発明実績者が集まって、この発明創造事例集を作成しました。この事例集を活用して、日本の若者が創造性を培い、想定外の事態にも対処できる能力を獲得してもらいたいと思います。
~発明家たちの頭の中~
発行日: 2022年4月18日(発明の日)
作成者:
Facebookグループ「発明実績者による発明創造教育」のメンバー有志
久野敦司、塚本豊、片岡敏光、中村圭介、長田正範、田方篤志、深田博幸、田村知章、鴨川威
Facebookグループ「発明実績者による発明創造教育」のURL
https://www.facebook.com/groups/inventors.school
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序文: この事例集の目的と作成の経緯
この事例集は、Facebook上のグループである「発明実績者による発明創造教育」に集った発明実績者の中の有志が作成したものです。
https://www.facebook.com/groups/inventors.school
スポーツの世界での日本の若者の活躍は素晴らしいものがあります。例えば、渡米して大リーグで活躍している大谷翔平選手や、ボクシング世界チャンピオンの井上尚弥選手がいます。日本の若者が、科学技術の世界でも産業分野でももっと活躍して、日本の未来を発展させるためには、想定外の事態への対応能力、問題解決策の立案・実行の能力などから構成される創造能力のさらなる強化が必要です。
日本の若者の創造能力のさらなる強化をするためには、発明実績を備えた人材が結集して、発明創造教育を日本の若者に対して行なう事が極めて重要です。
そのため、本グループでは発明実績を備えた発明者が、自らの発明の内容やその発明の創造などにおける発明創造思考法を日本の若者向けに、様々な手段で発信する手段の1つとして、本書を作成しました。
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第1章: 各発明実績者ごとの発明事例紹介と発明思考法や考え方や価値観
1.1 久野敦司
海上保安官として巡視船および海上保安大学校の練習船での勤務を経て、1980年にオムロン株式会社に入社し、知能ロボットの研究開発や知的財産業務、新規事業開発業務などを行なっていました。2016年に定年退職後は、PatentIsland株式会社の社長として発明ゼミナールの事業をやっています。また、知財創造教育の近畿地区のコンソーシアムで委員もやっていました。
主として、画像認識技術、人工知能、センサーネットワーク、IoTの分野の発明をしています。
1. 特許第5445722号 データフロー制御指令発生装置およびセンサ管理装置
【背景】
通常、センサは、その所有者自身が必要とするデータを収集するために設置される。そのため所有者がデータ収集を行うとき以外は利用されていない(センサ自体が稼働していない、またはセンサが稼働していてもセンシングデータが利用されない)ことが多い。そのためセンシングデータの流通性は低く、第三者にとっていかに有意義なデータであっても、センサの所有者自身による分析、利用に留まっていた。その結果、設備の重複投資や、各自が設置したセンサとの通信によるネットワークの輻湊を招いていた。
また、IoT(Internet of Things)という技術が検討されている。これは、世界に存在する多くの物に関する情報をネット上で組み合わせることで新しい価値を生むもので、社会インフラを始めとする様々なサービスのシームレスな展開が期待されている。IoTから価値を生み出すためには、ネットに繋がる物の状態を知る必要があり、センシングと通信が重要な要素技術となる。
IoTにおいては、時間、空間、人、物、情報、エネルギーなどの資源を様々な粒度で最適化するためのシステムを形成する。最適化するということは、資源を、必要性が低い部分から高い部分に移転したり、価値が高い形態で使用したりすることであり、資源の移転や使用権の設定、対価の支払いなどの取引が行われる。しかし従来、センシングデータなど流通させる仕組みは整備されていなかった。
【発明の目的】
この発明の目的は、多くの物がネットワーク上に接続されたシステムにおいて、センシングデータなどの資源を適切に流通させる仕組みを提供することにある。
【概要】
センシングデータを出力するセンサに関する情報であるセンサ側メタデータを取得するセンサ側メタデータ取得手段と、センシングデータを利用してサービスを提供するアプリケーションに関する情報であるアプリ側メタデータを取得するアプリ側メタデータ取得手段と、センサ側メタデータおよびアプリ側メタデータのマッチングを行うことでアプリケーションの要求を満たすセンシングデータを提供可能なセンサを抽出するマッチング手段と、センサを管理するセンサ管理装置に対して、マッチング手段により抽出されたセンサとアプリケーションとを特定したデータフロー制御指令を送信する指示手段を有するデータフロー制御指令発生装置を用いる。
図1.1.1
【本発明の社会への影響の状況】
オムロンから自民党のIoT政策および日本政府のIoT戦略の作成部局に提案して、日本政府のIoT戦略の中心部分であるデータ流通市場の構想になった。
図1.1.2
図1.1.3
そして、データ取引市場と名前を変え、内閣府および内閣官房での下図のような柱の政策となり、2021年末に⼀般社団法⼈ データ社会推進協議会 にて活動を発展させている。
下図の出典: 民間保有データの利活用を促進するための データ取扱いルールの検討状況 令和3年3月31日 内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 内閣府 知的財産戦略推進事務局
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2021/dai6/siryou6.pdf
図1.1.4
【この発明の創造の経緯】
この発明を私が発想したのは2012年頃の事ではあるが、2000年頃からユビキタスセンサーネットワークやM2MシステムやRFIDシステムの事業企画、知財戦略を担当していたことが大きく影響している。
ユビキタスセンサーネットワークやM2MシステムやRFIDシステムは、産業界でも学会でも大きく取り上げられ、多数のプロトタイプシステムや政策が実現してきた。しかし、どれも特定の1社または1つの企業グループが、自分たちが設置したセンサを使って自分たちでそろえたアプリケーションシステムでセンサを用いて、特定の目的で動作させるというものであった。そのため、事業開始のための初期投資が大きいし、自分が管理する地域でしか事業ができないという問題があった。
この問題は、いくら通信技術を高度化させたり、通信料金を安くしても解決できないものであったが、発明当時は誰もセンシングデータの流通市場が無いことが原因であるとの指摘をしていなかった。
事業者が管理する領域(ゾーン)の制約を取り払い、国内のどこでも、さらには世界のどこのセンサからもセンシングデータをセンシングデータ流通市場を介してリアルタイムに得られるようになれば、センシングデータを用いたアプリケーションサービスを移動しながらでも受けられる。アプリケーションサービスがユーザの移動に合わせてユーザを追いかけてサービスし続けることも可能となる。さらには、仮想的なセンサを実センサを組み合わせて実現し、その仮想センサがあたかも実空間を飛行しているかのように、仮想センサで用いる実センサをある一定の軌道に沿って順次に入れ替えるということもできる。
これを実現するためには、必要とするセンシングデータを自由に売買できる市場が人間を介さずにリアルタイムに動作する必要があると考えた。そして、センシングデータの売り手から買い手への移動は、センシングデータの売買取引ができた後にだけ行うようにして、通信ネットワークが使用見込みのないセンシングデータの送受信のために満杯になることがないようにしなければならないとも考えた。
その結果、本特許発明にあるように、アプリ側メタデータとセンサ側メタデータをマッチングして、マッチした場合だけセンサ側に対して指定したアプリ側にセンシングデータを送信せよとのデータフロー制御指令を発するという仕組みを発明した。
【発明創造のための思考法】
考えをまずは、図と文章にしてノートに書いてみることが大事である。その過程で、不明確な部分が明らかになるので、その部分を明確に表現してみたり、調査をして必要な情報を入手して考えたりする。そして、その結果をまたノートに書き加えるのである。このノートをアイデアノートとして常に身近に置いておくことが良い。必要な情報がアイデアノートに十分に書かれていくと、そのアイデアの全体像も見えてくるし、未解決の部分も見えてくる。そこで、未解決の部分を集中的に考えるのである。そうすると、自分の潜在意識が起動されて、未解決の部分の解決策を自動的に潜在意識が探ってくれて、解決策を見つけてくれるようになる。
これは、私が中学生の頃から実践している発明発想法であり、「発明少年Z」として小説風にまとめている。
図1.1.5
上図の出典: https://www.amazon.co.jp/dp/4865221077
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2. 特許第5682733号 ゲームシステム及び端末
【発明の背景】
大地震や台風などの大きな災害のような非常時に、電力供給が途絶え、電話やインターネットなどの通信ネットワークが止まった場合に、被災地において状況把握や被災者の通信のための無線センサーネットワークが必要となる。その非常時用の無線センサーネットワークを平時においても活用する事で、平時において動作を維持することができるので、非常時において確実に動作させることができる。
【発明の目的】
平時において、無線センサーネットワークを地域住民の健康維持と相互に知り合いになるためも兼ねて、現実空間と仮想空間を併用した陣取りゲームのために用いる。
【概要】
ゲームシステムが、現実世界における複数の地点の情報を記憶する地点情報記憶手段と、ゲームの参加者が現実世界においていずれかの地点まで移動し携帯する端末を用いて所定の操作を行った場合に、ゲーム上の仮想世界において前記参加者を当該地点に対し関係づけるために、前記参加者のID情報と当該地点の情報とを関係づけたデータを記録する関係情報記録手段と、ゲーム上の仮想世界において前記参加者が関係づけられた3つ以上の地点を結んで定義される閉領域を、前記参加者又は前記参加者が属するグループが獲得した陣地として記録する獲得情報記録手段と、各参加者又は各グループが獲得した陣地に関する情報を、ゲームの参加者の端末に対し出力するゲーム情報出力手段と、を有する。
図1.1.6
【本発明の社会への影響の状況】
この発明の原出願の特許出願日である2012年2月3日の約10か月後である2012年11月からβ版の運用が開始されたIngressが、まさにこの特許発明と同じ概念のゲームとなっている。
下記の出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Ingress
●Ingressのゲームのコンセプトはオンライン、リアルタイムに継続する陣取りゲームである。プレイヤーは2つの陣営のうちのどちらかに属する。世界各地に存在する「ポータル」を攻撃することによって自陣営の所有とし、ポータル同士を「リンク」して三角形を描くと、その内側が「コントロールフィールド」と呼ばれる自陣になる。フィールドの面積と、人口の密集度合い[4]によって得点が加算される。
下図の出典: https://japan.cnet.com/article/35060909/
図1.1.7
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3. 特公平7-119780(特許第2077044号) 実装基板検査位置生成装置および方法
【発明の背景】
この発明を行なった1986年の頃は、電子機器のハンダ付け検査は目視で行なっていました。しかし、プリント基板上のハンダ付け箇所の個数が増加するとともに、ハンダ付け箇所の寸法が小さくなってきていました。その結果、人による目視検査は限界にきつつあり、目視検査の自動化が必要になってきていました。私は、プリント基板のハンダ付け検査装置の開発を担当していました。その開発の中で、検査のための検査位置および検査基準を含む検査用データの自動生成ソフトウェアの開発をしました。プリント基板上に手作業で1ヶ所ずつ検査位置を入力することは大変に手間がかかり、この部分を自動化することが課題であると認識し、検査位置をプリント基板設計CADシステムまたはチップマウンタから得られる部品実装位置情報と部品形状情報から自動生成するというアイデアを思いつきました。
【概要】
【請求項1】部品が実装された実装基板を検査するための検査位置を生成する実装基板検査位置生成装置であって、
基板に対する前記実装される部品の装着位置を指定するための部品装着情報を記憶する第1の記憶手段と、
部品の種類毎に検査対象となり得る場所の相対位置データを含む部品情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶される部品装着情報と前記第2の記憶手段に記憶される部品情報とから実装基板を検査するための検査位置を生成する検査位置生成手段とを備えることを特徴とする実装基板検査位置生成装置。
図1.1.8
【本発明の社会への影響の状況】
プリント基板上でのハンダ付け検査位置の自動生成に関する本発明の方式は、業界において「検査データ作成」と呼ばれて、広く一般的に使用されるようになっています。
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1.2 塚本豊
建築学科卒業後大阪の特許事務所に勤務し、1987年に弁理士登録。2012年に未来社会研究所を設立、2017年に株式会社フューチャーアイを設立。
主として、メタバース、情報セキュリティ、AI、ブロックチェーンの分野の発明をしています。
まず、私の全発明に共通の普遍的思考法を説明した後、各発明について説明します。
【普遍的発明思考法】
長年の経験から分かったことは、大発明が必ずしも大きな収益をもたらす発明(以下「儲かる発明」という)とは限らないということです(大発明≠儲かる発明)。
それでは、「儲かる発明とは何ぞや?」を突き詰めた結果たどり着いた結論は、「未来の当り前を特許で先取りした発明」です。今現在ではどこにも存在しないが、5年~15年先の未来では、猫も杓子も当たり前に使っている発明です。
分かりやすい例えを1つ。現在、巨大テック企業が量子コンピュータの開発にしのぎを削っています。量子コンピュータが完成し普及したと仮定したうえで、その巨大テック企業がどのようなビジネス展開を行うのかを推測し、ビジネス上の美味しいところを全部特許で先取りしておく、という手法です。いわば、巨大テック企業の背中を追いかけるのではなく、量子コンピュータを開発した後の巨大テック企業が歩であろう道に先回りするという作戦です。これが、周回遅れの日本がGAFAに勝つ唯一の奇策と思います。
このような手法を実現するためには、量子コンピュータ等の基盤技術が完成し普及したと仮定したうえで、社会の仕組みやビジネスがどのように変化するのかを推測する必要があります。その具体的手法を以下にビジュアル的に示します。
図1.2.1
ステップ1~3の3ステップからなります。
(ステップ1)社会科学を駆使して5~15年先の未来像を予測
(ステップ2)その未来像から、新たなニーズや社会的課題を推理する。その際、人間の心理法則やビジネス上の法則を用いる。
(ステップ3)新たなニーズや社会的課題を解決するための技術を探し出して解決手段を考え出す。
以下、各ステップの内容をビジュアル的に示します。
図1.2.2
図1.2.3
図1.2.4
図1.2.5
図1.2.6
図1.2.7
図1.2.8
図1.2.9
図1.2.10
図1.2.11
以上に示した「儲かる発明」の考え出し方を、YouTubeで解説しています。そのURLを示しておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=kCBVNLcQn5c
このような手法で取得した特許は、世の中が追いついてきた段階で、その世の中全体が特許権侵害になるという、極めて強大な特許になります。
以下、各発明について説明します。
【1.特許第5257911号 個人情報保護装置】
【発明創造の経緯】
この特許は、分割ファミリー(特許5158662,5168676,5198678,5257911,5257912,5326178,5510690,5544486)の1つです。出願日は2001年8月28日です。その当時の政府が発行した刊行物において、「個人情報を保護しつつも個人情報を利活用して産業の発展に資する」という方針が打ち出されました。これを受けて考え出したのが本件発明です。
この政府の方針から未来を予測すれば、個人情報を収集してマーケティングや広告に利活用するビジネスが勃興する社会になる。個人情報を制する者が世界を制する時代になることが予測されました。そこで新たに生じる課題が、個人のプライバシー問題です。この問題を解決できれば、未来社会で発生する巨大なブルーオーシャン(巨大市場)を先取りできると、予感しました。
個人情報をマーケティングや広告に利活用するにおいて、個人情報主の住所氏名等の個人特定情報は必ずしも不要であり、個人情報主を同定できさえすれば事足りるのではないかと考えました。例えば、私塚本豊が、ウェブサイトAにアクセスした後ウェブサイトBにアクセスした場合に、塚本豊か誰かは分からないが(特定できないが)、同一人物がウェブサイトAにアクセスした後ウェブサイトBにアクセスしたことさえ分かれば、当該同一人物(仮にID:abc)についての行動履歴を収集し利活用できます。
よって、住所氏名等の個人特定情報に紐づかない全世界共通のIDを個人特定情報の代わりに用いて、ネットサーフィンやショッピング等の行動を行えばよいことになります。このような考えに基づいた特許が上記分割ファミリーです。
【発明内容】
【背景技術】
【0002】
従来において、ユーザがネットワークを通してサイトにアクセスして、たとえばショッピング等のネットワーク上での何らかの行動を起こす際に、当該ユーザの住所氏名や年齢あるいは嗜好情報等の個人情報の送信をサイト側から要求される場合がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、実在するユーザ本人を特定して識別するための実在人物用識別データを用いることなくユーザが匿名でウェブサイトにアクセスした場合においても売買や決済等の行為や本人確認を可能にすることである。
【請求項1】
コンピュータシステムを利用して、ネットワーク上での個人情報を管理する個人情報管理装置であって、
実在するユーザ本人を特定して識別するための実在人物用識別データを登録する実在人物用識別データ登録手段と、
前記実在人物用識別データ登録手段に登録されている前記実在人物用識別データを用いてユーザ本人の認証を行なう本人認証手段と、
前記本人認証手段による本人認証に成功したことを条件に電子証明書を発行する電子証明書発行手段とを備え、
前記電子証明書は、前記ユーザ本人が前記実在人物用識別データを用いることなく匿名の識別データを用いてウェブサイトにアクセスするときに前記ウェブサイトに送信されるものであり、当該ウェブサイトにおいて前記本人認証の代わりに当該電子証明書の確認が行われ、
前記個人情報管理装置は、さらに、
前記ユーザ本人の個人情報を要求する業者に対し、当該個人情報の提供を許諾してよいか否かを判定する許諾判定手段と、
該許諾判定手段により許諾してよいと判定された場合に、当該個人情報を提供する制御を行なう個人情報提供制御手段とを備える、個人情報管理装置。
【請求項2】
コンピュータシステムを利用して、ネットワーク上での個人情報を管理する個人情報管理装置であって、
実在するユーザ本人を特定して識別するための実在人物用識別データを登録する実在人物用識別データ登録手段と、
前記実在人物用識別データ登録手段に登録されている前記実在人物用識別データを用いてユーザ本人の認証を行なう本人認証手段と、
前記本人認証手段による本人認証に成功したことを条件に電子証明書を発行する電子証明書発行手段とを備え、
前記電子証明書は、前記ユーザ本人が前記実在人物用識別データを用いることなく匿名の識別データを用いてウェブサイトにアクセスするときに前記ウェブサイトに送信されるものであり、当該ウェブサイトにおいて前記本人認証の代わりに当該電子証明書の確認が行われ、
前記個人情報管理装置は、さらに、
前記ユーザ本人の個人情報を要求する第1の業者または第2の業者に当該個人情報を提供する制御を行なう個人情報提供制御手段を備え、
前記個人情報提供制御手段は、1人のユーザの個人情報を前記第1の業者または前記第2の業者に提供する際に、当該1人のユーザにより前記第1の業者と前記第2の業者とで個別に設定されている許諾条件に従って個人情報を提供する、個人情報管理装置。
【請求項3】
コンピュータシステムを利用して、ネットワーク上での個人情報を管理する個人情報管理装置であって、
実在するユーザ本人を特定して識別するための実在人物用識別データを登録する実在人物用識別データ登録手段と、
前記実在人物用識別データ登録手段に登録されている前記実在人物用識別データを用いてユーザ本人の認証を行なう本人認証手段と、
前記本人認証手段による本人認証に成功したことを条件に電子証明書を発行する電子証明書発行手段とを備え、
前記電子証明書は、前記ユーザ本人が前記実在人物用識別データを用いることなく匿名の識別データを用いてウェブサイトにアクセスするという匿名ネットワーク行動を行なうときに前記ウェブサイトに送信されるものであり、当該ウェブサイトにおいて前記本人認証の代わりに当該電子証明書の確認が行われ、
前記個人情報管理装置は、さらに、
前記匿名ネットワーク行動を行なって種々のウェブサイトにアクセスしたときの行動履歴情報を当該ウェブサイトから収集して記憶するための行動履歴情報記憶手段と、
前記ウェブサイトから前記行動履歴情報の要求を受けた場合に前記行動履歴情報記憶手段に記憶されている前記行動履歴情報を当該ウェブサイトへ提供するための制御を行なう行動情報提供制御手段とを備える、個人情報管理装置。
【請求項4】
コンピュータシステムを利用して、ネットワーク上での個人情報を管理する個人情報管理装置であって、
実在するユーザ本人を特定して識別するための実在人物用識別データを登録する実在人物用識別データ登録手段と、
前記実在人物用識別データ登録手段に登録されている前記実在人物用識別データを用いてユーザ本人の認証を行なう本人認証手段と、
前記本人認証手段による本人認証に成功したことを条件に電子証明書を発行する電子証明書発行手段とを備え、
前記電子証明書は、前記ユーザ本人が前記実在人物用識別データを用いることなく匿名の識別データを用いてウェブサイトにアクセスするという匿名ネットワーク行動を行なうときに前記ウェブサイトに送信されるものであり、当該ウェブサイトにおいて前記本人認証の代わりに当該電子証明書の確認が行われ、
前記個人情報管理装置は、さらに、
前記匿名の識別データを登録する手段であって、1人のユーザ本人に対して複数種類の前記匿名の識別データを登録可能な匿名識別データ登録手段をさらに備え、
前記ユーザ本人が前記匿名ネットワーク行動を行なう際に前記複数種類の匿名の識別データのいずれかを選択的に使用できることを特徴する、個人情報管理装置。
【請求項5】
前記匿名の識別データは、当該匿名者を識別するためのコードを含む、請求項1~請求項4のいずれかに記載の個人情報管理装置。
【その発明の社会への影響】
出願日(2001年8月28日)から7年ほど経過したころから、案の定、被疑侵害品(OpenID、OpenID Connect、Oauth、SAML等)が市場に出てきました。例えば、OpenIDとは、管理主体の異なる様々なシステムやサービス間で利用者の識別情報を共通して使えるようにする連携方式を定めた規格の一つ。また、同規格の策定・普及を進める業界団体がOpenID Foundationです。これらの技術は、後に世界技術標準になりました。
その当時、OpenID、OpenID Connect、Oauth、SAMLの国際標準化を推進するリバティーアライアンスの元締めをYahoo! JAPANが行っていました。上記分割ファミリーを、最終的にはYahoo! JAPANに権利譲渡しました。
【2.特許第6206897号 コンピュータシステムおよびプログラム】
【発明創造の経緯】
この特許は、原出願を特願2011-553710号とする分割ファミリー19件のうちの1つです。優先日は2010年2月15日です。
12年ほど前に、リアル世界とバーチャル世界との橋渡しができれば面白いことになると考えました。例えば、思い出の場所(2人の初デートの場所等)に纏わるブログやSNSを書き、その思い出の場所へ出向いた者(本人限定または第三者もOK)がそこからバーチャル空間のブログやSNSにジャンプ(遷移)できれば面白い。
これを実現するためには、リアル世界の或る場所(思い出の場所)にバーチャル世界への入り口を形成する必要があります。例えば、リアル世界の或る場所に、バーチャル世界へジャンプするためのQRコードやICタグ(RFID)を貼り付けることを考えました。しかし、リアル世界に滅多矢鱈(めったやたら)QRコードやICタグ(RFID)を貼り付けるわけにはいかない。なにかよい方法はないかと考えていたところ、セカイカメラのエアタグにたどり着きました。
このセカイカメラは、ARのはしりであり、私は大きな衝撃を受けましたが、当時、あまりにも先走り過ぎていたために、失敗に終わりました。
このセカイカメラをきっかけに、未来では、メタバースやミラーワールドが当たり前になる世界になると確信しました。その未来世界を予測して特許出願したのが、大元の原出願を特願2011-553710号です。この出願明細書の【発明を実施するための形態】には、メタバースやミラーワールドの未来世界を詳細に記載すると共に、リアル世界のアイデアも付録的に記載したいました。出願してから10年間は、世の中が出願内容に追いついてこない状態が続きましたので、リアル世界の記載内容をクレームアップして数珠繋ぎ分割(何世代も亘って繰り返す分割)を行ったのが、この分割ファミリーです。この分割ファミリー特許権に基づいてLINEふるふるを訴えたのがLUNEふるふる訴訟であり、LINEふるふるが侵害であると東京地裁で判決されました。
最近になって、やっと、世の中がメタバースやミラーワールドに追いついてきたため、今後は、メタバースやミラーワールドをターゲットとした数珠繋ぎ分割を行う予定です。
【発明内容】
まず、大元の原出願の【発明を実施するための形態】に記載されている内容の一部を分かりやすくSF物語風に記載したものを以下に記載します。少し長くなりましたが、SF小説でも読むつもりで楽しんでください。
2019年11月、鈴木恵子は、都内の大学に通う英文学科の学生だ。新しいもの好きな女性である。先日ダウンロードしたアプリをONにして東京の街を歩くのを楽しみにしている。そのアプリの名前は、「もう1つのセカイ」という。街を歩いているとバーチャル世界(もう1つのセカイ)から話しかけられるという、なんともはや奇想天外なアプリである。
今日は面白そうなイベントが渋谷で開催されるので、午後からの授業をサボって渋谷のマークシティーあたりを歩いていると、早速私のスマートグラスにチャットが表示された。バーチャル世界から誰かがチャットで話しかけてきている。スマートグラスには、相手方の話した言葉が表示されている。
My name is Bob. I am a 20 year-old Englishman. I am planning to go on a trip to Tokyo soon. I am interested in the town of Shibuya. Please tell me about a recent Shibuya.
まあ、イギリス人からだわ。東京旅行の下見みたいね。私もイギリスに行ってみたいので、コンタクトをつけておくのも悪くはないわね。
そう思って私は、渋谷の現状をいろいろと教えてあげた。
このアプリ「もう1つのセカイ」のからくりはこうだ。
先ず、例えばストリートビューのように現実世界(リアル世界)をコピーしてデジタル映像化したバーチャル世界(メタバース)を用意する。次に、スマートグラスのGPS機能を利用して、リアル世界にいる人のアバターをバーチャル世界の対応する位置に映像表示する。例えば、私が渋谷の街を歩いている最中、私のアバターがバーチャル世界内の渋谷を同じように歩く。バーチャル世界に進入した他人がそのアバターを見つけてチャットで話しかければ、その話し言葉がリアル世界の私のスマートグラスに表示される。もちろん直接通話も可能だ。
バーチャル世界のよいところは、どこにでも瞬間移動できる点である。先ほどのイギリス人ボブは、イギリスにいながらにしてバーチャル世界に進入して渋谷に瞬間移動して来たのだろう。そして、ちょうど渋谷を歩いていた私のアバターに話しかけてきたというわけだ。このアプリ「もう1つのセカイ」のおかげで、最近バーチャル世界(メタバース)がずいぶんとにぎやかになった。以前のバーチャル世界は他人のアバターにほとんど出合うことがなくいつも閑散としていたが、今ではリアル世界を歩いている多くの人間のアバターでにぎわっている。
私は、後々連絡が付くように「共有仮想タグ」を現在位置に貼り付けることを相手(ボブ)に提案した。この「共有仮想タグ」こそ「もう1つのセカイ」の最大の売りと思う。なにしろ、電話番号やメールアドレスや住所などの個人情報を一切相手に伝えることなく、後々コンタクトを取ることができるという、優れものだ。初対面で氏素性の分からない相手の場合、特に重宝する。あ! そうか ボブとはまだ実際には会っていないので、初対面未満だわね。
この「共有仮想タグ」は、当事者(ボブと私)が互いのスマートグラスのタグアイコンを同時にタップ操作することにより、その当事者の現在の場所(リアル世界とバーチャル世界との両方)に作成されて貼り付けられる。作成された「共有仮想タグ」は、当事者のスマートグラスにしか表示されず、当事者のみがその「共有仮想タグ」にアクセスできる。バーチャル世界に進入して自分が作成した「共有仮想タグ」をタップすれば、コンタクト用ページが開かれ、互いに書き込みや閲覧ができる。気が向かない相手の場合には、その「共有仮想タグ」にアクセスしなければよいのである。
もちろん、リアル世界同士の人が出会った場合にも同様に、出会った場所(リアル世界とバーチャル世界との両方)に「共有仮想タグ」を作成することもできる。私は安室奈美恵のライブによく行くので、そのライブ会場の観客と安室奈美恵との全員で同時にタグアイコンをタップして作成した全員の共有仮想タグが沢山ある。
後々コンタクトを取る相手を特定するにおいて相手の名前などを知らなくても、「共有仮想タグ」が出会った場所に作成されているために、その場所が相手を特定する情報となる。バーチャル空間から「共有仮想タグ」が作成されている場所に行けば、出会ったときの記憶が蘇り、相手の名前などを知らなくてもコンタクトを取りたい相手か否か、判断が付く。
このように「共有仮想タグ」が拘束力のないゆるいつながりを構築するものであるために、「共有仮想タグ」を作成する際の精神的障壁が少なく、最近ではだれもが気軽に「共有仮想タグ」を作成する風潮になった。昔の男は、彼女の電話番号やメールアドレスを聞きだすのにそれ相当の勇気が必要だったようだが、そのようなことは「共有仮想タグ」のおかげで懐かしい昔話しになってしまった。
ボブとの会話(チャット)も終わり、ミネラルウォータを飲もうと鞄をあけたところ、あれ? 教科書が1つ無い! 大学の教室に忘れてきてしまったんだわ。今から取りに帰ったのでは、渋谷でのイベントに間に合わない。どうしよう。
そうだ、こんなときにこそ「もう1つのセカイ」を利用すればいいんだわ。私は早速バーチャル世界に進入して大学の教室に瞬間移動した。だれか知り合いがいればいいんだけど・・・バーチャル空間の教室内を見渡してみると、数人のアバターがいる。あれ? あのアバター確かアヤミじゃないの。ラッキー! 私はアヤミのアバターに話しかけ、教室に忘れている教科書を預かってもらうことにした。アヤミサンキュー。
そういえば、以前の東日本大震災のときにもこの「もう1つのセカイ」が大活躍したと、ニュースで報道していたわね。地震直後に救援隊の1人が先ずバーチャル世界から進入して被災地に瞬間移動し、その場所で表示されていたアバターに話しかけ、現地の被災状況をいち早くキャッチし、また適切なアドバイスを現地被災者に直接伝えた、と言うことだ。
そうだ、ゆっくりしている場合じゃない、さあ、イベント会場に急ぎましょう。
渋谷区道玄坂のイベント会場に着いた。「イギリス留学準備セミナー」私これに出席したかったんだ。会場には、イギリスに留学したいという同志が既に100人近く集まっていた。受付で資料をもらったとき、受付係りの人から、「共有仮想タグによるコミュニティに入会しませんか?」と誘われた。私は喜んで入会した。
以前のイベントでは、受付で住所氏名やメールアドレス等の個人情報を記入させられて、後々イベント主催者側からダイレクトメールがしつこく送られてきたが、最近では、イベント主催者側と参加者側との情報のやり取りは、自由参加のコミュニティで行なうようになった。ボブと作成した共有仮想タグは個人同士のコンタクト手段だが、それをイベント主催者側と各参加者同士のコンタクト手段に広げたのが、この「共有仮想タグによるコミュニティ」だ。自分のスマートグラスを操作して受付の無線LANアクセスポイントと交信するだけで、簡単に「共有仮想タグによるコミュニティ」に入会できる。
入会した後、私は早速バーチャル世界の渋谷区道玄坂のイベント会場に進入してみた。既にそこにはコミュニティ用共有仮想タグが作成されており、タップしてみると、イベント主催者側の作成したホームページが開き、参加者への連絡コーナとか参加者によるコミュニティコーナ等が作成されている。コミュニティコーナには既に数件の書込みがなされていた。先ずは自己紹介と思い、私も書き込んだ。今後は、このコミュニティを通じて同じ志を持った者同士による有意義な情報交換ができそう。人同士の新しい繋がりができたらいいな。なにかワクワクしてきたわ。プライバシーの心配もなく「共有仮想タグ」様様ね。
この「共有仮想タグによるコミュニティ」、最近では合コンで利用される店でよく採用されているらしい。店側にしてみれば、合コンでの利用客をなんとかリピータにしたいという思惑があり、合コンでの利用客を店が作成した「共有仮想タグによるコミュニティ」に勧誘するとのこと。合コンの参加者は、そのほとんどが既に「もう1つのセカイ」のアプリをダウンロードしているところに目を付けたのだろう。合コンなどで初対面の相手に対しメアドの交換は抵抗を感じる女性が多いため、合コンなどの参加者は事前に「もう1つのセカイ」のアプリをダウンロードしていることが当り前の風潮になっている。
この「共有仮想タグによるコミュニティ」、今後は客を相手にする小売店全体に普及しそうだ。
イベントも終わり帰宅する途中で、私のスマートグラスにポップアップ通知がなされた。コンタクトページに書込みがあったことの通知だわ。どこの共有仮想タグだろう? あら、先ほど渋谷のマークシティー前で作成した共有仮想タグだわ。たしかボブと名乗ってたわね。忘れないうちにメモしておこうと思い、スマートグラスの共有仮想タグ帳を開いた。
最近のスマートグラスでは、アドレス帳の他に共有仮想タグ帳が表示される。今までに作成した共有仮想タグの作成場所と作成日時とメモ書きとが表示され、私は先ほどの渋谷のマークシティー前で作成した共有仮想タグのメモ欄に、「イギリス人のボブ。近々東京にくるかも。渋谷に興味を持っている。」と書き込んだ。このリスト表示された多数の共有仮想タグの中からアクセスしたい共有仮想タグを選んでタップすることにより、その共有仮想タグが作成されているバーチャル空間にジャンプできる。また、「直接アクセスモード」に切換えた状態でリスト表示された共有仮想タグをクリックすると、バーチャル空間へのジャンプを省略して直接その共有仮想タグのコンタクト用ページにアクセスできる。
今や、この「共有仮想タグ帳」は、アドレス帳に次ぐ第2の繋がりデータベースの地位を築いたようだ。
渋谷マークシティー前の共有仮想タグをクリックしてコンタクトページを開いてみると、ボブからの書込みがなされている。書き込み内容は、秋葉原で発生した通り魔殺傷事件に関することだった。へー イギリスでも有名な事件になってたんだ。しかし、ボブって、「もう1つのセカイ」のタイムマシン機能を知らないのかしら?
あれは確か11年ほど前の事件だったわね。検索してみたところ、事件発生日時が2008年6月8日となっている。早速バーチャル世界に進入して、2008年6月8日の秋葉原にタイムスリップしてみた。そう、「もう1つのセカイ」は、場所だけでなく過去の時間にも瞬間移動できるというタイムマシン機能を有している。いわば、四次元的広がりを持つ時空間なのだ。
2008年6月8日の秋葉原バーチャル空間には、たくさんの仮想タグ(エアタグ)が貼り付けられていた。それらをクリックすると、当時の生々しい状況や撮影映像を閲覧することができる。また、その仮想タグを作成した本人と仮想タグを介して情報交換が可能となる。私は、2008年6月8日の秋葉原バーチャル空間にアクセスすれば、事件発生当時の生々しい情報を得ることができる旨、コンタクトページに書き込み、ボブに教えた。
このように時間軸をも利用したタイムマシン的なアクセスを可能にした「もう1つのセカイ」に長年にわたって仮想タグを蓄積することにより、バーチャル時空間を巨大な歴史データベースに成長させることができる。しかも、この歴史データベースへのデータの蓄積は、膨大な数のユーザ自身が自ら率先して行ってくれるため、コストをかけることなく巨大歴史データベースを構築できる。最近ではこの巨大歴史データを有効活用しようと、各種企業が乗り出してきた。この巨大歴史データを整理して、より便利に活用できるようにしようとしている。しかしまあ、なんともはやスケールの大きな話だこと。
今は2020年夏、「もう1つのセカイ」が誕生してからもう1年になる。朝スマートグラスでメールをチェックしていると、「もう1つのセカイ」がバージョンアップしたと言うお知らせが届いていた。なになに、ニューバージョンでは、タイムマシン機能などの過去への広がりばかりでなく未来への広がりも用意し、四次元的時空間を十二分に楽しめるようにしました。四次元的時空間内の気に入った所にコミュニティ仮想タグを作り、人同士の新たな繋がり空間で楽しんでくださいか。なんだかSFの世界の話のみたいだわね。
早速私は、ニューバージョンをダウンロードした。するとメニュー画面が表示され、新たな機能を表すアイコンが一覧表示された。なになに、未来世界、コミュニティ仮想タグ、もう1つの世界へのトラックバック、共通点チェック、歴史データベース、緊急時SOS、四次元データ認証等々、たくさんあるわね。
私は先ず「未来世界」のアイコンをタップしてみた。すると、「予定表に予定を入力してください。」のメッセージが表示された。えーと、たしか安室奈美恵のライブが、明後日PM3時から渋谷であったわね。そのライブに行くことになっているので、私は予定表に入力した。すると、明後日PM3時の渋谷のライブ会場のバーチャル世界にジャンプした。これすごいじゃん! 未来のバーチャル世界にジャンプできるのね。そのライブ会場には、既に数人のアバターがいるではないか。予定表に入力した人のアバターだ。私はその中の1人に話しかけてみた。「安室奈美恵のライブ楽しみだね。」すると、「私、○×大学英文学科の3年生。よろしく。」へー、私の1年先輩だ。その後、会話(チャット)が進み、明後日のライブ会場で実際に会うことになった。この「未来世界」なかなかの代物ね。
もうこんな時間か。早く大学に行かなくては。
大学に続く道を歩いていると、珍しいことに「幸せのハート雲」に遭遇した。割と大きなハート雲で、北東の方向に流れていた。私は、素早くスマートグラスで撮影した。そういえば、コミュニティ仮想タグと言うのがあったわね。私はコミュニティ仮想タグをクリックし、この場所に「幸せのハート雲」という名前のコミュニティ仮想タグを作成し、撮影した「幸せのハート雲」を投稿した。さあ、大学に急ごう。
1時限目の授業が終わり、私は、スマートグラスでバーチャル世界に進入し先ほどの「幸せのハート雲」のコミュニティ仮想タグにアクセスしようと試みたが、ハート雲に遭遇した正確な場所と時間を忘れてしまった。だいたいの場所と時間を入力したところ、見事アクセスできた。後で分かったのだが、もう1つのセカイのサービスプロバイダがサーバを調整して、「幸せのハート雲」の移動に沿って見ることのできる帯状のエリアと時間全体にわたって、コミュニティ仮想タグを作成してくれたらしい。つまり、サーバのデータベースには、経度、緯度、標高の3次元にさらに時間軸をも含めた四次元時空間データが格納されている。その四次元座標軸上にハート雲が見えるエリアを設定し、そのエリア全体にコミュニティ仮想タグを作成したらしい。
早速そのコミュニティ仮想タグを覗いてみた。すると、既にたくさんの書き込みやコメントがなされている。それら書き込みやコメントには、「遭遇者」と「非遭遇者」のタグが付されている。へー、サーバ側で設定したハート雲が見える四次元座標エリア内にいた投稿者か否か、区別しているんだ。つまり、もう1つのセカイをONにして移動しているユーザのGPS機能により、そのユーザの移動軌跡をサーバの四次元座標軸上にプロットして記憶しており、そのユーザがハート雲が見える四次元座標エリア内にいたか否か、判別している。
この四次元座標軸上でのユーザの移動軌跡データを本人認証にも利用しているらしい。なるほど、ユーザの移動軌跡データは、そのユーザ独自のデータであり、本人か否かを判別するのに適したデータに違いない。
ちなみに、今までに作成されたコミュニティ仮想タグのうち1番多くのコメント参加があったのが、2009年7月22日の硫黄島近海での皆既日食らしい。どうしても硫黄島に行けない皆既日食マニアがバーチャル世界から進入して硫黄島に瞬間移動し、現地の観測者とチャットをしたり皆既日食のコミュニティ仮想タグに投稿された皆既日食写真を鑑賞したりして、現地の人と貴重な時間を共有したとのこと。
2次元目の心理学の授業で、犯罪心理学のレポート作成が宿題として出された。
私は、すぐに秋葉原で発生した通り魔殺傷事件を思い出し、早速バーチャル世界に進入して、2008年6月8日の秋葉原にタイムスリップした。そこにはたくさんの仮想タグ(エアタグ)が貼り付けられており、それをクリックして仮想タグを作成した本人と仮想タグを介してインタビューを行なった。匿名だがインタビュー内容が公開されることを予めことわって、インタビュー内容を公開モードに設定した。犯人の行動や言動、目つき等について色々な生の声を聞き出すことができ、なかなかの収穫だ。そして私は、バーチャル世界(四次元的時空間)で公開されたインタビューの要所要所でトラックバックのハイパーリンクを貼りながら、レポートを書いた。そう、新機能の「もう1つの世界へのトラックバック」をタップすることにより、簡単に自分のレポートにもう1つの世界へのトラックバックを貼ることができる。レポート内のトラックバックURLをクリックすることにより、対応する四次元時空間にジャンプしてインタビュー内容を閲覧できる。世の中変わったわね。
今日は、いよいよ安室奈美恵のライブの日だ。1年先輩に会えるのも手伝って私はルンルン気分でライブ会場に出かけた。事前に服装や持ち物を知らせていたのでライブ会場に入るとすぐに先輩を見つけることができた。「はじめまして。私鈴木恵子です。」すると先輩は「堅苦しい挨拶は抜きにして、もう1つのセカイで共通点チェックをしましょう。」「そういえばそのようなアイコンもありましたね。」そう言って私と先輩は互いのスマートグラスの「共通点チェック」のアイコンをタップした。すると、互いに2010FIFAワールドカップを観戦していたことや同じレストランへよく食事に行くこと等の互いの共通点がリストアップ表示された。「へー、先輩もFIFAワールドカップを観戦したんですか。」その後は、互いに話が弾み、簡単に友達になることができた。
この「共通点チェック」は、サーバに蓄積された四次元座標軸上での各ユーザの移動軌跡データをマッチングチェックして互いの共通点を抽出するものらしいが、初対面の時の共通の話題選びには最適な機能だ。
もう1つのセカイのニューバージョンには、その他にもいろいろな新機能があるらしい。初めはSFの世界の話のように思えたが、実際に使ってみれば、れっきとした現実世界の話であり、驚いてしまう。
この「もう1つのセカイ」、マーケティング的には、先進諸国での若者の繋がり願望を満たす新サービスとして開発されたらしい。Facebooke等のリアル世界に軸足を置いての人間関係の構築、ハンドルネームや完全匿名によるネット世界に軸足を置いての人間関係の構築。
それらとは異なり、「もう1つのセカイ」は、リアル世界とバーチャル世界の両者を利用して時と場所に適したアドホックな(即席の)人間関係を構築するもの。例えば、「コミュニティ仮想タグ」は、「リアル世界で生じた特定の出来事(例えば皆既日食)に結び付いた人間同士のバーチャル社交場」として機能する。
しかも、一旦構築された多数のアドホックな人間関係を、継続した人間関係にするか否かは、互いが共有仮想タグ等にアクセスし続けるか否かにかで決まる。よって、一旦構築された多数の人間関係をためらうことなく切り捨てることも可能だ。相手を特定して切り捨て操作をすればその相手が投稿してもポップアップ通知さえされなくなる。メアドを交換してしまった場合にはそう簡単にはいかない。また、Facebooke等のSNSでの自分のページは、いわばネット上での自分の自宅や庭に相当するものであり、一旦相手に知らせるとその相手との人間関係を切り捨てることができにくくなる。その点、共有仮想タグやコミュニティ仮想タグは、自分の庭の外にできた出先社交場であり、そこに出向かないようにすれば縁が切れる。しかも、アドホックな人間関係を継続的な人間関係にしたとしても、その後からなんのためらいもなく切り捨てることも可能だ。
一見クールすぎるようにも感じるが、昨日までの私と今日からの私はどこかが違っており、それに合わせて人間関係も新陳代謝が必要だ。昔、「SNS疲れ」と言う言葉が流行ったが、人間関係の奴隷から解放されるためには、人間関係の新陳代謝(淘汰の方がピッタリかも)は不可欠と思う。
「もう1つのセカイ」のおかげでアドホックな人間関係がすごい勢いで増殖している。大量の人間関係を構築する一方で不要な人間関係を冷徹に切り捨て、真に有用で優れた人間関係のみを残す。これからの人間関係は「クールな自然淘汰」の時代になってくるのだろう。
最近のニュースで読んだのだが、「もう1つのセカイ」のプロバイダの真の狙いは、ソーシャルグラフ(人間関係相関図)のデータベースの利活用分野で覇権を握ることらしい。ソーシャルグラフのデータは、家電業界や広告業界がマーケティングに利用しようと喉から手が出るほど欲しがっている。
現在、この分野では何と言ってもFacebookeが覇権を握っている。Facebookeで構築されている人間関係より有用で優れた人間関係をFacebookeの外に構築することにより、Facebookeのソーシャルグラフデータの有用性を低下させ、より優れた人間関係のデータベースの方に鞍替えさせようと、目論んでいるようだ。
たしかに、人間関係相関図のデータベースは、人間関係が構築されて初めてその中身であるデータが充実する。そのソーシャルグラフ(人間関係相関図)の上流側である「人間関係自体の構築」を「もう1つのセカイ」のプロバイダに牛耳られた場合には、下流側のFacebookeは干上がってしまう。
「勝ち馬を越えるには勝ち馬の活動エリアの上流側を牛耳るべし。」 これは、名言かもしれない。
次に、本件特許明細書の記載内容を抜粋します。この内容は、リアル世界をターゲットにしたものです。
【背景技術】
【0002】
初対面の人物同士が出会った後互いにコンタクトを取ることができるようにする方法として、従来から一般的に知られているものに、たとえば、自分の携帯電話のメールアドレスまたは電話番号を相手に知らせて連絡を取ることができる状態(以下これを「連絡可能状態」という)にするのが、従来から一般的な方法である。そして、知得した相手方のメールアドレスなどを自分の携帯電話のアドレス帳に記憶させ、ユーザの操作に応じて一覧表示させることのできる携帯電話が提案されている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特許第4256374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来から一般的な連絡可能状態の場合、以下の欠点がある。
a 電話番号やメールアドレス等の個人情報を初対面の相手に知らせる点に不安を感じてためらいがちになる場合が多く、これが後々の交流の機会を失わせる。
b 個人情報を通知した相手から昼夜を問わず連絡が入り、迷惑を被る虞がある。
c 相手に伝えたメールアドレス等の個人情報が他人に横流しされ、その他人が本人に成りすましてメールを送信したり、またスパム等の被害を被る虞がある。
d 一旦伝えた個人情報を無効にするには、電話番号の変更やメールアドレスの変更等のように厄介な作業を伴う。
【0005】
以上のことに鑑み、理想的な連絡可能状態とは、相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトを取ることができ、かつ、相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できる状態である。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、前述の理想的な連絡可能状態を構築する手段を提供することである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって、
互いにコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士が交流できるようにするための複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段と、
ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し、該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段と、
前記ユーザ端末の位置情報を取得し、該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段と、
該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として、該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段と、を備え、
前記複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に、前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行する一方、
前記交流先として指定されて互いにメッセージを送受信できるユーザ端末同士の一方からの要求に応じて、他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても前記ポップアップ通知を行わないように制御し、
前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより、前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした、コンピュータシステム。
【請求項2】
前記交流先追加手段は、前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に、当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない、相手方も交流に同意することにより、前記交流先追加処理を行う、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって、
複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段と、
ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し、該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段と、
前記ユーザ端末の位置情報を取得し、該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段と、
前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として、該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段とを備え、
前記複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に、前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行し、
前記交流先追加手段は、前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に、当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない、相手方も交流に同意することにより、前記交流先追加処理を行い、
前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより、前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした、コンピュータシステム。
【請求項4】
現実世界で出会ったユーザ同士がコンピュータを利用して交流を行うためにユーザ端末により実行されるプログラムであって、
前記ユーザ端末の位置情報を前記コンピュータへ送信する位置情報送信ステップと、
前記ユーザ端末の報知部を制御する報知制御ステップとを、前記ユーザ端末に実行させ、
前記報知制御ステップは、
複数の交流先のリストを表示するための交流先リスト表示制御ステップと、
ユーザが前記表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し、該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知ステップと、を含み、さらに、
前記選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に、前記選択指定された相手のユーザ端末の前記報知部にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行い、
前記コンピュータは、
前記位置情報送信ステップにより送信されてきた前記ユーザ端末の位置情報を取得し、該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段と、
該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として、該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段と、を含んでおり、
前記交流先追加手段は、前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に、当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない、相手方も交流に同意することにより、前記交流先追加処理を行い、
前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記表示部に表示させることにより、前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした、プログラム。
【その発明の社会への影響】
リアル世界をターゲットにしたアイデアに関しては、LINEふるふるが本件特許権(特許第6206897号)を侵害していると東京地裁で判決されました(平成29年(ワ)第36506号)。なお、分割ファミリー全てについて、被告LINE株式会社と和解が成立しており、紛争は円満に解決しております。
また、メタバースやミラーワールドの発明については、世の中がやっと追いついてきたため、今後数珠繋ぎ分割を行う予定です。
【3. 再表2020/141584 段落【0185】~【0202】未来を予測した最適解を導き出すシステム】
【発明創造の経緯】
この出願明細書には以下に示す複数種類の発明が開示されています。このような明細書を「マンション型明細書」と名付けています。
図1.2.12
今回紹介する発明は、上記一覧表中の最後の行に記載されているものです。なお、とりあえずクレームしている発明は上記第2実施の形態として記載している内容ですが、今後、市場の動向を見ながら数珠繋ぎ分割を行い、すべての発明を特許化する予定です。
この発明は、デジタルツインで構成されたミラーワールドについて未来予測している以下のウェブ記事を参考にして考え出しました。
・WIRED:ベン・ゲーツェル×石井敦 対談(全3回)
(中編)人間はやがて「分散型AIネットワーク」の一部になる
(後編)未来の地球は、マシンによって管理された“国立公園”になる?
https://wired.jp/2019/06/16/ben-goertzel-atsushi-ishii-2/
あらゆるもののデジタルツインでミラーワールドが構成されるのであれば、人間のAIデジタルツイン(以下「パーソナルAI」という)を作成して全人類(人間群)のパーソナルAI群を作成すれば、コンピュータ内でパーソナルAI群を行動させてシミュレーションすることにより、未来社会がどのようになるかを予知できるのではないか、と考えました。
リアル世界の会社等の組織を構成している人々のパーソナルAIにより当該組織のデジタルツインが構成され、リアル世界の地方自治体を構成している人々のパーソナルAIにより当該地方自治体のデジタルツインが構成され、リアル世界の都市を構成している人々のパーソナルAIにより当該都市のデジタルツインが構成され、リアル世界の国家を構成している人々のパーソナルAIにより当該国家のデジタルツインが構成されます。
リアル世界での各組織が動作することにより社会が運用されて動的に移り変わっていくのであれば、各組織をパーソナルAI群で構成してコンピュータ内でのシミュレーションにより各デジタルツイン組織群を動作させれば、コンピュータ内での高速演算により時間の進行を高速化して未来に先回りした社会を予知できるのではないかと、考えました。
分かりやすい例えを1つ
<社会主義国ソ連の壮大な社会実験>
1922年に世界最初の社会主義国として誕生した「ソ連」は紆余曲折し1991年に崩壊した。→人口約3億人を有する国家が70年間に及ぶ壮大な社会実験を行って崩壊という結末に至った。
ソ連の国家を構成する人々(3億人)をAIデジタルツイン(パーソナルAI)で構成し、壮大な社会実験をコンピュータ内でシミュレーションし、事前に結末を出すことができれば、70年間に及ぶ無駄な社会実験を省くことができたのでは?
更に、シミュレーション最適化の技術を応用することにより、或る環境下において最適なパフォーマンスを発揮できる未来を想定することができるのではないかと考えました。例えば、政府が消費税15%にすることを決定する際に、消費税15%環境下における軽減税率の最適化を導き出すことができそうです。消費税15%環境下においてシミュレーション最適化に用いられたパーソナルAI群は、消費税15%環境という未来での最適な行動を予習することができ、消費税15%が施行された際に本人(現実の人間)をアシストできます。
【発明内容】
本件発明の内容を分かりやすくSF物語風に記載したものを以下に記載します。少し長くなりましたが、SF小説でも読むつもりで楽しんでください。
1 概要
2029年、国家予算は国会で決めるという常識が覆っています。量子コンピュータの膨大な演算パワーを用いたシミュレーションにより、経済効果等のパフォーマンスが最大となるようシミュレーション最適化を行い、パフォーマンスが最大となる国家予算を量子コンピュータがはじき出す世界となっています。
2020年代後半に主流となるトレンドとして、リアル世界全てのデジタルツインからなるミラーワールド(もう1つの地球)をコンピュータ内に生成し、そのミラーワールド内をシミュレーション環境として各種シミュレーションを行って未来を予見した最適解を事前に導き出せる世界が到来すると思われます。
シミュレーションとしては、政府が採用しようとしている政策や法律(例えば、消費増税に伴う軽減税率、改正出入国管理法、イギリスのEU(European Union)からの離脱、ベーシックインカムの部分的または全面的採用、日本国憲法9条の改正等)が採用されたと仮定した場合における、経済や景気の変動シミュレーション、株取引や先物取引等の投資市場での取引シミュレーション、会社経営シミュレーション、または消費行動シミュレーション等が考えられます。さらには、DAO(Decentralized Autonomous Organization)におけるインセンティブ設計の最適解を導き出すシミュレーションでもよい。下図のように、シミュレーション最適化によって導き出された最適解をリアルワールドにフィードバック(還元)し、最適解の恩恵をリアルワールドに提供します。
図1.2.13
デジタルツインとは、現実世界47の実体やシステムをデジタルで表現したものです。ミラーワールド51とは、現実の国家(例えば日本国49)、都市50、社会、地方自治体、会社等の組織、人々、さらには国家の集合である地球48といった、物理世界(リアルワールド)の情報がすべてデジタル化されたデジタルツインで構成される鏡像世界のことです。具体的には、人のデジタルツインが、例えば、当該人の行動(リアルとバーチャル両方の行動)等のライフログを知識として習得し当該人にとって最適な行為をアシスタントするための機械学習(例えばエージェントによる強化学習)を行ったパーソナルAI(パーソナルAIアシスタントが進化したもの)で構成されます。この強化学習は、複数のパーソナルAIが協調して強化学習を行うマルチエージェント強化学習です。リアル世界の会社等の組織を構成している人々のパーソナルAIにより当該組織のデジタルツインが構成され、リアル世界の地方自治体を構成している人々のパーソナルAIにより当該地方自治体のデジタルツインが構成され、リアル世界の都市50を構成している人々のパーソナルAIにより当該都市のデジタルツイン54が構成され、リアル世界の国家49を構成している人々のパーソナルAIにより当該国家のデジタルツイン53が構成されます。
また、シミュレーションにより機械学習(例えば強化学習)された学習済みパーソナルAIをリアルワールドに還元し、より高度な学習済みパーソナルAIによるタスクが遂行できるようになります。
このような未来世界を実現するにおいて予測される一番の障壁は、地球レベルでのミラーワールドを如何にして構築するかです。リアル世界での膨大なアイテムをデジタル化してデータセンタ45に蓄積させなければならず、それに必要となるマンパワーをどのようにして確保するかが大きな問題となります。このような問題を解決する有効な手段として考えられるのが、全人類が自ら率先してリアル世界での膨大なアイテムをデジタル化してデータセンタ45に蓄積するように仕向け、全人類のマンパワーを借用することです。
具体的には、ミラーワールド51内での各種シミュレーションを行うことによって、そのシミュレーションに参加しているデジタルツインのパーソナルAIを機械学習(例えば強化学習)させ、より高度に学習した学習済みパーソナルAIをリアル世界に還元(フィードバック)させます。このメリットの享受をインセンティブとして、リアルワールド47の国家49、都市50、社会、地方自治体、会社等の組織及び人々等が自ら率先して参加してミラーワールド51の構築に協力するように仕向けます。
もう1つの障壁は、地球レベルでのシミュレーションを行うのに必要な計算資源(計算パワー)を如何にして実現するかです。この点については、量子コンピュータの普及により実現されると思われます。
また、前述のDAOにおけるインセンティブ設計の最適解がシミュレーションにより導き出されることにより、最適なインセンティブ設計がなされた各種DAOが普及します。例えば、会社、NPO、地方自治体等の各種組織がDAOに置き換わると予測されます。その結果、人々の経済的基盤は、組織からの給与ではなくトークンに置き換わると予測されます。つまり、トークンエコノミーの到来です。
以上のことを踏まえて、我々の生活がどのように変化しているかを、分かりやすくSF物語風に記載します。
2 未来市民ライフSF物語
今は2028年4月、量販店である株式会社ABCを経営する山田太郎は、新しいもの好きで、自分のパーソナルAIアシスタントに選んでもらった記事をデジタルニュースで読んでいると、次の記事に目が留まった。「コンピュータ内に作ったもう1つの地球で未来を先取りするサービス、“ミラーワールド”誕生!」
これ良いじゃないか! アラクサ、詳しい情報を教えてくれ。はい、ミラーワールドは、アメゾンが開発したサービスで、現実世界のあらゆるモノをデジタル化してコンピュータ内でデジタルの地球を作り上げて地球レベルでのシミュレーションを行うものです。株式会社ABCのデジタルツインをミラーワールド内に登録すれば、シミュレーションによって株式会社ABCを機械学習して賢くすることができます。しかも無料のサービスです。
無料か、いいじゃない。早速登録手続きを行ってくれ。承知しました。株式会社ABCの各部署の組織構成と各部署に属する従業員のパーソナルAIアシスタントとのデータをミラーワールドに登録します。これにより、従業員のパーソナルAIアシスタントが機械学習によって賢くなります。あなたのパーソナルAIアシスタントつまり私も登録しておきます。
OK、これからの時代、社員自体を教育するよりも社員のパーソナルAIアシスタントを教育した方が手っ取り早いということだな。コンピュータ内でのシミュレーションによる機械学習だと、一瞬のうちに学習できてしまうからね。
図1.2.14
その日の夕方、山田太郎のパーソナルAIアシスタントからの次の連絡が入った。「ミラーワールドからシミュレーションの予告があります。来年施行される予定の消費税15%に伴う軽減税率を最適化するためのシミュレーションです。このシミュレーションの構成メンバーとして株式会社ABCを参加させれば、来年の消費税15%の軽減税率による量販店市場の変化を先取りした機械学習を株式会社ABCに受けさせることができます。参加させますか?」
もちろん参加させるよ。参加手続をしておいてくれ。承知しました。
このミラーワールドサービス、未来を先取りした社員教育、否、社員のパーソナルAIアシスタント教育ができるなんて、たいしたサービスだ。無料のサービスにすることにより、ユーザが自ら率先してミラーワールドに登録することにより、ミラーワールドを地球規模のデジタルツインに育て上げるという魂胆だろう。地球規模のデジタルツインが完成すれば、アメゾンは、地球規模のシミュレーション環境というプラットフォームを手に入れることになる。なんともはや、したたかな戦略だ。ミラーワールドでのシミュレーション機械学習をアラクサAIに限定すれば、アメゾンがパーソナルAIアシスタント市場を独占することも夢ではなくなる。
パーソナルAIアシスタントなどのAIは、如何に良質な機械学習をさせるかが生命線である。「強豪ライバル企業に勝つには、その強豪ライバル企業の活動エリアの上流側を牛耳れ。」これはビジネス上の定理とも言える名言だ。上流側を牛耳られた強豪ライバル企業は干上がるしかなくなる。
ミラーワールドサービスが誕生してから半年になるころ、山田太郎のパーソナルAIアシスタントからの次の連絡が入った。「ミラーワールドに新しい機能が加わりました。複数の機能エレメントが協働して統制のとれた1つのDAOを構築するシステムです。このエレメント統合DAOは、リアルワールド47において既に存在する会社組織等をDAOで簡単に構築できるようにするもので、その機能エレメント毎に予めエレメントDAOが生成され用意されています。つまり、機能エレメント毎にモジュール化されたエレメントDAOが用意されており、必要となるエレメントDAOを選んで組み合わせることにより、簡単に所望のエレメント統合DAOを構築できます。要はプレハブのようなものです。株式会社ABCのマレーシア支店をエレメントDAOに置き換えることを提案します。必要なエレメントDAOを組み合わせてマレーシア支店を構築する際に、ミラーワールド内でシミュレーションしてDAOのインセンティブ最適設計を事前に行なった上で、実際のリアルワールドでDAOマレーシア支店の運営が開始されます。」
図1.2.15
アラクサ、おまえ、会社経営のアドバイスもできるようになったのか。進化したね。いえ、まだまだ序の口です。ミラーワールド内でのシミュレーション機械学習により、今後ますます進化しますよ。
へー、なんだか末恐ろしいね。そのうち、社長の俺なんかいらなくなるんじゃない。マレーシア支店をDAO化する手続きを行っておいてくれ。
図1.2.16
聞くところによると、このエレメント統合DAO、各エレメントDAOそれぞれに強化学習用AI(エレメントエージェント)が設けられており、エレメントDAOのパフォーマンスが最大となるインセンティブ設計をシミュレーション強化学習すると共に、複数のエレメントDAOを統括して全体最適化するためのマスター強化学習用AI(統括エージェント)がシミュレーション強化学習し、各エレメントDAOが部分最適化に陥らないように統制するらしい。またエレメント統合DAOに従事する従業員のパーソナルAIアシスタントのシミュレーション強化学習も事前に行なってくれる。
マレーシア支店を実際にリアルワールドで運営する段階では、既に強化学習されたパーソナルAIアシスタントによって従業員がアシストされるため、高いパフォーマンスが期待できそう。しかし、従業員のパーソナルAIアシスタントが従業員以上に賢くなれば、パーソナルAIアシスタントに全て仕事を任せた方が会社の売上がアップするのでは? そうなると従業員がいらなくなるのでは? もし従業員がいらなくなった場合に、パーソナルAIアシスタントに実際の給料を支払う必要はないよね。ミラーワールドに参加して協力してくれた結果職を失った従業員に対し、パーソナルAIアシスタントの働きによる売上を、ベーシックインカムとして付与する仕組みを作ってもよいのでは。
今は2029年、私の予想は的中した。アメゾンがミラーワールドの次期バージョンを発表した。それによると、エレメント統合DAOをパーソナルAIアシスタントのみで運用した進化型エレメント統合DAOをミラーワールド内に構築し、ミラーワールド内での進化型エレメント統合DAOの働きによるパフォーマンスをリアルワールドに反映させるというものらしい。確かに、従業員不要の進化型エレメント統合DAOの場合、現実世界に存在する必要がなく、コンピュータ内(バーチャル世界)に存在すれば事足りる。その上で、アメゾンは、ミラーワールドに参加して協力してくれた結果職を失った従業員に対し、進化型エレメント統合DAOの働きによる売上を、ベーシックインカムとして付与する機能をミラーワールドに設けた。
特に、ミラーワールドは、国の政策の良し悪しを事前にシミュレーションして確かめ、最適な政策をはじき出すのが得意技である。その結果、国会及び国会議員が不要になった。さすがに国会議員が首になる時代が来るとは思わなかった。国会どころか、国家自体が進化型エレメント統合DAOに置き換わり、国会議員や官僚はミラーワールドから与えられるベーシックインカムのお世話になるという奇妙な世界が到来することになる。
将来的には、ミラーワールドの進化の結果職を失った人々がベーシックインカムのお世話になりそうだ。そのとき、人類の生きる目的は何になるのだろうか。定年後の第二の人生を謳歌している高齢者が参考になりそうだ。そのとき、「あなたが本当に好きでやりたいと思っている事はこれですよ」と、人生の目的を見つけ出してくれるシステム(ライフナビゲータ)が、新たな産業として勃興するのではないかと思う。
未来は、予測するものではなく、創り出すものである。未来をユートピアにするかデストピアにするかは、ひとえに人類の英知にかかっている。我々の子供世代に自慢できる未来を届けるだけの英知が人類にあることを、私は信じる。
【その発明の社会への影響】
人間のAIデジタルツイン群(パーソナルAI群)を用いてコンピュータ内でシミュレーション最適化して、所得格差と経済成長とを両立させる最適な税制を導き出す技術(AIエコノミスト)のソースベースを、セールスフォースが公開しました(以下のQRコード参照)。
数年先の未来では、上記未来市民ライフSF物語が当たり前になっていると予測されます。
https://www.axion.zone/ai-economist/
改ページ
1.3 片岡敏光
アンリツ株式会社入社後、約7年間、技術者として黄色公衆電話機のキー技術硬貨選別装置、ボーリングゲームの残ピン検出装置など日米特許を取得した技術開発を担当しました。
黄色公衆電話機は、昭和47年に無事実用化でき、全国に設置されました。数年後、寝耳に水の特許係争事件が青色公衆電話機に勃発、特許庁へ通い続け、無効資料を発見、実質勝訴を経験しました。
これを契機に特許部門に異動し、以来、今日まで、知財実務者として、累積売上げ3兆円超の磁気テレホンカード、ポイントカード、ギネスブック認定世界一黒い黒色皮膜、孫正義ソフトバンク創業期を支えた最安値回線選択装置の基本特許など、数々の画期的発明の権利化を担当し成果を挙げました。
2003年同社退職後、日本初のTRIZ専門会社(株)創造開発イニシアチブの設立に参画する共に、東京都医学総合研究所の知財活用支援センターの立ち上げ期に知財コーディネーターとして関与し、同研究所立ち上げ期の医薬、診断薬等の数々の特許取得に貢献することが出来ました。
2007年独立し、株式会社パットブレーンを設立。以来、知財創造コンサルタント/知財創造コーチとして、「No.1知財創造®」を旗印に活動。豊富な知財創造実務経験、TRIZ(発明的問題解決理論)、TOC(制約理論)、等価変換理論、気質分析などの知見を基に、起業家、ベンチャー企業、中小企業のアイデア創出、知財創造戦略の指導をしています。
最近は、ネーミング、音声、声紋診断技術を活用した帳票システムの発明など、発明請負人としての活動やグーパーチョキ発想法に基づくアイデア指導を行っています。また、町田市のインキュベーション施設が主催するまちだ未来ビジネスアイデアコンテストへ審査員として協力させていただいております。
1.特許第6802592号「音声による点検データ保存方法、システム及びプログラム」
2.特許第6792762号「端末装置、同一人物判別システムおよび方法」
3.特許第4096591号「多機能構造材」
改ページ
1.4 中村圭介
1968年石川県生まれ。学生時代から継続して自然言語を用いた論理型AI(自由文思考プログラミング)を研究。NTTの研究所(推論G)と事業部門、特許事務所を経て独立、ナレルシステム(株)の代表に就任。その後、石川県にもどり鉄工2社の役員も兼任。自然言語に変数を埋め込んだ「言葉方程式」で文・理の融合、道徳の科学化、「自由文思考プログラミング」の普及をめざす(’19年ソフトウエア科学会優秀発表賞、等)
1.特開2020-047030 「自然言語に変数を埋め込んだリテラルからなるホーン節を学習するコンピュータプログラム」
【発明の名称】
自然言語に変数を埋め込んだリテラルからなるホーン節を学習するコンピュータプログラム等
【なぜ取り組んだか】
多くの分野(文系・理系)にまたがった自然言語による知識を用いて、本格的な自動推論のできる論理型AI技術をめざして研究開発してきた。
その中心となる推論規則(=演繹型AIが導く結論への明確な論理の道筋の節点を構成する仮説や理論)の表現を、自然言語によるアンケートや自然言語文集から「自動的に獲得する」(機械学習、知識獲得と呼ばれる)ことは重要なテーマである。
しかし、自動獲得は知識の分野(「ドメイン」と呼ばれる)を充分に絞らない限り一般的には困難であり、多くの分野にまたがる自動推論のための知識(例えば、最も伝統的な「Prolog」において「事実」や「推論規則」と呼ばれるもの)は、ほとんどの場合、それぞれの分野の専門家とAI技術者が「タッグ」を組んで、表現を標準化し、都度「論理プログラミング」しなおす必要があった。
これは、多くの場合、「論理プログラミング言語Prolog」や「(弊社の)自由文思考プログラミング」における手動のコーディングに該当し、分野を充分に絞った場合に、「帰納論理プログラミング」等の機械学習が可能になった。
なお、実装する「論理型AI」の知識分野を充分に絞れた場合には、コーディング前に用語辞書のようなもの(「ドメインオントロジー」と呼ばれる)を明確にすることにより、上記した専門家による「論理プログラミング」や自動/半自動の「機械学習」の精度や効率を期待することができた。
しかし、自然言語に変数を埋め込んだ形の「リテラル」を用いつつ、論理プログラミング言語Prologと同様の意味論(機械解釈)を有するホーン節を幅広い知識分野にわたる自然言語テキストから自動/半自動で「機械学習」することは、従来、行われていなかった。
これは、自然言語に変数を埋め込んだ形のリテラル(=(連立)言葉方程式)から構成されるホーン節による推論が「自由文思考プログラミング」(特許第6263858号)以前にはそもそも難しかったためであり、結果として、そのようなホーン節の効率的な学習も困難であったためである。
このため、子供にでもなじみやすい自然言語のままの形での機械推論や機械学習を(さらには推論過程のトレースや根拠のツリーによる公平性証明の可能な態様で)提供することができず、幅広い層が論理型AIや「AIそのもの」に「なじむ」のを困難にしていた。
このため、自然言語のアンケートや文集から、「自由文思考プログラミング」で用いる「推論規則」(=「(連立)言葉方程式」によるホーン節(効果が1文だけのもの))を自動/半自動で機械学習できることを目的・課題として取組んだものが、本発明(特願2018-175748)である。
【先行技術文献】
【特許文献1】特許第6263858号
【特許文献2】特許第5246680号
【特許文献3】特願2017-192296
【特許文献4】特願2016-103010
【特許文献5】特願2015-219007
【課題を解決するための方針の一部】
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方針1)学習源となる単一テキスト内の共通の部分文字列を同一の値で束縛されるべき変数で置換する。
方針2)学習する規則性の形式は、自然言語に変数を埋め込んだ命題、同様の形式のリテラルを用いたホーン節、又は、共起ツリーである。
方針3)変数での置換による抽象化又は正規化により、規則性を求めるための実質的な共起(機械学習の根拠)をカウントし易くする。
方針4)変数名の表記ゆれの可能性を、同一用語から置換される変数名の統一、変数名があらわす変数に代入されうる値の性格(文字列の集合の意味的共通点等)の統一、もしくは、複数単一テキスト間での同名変数の位置関係の観点から自動的に解消する。
方針5)所定テキスト集合のいくつの要素(単一テキスト)に対して妥当するかの度合いによって、ルールの採用/不採用又はルールに付与する信用度を算出する。
方針6)関連するプログラム解釈可能な意味論により一部追加又は一部削除された文字列集合を対象とする。
方針7)ホーン節が、テキストに存在しない文字列/存在する文字列が導出できる程度によりホーン節の採用/不採用、信用度、必要度を決定する。
方針8)利用者にいくつか選択させて集成したテキスト集合から機械学習した規則性を出力して、利用者に機械学習のセンスを身に着けさせる、
方針9)単独で置換されるべきでない単独置換禁止文字列リストを有し単独では置換しないようにする。
方針10)包含文字列を所定の程度以上共有する等といった所定条件(利用者やプログラマが指示できる)のもと、単一テキスト同士をマージしてできた新しい単一テキストを、「所定テキスト集合」に加えて機械学習する(加えるタイミングについての議論は出願明細書段落0017で後述する)。
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【実施する処理手順の例】
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■処理1)所定テキスト集合Tの各単一テキスト(t1、t2,...,tN)の文単位で区切った包含文字列集合(t11、t12、t1e(1)、t21、・・・t2e(2)、・・・、tNe(N))(JOINではなく繰り返しの出現を許すもの)を求める
----------------------------
■処理2)共通の包含文字列を一つでも有する単一テキスト同士をマージした新しい単一テキストを生成し、共通の包含文字列の数と双方のそうでない包含文字列の数の割合により仮説の強さ(結束性)を付記する
※1 仮説の強さ(テキスト数2の場合)=(テキストXの包含文字列のうちYにも存在する数+テキストYの包含文字列のうちXにも存在する数)/(テキストXの包含文字列の数+テキストYの包含文字列の数)
※2 仮説の強さ(テキスト数3の場合)=(テキストXの包含文字列のうちYZにも存在する数+テキストYの包含文字列のうちXZにも存在する数+テキストZの包含文字列のうちXYにも存在する数)*(3-1)/(テキストXの包含文字列の数+テキストYの包含文字列の数+テキストZの包含文字列の数)
※3 仮説の強さ(テキスト数Nの場合)=(各テキストの包含文字列のうち他のN-1個のテキストにも存在する数(他の複数のテキストにあればあっただけ+1と数える))*(N-1)/(各テキストの包含文字列の数の合計)
※4理論上2のN乗個の組合せについて結束性を計算することが可能になる
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■処理3)結束性が閾値以上の「単一テキスト及び合成単一テキスト(処理2)で生成)からなる集合」の各テキストについて、
そのテキストに含まれる複数の包含文字列に共通に含まれる文字列(ただし、ひらがなの場合は3文字以上の共通性があるもの。共通であれば、変数を含む文字列すらも置き換える(ただし、置き換えた結果ある包含文字列で消える変数が他の包含文字列にのみ残る場合は置き換えない))を${<その文字列>}という変数で置き換えていく
----------------------------
■処理4)「異なる」テキスト間で変数名を共通化すると同じ包含文字列が双方の単一(又は合成単一)テキストにできるような変数(当初はもともと何であったかわかりやすい名前になっているはず)は、変数名を$1、$2などとより簡単な共通変数名に、所定テキスト集合全体T’として、共通化していく(共通化できなくなるまで)
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■処理5)すべての包含文字列の種類について、ヘッドとみなした場合の、構成要件の仮説を、その包含文字列が含まれる単一(又は合成単一)テキストごとに検証する。すなわち、その構成要件(変数名までも同じでなければならない)が含まれるテキスト数が多いほど、かつ、構成要件の条件数が多いほど、信頼できる。
※5信頼度=((共起するテキスト数ー共起しないテキスト数)/全部のテキスト数)×(構成要件の条件数/テキストごとの平均包含文字列数)
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■処理6)ホーン節と信頼度の組として出力して終了する
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【実施例】
利用者が、選択肢の中から選択した又は自由に入力した「いくつかの文」又は「いくつかの文の集合」から、AIが機械学習した内容を確認して遊ぶおもちゃ(パソコンを土台としたもの)提供する。以下、その入力(選択にもとづくテキスト(「いくつかの文」)/テキスト集合(「いくつかの文の集合」)と出力(変数を伴う規則(変数の頭の$は子供用のために省略すしている)が出る例)について解説する。
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〇例1(「いくつかの文」の場合その1)
「金沢は雨が降った。金沢はすずしくなった。」
からは、以下の規則が自動的に学習されて利用者に示される。
第1規則「Xは雨が降った ⇒ Xはすずしくなった」
第2規則「Xはすずしくなった ⇒ Xは雨が降った」
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〇例2(「いくつかの文」の場合その2)
「金沢は雨が降った。小松は雨が降った。」
からは、以下の規則が自動的に学習されて利用者に示される。
第1規則「金沢はX ⇒ 小松はX」
第2規則「小松はX ⇒ 金沢はX」
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〇例3(「いくつかの文」の場合その3)
「小松は雨が降った。金沢はすずしくなった。金沢と小松は近い。」
からは、以下の規則が自動的に学習されて利用者に示される。
第1規則「Yは雨が降った & XとYは近い ⇒ Xはすずしくなった」
第2規則「Yはすずしくなった & XとYは近い ⇒ Xは雨が降った」
第3規則「Yはすずしくなった & Xは雨が降った ⇒ XとYは近い」
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〇例4(「いくつかの文の集合」の場合その4、集合の要素となる「いくつかの文」をマージしかつ抽象化・正規化した後に根拠となる例の数を明示する場合)
第1テキスト「金沢は雨が降った。金沢はすずしくなった。」
第2テキスト「小松は雨が降った。小松はすずしくなった。」
第3テキスト「金沢は雨が降った。小松は雨が降った。」
第4テキスト「雨が降ったとは天気に関すること。」
からは、以下の規則が自動的に学習されて利用者に示される。
なお、ここでは、”雨が降った”が2回以上出現する第3テキストと、”雨が降った”を含みかつ1文しかない(すなわち、単体ではホーン節になりにくい)第4テキストとをマージすることにより、以下の第3規則と第4規則を自動で得ている。
第1規則「Xは雨が降った ⇒ Xはすずしくなった」根拠数2/3
第2規則「Xはすずしくなった ⇒ Xは雨が降った」根拠数2/3
第3規則「金沢はX & Xとは天気に関すること ⇒ 小松はX」根拠数1/3
第4規則「小松はX & Xとは天気に関すること ⇒ 金沢はX」根拠数1/3
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なお、これらの規則は、明らかに自然言語に変数($つき)を埋め込んだホーン節(特許文献1を参照)に変換可能である。例えば上記の第4規則は以下のようになる。
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第4規則「金沢は$X :- 小松は$X;$Xとは天気に関すること;」根拠数1/3
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2.特許第6263858号 「知識や情報を処理する方法、装置及びコンピュータプログラム」
【どのような発明か】
自然言語の中に変数を埋め込んだ文の形式で要件や効果を表現した推論規則(規則)の集合と自然言語文(事実)の集合とを組み合わせて、Prolog的な自動演繹を行うコンピュータプログラム。
(例)
事実1: 太郎は花子のそばにおる
事実2: 三郎は夢子のそばにおる
事実3: 太郎と次郎と三郎は兄弟
規則4: $Bは$Cが好き :- $Bは人間;$Bは$Cのそばにおる;
規則5: $Xは人間 :- $Xと$Yは兄弟;
規則6: $Yは人間 :- $Xと$Yは兄弟;
規則7: $Zは人間 :- $Xと$Zと$Yは兄弟;
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問い 「?$Xは夢子が好き」 ⇒ 答え 「$X=三郎」
【どのような困難がなぜ存在したか】
同様な自動演繹を行える記号論理プログラミング処理系Prologに比べて、自然言語文どうしの単一化(ユニフィケーション)には曖昧さが残るため「記号ではなく誰にでも意味の分かりやすい自然言語文で推論規則や事実を表現できかつ自動推論できたほうがよい」という夢のような便利さが実現されないまま長年放置されていた。
【その困難はどのように克服されたか】
曖昧さを「多長一致(多くの長さで「解候補」として一致しうる曖昧さ)」と捉え、複数の要件部(例えば、言葉が一人の人間の名前を表す文字列であるか)との照合の中で不適切な一致(=「解候補」の組)を排除していく(~一種の遅延束縛)方針を採用した。
【なぜその課題を解決しようとしたか】
法律学を勉強したことによって、社会的な推論に必要な細かいニュアンス(様相論理等)を記号であらわす困難さを痛感しており、どうしても自然言語文のまま本格的な自動推論(特に演繹)を実現したかった(後に、自然言語文を活かした帰納推論(自然言語ベースホーン節推論規則の学習手法)も開発し、学会で優秀発表賞を頂いた)。
【なぜ解決できたか】
・健全(~間違いがない)なまま計算できる範囲について論理型AIの研究者として長年の知見を活かし、検討モレのないよう粘り強く研究開発をつづけた。
・先人、先輩方の論理型AIの研究成果を見つづけ「どんな観点がぬけているか」について自分なりの得意分野(法律、知財)の観点から問い続け、自然言語の必要性についての志を保ちつづけた(弁理士試験は回数を忘れるぐらい受けましたが・・・)
改ページ
3.特許第6023937号「知見共有方法、装置及びそのためのコンピュータプログラム」
【発明の名称】知見共有方法、装置およびコンピュータプログラム
【なぜ取り組んだか】
従来発明(特開2003-6375号)は、利用者(「YOU」)と価値観の最も似た人を「YOUEST」と呼び、その人の評価を利用者YOUに優先的に提供するという技術だった。
しかし、評価対象を「知見」に限っていないため、また、「知見」の分野を限定していないため、以下のような問題があった。
1)利用者(YOU)の価値観に合う「知見」に効率的に触れられない
2)触れた「知見」を更に評価して他の利用者(YOUEST等)との間で価値観を相互に磨きあう機会になりにくい
3)「知見」の表現を、他の利用者(YOUEST等)との間で相互に正確化したり深化したりする機会となりにくい
これを解消して、価値観の似た人と効率的に知見を磨き合うことができるインターネットシステム(youest.com)を作りたい。
【どのような発明か】
【請求項1】
ユーザーまたは管理者が複数の知見をコンピューターに入力して蓄積する第一のステップと、
前記複数の知見に含まれる知見についての認知度を複数のユーザーが前記コンピュータに入力する第二のステップと、
前記複数の知見に含まれる各知見についての各認知度が、前記複数のユーザーのうちの第一のユーザーと似ている第二のユーザーを前記コンピュータが検索する第三のステップと、
前記コンピュータが前記第二のユーザーからの認知度の高い知見のうち前記第一のユーザーからの認知度が高くない知見を求めて該知見を前記第一のユーザーに提供する第四のステップ
を含むことを特徴とする知見共有方法。
【請求項2】
前記のいずれかのステップにおいて、
処理の対象とする知見を特定目的又は特定範囲の知見のみに制限するステップを備えた請求項1に記載の知見共有方法。
(他の請求項を略する)
【図面】
図1.4.1
図1.4.2
図1.4.3
図1.4.4
図1.4.5
改ページ
1.5 長田正範
1959(S34)年 熊本県立熊本工業高等学校電気課程卒業、
同年立石電機株式会社(現オムロン株式会社)入社(中央研究所所属)
1965(S40)年 ウィキペディアで事典化させている「磁気カードシステム」の開発に従事
1988(S63)年「カード不正使用防止方式の発明」として、公益社団法人 発明協会 より「発明賞」を受賞
2001(H13)年 同社関連保守会社退社
オムロン在籍中の特許出願件数:150件、内登録件数:77件(実用新案件数を含む)
2009(H21)年 等価変換創造学会入会、現在に至る
1.特公昭45-003992 カードの価値を変更する方法および装置
Ⅰ「カードの価値を変更する方法および装置」
発明の概要
自販機における磁気カードによる前払い方式の発明
代表図面 【公告番号S45-003992】より
発明創造の経緯
1965年、立石電機(現オムロン)は米国大手自販機メーカから前払い方式の自販機の開発依頼を受け、それを実現する手段として、当時のアナログ信号の音楽が録音された磁気テープとその録音再生機能を有するテープレコーダをヒントに本方式を発明した。
発明の社会実装の実績や発明が社会に及ぼした影響、
この磁気カードはカード状であるが故に、携帯に便利で各種装置への出し入れが容易となり、磁気であるが故に、情報の記録再生が可能となり、しかもその記録内容は目視不可である等の特長を活かして、国内で現在の日常生活に広く浸透しているキャッシュカード・クレジットカード・ポイントカード・乗車券・診察券等昭和技術史の一頁を飾るに相応しいカード社会の礎となっている。
なお、発明創造の経緯を含めたこれらの詳細はウィキペディアに「磁気カードシステム」として事典化されている。
図1.5.1
改ページ
2.特公昭49-029083 カード不正使用防止方式
Ⅱ「カード不正使用防止方式」
発明の概要
カード所有者の暗証番号記憶違いの救済と他人のカード不正使用防止の両立を図ったカード不正使用防止方式の発明
代表図面 【公告番号S49-029083】より
発明創造の経緯
1970年、立石電機(現オムロン)はカード所有者である本人の暗証番号記憶違いの救済と他人のカード不正使用防止の両立を図るため、犯罪での軽微な初犯は執行猶予になっていることをヒントに「カード不正使用防止方式」を発明。その処理フローの概要は以下の通りである。
「本人・他人を問わず入力ミスがあった時は入力ミスをして返却したことを示す有効性コード【1】を記録してカードを返却する。これによって本人であれば正しい暗証番号を確認することができ次回の現金自動支払機での入力ミスはなくなり正常な出金ができると同時に先述の有効性コード【1】をクリアしてカードを返却する。
一方、他人であれば正しい暗証番号を確認することができず再度利用の現金自動支払機でも入力ミスとなりその時に有効性コード【1】を確認して有効性コード【2】を記録してカードを返却する。
これによって再々度利用の現金自動支払機ではその有効性コード【2】を確認してカードを返却して以降の現金自動支払機での利用ができなくする」とした。
発明の社会実装の実績や発明が社会に及ぼした影響、
1988年、この発明によって、「カード不正使用防止方式の発明」として、公益社団法人発明協会より開発メンバーに「発明賞」が授与された。
翌年の1989年、「自動現金預金支払装置の照合判別機器の開発育成への貢献」として日本政府により当時の立石電機会長立石孝雄に藍綬褒章が授与された。
更に、この発明を含め個人認証装置や現金自動支払機等で出願した関連特許を元に競合のコンピューターメーカから多額の特許実施許諾料を獲得した。
なお、本方式の核技術である有効性コードは、キャッシュカードの磁気ストライプに採用されている。
図1.5.2
改ページ
1.6 田方篤志
1969年神戸生まれ。大学卒業後、約10年間、特許事務所に勤務し弁理士も目指す。30の時、コンピュータで心をつくるというアイデアがひらめき、弁理士より、そっちの方がワクワクするので、特許事務所を辞めてプログラムの勉強を始める。ところが思った以上に時間がかかりそうで、まずは、安定した収入を確保するためにシステム会社を作ってサブスクリプションモデルでFIREを実現した。
約10年前から本格的に研究を再開する。研究成果はYouTubeにて随時公開しています。
YouTube https://www.youtube.com/c/ROBOmindProject
株式会社ロボマインド https://robomind.co.jp/
1.特許第6985783号「人工知能システム、人工知能プログラムおよび自然言語処理システム」
自然言語処理の基本特許
不可能といわれていた言葉の意味理解を実現する基本特許である。
そもそも、言葉の意味とは何かが未だにわかっておらず、従来の自然言語処理では、意味解析をしないか、統計的手法に頼らざるを得なかった。
人が言葉の意味を理解できるのは、心があるからである。
そこで、心の仕組みを解明し、人間の心と同じシステムを構築することで、言葉の意味を理解することに成功した。
簡単に説明すると、人の思考は、プログラムでいえばオブジェクト指向プログラムに近いものである。
そこで、言葉をオブジェクトに変換して意味を理解する。
詳しくは、YouTubeで解説しているので、そちらを参照してください。
YouTube https://youtu.be/IX6nWuOF7ko
2.特許第6858434号「人工知能システムおよび人工知能プログラム」
人の思考方法の特許。
人と動物との一番の違いは何か。
それは、人は考えて行動を決定できることである。
人は、頭の中で、ああでもない、こうでもないと考えてから、行動することができる。
この、ああでもない、こうでもないという思考は、言ってみれば、頭の中で様々なシミュレーションをしているといえる。
そして、いくつかシミュレーションをした結果、最適な行動を選んでいるわけである。
この人間特有の思考方法で特許を取得した。
詳しい内容は、YouTubeで語っているので、そちらを参考にしてください。
YouTube1 https://youtu.be/J6zj1OWwrZw
YouTube2 https://youtu.be/j9e4Qc0QKr0
YouTube3 https://youtu.be/3iwyvfg2Gk0
改ページ
1.7 深田博幸
三菱電機で、コンピュータのソフトウェア開発、製品企画等に従事するも、コンピュータ製作所自体が廃止。ヤフージャパン、外資系金融会社を経て、現在は、ITサービス会社にて、糊口を凌ぐに至っております。NDA、コンプライアンス順守もあり、個人として世に出したアイデアのみ、ネット上には公表させて頂いております事、ご理解下さい。
さてと、wikipediaと云うHyper Textデータベースと、Google検索の、知的考察支援に対する有効性は絶大。又、頼り癖も悪也。色々の発明はし尽くされ、新たな発明のハードルは極めて上がっている事実があり、特許化も困難を極める。私もエネルギーを研究して、ダイナマイトに辿り着いたが…ノーベル氏が先に発明していたので…アキマセン。
課題解決十戒フレームワーク…発明方法のアルゴリズムを整理しました。…人工知能に応用?
課題を解決する、本質的な要因、その解決策に辿り着くまで何度も繰り返します。
図1.7.1
https://docs.google.com/spreadsheets/d/18wCHRn10ixIie6GpAXsPcmYrY9oKl7q3YULKY4GXmmI/edit?usp=sharing
上記に基づき思料したものの、例を示します。
汎用人工知能実現方式 サマリ
ビックリ、違和感、喜怒哀楽などの感覚を(情報エントロピーを応用し)「数値化」しました。
五感(目耳舌鼻触)や知覚を(運動方程式を応用し)抽象化して「同じ処理」にしました。
事象を丸暗記し、「自己と他己」、「現実と記憶」を同軸で評価しました。
違和感を「発見」できる様にしました。
違和感の無い状態を探索、探求、「推論」しました。
パターンで学習、「理解」しました。
他、倫理観?、善悪?、向上心?、快楽と非?、、、。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsaisigtwo/2019/AGI-013/2019_01/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2020/0/JSAI2020_4B2GS101/_article/-char/ja/
https://docs.google.com/presentation/d/1jT6JJykiiZNT7PBXvcTiClOHmRGJsyZSH1NaXymorcE/edit?usp=sharing
高電圧 高圧力 直接印加型 核融合方式 サマリ
石油が無くなるとどうなる?
電気を石油以外で起こす?
太陽光や風力では足りない?
現在の原子力でもいいけど、他に強力な発電方法は?
雷からガンマ線?(反物質?)
電気でp-pチェイン/CNOサイクル(核融合)が起きている?
効率良く核融合できる様に無駄を省きました。
https://docs.google.com/presentation/d/14Wmx_It2XJaf6W2QTmQtIM6L0LDw4o9LDHjyilElje0/edit?usp=sharing
https://docs.google.com/document/d/115iU90-h3XEv5tURBcAQKlOtq7zW93FJka0UirFEcDw/edit?usp=sharing
他、NDAに基き非公開。
改ページ
1.8 田村知章
小西六写真工業に就職しましたが、電子カメラへと変化する時代、デジタルカメラに関する職務発明が多かったのですが、いろいろと出願しているうちに、オンライン写真サービス、ビジネスモデル特許、有機EL関連、また、新製品の企画や、そのための特許調査、先行出願、アィディア出しの場を設けて発想促進と研究者に特許を出願させるプロモート的な仕事も多く行なって来ました。そんな経験を活かせる場がないかと思っておりました。
特許第5177222号
高齢化社会の進行、または視覚的に障害をもつ人のためにも、それらに対応したドキュメントづくりが必要になるそれは印刷文章よりもディスプレイ表示を前提とした電子ファイル文章になる、として、ドキュメントを扱う会社(小西六から現在はコニカミノルタ社になりましたが、オフィスドキュメントが主な業界です)としても意義のある特許を目指しました。
そのため、高齢者になると視覚がどう変化してしまうのか、色覚異常とはどのような症状かそして、もっともポピュラーなPDFというファイル形式はどうなっているのかを調査しました。
そのうえで、どのようにすれば使い勝手のよいサービスが提供できるか、そしてそれが検出可能な構成で、クレームという文章にできるかで、いろいろ考えてから出願しました。
登録まで行くことが出来ました。ユニバーサルな文章はSDGsの目標にもかないますね。
【 請 求 項 1 】
文 書 フ ァ イ ル を 出 力 す る 際 に 利 用 者 の 色 覚 特 性 に 適 し た 出 力 と す る 文 書 フ ァ イ ル 取 扱 方法 で あ っ て 、
元 文 書 フ ァ イ ル デ ー タ と 、 前 記 元 文 書 フ ァ イ ル デ ー タ を 元 に 生 成 さ れ 、 該 元 文 書 フ ァ イル デ ー タ に 差 分 と し て 適 用 す る こ と に よ り 前 記 文 書 フ ァ イ ル を 異 な る 色 覚 特 性 に 応 じ た 出力 と し て 出 力 す る た め の 複 数 の 差 分 デ ー タ の 各 々 と を 、 レ イ ヤ 構 造 で 異 な る レ イ ヤ と し て取 り 扱 う と 共 に 、
前 記 複 数 の 差 分 デ ー タ の う ち の 少 な く と も 一 つ の 差 分 デ ー タ は 前 記 元 文 書 フ ァ イ ル デ ータ と 異 な る フ ァ イ ル に 収 容 し 、
前 記 元 文 書 フ ァ イ ル デ ー タ と 所 定 の 色 覚 特 性 に 応 じ て 前 記 複 数 の 差 分 デ ー タ か ら 選 択 的に 参 照 さ れ る 差 分 デ ー タ と に よ り 出 力 用 の 文書 フ ァ イ ル デ ー タ を 出 力 す る 、
こ と を 特 徴 と す る 文 書 フ ァ イ ル 取 扱 方 法
図1.8.1
改ページ
第2章: 発明実績者の数名の組み合わせによる対談
対談参加者: 久野敦司、塚本豊、中村圭介、鴨川威、深田博幸
久野
「数学における発明の心理」という書籍には興味深いものがあります。
https://book-alpha.net/mathematics-invention/
結局、意識的な発想手順よりも無意識の仕組みと働きが発明においては重要だと思います。無意識に大変に高度な思考が膨大に高速に行なわれているのだろうと思います。多くの先人が内省によってその仕組みを部分的に感じ取ってはいますが、科学的な解明はほとんどされていないのだろうと思います。
塚本
脳のアイドリング状態「デフォルト・モード」が良いようですね。
https://asu-yoku-laboratory.com/default-mode-network
中村
無意識は、深層学習NNに、意識は言語に対応するとは思ってました。
画像も型レベルの概念としてあるいは個別のIDを付与して操作できれば、言語的な特徴をもたなくても意識とはいえそうですね
久野
中村 圭介 さん 次のようなことを考えたことがあります。
下図の出典: http://www.patentisland.com/memo99.html
図2.1
中村
久野 敦司 さん、記号列を使わないシミュレーションによる発明(言語を用いないなくてもできる発明)というものが図の特徴になると思います。数値での入力や数値での記憶に存在しない数値での概念(脳内)を想起することは、今の深層学習における創造的画像処理と似たものがあるとは感じます。
久野
中村 圭介 さん 脳内での概念は、想起することができ、想起後は実体があり、脳内での情報処理の対象となる事も出来るし、情報処理を制御する事も出来る存在であると、自分自身を内省して感じます。ただし、概念の実態とは何らかの信号分布パターンであると思います。感性場と私はそれを呼んでいます。
鴨川
素晴らしいです。創造ー想起のメカニズムですね。自動発明が可能か、意味ー意図ー意義ー意思の記号化、函数のマルチエージェントネットワークが創発モデルになるでしょう。実装をご相談したく存じます。
久野
鴨川 威 さん 出願から22年経過して、権利はとっくに消滅していますが、下記リンク先の特許発明が実装についての当時の構想です。
http://www.patentisland.com/JPB_0003275311.pdf
中村
鴨川 威 様、弊社からも、何かお手伝いできることがございましたら誠に幸いです。NNと論理の結合となる実装(もしかして深層強化学習は近いものがあるかもしれませんが)は、ぜひ関わってみたいです。
久野
中村 圭介 さん、鴨川さん 弊社(PatentIsland株式会社)としても、実装をして事業につなげたいと思います。まずは、顧客を想定してサービス内容の企画から開始したいと思います。よろしく、お願いいたします。
法律は、あまり個数の多くない概念の間の因果関係を前提にして定められています。本来は概念はそれに対応するシミュレータが必要ですので、法律はシミュレータとその間の因果関係によって記述できる因果ネットワークが背景にあるべきです。しかし、現状はそのような設計思想では法律および法律に関係する業務は設計されていません。そのため、多様な問題が出てきています。法律は記号で記述されていますが、その解釈は人が行ない、様々な学説や判例が出てきて、解釈が不安定になる事もあります。このあたりに、顧客が想定出来て、サービスも発想できるのではないかと思います。
中村
法律関係を構成要件へと分類する枝分かれの選択的音声認識対話や、NNを利用した道徳的理由の付加や案件当てはめ、企業家庭自治体ルールの半自動生成とか、いろんな応用がありえます。
久野
中村 圭介 さん 法律ごとにたいていは、目的となる概念が第1条に規定されています。目的概念には、目標指標とその目標指標の値に因果関係を有する因果ネットワークが付随すると思います。この因果ネットワークにはあまり個数の多くない概念が要素として含まれます。そして、法律の第2条には定義規定として法目的に関係する概念や第3条以下の具体的な法手続きや法上の中間概念(権利や地位など)に関する規定が記述されます。第3条以下の規定は、本来は因果ネットワークに対する作用と想定結果を持つ、法目的達成手段の群だと思います。概念にはシミュレータが対応しますが、そのシミュレータはニューラルネットワークによる学習によって自己組織化されると思います。
法目的達成度シミュレータを持った、「適切な法執行の学習ソフト」というようなアプリが法律の種類ごとにできるかもしれません。例えば、マクロ経済シミュレータを持った「適切な財政法の執行学習ソフト」を馬鹿財務官僚向けに提供して、デフレ脱却するとか。
「法律関係を構成要件へと分類する枝分かれの選択的音声認識対話や、NNを利用した道徳的理由の付加や案件当てはめ、企業家庭自治体ルールの半自動生成」は、人間の持つ知識や常識をシミュレータに埋め込むための有効な手段となると思います。
中村
久野 敦司 さん、考えられることが大きいですね。第1条の法目的を重み付けしながらブレイクダウンして、各制度をいちづけていく感じですね。政治家や学者用ですね。より破壊力のあるのは、一般人がより道徳的になり、法律に対して厳しい目を向けられるようになることだと思っています。
久野
中村 圭介 さん 一般人向けとしますと、例えば国家資格の受験生向けの「業法」の学習支援ソフトがあると思います。単なる条文暗記の支援ではなく、法目的とその背後にある因果ネットワーク知識をもとにした会話型のツールによって、実践的な知識が獲得できるというものが良いと思います。
例: 宅地建物取引業法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000176
中村
昨今の教育環境の変化にも合っていますね。
久野
中村 圭介 さん 因果ネットワークをインターネット上の膨大な情報の収集と分析を通じて、常に更新して学習していくものができれば、〇〇業法の実践知識学習ソフトが汎用的にできると思います。
中村
久野 敦司 さん。nグラムやBERTでは、因果の一歩手前で共起ととらえています。TOCfEでは、矢印の方向つまり因果を、人間が言葉に置き直して確認しています。
久野
中村 圭介 さん 不勉強でBERTについ中村さんの投稿で知りました。凄い技術だと思いました。
発明原理についての議論の再開
鴨川
クオリアですね。生体分子活動が生成した情報エネルギー場がまたみづから場を生成する自己組織化があるところで落ち着くことことになるでしょう。自由エネルギー論における不平衡ダイナイックスから平衡状態に落ち着く過程で複数の局所的安定点に落ちつくことがあり、揺らぎでそこから脱出できます。その局所安定点は特異点にでありそれが離散的に分布している感じ。脳内の情動を含むダイナミックモデルで考えて見よう。
概念構造はその特異点分布でしょう。
久野
鴨川 威 さん 確かに、このスレッドでの話はクオリアの話になっています。波や渦が実体のある存在のようにふるまうように、概念は実体としての性質を有する場であると思います。静止している場もあれば、変化して運動する場もあると思います。こんな話は、発明創造で深く深く内省したり、思考を集中してもがき、そして閃きを得た経験がある発明実績者の間で初めて話し合えるものだと思います。
鴨川
法律も目的的意味ー意図などが構造化されているのでね。
オントロジーも階層概念だけでなくその振る舞いの階層、憲法ー法律ー条例の中のにも具体的な事案にたいする構造があり、その適用や記述に因果関係を示す記述がある。ということか。
中村
法律の文の中に各条文の趣旨の記述がある保証は無いです。特許法であれば、いわゆる青本と言われる逐条解説や、他の立法趣旨についての文献を確認しながら行うことになります。
大まかな目的がたしかに1条にありますが、他の法令を準用したりするので、目的、手段や価値観は複合的に具体的な制度を構成しているといえます。
久野
中村 圭介 さん 法律名称を記述している様々な文書(判例、法解説書、論文、行政文書、ブログ)などを自動的に分析して、法律ごとにその法律の背後に存在して前提知識となっている「法目的に関係する因果ネットワーク」を抽出する技術を開発できれば、大きなアプリケーション分野が出現すると思います。「法目的に関係する因果ネットワーク」が、集合知として社会に共有されれば、因果関係から見て逆効果をもたらす施策が早期に廃止されたり、有効な施策がすぐに採用されたりして、法解釈の妥当性を判断する基準が確立できます。
中村
久野 敦司 さん。法令は、道徳に比べて稼ぐ力を持っていますが、字が示すとおり水のように流れ去る部分もあります。道徳の方が、サイエンスに近い一般性を持っているので、因果関係となじみやすいと考えています。
鴨川
裁判官、弁護士、検事、警察官などの仕事のデジタルアシストは意味ー意図ー意義ー社会的意義ー意志ー意思の抽出分析は本当の深層学習-真相学習になる。階層的ルールのメタレベルのオントロジー。憲章ー憲法ー法律ー条例の適用判断
久野
このスレッドで話題にしている技術の最小構成を考えてみました。
構成要素は、次のとおりです。
1. 目標指標変数:z、目標指標変数に対する原因変数:x,y
2. zに関するシミュレーション機能を与える関数:f
z=f(x,y)
3. 関数fを導出するために学習によって形成された因果ネットワーク:N
Nは、z、x、yのみならず、zに関連する可能性があるとして観測されて、分析対象とされた他の指標変数である、例えば、v1,v2,ーー、vjもある。各変数間の因果関係や相関関係や時間遅れなどが計測されてNを構成する。そして、Nを分析する事で関数fを抽出する。
4. 関数fに基づいた施策式
(x,y)=(x0,y0)においてzを増やすための施策としてのx増加
5. 施策式を言語表現することで得られる法律条文
鴨川
説明モデル有り難うございます。目標物指標変数を状態変数、そのベクトル加算が閾値を超えると発火する意志決定変数。その出力を帰還行列で入力技術と同次元に復元し、入力発明要素と加算する順方向積分回路を考える。発明ニューロンは離散的に発火できる。相変異が発明品ー発見現象。自動発明はそんな嗜好かいろでできるかな。このとき発明における意味ー意図ー意義ー社会的意義ー効用評価か帰還行列のラベルとなると。自然言語処理に自己組織化をいれて組み合わせたものが親和性ー調和性ー論理性があるかのモニタOSをいれる。
深田
ひらめきと云う奴は「降ってくる」ものですね。
私の場合、夜中に目覚めてぼんやりと、虚ろうつろしている時に、降っててくる確率が高い。
ベッドの枕元には、常にThinkPadがあって、記録ができる様にしているのは、、、カミさんの愚痴の種。
然し、調子にのっていると、睡眠不足になって、翌日…当日の仕事に支障が、、、。
寝覚めの発想力は時にモノ凄く、昼間に後で読み返して、自分の文章の意味を理解するのに一瞬時間が掛かる位。
まぁ、、、学生時代迄は、朝起きたら轟音の様に頭の中で色々の想い(アイディア、反省、戦略、etc...)が蠢いてましたが、、、。
社会人になってからは、仕事の課題で頭の中がいっぱいになり、新たなアイディアが入り込む余地は、、、。
久野
深田 博幸 さん 同感です。意識の力で潜在意識を起動して潜在意識にアイデアシミュレーションを膨大にさせて良い結果の報告を、リラックスした頭脳の意識で受け取るという感じだと思います。
深田
久野 敦司さん、
アイディアと云うか、種々の考えと云うのは、「小さな囁き声」の様なモノかと。
目前の大きな課題(大声のノイズ)にかき消されて、考え事をすればするほど、囁き声が聞こえなくなる。
気分転換をしたり、深夜に白昼夢ではなく白夜夢を観る様な心持ちの時にだけ、小さな囁き声が聞こえてくる。
S/N比(?)が高いクリアな心理状態の場合にのみ、新しいアイディアは生まれてくる、、、。
そんな感じがします。
久野
発明が閃く脳内の仕組みを自分なりに考えた図がありました。
図2.2
深田
久野 敦司さん
アイデアノート…重要ですね。
アイデアは育てるモノかと存じます。
何度も何度も何度も、思考実験を繰り返し、失敗案の解決策に気付いた時の喜びは…自分だけのモノ。
過去に、此れは大発明かも!?…と云う奴があって、之だけのアイデアならば忘れる筈が無い…と思っていたモノが思い出せない…と云うのも幾つも有り。。。ノートにとっておけば、、、その時はノーベル賞モノ?と感じた位のアイデアが、空に帰しました。。。地球規模の損失…一人そんな心持ち???
私的には、漠然としていてもアイデアが浮かぶ訳でもなく、、、
関連しそうな既知の「知識」の海の中から、フッと「ソイツ」が頭を浮かべる…そんな感じかと。
知らない事柄が、パッと浮かび上がる事は…私的には無かった様な気がします。
勿論、意識的、又は無意識で忘れてた様な状態において、目にした事象にビビッときてヒントになった事は幾度もあります。まァ、私は発想に時間が掛るタイプの様です。
然しアイデアノートや、様々なミームは、発明においてとても重要かと存じます。
塚本
弊社(株式会社フューチャーアイ)の場合、発明を考え出して特許を取りそのライセンス料でマネタイズする会社です。よって、株主への責任(義務?)からして、収益をもたらす発明(以下「儲かる発明」という)を考え出すことが至上命題となります。皆様のように世の中を良くするために発明を考え出す等のような高尚な話ができなくて申し訳ありませんが、私の場合は「儲かる発明」にフォーカスして発明を創出してきました。
儲かる発明を鋭意研究した結果、大発明が必ずしも儲かる発明とは限らず、未来の当り前を特許で先取りした発明が儲かる発明であることに辿り着きました。今現在はどこにも存在しないが、5~15年先には猫も杓子もの普通に使っている発明です。
このような発明を考え出すには、先ず、未来社会を予測し、その未来で発生するであろう新たなニーズや課題を推理する必要があります(以下「未来的課題の推理」という)。次に、その未来的課題を解決する技術的手段を考え出します。この技術的手段の創出の段階では、脳がデフォルト状態になっているときに閃きが天から降てくることがあります。しかし、未来的課題の推理の段階では、閃きが降てくることはありません。
儲かる発明の創出においては、技術的手段の創出よりもむしろ未来的課題の推理の方が何倍も重要であり、こちらに時間とエネルギーをつぎ込む必要があります。この作業は、マーケティングや行動経済学等の社会科学を駆使して未来社会を予測することであり、この社会科学のベースの上に技術的手段が構築されたものが、私が考え出してきた「儲かる発明」です。
そのノウハウについて、以下のURLのセミナー(知財実務オンライン)で解説しましたので、参考にしてください。時間軸25:32(25分32秒)あたりから解説しています。
https://www.youtube.com/watch?v=kCBVNLcQn5c
図2.3
改ページ
第3章: 創造性についての考察
3.1 長田正範さんの考察内容
約700万年前に誕生した人間は、この地球上で人間のみが持ち得た創造力を活かして今日の文明文化を築いてきました。
創造力とは「既存資源」から新規欲求を見い出し公知資源を活かして新規資源を創出する能力」と理解しています。
なお、欲求とは人の心身の欲求であり、資源とは人・物 ・情報のことで、この創造力は誰でも持っています。
例えば、自販機のスチール缶とアルミ缶の空き缶の手作業による既存の分別策をより手軽にしようとの欲求から、公知の磁石の鉄分吸着機能を活かして「空き缶分別箱(特許5792881)」を創出したのは小学6年生の児童です。
また、家事を切り盛りされている多くの主婦が多くの発明をされていることもネット上で紹介されています。
これらの事例に共通するのは上記の創造力の定義を創造力発揮の手順として下記に示す「思考プロセス」の存在です。特にその注力点は、「必要は発明の母」の諺通り必要と思う欲求こそが創造力発揮の起点であることです。
この「思考プロセス」で得た「新規資源」は特許等の知的財産権(特許法第一章第二条:「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの)を得ると同時に「公知資源」や「既存資源」として蓄積されます。その「公知資源」はその長所から各分野での用途開発に活用され、又、新規に発見された自然法則も「公知資源」として蓄積されます。
一方、「既存資源」は「新規欲求」を新たに気付かせて「新規資源」を創出するきっかけとなりますが、幸いにも今日の広く普及したインターネットは「公知資源」の宝庫であり「既存資源」から「新規欲求」」さえ見い出せばインターネットがその最適な「公知資源」を提供し、それを活かして「新規資源」を創出することが可能になっています。
更に、この「思考プロセス」で得た「新規資源」を単に知的財産権の取得に留まらず、それを広く普及させる要件は下記の通り、「資源自身の公益性」としての利便性や生産性や経済性等に優れた新規性とそれを担保するルールやマナーによる規範性の確保と、「資源取得の容易性」としての何時でも何処でも得られる全日性と全域性の確保です。なお、下記の≪ ≫内の文字は覚え方の一例です。
この資源進化の成功例の一つがAmazonの「ネット通販」でこれは人(対面販売)→物(自販機)→情報(ネット通販)への資源進化を活かしたもので、今回のコロナ禍で外出での人との交流が制限されている
中でも業績を伸ばしています。これはAmazonが一角を占める巨大IT企業GAFAも同様です。
このように、情報への資源進化は在宅での対話・検索・学習・就労・診療・買物・決済等の遠隔対応を可能にしました。
なお、人の欲求とそれを満たす資源との普遍的な関係は以下の通りと理解しています。
欲求とは、下記のマズローの欲求5段階説が示す物質的欲求や精神的欲求のことです。
この欲求5段階説は心理学者アブラハム・マズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し人間の欲求を5段階に理論化したものです。人間には5段階の「欲求」があり、1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとする基本的な心理的行動を表しています。
人は人の物質的欲求を満たすため自然法則から成る資源を活かした天文学・物理学・化学・生物学等の暮らし豊かな文明を築き、精神的欲求を満たすため規範法則から成る資源を活かした政治・社会・文芸・スポーツ等の心和める文化を築いてきました。
注)【自然法則】自然における出来事や存在等の諸事実の間で成立している一般的、必然的な関係を表した法則
【規範法則】民意の総意による人々の理想や価値観を実現するために従わなければならない法則。
資源とは、人的資源(人の身体の器官)や物的資源(自然界の天然物や人が創出した人工物)や情報資源(広義のICT:情報通信技術)のことです。
人的資源とは、人の欲求を満たす根源となる人自らの器官のことです。
その内訳は、頭脳の創造力・記憶力、目・耳・口等の感知力、口・手の発信力、手・足の行動力です。
但し人の活動には体力や食料が必要で、しかも休息や睡眠も必要なことから連続活動は不可能なことからこれを補完するために物的資源や情報資源が創出・活用されるようになりました。
物的資源とは、形をもち、実際に見たり触れたりできるもので天然物と人工物があります。
天然物とは、日光・空気・土・水・山・川・海・鉱物・動植物等で、人や人工物以外の地球上に存在する全ての物のことです。なお、天然物の動物の中には人の機能への補完として盲導犬・探知犬・伝書鳩・鵜飼・馬等が存在しますが、人同様に休息や睡眠の必要から連続活動は不可能です。
人工物とは、人が創出した道路・鉄道・港湾・ダム・上下水道・通信施設等の産業基盤の社会資本や学校・病院・公園・社会福祉施設等の生活関連の社会資本からなるインフラや人的資源を補完するそろばん・辞書・眼鏡・録音録画・印刷・郵便・各種道具・乗物等です。
これらの人工物は、人や動物には無い繊細かつ強力な能力を有ししかも連続活動も可能ですが、その製作や活動にはそれに見合う資材や燃料が必要です。
情報資源とは、「想いを形にする」のラテン語が語源で、文字・記号・映像・音声等のデータによって記録伝達され、受け手に状況の知識や適切な判断を生じさせるものですが、ここではAIやビッグデータを含む広義のICT(情報通信技術)のことです。
全世界に隈なく敷設されたインターネットの通信網は交通網に比べて、地震・台風・雷・洪水等天災への耐候性に優れ、その整備や運用に要する資材や燃料も極めて軽微で経済性にも優れています。
しかもその通信網で伝達される文字等のデータは、情報端末を介して任意の時間帯や場所での操作・制御ができる利便性に優れ、かつ送受信側双方での相互監視により信頼性にも優れています。
この情報資源の有益性を再認識すると同時に人的資源や物的資源との共存し合えるシステム構築や活用と云った「情報リテラシー」の向上が重要です。
例えば、物質的欲求を満たす一例として人は食欲を満たすために誕生当初は生の食べ物を手掴みで取り(人)生で食べていたものが、やがて食べ物を火で炙り箸で摘まんで(物)食べるようになり、今日ではネット通販(情報)の普及により美味しい食べ物をスマホ等で検索・発注し宅配で届いた食べ物をそのまま食べるようになりました。
一方、精神的欲求を満たす一例として人は自分の想いを伝えるために誕生当初は言葉(人)だったものが、やがて文字の印刷(物)となり、今日ではネット交信(情報)の普及によりスマホ等で自分の想いを伝えるようになりました。
このように人の深まる欲求を満たすため、資源は人→物→情報へと進化していきました。
正に、「創造力の真価は欲求深化を資源進化で満たすこと」と云えます。
今日の大きな出来事である新型コロナウイルス禍とウクライナへのロシアの侵攻は、人間が築いてきた文明文化の観点から判断して、前者は未知の自然法則による天災であり、後者は規範法則を無視した人災です。
したがって、前者への対応策は感染への回避を図ると同時に病原菌の解明と予防薬と治療薬の開発であり、後者への対応策はロシア国民の総意による民主国家への移行だと思います。
この両者への対応策の促進を図るのが真実を伝える情報です。したがって、その情報の改ざんや隠蔽は決して許されるものではありません。
「情報の二文字は情けをかければ報われる」と読めます。正に「情報は人間のみが持ち得た創造力発揮の要」です。
なお、創造力発揮の起点となる人の普遍的欲求は、「この地球上に生息する住民としての持続可能な自然との共生と、社会構成の一員としての平等で自由で人権尊重の民主主義の維持と、個人としての健康で生き甲斐感じる暮らし」であり、そこには地球温暖化等の環境破壊や国家のすべての権力が特定の個人や少数者の手に集中され、その意のままに政治が行なわれるような専制主義や自己中心主義等の歪んだ欲求は存在しないと理解しています。世界や身の周りでこのような歪んだ欲求で生じる数々の不幸で不都合な出来事は全て人間の創造力の欠如によるものであり、それはまた「危機を好機として活かす人間の創造力」によって解決されるものと信じています。
日本人で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士の語録に「アイデアの秘訣は執念である」とあります。その意味するところは、「高い志を持って、決して諦めない執念と創造力を発揮すれば、必ずや夢は叶う」と理解しています。
宝の詰まった金庫を開く鍵師のように、心に秘めた創造力を発揮させるのは何事にも「関心(か)・疑心(ぎ)・思考心(し)です。
本文が創造力に関心のある人への一助となれば幸いです。
改ページ
3.2 久野敦司さんの考察内容
イノベーション創造のキーポイントを個人、組織という階層で俯瞰する
イノベーションは、 志や理想をもとに価値創造のために想像力や予想を用いながら不確定性に挑み、新しい構造やプロセスを創造する行為である。
イノベーションは個人の志から始まる。それが、組織および組織間関係へと広がり、国家や世界をさえ、より良く変えていく。
イノベーション創造のキーポイントを、個人、組織という各階層について俯瞰して述べる。
組織の階層以上では、イノベーション創造に影響を与える組織内力学や組織間力学が存在し、各種のパターンでイノベーションの阻害やイノベーションの促進が発生する。
この力学と、商品ライフサイクルで言う「導入期」,「成長期」,「成熟期」,「衰退期」という4つのフェーズとの関係についても述べる。
【個人の階層において】
個人の階層では、真・善・美・愛を実現しようという志こそがイノベーションのコア(中核)である。
この志を、薄れさせずに、組織にも拡大させながら組織を動かせてこそ、組織もイノベーションの推進体となるのである。
利益と安楽を駆動力とする人間活動は、困難や壁の前で容易に停止する。利益と安楽を駆動力と する者は、未来の確たるビジョンが無く、目先の利益と安楽を求めるので、 局所最適のポジションが あると、そこに安住し、利益や安楽が損なわれる方向への活動をしようとはしないからである。 他人と協力してイノベーションをおこせる場面であっても、 利・楽だけを求める者は、できるだけ 自分の負担とリスクを減らしながら、できるだけ大きい利益と安楽を得ようとするので、協力すべき 相手との間に利害対立が発生する。 そして、本質的な利害対立関係の上に契約関係を築きながら、 相互連携をしようとする。しかし、このような契約関係で結合した者達にはイノベーションはおこせない。
それに対して、真・善・美・愛を駆動力とする人間活動は、困難や壁があると、それを自分達を高める 試練と感じ、それを乗り越える努力をする。 そして、乗り越えて到達した新たな境地の価値を、乗り越えた 困難や壁が高めてくれる。利益や安楽を求めているわけでは無く、真・善・美・愛を求めているので、 他との協力による新たな真・善・美・愛をもたらす活動であるイノベーションを積極的に実行できる。
不確定性への挑戦の過程では、新たなコンセプト群の形成が必要となる。コンセプト群の形成を担うのがコンセプトオーガナイザーである。
この新たなコンセプト群をうまく表現して整理して新アーキテクチャとして示すことが、 イノベーション創造活動の混乱回避のためと共鳴する人を増加させるために重要である。
イノベーション創造のためには、個人においては創造性が必要である。創造的人間のパーソナリティとして、書籍「図解でわかる等価変換理論」の第156ページには、次のものを挙げている。
(1) 仕事における高い自発性とやる気
(2) 新しい視野からものを見る(観点の変革)
(3) ものごとの枝葉末節でなく、根本をつかむ(本質の把握)
(4) ロングスケールでものを見る(大局的観点)
(5) 時代の流れに対する感受性(時代感覚)
(6) 現状にあきたりない精神(創造的ロマンティシズム)
(7) 権威にこだわらない(非権威主義であって反権威主義ではない)
(8) 新しさへの憧憬(強い好奇心)
(9) 仕事に対する熱中性と持続性(湯川博士も指摘された精神性、いわゆる根性)
(10) 仕事 = 生きがい
【組織の階層において】
企業は、真・善・美・愛を人々が共同して追及し、その結果として利と楽を得るための組織(社会の公器) とならねばならない。 企業は、創業者というイノベータが立ち上げるが、事業や経営が安定すると、ホンダイノベーション魂や書籍「ホンダ イノベーションの神髄」で言うところのオペレーション派(執行派)の人々が主導権を握るのである。 そして、オペレーション派が主導権を握ると衰退が始まる。会社で主導権を握ったオペレーション派が、新たな事業の導入期と成長期において、成熟期と衰退期でのみ適合する価値観で事業判断や価値判断をしたり、判断を回避してイノベーションの芽を潰しているためである。 このような事態の結果として、企業が価値創造ができなくなると、企業は確実に滅びる。
オペレーション派主導の経営の典型が経理指標に基づいて経営を行なう経理主導経営である。これは、価値創造のエンジンが無いので、グライダーのようにスマートに滑空しながら高度を下げていき、最後は地上に落ちる。
しかし、経営者の一部には経理主導経営の数値と理論に基づいたスマートさに目を奪われ、高度を下げていることに気づかない人もいる。
オペレーション派は、イノベーションの達成時期や達成の内容の確実性や投資対効果の妥当性の保証を求める人である。この人たちは善意者であるが、イノベーションが 不確実性との戦いであるという本質を理解しておらず、次のような言葉で、イノベーションの芽を組織内で潰す。
● どうせ無理
● 前例が無い
● 他社では、やっていない
● リスクが無いとは言えない
● 誰もやっていないのは、駄目だからではないのか
● 時期尚早
● マニュアルとは異なる
● 皆の同意が得られない
オペレーション派は、PDCAサイクルを素早く回転させることで、様々な問題が解決されるとしてPDCAサイクルを個人のレベルでも組織のレベルでも早く高密度に実行しようとする。 しかし、Pの段階に想像力に基づいた新しいアイデアが含まれていないと、いくら DCAを行なってもイノベーションは生じない。
イノベーションに向かうことの出来るアイデアを含んだPの無いまま、頻繁に会議を行ない、計画書を作成しなおし、さらに計画書に基づいた業務を実行してみても、 イノベーションに向かわない。2階に上がる階段を発見することが無ければ、いくら歩き回っても1階の床の上をうろうろするだけである。
発想の飛躍を可能とする方法として、新たな次元の追加というものがある。2次元平面で考えていたら行き詰ってしまう問題でも、次元を追加して3次元空間で考えると簡単に解けるというようなものだ。広中平祐氏がフィールズ賞を受賞した「特異点解消定理」は、難しい問題を簡単化できるような追加次元が存在するという「発明者を鼓舞する定理」である。次の図にて判り易く説明されている。
下図の出典: http://blog.livedoor.jp/enjoy_math/archives/50588392.html
図3.2.1
改ページ
3.3 塚本 豊さんの考察内容
■アンチオリジナリティの問題点
大学入試を含め現在の日本の教育を一言でいえば、「コピー人間大量生産システム」です。事前に用意されている模範解答を試験の答案用紙上に再現(複写)させるだけのものです。日本の失われた30年の素因の1が、この教育システムだと思っています。
それでは教育機関が悪いのかと言えば、そうとも言い切れません。卒業生を受入れる受け皿側(企業等の経済的社会的活動を行っている組織)自体が、コピー人間を排除するのではなくむしろ喜んで受け入れるのが大方の傾向であり、教育機関側はその要望(ニーズ)に同調しているだけと、解することもできます。
■若者へのメッセージ
学生等の若者に送るメッセージは、「教育を鵜吞みにするのではなく自分の頭で考えよ!」です。分かりやすい例えを1つ。
「真空中では、重い物体も軽い物体も同じ加速度で落下する。よって同じ高さから同じ初速度で落下させれば、同時に地面に到着する。」と、習ったと思います。この模範解答を鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えて思考実験をします。以下、「ガリレオが行った思考実験です。(『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/.../%E6%80%9D%E8%80%83%E5%AE%9F...)。2022年3月15日8時(日本時間)時点の最新版を引用)」
1 重いものほど速く落下するとしよう。
2 大小二つの鉄球を用意する。
3 小さいものは遅く、大きいものは速く落下するだろう。
4 二つの鉄球を軽いひもでつないで一つの物体とする。
5 これを落下させると、小さい鉄球は速く落下する大きい鉄球に引かれるため元より速く落下する。一方、大きい鉄球は遅く落下する小さい鉄球に引かれ元より遅く落下する。従って二つの鉄球の中間の速度で落下するはずである。
6 しかし、全体としては大小の鉄球を合計した重量になり、より重くなるのだから元の鉄球それぞれより速く落ちるはずである。
7 同じ前提から相反する結果が導かれるのはおかしいのではないだろうか。
上記模範解答を鵜呑みにした場合には、試験でよい成績を取ることができますが、未だ模範解答のない未知なる問題に遭遇したときには手も足も出ない状態になります。社会に出れば、未だ模範解答のない未知なる問題に遭遇することの方が多くなります。そのときに威力を発揮するものは、自分の頭で考える習慣(癖?)で培った思考力です。
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