿勢は、むしろ重要な投げかけだったと思いますし、課題の探求自体をプロジェクトの揺るぎないテーマとして置いてみるのもよさそうと思いました。
 自己開示が伝わるのはプロセスに❝フロー❞があるからこそで、ここに❝ストック❞が明確になると前進する確信が持てました。

⑦ポン子さん「漫画書簡 -Manga Letter-」

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聴講しての所感💬
 大半のプロジェクトが地域に対する参画が基本姿勢とする中で、ご自身の資質や特技を惜しみなく発揮している点が目を引きました。
 ですが、ご自身の自己実現欲求よりは、「ほかに取り組む人がいない」という需要を見極めた上でご活動を始めた、という冷徹さもまた印象的です。
 漫画の作品を発表する以上に、情報発信という方向性が明確になっていて素晴らしいと思いました。

⑧織原 大さん「オリオリ人生活サポート」

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聴講しての所感💬
 町議会員のような地元に密着した活動内容である一方で、他のプロジェクトオーナーと横断的な交流を続けながら発展した軌跡が魅力的です。
 風通しの良い内容という第一印象でした。

⑨草栁 ちよ子さん「やちよまち仮想鉄道」

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聴講しての所感💬(SNSにも共有いただいて、ありがとうございました!)
 仮想鉄道とは一見近未来的な印象を受ける単語だけに、地方私鉄のような望郷をかき立てる活動内容が意外でした。
 「出発進行」で締めくくられた発表ですが、プロジェクトオーナーの草栁さんは、運転士よりは駅長さんという印象で、地域の老若男女に囲まれる姿が思い浮かびます。
 なお、八千代町には実際に鉄道を通す計画があります。
 草栁さんはご存じなかったようですが、既に町役場にご提出済みという報告書が実際に敷設の機運を高めるのか?とも期待しています。

⑩齊藤佑飛さん「ノープラン イバラキ」

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聴講しての所感💬
発表の大半は、「解決方法をツール(主にアプリ)で」抽出できるような事例が入念な設計が紹介され、それは一見『ノープラン』というプロジェクト名に一見反するような興味がかき立てられました。
それが終盤、「あえて抽象的に」展開していくと語られたことが耳を引きました。(オーナーが構築し過ぎずユーザ本位で、という意味でとらえたのですが、違っていたらすみません。)これが『ノープラン』に込められたマインドやビジョンなのだなあと合点に至ったでした。

⑪佐野 匠さん「たのしごとうれしごと/人とストーリーへの教官から始まるお仕事プロジェクト」

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聴講しての所感💬
 「永く楽しく働ける」という一節が特に印象に残りました。
 パートナーシップに着目している点も踏まえると、プロジェクトの中では応援隊との関係構築が見出しやすく、個々人に中長期的に伴走していく光景が想起されます。


⑫渋谷 直樹さん「音楽フェスを日常にする」

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聴講しての所感💬
 他のプロジェクトオーナーからも何度か名前が挙がっていて、ふぇすの出演者に限らないステークホルダーとの連携がお得意なのだなと感じました。
 ご本人が「意図せぬ経済効果」とおっしゃっていた、周囲の飲食店の賑わいも頷けるところがあります。
 発表では、あまり音楽そのものに関する情熱が語られなかったので、その部分で共鳴していく集客に関してもお話を伺いたいと思いました。

⑬髙﨑 誠さん「『縁・芸』プロジェクト」

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聴講しての所感💬
 ご自身の未練が動機となって、次世代への機会提供へとつながっているビジョンに感銘を受けました。
 障がいを支援するという文脈を超えて、より普遍的な恩送りとして感じられた素敵な❝物語❞だと感じます。
 「アーティストのプロダクト」とは時に無形で対峙する方法が見出しづらいこともありますが、それは障がいにも通ずるのだろうなと発見がありました。

⑭中川 元さん「共鳴塾」

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聴講しての所感💬
 発表中に突如叫ばれた「脳(KNOW)」や「WE ♡つくば」という標語は、その意味合いが深く語られなかった印象がありますが、研究都市であることや、発表者が実際に万博を目の当たりにしたことを踏まえると、当時の情景や世情が踏まえられているのではないか?と思うと魅了されるところがあります。
「妄想の暴走」という単語が印象的だったのですが、これも「共鳴」につながる手がかりなのでしょうか。

⑮橋本 理沙さん「森と未来の学校」

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聴講しての所感💬
 子どもたちからの成果物が、そのままプロジェクトの実績として映えるようなストーリーが印象的でした。(しっかりプロジェクトオーナー側が子どもたちと対話した跡が見えました。)
 複数の事業を並行す中で、随時、報告が取りまとめられていることにも好感が持てます。
 発表者のお人柄とプロジェクトの実績の両面で❝伝わってくる❞と感じられ
、発表開始の数秒後に心をつかむ資質をお持ちだなと感じました。(今回の私の投票先です。)

⑯ホンモトツヨシさん「ゆるいば」

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聴講しての所感💬
 講評で、プロジェクトオーナーが「巻き込まれる側として」の存在感に言及された時、それまでつかみきれずにいた発表内容の筋が通ったような感覚を得ました。
 打楽器を持ちながら「セッション」という単語が投げかけられたところを、講評を送ったメンターさんは主体的に答え、再帰的に発表者を定義し直したのだなあと・・・。
 メッセージ性以上にただただ残る余韻に浸ってしまうショーさながらでした。

⑰横地 綾人さん「潮来SUP」🎖STAND IBARAKI賞

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聴講しての所感💬
 プロジェクト本体に関して分析するのは恐れ多いのですが、「プロジェクトの行方」が図示された時、SUPのミズベというフィールドの描き方と隠れた親和性があるのではないか、と思いながら拝聴していました。
(作戦会議ではこの部分を掘り下げようと思っています。)
 ご発表そのものの感想としては、「東京の人間で終わりたくない」という言葉が心に残っています。関係人口を模索する象徴的な言葉だと思いますし、ここに茨城との距離感を考慮すると、なかなか人文学的にも研究しがいのある一節だと思いました。
 そこに「地図上では❝分断❞する場所でも、つながっている水路」という一節はますます深く響きます。これは、【東京が❝分断❞にまみれた地域】であることを示唆しているような聞こえもあるからです。
 ミズベの情景を味わうことで、東京に抱く感覚が相対的に抽出できるなら、それは興味深い体験となりそうです。
(※ちなみに、聴講中に何となく受賞を確信していました。私も投票先の候補だったですが、終盤で完成度が高いと評が集まりやすいだろうから、あえて選ばなかった、という、私にとってはある種の因縁(?)を残している方です。せっかく個別につながっていただいたので、どこかで貢献したいものです。)

⑱和田 真寛「大子のプライベートサウナがある宿」🎖NEW IBARAKI賞

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聴講しての所感💬
 都会の飲み屋のような「集まる文化」を目標になさっているとのことで、老若男女が集う(入浴のように男女別ではない)サウナではまさに積極的に導入できるのだなあと納得感が強い発表でした。
 サウナが町の地域資源と連動した名所になってほしいという思いもありますが、地元の方の隠れ家としても重宝する印象もあり、その妥協点を見つけていけたらよりよい取り組みになると思いました。

会場(茨城県立図書館)について

元県議場だったという空間には、巨大なプロジェクターが用意されていて、発表の場として格別だったと思います。
しかし、演台はさほど高くなく、目の前の客席(議員席に相当する部分)との仕切りも少なく、双方向のコミュニケーションに向きやすい場所と感じました。
今回は特に私服で集まる場だったこともあり、ある程度、公的な場という威厳を保ちつつも、静粛さを助長しない今回の雰囲気は適していたと感じます。
(県庁の方から、今回の会場の選定に関して投げかけられていたので、アンケートに留めず答えてみました。)

あとがき:筆者について

私は最終プレゼンを現地で聴講し、当日の時点で各プロジェクトオーナ―の方に一通りの所感を寄せてはみたものの、それまで「STAND IBARAKI22」の半年間の様子は一切存じ上げていませんでした。
(かろうじて、現地の観客に県内在住の知人が一人いて、事前に連絡を取り合っていた程度です。)
ですが、「STAND IBARAKI」の一部のメンターさんに、私もまたお世話になっていたことで聴講を決めました。


~類似の関係人口創出プログラムに参加した上での所感~

'22年8月~'23年2月、ほぼ時期を同じくして、福島県が主催の県外向けの関係人口創出プログラム:「Make it!ふくしまプロジェクト」に参加していた筆者です。
私自身も福島県現地で成果報告会で登壇し終えた翌週に、茨城での最終プレゼンが開催されました。
既に発表を終えて安堵した気分で会場に出向きましたが、発表という経験を共にする皆様への愛着や共感を拭うことはできず、地域は違えど当事者意識が常に沸き立っていた半日間でした。
(安堵のあまりか、「どうぞ前の方にご着席ください」と何度か勧められるがままに座席を移動していたら、あれよあれよと最前列に居座ってしまい、一部のプロジェクトオーナーさんから新たな関係者か?と奇異な目を引いたらしいことは身に余る思い出です・・・。)

私が参加した福島の方は、県外(主に首都圏)在住でふくしまに馴染みがない人向けにチーム活動で開催された特徴がありました。
プロジェクトの作り方を学べる場として、初心者向けに開催された側面もあります。
これに対して、茨城移住計画は、県内在住の方も多く、プロジェクトオーナーは個人単位でした。
プロジェクト参加前からそれなりに地域の事情や課題を理解した上で、申し込んだ方も多いのではないかと見受けられました。
福島が県内の広域な区分(浜通り・中通り・会津)でチームを編成したのに対し、茨城の方は特定の自治体や地域に焦点を当てている方も多かった点が印象に残っています。

より個人的な思い入れとして、福島と茨城とでは、一部のメンターさんが共通していたという点があります。
福島❝県❞では私の所属するチームに向けて直接講評を頂いた一方で、茨城❝県❞では講評を客席で聴くという経験をしました。

すると、やっと自分のプロジェクトが客観視でき、時にはチームの一員のように接してくださったメンターさんとの交流が贅沢な体験だったという感謝が込み上げてきた次第でした。
(不思議なことに、登壇中よりも客席で聴講している方が、そのメンターさんが貴重な存在として受け止められたのです。順番のせいもあるのでしょうが、直接講評を受ける経験に臨んだからこそ、その方の幅広いご活躍がより誇らしく感じられたのだと思います。また、今までの自分であれば近付けなかった上級者向けの場を聴講してみようと、自分が自分に❝招待❞を許可できたのだと思いました。)

曲がりなりにも、私も県のプロジェクトに携わったことを糧に、各地で関係人口として参画中の方々に伴走できるような存在になれたらと、成長意欲を高める時間となりました。

後半へ進むにつれて脈絡のない駄文となりましたが、お付き合いくださり、ありがとうございました。

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