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バッティング時のスイング速度に関連する身体的特徴とは?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

少年野球選手のバッティング時のスイング速度に関連する身体的特徴の特定

Tsutsui T, Maemichi T, Torii S: Identification of physical characteristics associated with swing velocity of batting in youth baseball players, J Sports Med Phys Fitness (IF: 1.432; Q2). 2021 May 24.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] スイング速度に関連する身体機能や筋力の特徴を明らかにすることは,バッティングパフォーマンスを向上させるために必要である。本研究の目的は,少年野球選手のスイング速度に関連する要因を明らかにすることである。

[方法] 7~13歳の少年野球選手191名が参加し,Tee Ball(9.5歳未満)部門とMajor(9.5歳以上)部門に分けた。バッティングパフォーマンスではスイング速度を,身体機能ではメディシンボール(MB)バックスローと修正スターエクスカーションバランステスト(SEBT)を,下肢筋力では股関節筋トルクを測定した。

[結果] 身体機能では身長とMBバックスロー(β=0.403および0.380),下肢筋力では身長とステップ脚の内旋トルク(β=0.620および0.216)(R2=0.616)が,いずれもスイング速度に関する重回帰分析の関連独立変数として抽出された。さらに,メジャー部門では身長,MBバックスロー,ピボット脚の修正SEBT(β=0.420,0.324,0.218),ティーボール部門ではピボット脚とステップ脚のIRトルク(β=0.555,0.525)が選択された(R2=0.568)。

[結論] 少年野球選手では,スイング速度は身長,身体機能ではMBバックスロー,下肢筋力では踏み出し脚のIRトルクと関連していた。したがって,スイング速度を向上させるためには,爆発的なパワーと打球方向と反対側に体を止めるための筋力が必要であると考えられた。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

投球にしてもバッティングにしても,遠心的な活動の中での「股関節内旋」が重要であると感じた。歩行においても,立脚後期での「股関節伸展、内旋」が重要になってくる。動作的な共通点があるのだろうか。また,投球やバッティング時に股関節内旋が生じにくい選手は,そうでない選手と比べて歩行の立脚後期でうまく「股関節伸展,内旋」が生じていないのだろうか(いわゆる健常者間であるからデータで細かくみないと分からないかもしれないが)。その辺が分かってくると臨床上での効果判定もしやすいかもしれない。

少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。