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王国の宰相

いつの時代にも争いはある。

そして争いと共に駆け引き・取引は絶え間なく繰り返される。

人は争いごとを好む。
そして戦争のない平和な時代でも何かしらの争いの種を見つけてそれを育てる。
それは身分が高かろうと低かろうと関係ない。
身分の高い者は政敵と、身分の低い者は家族と、わざわざ怒りの元を見つけ出してそれを育てる。

私はこの肥沃な三日月地帯の王国の大臣だ。
王にも直接進言できるほどの高い地位にいる。
御多分に漏れず私にも政敵は大勢いる。
足元をすくわれないよう、細心の注意を払いながら駆け引きを行っている。
どこに敵がいるかわからないから家の中でも気を抜けない。
間者はいつどこにいるかわからないから。
勿論、私も政敵に間者はつけている。
最近軍事力を高めている近隣諸国の動向も気にしながら国内の敵にも気を付けなければならない。
一時も気を抜けない。

本日は我が国の最も大きな神殿に来ている。
最も大きい神殿ということはもっとも大きくて影響力のある教団ということだ。
この神殿の最高位の神官は、女性だ。
このイシュタル神殿の神官は数少ない女性の神官なのだ。
それは我が国だけかもしれないが、たまたまなのかもしれない。
国の最大の神殿の神官ともなれば王や民衆や、~他の政敵たち~ に対しても影響がある。
それは私のような一大臣なんかよりも計り知れない大きなものだ。
運よく、といっては何だが私はこの神官と仲が良い。
男女の仲などではもちろんない。
国の施策の方向性が同じなので、気が合うのだ。
これは幸運だった。
私の言葉は受け入れられなくても神官の言葉なら聞き入れる人が多い。
これで思った通りに国の運営ができる。
神々の加護を受けながら政策を決定できるのだから、間違いはない。

ではこれから神官と国の行く末について話し合うとしよう。
神々と共にこの国の繁栄を祈りながら。

メソポタミア


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