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コンテスト

今日は村で行われる美人コンテストの日!
この村で行われる美人コンテストはかなり知れ渡っていて、王様のいるお城にも知れ渡っているそうなの。
お祭りの一つとして行われるこの美人コンテストはもちろんメインイベント。
かくいう私も今年のこの美人コンテストの最終選考の3人のうちの1人に選ばれたわ。
勿論自信はあるわ。
他の2人よりうんときれいだと思ってるし、実際そう。
だから今年の優勝者は絶対この私。
優勝すると皆からちやほやされるし、何より優勝の褒美が都会に行けること。
こんな小さな村なんか目じゃない大きな町に行けるの。
町に行けばこんな農作業しなくて済むし、楽しい生活が送れるわ。
野良仕事で一生を終わるなんて考えただけでも吐き気がする。
だからこのコンテストで優勝して絶対町へ行くの。
かならず優勝してみせるわ。


冗談でしょ!なんで私が優勝じゃないの!?

優勝したのがあの子だなんて、審査員はおかしいんじゃないの!

私は笑顔を顔に張り付けて優勝した子を隣で讃えているけど心の中は怒りで爆発しそうだった。
優勝した子は観客の大きな拍手の中、村長やら村のお偉方から花の冠を頭にのせてもらいこの場所で最も輝いていた。
悔しい!なぜ私じゃないの!
こいつらほんと見る目がないわ!
これでこの村から出ていく計画が無になったわ!

私は生前知ることはなかったが、この美人コンテストには裏の目的があったのだ。
優勝者は町へ行って楽しい暮らしができるというものではなかった。
実は村の裏にある大きな陰惨とした森で捧げられる生贄を選ぶものだった。
優勝者は森の中で何者かへ捧げられていた。
勿論自分が生贄に選ばれているなんて優勝者も参加者も誰も知らない。
村の中の数人しか知らないことだった。
だから優勝したものは誰一人として村に里帰りをしなかったのだ。
町の生活がとても楽しくて村のことなど忘れてしまったのだと思っていた。

その後私は村から出ることはなく農婦として生涯を終えた。

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