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Undone Workを軸にチームを観察してみよう!

おはこんばんはー。りょくちゃです。

Undone Workを見つけると言いつつ自分が注意深く観察するには認知的な努力が必要でした。

自分にはそばにアジャイルコーチの天野さんがいらっしゃったので、洞察に至った理屈を肌で感じる事ができました。でも、一人だと気づきを得ることが難しいと感じたのも覚えています。自分が誤った洞察を働かせていないか不安になったこともあります。

参考になるかはわかりませんが、フィクションで具体的なシチュエーションを用意したので、なかなか自信が持てないスクラムマスターの方がいれば一緒に観察して気づいたことをシェアしてみましょう。

品質を後工程で確保する問題

まず、開発の工程を紹介すると……ドンッ。

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一つのプロダクトに複数の開発チームが存在してるので、開発の工程でユニットテスト以外をすることなく他のテストを統合テスト時にやってます。

受け入れ基準はあるんですが、それぞれの工程に完成の定義は存在してません。

ときどき、開発の工程でコミットできない活動がやむを得ず統合テストの工程に漏れ出して、品質を確保する動きがチームに生まれているときがあります。例えば、ドキュメントの修正やクロスブラウザの対応など。

完成という言葉の定義

ここで少し脇道にそれる話をさせてください。

スクラムでは完成したリリース判断可能なインクリメントをスプリントレビューでデモします。

スクラムではなくても完成の捉え方が人により違うと過剰品質問題が発生します。

スプリントレビューのデモにて…
プロダクトオーナー...うんうん。これこれ。思った通りの振る舞いだし、体験設計も完璧だね。誰でも利用可能なものになっていると思うよ。
デザイナー…ありがとうございます!今回はかなりこだわって作りました。自分の考えたデザインどおりに開発者が作ってくれたおかげです。
……しばらくこだわりポイントを話すデザイナー……
プロダクトオーナー…うんうん。でも、僕はここまでのこだわりは求めてなかったかも……。

これは完璧という言葉からイメージするものが違ったときに遭遇するストーリーを書き出してみました。

スプリントではPOからみてリリース判断が十分可能なインクリメントを作れないか考えます。

デザイナーさんがデザインしたものとズレがあるものは問答無用でバグという認識の人がいるときがありました。こだわりがユーザーの使いやすさに影響することは疑いようがないのですが、これは品質観点から見たときに「それは直すべきものか」という観点が抜けています。

なので、プロダクトオーナーさんとデザイナーさんの品質に対する感覚を揃える支援を検討します。デザイン再現度100%ではなくて、リリース可能な品質からみて100%な品質がプロダクトオーナーが欲しているものです。過剰品質は減らしながら、ちょうどいい塩梅の品質やデザインを生み出していくことを目指していくのはどうでしょうか。

完成の定義でUndone Workを解消する

閑話休題。それでは気づいたことを説明してみます。シチュエーションを眺めながら自分ならどうするか想像してみると違いがわかって面白いかもしれません。

紹介したシチュエーションには完成の定義は存在してませんね。こうなるとUndone Workが生まれやすくなることを疑います。それぞれの工程でどこまで作業すれば完成なのかわからないし、計画段階で気づけない作業が出やすくなるからです。

それに品質を後工程で確保する状態をやめたいです。開発工程だけでリリース判断可能なプロダクトを完成させることはできない構造上の問題があると感じました。

あとは、やむを得ずテスト工程にUndone Workが入っていくるのは、どういう力が働いているのかに関心があります。例えば、開発を締め切りに間に合わせるための雰囲気が支配的なのだとすると、プレッシャーから完成の定義を緩めてテスト工程の作業を増やす要因になりそうです。

チームで取り組むアクション案としては完成の定義の作成や完成の定義を繰り返し学習して更新していけるような方針で実装を考えてみるのはどうでしょうか。

余談ですが、完成の定義を満たそうと思った時に作業がタイムボックスから溢れかえってしまう場合はどうしたらいいのでしょうか。

この場合は開発工程以前に本当の問題があると考えています。例えば、スプリントに作業を詰め込みすぎていたり、完成の定義に基づいて見積もりされていないことが多いです。

完成の定義を緩めたりすることも短期的な解決手段ではありますが、技術的負債のように借り入れであるということを理解した上で行ったほうが安心だと思います。

みなさんが気づいたことは何だったでしょう。自分と違いはあったでしょうか。ぜひ、Twitterや顔を合わせた際に教えて下さいね。では、また次回!

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