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希望の門出

私はこれから旅立つ。

パリの大きな修道院の入り口の前に立ち、私は一息大きな息をついてから空を眺めた。
天気は快晴で風もなく澄んだ青空が私を応援してくれている、そんな気がした。
私は今までパリにあるこの女子修道院にいた。
この修道院はとても大きく、全国にある女子修道院の中でも最も大きいものなのではないだろうか。
私は今日そこを離れる。
俗世に戻るわけではなく、地方のこことは比べ物にならないくらい小さくて修道女の数も数名の修道院に移るのだ。
周りには「都落ち」とか「落第者」とかさんざんな言われ方をされたけれど、私はそんなことちっとも思っていなかった。
はっきり言ってとてもワクワクしている。
それが今の私の本当の気持ち。
こんなにわき踊るような気持ちになったのはいつぶりだろう。
そんな気持ちでいることは皆に知られたら大変なことになるからだまっていたけれど、今日はもう隠すことはしなくていいのだ。

黒い修道服に身を包み、修道院の入り口(今はもう出口だけれども)の前に立って私はこれから始まる新しい生活に心が躍りだしそうになっている。

さようなら、旧世界。
これからよろしく、新世界。
一歩を踏み出した私の先には希望の未来が待っている。

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