見出し画像

化猫妖怪小話「ろくろ首」

にゃー。パッション撫子だよ。

今日は妖怪といえば?ときかれたら10番目以内には入るくらい有名な妖怪「ろくろ首」の話をしてやろう。

実はろくろ首には2種類いるって話は知ってるかい?首が伸びるろくろ首と、頭がとれてどこかへ行ってしまうろくろ首の2種類がいるんだ。多分お前さんらがよく知ってるろくろ首は首が伸びるほうのろくろ首だろうね。

首が伸びるろくろ首はいろんなところて目にするね。落語にも出てくるし、確か「妖怪大戦争」って映画に出てたのもこいつだね。夜な夜な現れては行灯の油やら頬っぺたやらぺろぺろ舐めてくるやつだよ。一説によれば、昔は行灯の油は魚の油からとっていたとかで、それを舐めに来た猫の姿を首の伸びた女と見間違えたのがろくろ首の正体なんじゃないか、といわれてもいるが・・・白猫ならともかく、ほかの猫で見間違えたりするものかねぇ。真相はわからない。わからないが、首の伸びるろくろ首はぺろぺろ舐めてくるだけで特に悪さはしないから、出会っても邪険に扱わずミルクでもごちそうしてやってくれ。

さて、頭がとれてどこかへ行くろくろ首の話もしてやろう。もともとろくろ首といえば頭が飛ぶほうが主流だったそうで、そのモデルは中国の妖怪「飛頭蛮」だといわれているね。こいつも夜中になると頭がとれてどこかへ行っちまう妖怪だね。この妖怪は小泉八雲の「ろくろ首」にも出てくる。小泉八雲の話じゃ、ろくろ首が何人も集まって人を食う相談をしていたりするんだから物騒だよな。頭が飛んでくろくろ首には気を付けたほうがいいかもしれないねぇ。まぁもしお前さんが頭が飛んでいくろくろ首に襲われそうになったなら、ろくろ首の体を元の位置から少しでもずらしてやるといいだろう。そうすると奴さん、帰るべき体の位置がわからなくなって死んじまうんだ。

また、病気のろくろ首、というのもいたりする。とある本には、勤め先である和尚さんの寝床まで頭が飛んで行ってしまって、もうこんな体では奉公なぞできないといって休みをもらった男の話なんかがあったりする。この病は抜首病というんだそうで、一部地域では結構有名な病気だったそうだ。この病気の正体は夢遊病で、この状態の人間が虫を食ったり、泥水をすするなんてことをした後味が起きた後に残っていることから連想されたものではないか、という話が夢野久作が書いた小説「ドグラ・マグラ」に記されていたりする。離魂病のせいじゃないか、とする話もあるね。いずれにせよ、「人がぼーっとして心ここにあらずな状態」になっているときにこの抜首病は起きやすいといわれているよ。


お前さんらも気をつけるといい。

あんまりぼんやりしてるとそのうちぽろっと首がとれちまうことがあるかもしれないからねぇ。

ひっひっひ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?