見出し画像

高校野球選手の準備期間と競技期間におけるFunctional movement screenの比較

▼ 文献情報 と 抄録和訳

高校野球選手の準備期間と競技期間におけるFunctional movement screenの比較

Lee CL, Hsu MC, Chang WD, et al.: Functional movement screen comparison between the preparative period and competitive period in high school baseball players, J Exerc Sci Fit. 2018;16(2):68-72.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)はスポーツ選手のスクリーニングに広く用いられているが,高校野球選手のトレーニングシーズンの違いとFMSスコアとの関連性を調べた研究はこれまでにない。本研究の目的は,高校野球選手の準備期(PPP)と競技期(CPP)におけるFMSスコアの違いを明らかにし,さらにFMSが2つの主要な時期の傷害を予測するツールとして使用できるかどうかを明らかにすることである。

[方法] 高校野球の男子選手55名(年齢15.3±1.7歳,身長1.7±0.8m,体重64.6±11.5kg)がボランティアとして参加した。スポーツ傷害は,自己申告式の質問票で報告された。選手はPPPとCPPの間にFMSを行った。受信者動作特性(ROC)曲線を用いて,FMSスコアと傷害との関係を示すカットオフ総複合スコア≦14を算出した。また,感度,特異性,陽性予測値(PPV),陰性予測値(NPV),曲線下面積(AUC)を算出した。

[結果] FMS個人タスクスコアとトータルコンポジットスコアは,CPPではPPPに比べて有意に低かった。しかし,ROC曲線で決定した傷害リスクのカットオフトータルコンポジットスコア≦14は,感度58%、NPV66%、AUC69%、特異性79%、PPV71%と低かった。

[結論] 感度,NPVおよびAUCのスコアが低いことから、FMSは傷害リスクを正確に予測しないことが示されたが,FMSの個人タスクおよびトータルコンポジットスコアはPPPとCPPの間で有意に異なっていた。したがって,FMSは,異なるトレーニングシーズン間の身体的欠陥を特定するためのツールとして使用できる可能性があるが,この集団において,特にCPP期間中の傷害予測のスクリーニングツールとしてFMSを使用することは推奨されない。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

理学療法評価や血液データなど、医療の中で行う様々な評価は、その一回の評価だけで判断することはまずない。しかし、FMSをはじめとしたスクリーニング検査は、研究上だと横断的にある一時点での評価がほとんどであるように思う。FMSをより臨床応用させていくためには、こうした「経時的変化」を測定した研究データを蓄積していく必要があるだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓


少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。